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2019/03/31

【書籍】『なぜ日本だけが中国の呪縛から逃れられたのか 「脱中華」の日本思想史』(石平著)

公開: 2019-03-31 12:39:56  最終更新: 2019/03/31 14:08  

以前のエントリー『なぜ論語は「善」なのに、儒教は「悪」なのか(石平著)』に引き続き、掲題の本を読んでいますが、およそ半分(序章~第2章)を読んだところで、頭の整理をするためにブログにメモしておこうと思います。

下はこの本の各章の見出し。

 

  • 序 章:思想としての「中華」とは何か
  • 第1章:飛鳥・奈良時代――脱中華から始まった日本の思想史
  • 第2章:平安から室町――仏教の日本化と神道思想の確立 ←今ここ
  • 第3章:江戸儒学の台頭と展開――朱子学との戦いの軌跡
  • 第4章:国学の快進撃――日本思想史のコペルニクス的転回
  • 終 章:幕末と明治――儒教の復権と国民道徳の形成

  

第3章以降は未読ですが、『なぜ論語は「善」なのに、儒教は「悪」なのか』の第4章「朱子学を棄て、『論語』に「愛」を求めた日本」に短くまとめられたことが詳しく書かれているかと想像します。

 

 

  

見出しをご覧になって分かるように、この本は日本の思想史(および宗教史)について書かれた本ですが、日本史の授業では、まず、飛鳥時代とか平安時代、鎌倉時代という時代区分毎に学び、その中で、「鎌倉時代の仏教」と言うような形で教科書に出てくるのと、詳しくは学ばないので、どうしても、通史としての思想史というものが分かりません。

例えば、「密教」=「加持祈祷」-「最澄」・「空海」などと、試験に出るキーワードだけを覚えただけで良しとしてしまうことが多いのではないでしょうか。

しかし、この本を読んで、(特定の宗教を信仰しない)一般的な日本人の“ぼんやりとした宗教観”とか倫理観ががどのように形成されたのかを考えるヒントになりました。

 

 

著者ご本人は膨大な資料を読み解いて、それをかみ砕いて分かりやすく説明してくれます。はっきり言って、日本史の副読本の「用語集」や事典の説明なんかより、すっと頭に入る言葉で解説してくれるのです。

 

* * * *

 

脱「中華」、脱「仏教」(神道と仏教の共存)

下はまたまた要点まとめの参考書からの「宗教史」です。

 

religion

 

儒教は前回のエントリーに掲載した「思想史」(画像)で扱われているのでここには載っていないですが、儒教も仏教も5~6世紀頃に大陸から、あるいは大陸を経由して伝来します。

リンク先の画像にも書かれているように、儒教は「律令制の理論的支柱」となり、大化改新や十七条の憲法に影響を与えました。

下の画像は、同じ参考書の本文の部分。(この参考書は「要点まとめ」なので、詳細は省かれています。)

 

religion

 

一般には、このように大陸文化の伝来と片付けてしまうのですが、シナの圧倒的な文化の前に、日本人は尊敬と共に脅威を感じたはずです。

ここから、日本人はどのようにシナの呪縛から逃れたのか?

それは仏教を「国教」として据えたからでした。

「華夷秩序」、即ちシナの外は「えびす」(野蛮人)という中華思想の国に対し、遙か西方(インド)で成立した宗教である仏教を国教として据えることで、同じ仏教国という対等な関係になったのです。

 

『十七条の憲法』には儒教から借用された用語もあり、律令制など、シナの制度に倣ったものも多くありますが、あくまでも官僚が国造りの参考に学んだだけで、科挙も取り入れなかったように、日本では支配的イデオロギーにはなりませんでした。

儒教思想の中核の一つ、「天命思想」(天の命令により為政者が変わる=易姓革命の口実)も受け入れず、天皇を絶対的な為政者とすることで、日本には「柱」ができ、これはたとえ武士が権力を握る時代になっても変わることはありませんでした。

こう考えると、なぜ、グローバリスト達が日本の皇室を攻撃するのかも分かるかと思います。

 

儒教の呪縛に絡め取られなかった日本は、次に、仏教の日本化とでも言うのか、日本の神々との関係、即ち、神道と仏教との関係をどうするかという問題に取り組みます。

この経緯は大変面白いので、是非、読んで頂きたいのですが、ブログ主がキーワードだと思ったものを2つ取り上げます。

まずは、「草木国土悉皆成仏」。

「悉皆」(しっかい)という言葉は普段あまり聞き慣れませんが、漢字から、「悉(ことごと)く皆」=全て、と分かると思います。

これは「本覚思想」(人間には「仏性」が備わっているので、誰でも成仏できるという考え)から進んだもので、本書の言葉(石平氏の説明)を引用すると、「仏性が備わって成仏できるのは何も人間だけに限ったことではない。草木や国土を含めたこの世の森羅万象には皆、仏性が備わっており、悉く成仏できる。」という考えです。

これは、日本人なら、アニミズムとの融合だということが分かると思います。

これを読んで思いだしたのが、上野の不忍池の畔にある数々の供養塔です。魚などの生き物だけでなく「眼鏡」の供養塔を見たときには驚きましたが、日本には「器物が100年を経過するとそこに精霊が宿る」とされる考えがあり、付喪神(つくもがみ)と呼ばれます。

まあ、「ゆるキャラ」の原型みたいなものかもしれません。

 

別のキーワードは「反本地垂迹説」。

仏教が伝来したとき、日本の神々との関係は「本地垂迹説」で説明したことはご存知だと思います。本地とは「仏としての本体」で、垂迹とは「姿を変えて迹(あと)を垂(た)れた=別の姿」という考えで、日本の神々は すべてインドの仏が民衆を救うために現われたものであるという説明です。

これが、室町時代には吉田兼倶(かねとも)の「反本地垂迹説」(神本仏迹説)に行き着きます。簡単に言ってしまうと、実際に民衆を救ってくれるのは神々なので、こちらが「主」だと、日本の神と仏の立場を逆転させてしまったのです。兼倶は、(著者の言葉を引用すると)「日本古来の正直・清浄の倫理観を『本地』とし、仏教の唱える慈悲を『垂迹』と見なす考えを示した」のだそうです。

 

古代から室町までの時間をかけて理論立て、現在に至るまで、アニミズムや神道、仏教が、時には融合したりし、共存できる日本人の宗教観が形成されたことが平易な言葉で説明されているので、よく分かりました。

正直に言って、ブログ主はこの本で「八幡宮」とか「権現」などといった意味も初めて知りました。

 

クリスチャンとか特定の宗教を信仰されている方は別ですが、一般には、「とりあえず仏教徒であり、地元の神社の氏子でもある」ブログ主のような日本人が多いのではないでしょうか。そのような日本人にとっては、宗教は空気のような物かも知れません。

ヨーロッパの大聖堂や京都や奈良にある大伽藍は確かに畏敬の念を抱かせますが、この本は、道ばたのお地蔵様はもちろん、木や石ですら注連縄でも巻いてあれば、自然とそこに仏の心や神性を感じる日本人の宗教観を考える端緒となる本だと思います。

石平氏は日本に帰化されたれっきとした日本人ですが、中国(四川省)で育った知識人だからこそ、書けた本ではないかと思います。

  

  

 


 

 

 

 

 

 

 

 

2019/03/27

【書籍】『なぜ論語は「善」なのに、儒教は「悪」なのか』(石平著)

3月19日にブログシステムの大幅改修があり、改行の不具合などもあって、公開後の記事が見苦しいのですが、覚え書きとして、最近読んだ本について感想などを書き留めておきます。

 

 

上に、もう一冊ご紹介したのは、掲題の本を読んでいる途中で、ブログ主の長年の疑問を解くには先にこちらの本(『なぜ日本だけが中国の呪縛から逃れられたのか 「脱中華」の日本思想史』)を読むべきだったと気付いたからですが、その、長年の疑問とは、

  

  1. 同じ儒教の国と言われるが、なぜ、日本と韓国とでは倫理観が異なるのか?
  2. そもそも、日本は儒教の国だろうか?

 

という疑問です。

  

  

 

昨今はあまり言われなくなりましたが、「日本と韓国は“同じ”儒教の国だから似ている」とか「分かり合える」というような言い方をされていた時代がありました。もちろん、それが大間違いというのは、今では説明する必要はないと思います。

「日本は儒教の国」というのは、儒教的な考えが日本人の行動規範になっている、というのはよく言われますが、日本人で『論語』などまともに読んだ人など、そうそういないはずなのに、という疑問でした。

 

これについては、掲題の本で、まず、『論語』と『儒教』は別物だ、ということを知り、ブログ主が誤解をしていたことを知りました。

 

まず、成立年からして300年以上の隔たりがあるのです。『論語』は孔子の言葉を弟子達が書き留めたもので、体系立っているわけでもなく、その時々で矛盾のあることも言っています。しかし、『論語』は、例えば現代のサラリーマンにも通じる、人生の処世訓に満ちあふれていると著者は言います。実際に“生身”の人間なのですから、人間くさいことも当然発言しています。しかし、後の儒学者が、儒教の権威付けに孔子を「聖人」、「至聖」と祭り上げ、儒教の「教組」のような位置づけにしてしまったことに原因がある、というのが冒頭に語られます。

では、「儒教」とは、というと、『四書』、後に『五経』が加わって『四書五経』と呼ばれますが、『論語』は『四書』の中に加えられているだけです。これがそもそも、孔子の威光を借りただけで『論語』とは別物であり、この流れを汲む思想家が、シナのその時々の政治制度や社会的背景に応じて出現し、それを一括りに『儒教』と呼んでいることが誤解の元なのです。

 

この本のサブタイトルになっている『日本と中韓「道徳格差」の核心 』は、正直に言うと、この本だけでは分からず、(だから、もう一冊の『なぜ日本だけが中国の呪縛から逃れられたのか 「脱中華」の日本思想史』の方を先に読むべきだったと思ったのですが、)ブログ主は、以前ご紹介した】『朝鮮戦争で生まれた米軍慰安婦の真実』(崔 吉城著/ハート出版)を読んでいたことで理解できました。

この本をご紹介したエントリー『【在韓米軍慰安婦】韓国人にとっては売春婦は「聖女」である』でも少し触れたのですが、かつて、韓国では女性の地位は大変低く、著者の崔氏の母親が亡くなったときに戸籍を取り寄せたら、母親の名前が無かったのだそうです。また、この本の中に、かつて、夫に先立たれた妻はそれに殉ずることが美徳といわれ、そうした女性の貞操を褒め称える「烈女伝」も書かれたということが書いてあります。中国にもそのような女性を称えるモニュメント(門のようなものだそうです。)があり、観光名所になっていると石平氏の本に書かれていました。日本も女性の地位が高かったとは言い難いのですが、これほどの男性中心の考えはありませんでした。

 

それでは、このような日本と中韓の倫理観の違いは何か?というと、『礼教』です。これは『朱子学』と対になっているもので、女性が夫や息子に忠誠を誓うのはこの『礼教』の教えなのだそうです。石平氏の説明によると、朱子学は「人欲」を圧殺すべきと教え、「人欲」の中でも最も抑制すべきは「性欲」なのだそうです。

 

日本史の教科書の中には儒学者や朱子学者の名前が出てきますが、シナ(朝鮮も)と日本の決定的な違いは、『礼教』を取り入れなかったことでした。

石平氏によると、『朱子学』と『礼教』がシナで猛威を振るったのが、明や清の時代だそうで、この時代のシナと朝鮮の関係を考えれば、日本との違いは分かります。

『礼教』については、ブログ主はこれ以上の知識はないのですが、おそらく、これ以外の形骸化された作法とかしきたりが書かれていることと思います。

下は、受験用の参考書の日本の思想史ですが、「儒教」や「朱子学」という言葉が何度も出てきます。しかし、国学として儒教を受け入れた朝鮮と、『朱子学』を棄てた日本とでは、とても「同じ儒教の国」とは言えないでしょう。このことは石平氏の本の「第4章 朱子学を棄て、『論語』に「愛」を求めた日本」に書かれています。

 

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ここまでで、この本の「ネタバレ」と思われるかも知れませんが、このような結論は実はあっさりと冒頭に書かれており、実はこの本で一番ページ数を割いているのはシナ(中国)の思想史です。

その中には、「性悪説」でお馴染みの荀子や「性善説」の孟子、竹林の七賢など、漢文の教科書で習ったことがある思想家の名前がたくさん出てきます。今にしても思えば、漢文の授業はある意味、シナの思想史を学んでいたことになり、実際に、時代背景なども一緒に習っていたのだと思いますが、漢文を読み下して現代語訳にするのが精一杯で、そうした知識は忘却の彼方となってしまいました。

この本では、名前くらいしか覚えていない思想家(と言っても、名前すら忘れていましたが...w)が、どのような政治体制や社会情勢の中で出現したのかが、非常に平易に書かれています。従って、「中国の思想史入門」としてもお薦めの本です。

ふと、漢文の教科書をもう一度読みたくなりましたが、どうせ買っても読まないと思うのでやめましたw

上でご紹介したもう一冊の本、『なぜ日本だけが中国の呪縛から逃れられたのか 「脱中華」の日本思想史』は、タイトルの通り、日本の思想史がまとめられているようなので、こちらも是非読んでみたいと注文したところです。

 

  

  


  

2019/03/15

【書籍】『あるユダヤ人の懺悔 日本人に謝りたい』(モルデカイ・モーゼ著)

掲題は最近入手した本のタイトルですが、ある意味衝撃を受けたので、ご紹介します。

まずはその中の一節を。

 

日本人の知らない「ロシア革命」の実像

日本ではほとんど知られていないが、当時欧米の新聞論調はロシア革命とはいわず、「ロシア・クーデター」と呼んでいるのである。つまり、クーデターは革命とちがって首がすげ替えられただけのものである。ユダヤ権力がツァー権力にとってかえられただけのものである。それはフランス革命に次ぐユダヤ人の反撃プログラムの第二弾だったのだ

 

 

 

 

もし、馬渕睦夫元駐ウクライナ大使の著書の読者だったり、ネット番組の視聴者だったりする方だったら、馬渕大使がよく仰っていることと同じだと気づかれたかと思います。

 

この本はあるユダヤ人(後述)が書いた本なのですが、前書きに書かれた日付を見て驚きました。

1979年11月3日なのです。

 

以下、目次の一部もご紹介します。

 

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5章の最初の方なんて、かなり興味を引かれませんか?

 

 

また、目次の「ユダヤ人」を「共産主義者」と置き換えたら、最近よく聞く話だというのが分かるかと思います。これを「ユダヤ人」(=ナショナリストではなくグローバリストのユダヤ人)とはっきり言っている方は少ないのですが。

「グローバリズム」や「ディープステート」という言葉は直接には出てきませんが、そういったことが書かれているのが分かるかと思います。

 

それが40年も前に、しかも、ユダヤ人自身の手によって書かれていたとは驚きです。

ブログ主など、前書きを読まずに目次だけ眺めたときに、最近のブームに乗って、山本七平(イザヤ・ベンダサン)のようにユダヤ人のフリをした日本人が書いたのかと思ったほどです。

 

ところで、このエントリーを書くために検索したところ、Amazonのマケプレで古書が売られていることを知りましたが、価格を見てビックリ。絶版で、元々それほど出回らなかったのかも知れませんが。

 

 

 

 

ちなみにブログ主が入手したのは復刻版で、サイズは新書版。厚さも新書によくある厚さで、価格は1000円でした。(定価)

 

著者はモルデカイ・モーゼというユダヤ人で、訳者は久保田政男、元々の出版元は日新報道というところですが、ブログ主が入手した本は沢口企画となっています。

聞き慣れない出版社と思われるかも知れませんが、自費出版なのだそうです。

これは本の袖に書いてあって知ったのですが、著者も翻訳者も既に鬼籍に入り、日新報道も2017年に倒産し絶版になったのを、このまま眠らせておくのはもったいないと思ったから、ということだそうです。(下の画像の下半分の黒い部分は帯です。)

 

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この本を入手する方法は後でネットで調べれば分かるだろうと高をくくっていたので、購入したときに確認しなかったのですが、もう少し調べて、分かったら追記します。

 

以下は本の裏表紙に書かれている説明文ですが、初版の帯に書かれていたものだそうです。

 

ユダヤの長老が明かす戦後病理の現像

「ユダヤ人は信じられないほど頭が悪かったのだ」とモーゼ翁は告白する。東京裁判、日本国憲法、その他戦後日本に持ち込んだ改革の全てはユダヤ的思考と民族的悲願の所産だった。マルクス主義もユダヤ民族解放事業のための虚構論理だったのだ....ユダヤ民族の真の理想は戦前の君民共治の中にこそ体現されていたという、日本人の蘇生を心から願うユダヤの一長老の懺悔を聞こう。

 

 

* * * *

 

最後に、ご参考までに林原チャンネルの馬渕睦夫大使の動画一覧(再生リスト)のURLを貼っておきます。田中秀道先生の再生リストも挙げたのは、この本の著者が書いたことと田中先生の仰ることとが相通じるところがあるからです。

 

 

 

 

 

 


 

2019/03/08

【書籍】『英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人―知られざる日本軍捕虜収容所の真実』/川崎の捕虜収容所

最近入手した書籍『英国人捕虜が見た大東亜戦争下の日本人―知られざる日本軍捕虜収容所の真実』〔 デリク・クラーク (著), 和中 光次 (翻訳) 〕の覚え書きです。

たまたまSNSで見かけて興味を持ったので注文し、つい先日、手元に届きました。

タイトルを見て、会田雄次の名著『アーロン収容所』を思い出すのはブログ主だけではないと思いますが、ブログ主が興味を持ったのは、著者が川崎の収容所に(も)いた、という事も大きな理由です。

 

 

 

 

 

 

会田氏は捕虜収容所でとったメモを持ち帰ったと記憶していますが、この本の著者は戦後、記憶を辿ってこの原稿を書いたようで、また、当時の様子を表す挿絵も多数描いています。

『アーロン収容所』にも会田氏自身で描いたイラストが挿入されていて、なかなか上手なのですが、クラーク氏は更に見事な絵で、また、日本での出版に当たり、写真や地図、訳者による註も丁寧で、史料としても役立つ工夫がなされています。

 

まだ一部しか読んでいませんが、会田氏同様、親日的(会田氏の場合は「親英的」)であるわけではありません。しかし、当時の様子の生き生きとした描写は大変興味深く、読み物として面白いものです。(会田氏の『アーロン収容所』の場合は更に深い人間観察力や洞察力が加わります。)

 

しかし、アーロンは敵から攻撃される心配の無い場所だったのに比べ、東京(主に芝浦)では空襲を受けており、第二分所と呼ばれた川崎では大規模な空襲に遭遇し、そのことは「地獄の川崎」という章に表れています。

寡聞にして、ブログ主は川崎に捕虜収容所があったことを知らなかったのですが、そこで、その章を真っ先に読み、少し調べたものを個人的メモとして後述しますが、それ以外に、この本が届いてパラパラとページを捲ってみたときに、捕虜達が収容所内で劇を楽しんでいる写真に目が留まりました。

その写真の脚注を読んでみると、大映の協力で衣装を調達したとあります。『アーロン収容所』では捕虜達が物資をくすねて衣装などの材料を調達するのと大違いです。

 

下はブログ主が以前観た『日本におけるドイツ人捕虜 1914-1920』展のカタログから、つまり、第一次世界大戦の捕虜の様子ですが、ここでも制約の多い生活ながら、捕虜達は様々なリクリエーションを楽しんでいたようです。

 

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ブログ主覚書

川崎にあった第二分所とは扇島(おおぎじま)にあり、これで大凡の場所は分かったのですが、本に掲載されていた地図と『今昔マップ』で位置を確認しました。(→URL

 

下は、総務省の「川崎市における戦災の状況(神奈川県)」に掲載されていた地図を加工したもの。

 

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工場が多い臨海部は空襲の被害も甚大で、③の大師公園とは川崎大師に隣接する公園で、ブログ主の家もこの近くにあります。

子どもの頃、祖母から空襲の話を聞いたことがあっても、あまり生々しい話ではなく、その恐ろしさは分からなかったのですが、下に提示する画像を見ると、ほぼ焼き尽くされました。

 

下の画像は以前のエントリーに掲載したものですが、市役所の時計台が壊されることが決まったときのテレビニュースのキャプチャで、上の地図の①の辺りです。(他の画像はリンク先を参照)

 

Kawasaki_city_hall04

 

なお、『英国人捕虜~』の訳注でも言及されている『川崎空襲・戦災の記録』(上、中、下/ダイジェスト版)は市役所で入手可能とのこと。郵送でも入手可能のようです。(URL:http://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000009073.html 川崎市のサイトはよくURLが変わるので注意)

 

川崎を含めた捕虜収容所でお亡くなりになった方のリストはこちらのPOW研究所というサイトにあります。

 

 

 

 

 


 

2019/01/21

【書籍】『WGIPと「歴史戦」』(高橋史朗著)【動画】

最近見た動画と注文した書籍の覚え書きです。

 

チャンネル桜 【夢を紡いで #49】WGIPの源流を辿る旅-高橋史朗氏に聞く、父から託された歴史戦[桜H31/1/11]

前半は本に対する思いなど。書籍の内容については16m20sあたりから。

 

WGIP(War Guilt Information Program)については以前も書いたので、ここでは画像のみ転記しておきます。

WGIPの表面的な内容に関しては説明する本などは多々ありますが、高橋先生の御著書は一次資料を繙いたもので、この流れに『菊と刀』(ルース・ベネディクト著)があったとは驚きました。

 

 

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20180829_sankei_WGIP_mcdougal_report

 

ついでの紹介のようになってしまいますが、この討論の中で、加瀬英明先生が仰っているように、日本人もいつまでもWGIPのせいにせず、自ら呪縛を解く必要があると思います。

 

 

【討論】御代替りの今年、世界で何が起きるか?[桜H31/1/19]

パネリスト:
 加瀬英明(外交評論家)
 河添恵子(ノンフィクション作家)
 佐々木類(産経新聞論説副委員長)
 田村秀男(産経新聞特別記者・編集委員兼論説委員)
 西岡力(「救う会」全国協議会会長・モラロジー研究所歴史研究室室長)
 藤和彦(経済産業研究所上席研究員)
 ペマ・ギャルポ(拓殖大学国際日本文化研究所教授・チベット文化研究所名誉所長)
 八木秀次(麗澤大学教授・一般財団法人 日本教育再生機構理事長)
司会:水島総

 

 

 

 

 


 

2018/12/18

【書籍】『決定版 慰安婦の真実-戦場ジャーナリストが見抜いた中韓の大嘘』(マイケル・ヨン著)【慰安婦問題】

公開: 2018/12/18 15:09  最終更新: 2018/12/18 16:57  

書籍のご紹介をする前に、ジェイソン・モーガン氏が書いた記事をご紹介します。

 

http://www.atimes.com/article/beijing-weaponizes-comfort-women-propaganda-tool/
By Jason Morgan| March 24, 2018 10:50 AM (UTC+8) 
How Beijing weaponizes 'comfort women' as propaganda tool

'Comfort women' are not just a relic of Japan's aggressive imperial history. They are today a key tool in Beijing’s disinformation strategy to isolate Japan and the USA in East Asia

The “comfort women” issue appears, on the surface, to be a bilateral problem between South Korea and Japan.  In reality, it is deeper.  The key player is increasingly not South Korea, but China, and the ultimate target is not Japan, but the United States, as the comfort women are co-opted by Beijing in its anti-American information war.

(以下略)

【要約】

いかにして、中国は「慰安婦」をプロパガンダ・ツールとして武器化するか

「慰安婦」は単なる日本の攻撃的な帝国主義の物語の遺物ではない。それは今日では東アジアにおいて日本とアメリカを孤立させようとする中国政府の偽情報戦略における重要な道具である。

「慰安婦」問題は表面的には日韓両国の問題に見えているが、実際はもっと深い。中心的なプレイヤーは中国であり、究極の攻撃対象は日本ではなくアメリカだ。反アメリカ情報戦のツールとして中国が盗用したのだ。

 

 

 

 

ジェイソン・モーガン氏については別途エントリーを改めて書こうと思っているのですが、現在は麗澤大学外国語学部で教鞭を執ってらっしゃり、日本語の著書も複数あります。その内容は保守アメリカ人として見た日本です。

なぜ、この記事を取り上げたかというと、今回ご紹介する『決定版・慰安婦の真実――戦場ジャーナリストが見抜いた中韓の大嘘 単行本』(ソフトカバー – 2018/11/2 Michel Yon著)で著者のマイケル・ヨン氏も同様の見方(日米、そして韓の分断)をしているからです。

 

彼は「『慰安婦問題』は壮大な詐欺事件です。」と言い放っています。

 

 

 

 

慰安婦に関する本は数多あり、例えば秦郁彦先生の本は学術的な見地から、これ1冊で様々な欺瞞を論破でき、また、西岡力氏のような方の調査により、慰安婦を政治利用している輩の実態が明るみに出て、そういった意味では既に証拠は出尽くしているのですが、この本は、実証主義の著者が自分の足で証拠を集め、その結果、慰安婦問題の本質を日米韓分断作戦と発見するプロセスを読者が追体験できる点がユニークです。

 

「読者が追体験」とは、この本は著者が2014年から18年10月頃までにFacebookに書いた文をまとめたものだからです。慰安婦問題についてFacebookに連載し始めたのは、ある程度の確証を得てからだと思いますが、連載の途中で批判を受けたらそれに反論するやりとりも一部引用していたり、臨場感のようなものがあります。

 

本書は3章からなりますが、主に「第1章 慰安婦問題」と「第2章 第二次世界大戦」で半々ぐらい、最後の第3章は非常に短いのですが、バチカン(ローマ法王)の中国接近や旭日旗問題にも触れています。

 

第2章はパールハーバーは実は奇襲などではなく、先に日本が手を出すように、アメリカによって周到に計画されたものであり、そのために真珠湾にいた部隊は生き餌にされたのだということが書かれています。それを示す公式文書も提示されているので、自分の目で確認したい読者はおそらく公文書館のサイトなどで探せるでしょう。

日本人とは違った、アメリカ人から見た「慰安婦問題」を知る良い本だと思います。

 

 

慰安婦について、ブログ主の覚え書きとして本に紹介されていた2つの記事、CNNとFox newsの記事のURLをメモしておきます。

 

CNN: Don't let North Korea exploit 'comfort women' issue (北朝鮮に慰安婦を利用させるな)
By Norm Coleman
Updated 2342 GMT (0742 HKT) March 31, 2016

Fox: Japan vs US: No, Japan is not 'killing' us, we're killing Japan, our staunchest Asian ally (日本対アメリカ 日本は我々を殺していない 我々が日本を殺している 信頼に足るアジアの盟友)
By James K. Glassman
Published May 10, 2016

 

どちらも、慰安婦問題の欺瞞について書いています。

 

Foxの記事でライダイハン(ベトナムで韓国兵によって多くの女性がレイプされ、それによって生まれた混血児)について触れていますが、著者はライダイハンのもう一つの秘密について書かれたCNNの記事を提示してくれています。 

 

Lai02jpg

 

これは、「ベトナム・ピエタ」と呼ばれる像で、ベトナム戦争で犠牲になったベトナム人を慰霊するものだそうですが、これがどこにあると思いますか?

実は済州島なのです。

 

これを作ったのは「慰安婦像」を作った夫婦。

 

驚くことに、韓国で慰安婦のキャンペーンをやっている活動家(挺対協)とベトナムでの韓国人の虐殺行為を暴くキャンペーンをやっている人物はかなり被っているのだそうです。

つまり、彼等は反日キャンペーンと同時に反韓キャンペーンをやっているのです。

 

著者の結論は「分断工作」 

今現在、韓国において、文在寅による“革命”が進んでいることから分かるように、朝鮮半島の2国は分けて考えても意味がありません。韓国内にいる“北-分子”があらゆる分断工作をしていると言うわけです。

 

The 'forgotten' My Lai: South Korea's Vietnam War massacres (「忘れられた」私のライ:韓国のベトナム戦争虐殺)
By James Griffiths, CNN
Updated 0155 GMT (0955 HKT) February 24, 2018

(一部引用)

Seeking apology

According to Ku, "calls for the recognition of the truth about the massacre of South Vietnamese civilians" have been growing in the past two decades.

Sensitivity over how and how much to apologize for South Korea's role in Vietnam is particularly poignant given the country's own experience under Japanese occupation and ongoing disputes over so-called "comfort women" forcibly enlisted by Japan for its troops in World War II, accounts of which Japan strongly disputes.

 

Many of those active in pushing for a full reckoning with the Vietnam War legacy are also campaigners for the "comfort women," including artists Kim Seo-kyung and Kim Eun-sung, who designed an iconic statue of a "comfort woman," versions of which have been erected in protest outside several Japanese consulates in South Korea.

Last year, the Kims unveiled a statue memorializing the victims of the Vietnam War on the South Korean island of Jeju, sponsored by the Korean-Vietnamese Peace Foundation.

【訳】ベトナム戦争の遺物を完全に精算するために積極的に活動している人々の多くは同時に、「慰安婦」キャンペーンを行っていて、その中には、「慰安婦」を象徴する像をデザインしたキム・ソンギョン(Kim Seo-kyung)とキム・ウンソン(Kim Eun-sung) がいる。
その像のいくつかは韓国にあるいくつかの日本領事館の外に、抗議の意味で建てられている。

去年、キム夫妻は、ベトナム戦争の犠牲者を記念した彫像を済州島でお披露目した。
そのスポンサーは韓国 - ベトナム平和財団である。

 

Ku said the statue, called the "Vietnam Pieta" and modeled on the traditional depiction of the Virgin Mary cradling post-crucifixion Jesus, was "intended as an apology for the Vietnam War."

Kim Seo-kyung said she and her husband were inspired by seeing Japanese people coming to rallies to apologize for that country's treatment of Korea during World War II, and designed the statue "to apologize in our way" for the Vietnam War.

She said the plan had been to unveil statues in Vietnam and South Korea at the same time, but this fell through.

In April, the two-day People's Tribunal on War Crimes by South Korean Troops During the Vietnam War will open in Seoul, focusing on the Phong Nhi and Phong Nhat massacres, and the killings in Ha My. Organizers said they plan to use the material gathered in the unofficial hearing to help bring a damages lawsuit against the South Korean government later in the year.

The tribunal will also be used to pressure President Moon, who disappointed campaigners by failing to go further than previous leaders in a November trip to Vietnam, saying only that South Korea "has a debt of heart" to the country. The South Korean government did not respond to a request for comment for this article.

"We think it is time to hold the Korean government officially accountable and accept our (country's) responsibility during the Vietnam War," said Boram Jang, a lawyer and one of the tribunal's organizers.

She said given South Korea's continued lobbying of Japan over "comfort women" and other World War II abuses, "we should also officially apologize to victims of the Vietnam War."

"Our principle for this tribunal is not to judge or punish those Korean soldiers who participated, we want to hear their stories, not just condemn," she said. "Maybe those veterans could be victims too."

 

 

もう少し追記したいことがあるのですが、一旦、ここまでで公開します。

 

 

 

 

 


 

2018/09/11

情報の宝庫、学習地図帳が面白い/帝国書院『新詳高等地図』を買ってみた

最近、ふと思いついて、最新版の高校生向けの地図帳を購入しました。帝国書院の『新詳高等地図』というものですが、これが非常に面白い。

ブログ主の手元には昔買った帝国書院の地図帳がありますが、奥付(おくづけ)を見ると、昭和63年とあります。つまり、1988年。30年前!

従って、ドイツはまだ東ドイツと西ドイツに分かれています。

古い方の地図帳は実際には高校生の時に使っていたものではなく、ニュースなどを見るときに手元に置いておきたいと購入したもので、現在は地図だけならインターネットのGoogle Mapなどで事足りることもあるのですが、地図帳の真価は実は地図以外の部分にあり。

ということで、今回は学習用地図帳をご紹介したいと思います。

 

今年度から大判化したそうで、新版ではやや幅が広くなりました。

 

Atlas00

 

 

 

 

今はインターネットで地図が見られるようになり、地図帳の使用頻度は減りましたが、それでも、Google Mapなどではより広範囲に見ようとすると細かい地名が消えてしまうので、時々使っていました。

ネットの地図より見やすい、というのも地図帳の利点の一つですが、新しく買い求めた一番の理由は地図を使って示された統計などのデータが最新版ではどうなっているか知りたかったのです。

 

例えば、こんな統計。(こちらは1988年版のもの)

 

Atlas01

 

「各国の軍事費」というこの地図の数字は国によってかなり年次が異なるのですが、こういう図は表などより断然視覚的に分かりやすいと思いませんか?

この地図のことは後でもう一度取り上げます。

 

新しい地図帳(H29年版=2017年版)が届いて古い地図帳と見比べてみると、世界情勢や関心事の変化に合わせて、扱う地図や統計がかなり変わっているのが興味深いです。

 

例えば17年版では中東(西アジア)のページに、普通の地図とは別に、言語や宗教、石油産出量といった3つの統計を表す地図が掲載されています。

また、86年版では「森林資源と木材生産」という統計が、17年版では「森林の減少と日本の木材輸入」に変わっているように、『人口』に関するページも86年版では「出生率」や「死亡率」、「平均寿命」といった統計が掲載されていたのが、新版では『人口・食糧問題』というカテゴリーに変わり、「一人の女性が生涯に生むとされる子どもの数」や「高齢化」という統計が加わっています。

 

もちろん、ネットを検索すればこれらの情報には辿り着けるとは思いますが、各地図(統計)には出典が書かれているので、最新の数字を調べるのにもアクセス速度が高まります。

 

新版の『人口・食糧問題』には「世界の水資源」という統計もありました。

下の図は地図帳のものではなく、出典から直接得たもので、地図帳ではこれに更に「主な国の1人あたりの年間水使用量」が加えられています。

 

Atlas02

Note: The figures indicate total renewable water resources per capita in m3.
Source: WWAP, with data from the FAO AQUASTAT database. (http://www.fao.org/nr/water/aquastat/main/index.stm) (aggregate data for all
countries except Andorra and Serbia, external data), and using UN-Water category thresholds

 

こういうのを見ると、中国が水資源を求めて、オーストラリアのタスマニアや北海道に食指を伸ばすのが分かります。

ところで、地図上で韓国が「ストレス」に分類されているのに気づかれましたか?

調べたら、漢江の上流にあるダムを北朝鮮に握られているからだそうです。

なるほど。

 

他にも、日本地図のページには、こんな図もあります。(雰囲気が分かる程度のサイズにしてあります。)

 

Atlas03  

 

「日本の地体構造と防災 主な地震の震源と火山、活断層」というものです。

映っていませんが、下の方には東北の断面図、東日本大震災の時のプレートの動きも図で説明されています。

 

「日本の位置とまわりの国々」では、下のように排他的経済水域(※/青い線)や日本固有の領土が写真入りで掲載されています。(左上の写真は日本の東、西、南、北端の写真です。)

 

Atlas04

 

素晴らしい!

 

 

※はいたてき‐けいざいすいいき【排他的経済水域】 ‥ヰキ
(exclusive economic zone)沿岸から200海里の水域から領海を除く部分。沿岸国に生物・非生物資源の探査・開発に関する主権的権利が認められる。経済水域。EEZ

広辞苑 第六版 (C)2008  株式会社岩波書店

 

ちなみに、98年版では「日本の位置」と題して片側1ページのみで、日本の西側にある国の場所には日本の行政区分(要するに県名が書かれた地図)が掲載されているので、まわりの国々は見えなくなっています。

 

ブログ主がこんなにはしゃいでご紹介しているのは、多くの情報が満載で、視覚に訴える工夫がなされているからです。

 

そこで再び「世界の軍事費」。

ブログ主は新版ではこれがどのように変わっているのか楽しみにしていたのですが、なぜか新版にはありませんでした。

そこで、ソースの「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)」で「SIPRI Military Expenditure Database」というページにアクセスしてみましたが、単にスプレッドシート(Excelの表)が提供されているだけでした。

軍事費の規模を四角のサイズで表すのは帝国書院の工夫です。

 

Atlas01

 

ところで、ここでふと気づいたことがあります。

日本の防衛費は毎年ニュースになりますが、「日本の2018年度防衛関係費(米軍再編関連費用を含む)は5兆1911億円で過去最高額を更新した。」のように、(当然と言えば当然ですが、)円建てで示されていて、他国との比較があまりよく分かりません。

他国の軍事費に言及する場合、例えば下の産経の記事の記事のようになります。

 

http://www.sankei.com/world/news/180503/wor1805030004-n2.html

2018.5.3 07:00更新
世界の軍事費1・1%増 制裁のロシアは2割減で4位に後退

 【ロンドン=岡部伸】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2日、2017年の世界の軍事費(一部推計値)は1兆7390億ドル(約189兆円)で前年比1・1%増だったと発表した。中国による南シナ海進出などで緊張の高まるアジアでの増加が目立った。

 世界の軍事費が世界の国内総生産(GDP)に占める割合は2・2%、1人当たり230ドルの支出となった。

 17年の国別トップは6100億ドルの米国で全体の35%。2位は2280億ドルの中国で13%。この2カ国でほぼ半分を占めた。アフガニスタン、イラクからの部隊撤退で軍事費を減らしてきた米国は、17年はほぼ横ばい。一方、中国は前年比5・6%増となった。

 16年に世界3位だったロシアは前年比20%減の663億ドルと4位に後退。1998年以来の減少で、SIPRIは「原油・天然ガスの価格低迷や2014年から続く制裁で経済に負担がかかり、軍事費が削減された」と分析した。

 紛争が目立つ中東情勢を反映し、サウジアラビアは前年比9・2%増の694億ドルで3位に浮上した。

 地域別では、アジア・オセアニアが29年連続増加。SIPRIは「中国と近隣諸国間の緊張が、アジアでの軍事費の使用を活発化させている」としている。

 上位15カ国は前年と同じ顔ぶれで、日本は前年と同じ8位。GDP比で0・9%と15カ国で唯一1%を切っている

 

8位だということは分かりますがドルベースの数字は提示されていません。また、他の国が極端な国ばかりで、例えばドイツやフランスの数字はどうなんだろうと知りたくなります。

 

産経の記事にある17年の数字をSRPLIのSIPRI Military Expenditure Databaseスプレッドシートで見ると、「2017 Current」の数字と一致するので、これでいくつかの国を拾ってみると以下のようになります。(シートの数字は百万ドル単位なので分かりやすいように1億ドルの位置に「・」を打ちます。)

 

アメリカ:6097・58、中国:2282・31、日本:453・87、韓国:391・53、台湾:105・69、ドイツ:443・29、フランス:577・70、イギリス:471・93

 

メディアがドルベースで比較しない理由が分かる気がします。

日本はこれだけ周囲を異常な国家に囲まれて、しかも緊迫度が増しているのに、「GDP比1%」なんて目安に拘るのは馬鹿馬鹿しいとは思いませんか?

 

 

 

 

 


 

2018/08/13

【動画】『台湾人と日本精神』-“日本語族”蔡 焜燦氏インタビュー

このエントリーでは、以前ご紹介した『台湾人と日本精神』という本を著した蔡 焜燦〔さい こんさい〕氏のチャンネル桜でのインタビューをご紹介します。

 

最初に少しこのインタビューの前提となる説明をすると、以前NHKで放送されたNHKスペシャル シリーズ 「JAPANデビュー」(2009年4月~6月)という番組で、蔡氏のような“日本語族”の方々が日本統治時代を語ったところ、恣意的に発言を切り取られて正しく意図を伝えられませんでした。

彼等が語った中には当時の良い面、悪い面があったのですが、NHKが意図したストーリー通りに発言を切り貼りされて、あたかも日本統治時代が抑圧されて暗い時代だったかのような印象操作に利用されたのです。

 

 

 

 

この件はエントリーを改めてまとめるつもりですが、さっそく動いた人達・団体の一つがチャンネル桜で、NHKの番組内でインタビューされた方々や蔡氏のインタビューをとって、NHKを糾弾するキャンペーンを張りました。

 

番組は前後半の2回に分けられており、動画も更に分割されているのでリストにしました。

 

【前半】

1/3【台湾取材レポート】老台北・蔡焜燦氏に聞く 第1弾[桜 H21/5/6]

https://youtu.be/XlrV0_7LFKA

2/3 https://youtu.be/BegRnBTrxTo

3/3 https://youtu.be/ha1ZtSUwhog 

中共政府と同じ反日的な視点から、日本による台湾統治の「陰」の部分のみを強調するという目的のために、日台間の歴史の真実も、親日国・台湾の人々が日本に寄せる複雑な心情も、ただ利用し、踏みにじった「NHKスペシャル シリーズ『JAPANデビュー』第1回『アジアの一等国』」。その作為を明らかにすべく台湾に赴いた井上和彦が、老台北(ラオタイペイ)として著名な蔡焜燦氏に、NHKの番組に見られる誤りの数々や、日本による統治時代の実情、台湾のために貢献した日本人たちの功績などについてじっくりとお話を伺った模様をお送りします。

 

 

【後半】

1/2【台湾取材レポート】老台北・蔡焜燦氏に聞く 第2弾[桜 H21/5/11]

https://youtu.be/OxljodWdRYw

2/2 https://youtu.be/fnmceq1ZqeA

 

問題視されている「日台戦争」という言葉ですが、これは動画の中でも語られているように、日清戦争後(1895年4月17日 下関条約)、日本人による統治が始まった初期に頻発した抗日ゲリラによる抵抗のことですが、「台湾民主国」に言及していたので、少々補足します。

 

清仏戦争(1884~85年、清国とフランスとのベトナム支配権をめぐる戦争。天津条約を結び、ベトナムはフランス保護領となる。)の間にフランス軍が台湾を襲ったことから、この地の重要性を強く認識した清は台湾を独立した省として巡撫(地方長官)を派遣するようになります。

その後、日清戦争に敗北した清から日本への台湾の割譲が決まると、これに抵抗する台湾の官僚等は「台湾民主国」の成立を宣言(1895年5月25日)します。既に割譲が決まっているので清は全く関与しませんでしたが、この事態に、日本は武力での統治が必要と、海軍大将・樺山資紀を初代総督に任命して派兵、しかし、日本軍が上陸(6月3日)すると、台湾民主国の総統は廈門(アモイ)に逃走。無血開城となります。

その後、台湾人との戦闘状態が5ヵ月続き、NHKはこれを「日台戦争」と呼んだのですが、前述のように台湾民主国に統率された軍隊などありませんでした。

 

下は、チャンネル桜の井上和彦氏が台湾に行き、老人が集まる公園や広場で“日本語族”にインタビューしたもの。特に、龍山寺で出会ったご老人方の話は必見です。

 

2009/04/22 に公開
1/5【台湾取材レポート】井上和彦・台湾取材で感じたこと
https://youtu.be/8dqmJrgoSHQ

2/5【台湾取材レポート】二二八紀念公園でのインタビュー
https://youtu.be/h7Anl-B1t1E

3/5【台湾取材レポート】龍山寺前広場でのインタビュー
https://youtu.be/_vg5wn-EF9k

4/5【台湾取材レポート】龍山寺前広場でのインタビュー・後半
https://youtu.be/5EOmXXtVgD0

5/5【台湾取材レポート】台湾取材を終えて[桜 H21/4/22]
https://youtu.be/Km9pUH9pBPM

 

この時は国民党の馬英九政権の時代で、李登輝総統(中国国民党だが、初の本省人の総統)以降進められた民主化が後戻りしていた時代だということを前提に観る必要があります。

 

ところで、動画の中で、日本統治時代と国民党支配の違いとして、治安を挙げる方が何人かいました。

それで思い出したのが、ブログ主が出張した当時(1991年)、驚いたのはマンションの厳重さでした。エレベーターで部屋のある階に下りると、通路というほどのスペースもなく、部屋のドアがあるのですが、そのドアの前にもう一つ、鉄格子があるのです。

 

NHKのJapanデビューは当時どのくらいの台湾人が観たのかは分かりませんが、台湾は衛星放送やケーブルテレビの普及が日本よりも早く、ブログ主の部屋のテレビでもNHKが映っていました。

あまりテレビを観る時間はなかったのですが、毎朝、時計代わりにテレビを点け、朝ドラを観てから部屋を出ていた記憶があるので、地上波の番組が観られたのだと思います。従って、台湾を取り上げた番組とあっては、NHKを観る習慣がある方はこの番組を観ていたのではないかと思います。

1991年当時、相撲とか甲子園(高校野球)も人気で多くの人が観ていると聞きました。前回ご紹介した同僚の女性の両親は“日本語族”だったのですが、彼女と一緒にお昼を食べた日本食屋で壁に貼られた大相撲のポスター(千代の富士)を見て、「この人知ってる。えーと、確か貴乃花...」と言いかけたので訂正しようかと思ったら、「...に負けた人でしょ。」と言ったので、彼女は日本語は話せませんが、家族と相撲をよく観ていたのでしょう。

 

 

 

 


 

2018/08/06

【書籍】『台湾人と日本精神』 (小学館文庫/蔡 焜燦)読了

公開: 2018/08/06 15:38  最終更新: 2018/08/09 12:50  

以前のエントリーでご紹介した『台湾人と日本精神』(小学館文庫/蔡 焜燦〔さい こんさい〕著)を読了しました。

読み終えたのはもう2週間ほど前ですが、その後、この本から興味が派生して、関連する資料を読んだりしていたので、書き留めておきたいことはたくさんあるのですが、今回は全般的な内容のご紹介をするつもりです。

下は文庫版の目次です。

 

蔡さんと私 合い言葉は「お国のために」 金美齢

第1章 台湾の恩人・司馬遼太郎

第2章 台湾近代化の礎を築いた日本統治時代

第3章 「二つの祖国」 - 「戦争」そして「終戦」

第4章 “祖国”の裏切り

第5章 日本人よ胸を張りなさい

第6章 「台湾論」その後

あとがき

台湾略年表

 

 

 

 

 


まず、タイトルにある「日本精神」(台湾語でリップンチェンシン)ですが、成語(熟語)として台湾に根付いているもので、その対語には「中国式」という表現があるそうです。前者は「勤勉で正直で約束を守る」、後者は「嘘、不正、自分勝手」という意味があると著者は説明し、日本の統治時代を経験した世代には「日本精神」がある、というわけです。

 

ご存知のように、日清戦争(1894~1895)の結果、下関条約(1895年)により台湾が日本の領土となりました。最初の3年間程は治安維持に注力したため、本格的にインフラ整備等に手を付けたのは第4代台湾総督・児玉源太郎(1852~1906/1898年〔明治31年〕着任)の時代からです。そのために後藤新平(1857~1929)、新渡戸稲造(1862~1933)といった、そうそうたる人物が台湾に呼ばれました。

日本統治時代の台湾というと、どうしても八田與一(1886~1942)に代表されるようないうハードの面(道路、鉄道、水道等の建設・整備)のインフラ整備を思い描きがちです。こうした事業が開始されるのは前述のように第4代台湾総督・児玉源太郎の時代からで、第7代総督・明石元二郎(1864~1919/1918年〔大正7年〕)の時に、台湾教育令(1919年)が施行され、ソフト面での台湾近代化が展開されます。

こうした名前を見ていると、日本人が恩着せがましく言うことではありませんが、この時代に台湾が日本に統治されたのは、ある意味“奇跡”ではないかと思います。

明治維新の立役者達が、日本では手探りでやった経験を元に、更に理想的に、更に効率的に台湾の近代化を進めることができたと思うからです。

 

しかし、蔡氏のこの本を読むと、「日本精神」はけっしてこれらの“偉人”によってもたらされたものではないことが分かります。

それは、日本人教師や警官といった名もなき人々から学んだものでした。

 

ちなみに、2014年に公開された映画『KANO』の嘉義農林学校(通称「嘉農」)が甲子園(第17回全国中等学校優勝野球大会)で準優勝するのは昭和6年(1931年)です。満州事変が勃発する年ですね。映画には八田與一が登場し、烏山頭ダムの完成も試合進行とともに描かれますが、完成は1942年です。着工は1920年で、明石総督が没した年の翌年でした。

この映画の中でも嘉農の学生達の授業風景が出てきます。

 

 

【KANO 正式預告 】(ARSFILMPRODUCTION

 

 

著者の蔡 焜燦氏(1927~2017)が生まれたのは日本式に言うと昭和2年で、台湾が日本の領土となってから既に30年以上経っていますが、この世代の方が、戦後、日本からかつての恩師を招いて旧交を温めるというのはよくある光景だったそうです。

 

以前にもこのブログに書いたことがありますが、ブログ主が1991年に台北に出張に行った時、週末に案内をしてくれた現地スタッフの女性とその家族が連れて行ってくれた茶の店で、やはり蔡氏と同世代の店主が、私が日本人と分かると、奥から何冊もの古いノートを持ってきて、日本の教育を受けられたことがどれほど幸せだったかと、もちろん日本語で語っていました。

その時は、あまり意味が分からなかったのですが、当時は戦後日本に変わって台湾にやって来た外省人(国民党)により、まだ反日教育が行われていたのでした。

 

話は前後しますが、台湾にはかつて高砂族(※)と総称された九つの部族がおり、大陸から渡ってきた漢民族と数百年に渡り交わり、「台湾人」となっていきました。(大陸からの移住は手元の百科事典によると明代(1368~1644)末期=清の前=からだそうなので、日本で言えば江戸時代の初期からになります。)戦後、新たな統治者として大陸から国民党軍がやってきて、台湾人は「本省人」となり、後からやって来たチャイニーズは「外省人」となります。

日本の統治が始まった頃に手を焼いたのが彼等高砂族(当時は「蕃(ばん)人」でしたが、治安維持のために配置された警官が日本語や勉強を教える教師役もしていたそうです。こうして、それぞれ異なった言葉を話していた各原住民、そして漢人との間に共通の言葉がもたらされました。大東亜戦争の末期(昭和17年)、台湾人の志願兵が許可されて、最も名を轟かせたのは「高砂義勇隊」(高砂義勇軍)でした。

 

※高砂族=こうざん‐ぞく【高山族】 カウ‥
台湾の先住民族。言語はオーストロネシア語族に属し、パイワン・アミなど九つに大別される。伝統的には焼畑による陸稲・粟の栽培に従事する者が多い。日本統治時代には高砂(たかさご)族と総称。カオシャン族。
と言われる

 

なお、KANOの監督、馬志翔氏は映画で言う“蕃人”の血を引いています。

 

 

この本は台湾の現代史を知るのにも良い本だと思います。ブログ主の台湾と日本の台湾統治に関する断片的な知識が繋がりました。

但し、抗日運動などにはあまり触れずに書いてくれているとは思います。

日本統治時代に原住民のセデック族が日本人に対して起こした反乱(霧社事件)、女子どもを含む日本人134名を殺害するというこの事件が起きたのは1930年、つまり、嘉義農林学校が甲子園で準優勝をする前年のことです。

 

歴史についてはもっと書きたいことはありますが、ここではこれくらいにして、他の部分をご紹介すると、蔡氏は“中国や韓国の顔色を窺ってオドオドする日本や日本人”が歯がゆくてしょうがないと、第5章だけでなく、全編にわたって我々日本人を叱咤激励する言葉を書き連ねています。

第5章は小林よしのり氏の『台湾論』にまつわる騒動について書かれており、このエピソードが面白いのでご紹介します。

 

小林氏については色々思う方もいるかも知れませんが蔡氏によると、このマンガは「我々台湾人の『忠実な代弁者』」とまで仰っているので、興味のある方は読まれたらいかがでしょうか。

 

 

このマンガは雑誌『SAPIO』連載中に既に蔡氏のような“日本語族”(日本語を解する台湾人)の間では話題になり、日本から取り寄せてコピーを取って読まれるなど、話題沸騰だったそうです。

日本語が分からない若い世代には読めないことに苛立ちさえ覚えていたそうですが、日本で単行本化された4ヵ月後に「中文版」が発売されます。2001年のことでした。

そして、『台湾論』はブームを巻き起こしました。

しかし、外省人がこの漫画本を燃やすなどの抗議をすると、外省人に牛耳られている台湾マスコミが同調し、批判します。蔡氏の説明では、人口2300万人の台湾人のわずか10%に過ぎない外省人=中国人により、台湾全体が批判しているかのような印象操作が行われました。

まるで、どこぞの国みたいですね。

 

書かれていることは事実なので、外省人達は感情的な反論しかできず、ターゲットにしたのは「慰安婦は強制連行されていない」という記述でした。(恐らくマンガの中でそう証言した)許文龍氏や蔡氏が非難されます。

その様子を、蔡氏は「我々は河野洋平や村山富市の犠牲者」と評するところが愉快ですが、実際、経営している会社まで嫌がらせの電話が鳴り止まず、国もとうとう著者の小林氏の入境(入国)拒否を行います。

そこで立ち上がったのが、当時陳水扁(ちんすいへん)総統(2000年就任/民進党)の国策顧問であった金美齢氏です。(このくだりは本でお読み下さい。)

金氏の活躍は台湾人のアイデンティティを呼び起こす大きなムーブメントとなり、陳水扁総統は内政部が勝手に出した小林氏の入境拒否の撤回を宣言します。

 

 

ところで、先日、来年8月に台湾中部・台中市主催で開かれる予定だった東アジアユースゲームズが、議長国の中国の発議により臨時理事会が招集され、多数決で中止に追い込まれました。

このことはチャンネル桜の台湾チャンネルでもしばしば取り上げていますが、下の動画で、この裏には、現在台湾で行われている、「台湾正名運動」(東京オリンピックに台湾の名前で参加する国民投票を求める民間の署名活動)を中国に告げ口したのではないかという現地のニュースが流れます(17:53~)が、キャスターの永山英樹氏の説明によると、台湾の台湾オリンピック委員会というのは国民党に支配されているそうです。

 

【台湾CH Vol.243】中国の卑劣な圧力は逆効果!東京五輪の台湾正名を目指し立ち上がる台湾の民衆 / 台湾歴史博物館で日本の人類学者の先駆・伊能嘉矩の特別展[桜H30/8/3]

キャスター:永山英樹・謝恵芝

 

永山氏の説明によると、5月の始めにIOCが台湾のオリンピック委員会に対し台湾正名を求めても許可しないという通告をしてきたそうで、台湾オリンピック委員会は台湾政府にそれを伝えたとのこと。前述のように、まだ政府は何も動いていないのに、です。

 

 

【参考】台湾・台中市、国際スポーツ大会の復活申請=中国主導の中止「理不尽」

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018073000752&g=spo
台湾・台中市、国際スポーツ大会の復活申請=中国主導の中止「理不尽」

 【台北時事】来年8月に台湾中部・台中市主催で開かれる予定だった国際スポーツ大会「東アジアユースゲームズ」が中国の圧力で中止に追い込まれた問題で、林佳龍市長は30日、台北で記者会見し、大会の復活を東アジア五輪委員会に申請したと発表した。林市長は「台中市は規定に違反するようなことは何もしていない。理不尽な決定だ」と述べ、大会中止を主導した中国を批判した。
 大会をめぐっては、日本や中国、台湾など9カ国・地域で構成する同委員会が24日、中国・北京で臨時理事会を開催。台湾の一部民間団体が2020年の東京五輪に「チャイニーズタイペイ」ではなく「台湾」名義による参加を目指して活動していることを理由に、中国の提案で中止を決定した。台湾は反対し、日本は棄権した。 
 中国は東アジア五輪委に委員長を派遣しているため、議決権を2票持っている。中国は香港、マカオ、北朝鮮、モンゴルを含む多数派を形成しており、大会復活の可能性は低いとみられている。
 林市長は「台湾の窮状を世界に知ってもらうため声を上げた。日本を含む参加国・地域に直接出向き、協力をお願いしたい」と強調した。(2018/07/30-17:54)

 

20180724_taiwan01

 

反対したのは台湾代表のみで、日本(JOC副会長が出席)は棄権、他の代表は全て賛成しました。(日本代表は既に退席。反対の挙手をしているのは台湾代表。)

記事にあるように台湾の民間が東京オリンピックに「台湾」の名前で参加することを目的に署名活動をしていることがIOCのルールに反する、という理由での発議だったのですが、現時点で台湾国内で日本の国民投票にあたる公民投票の実施を求めるための署名運動を民間人が行っているだけで、台湾政府や台湾オリンピック委員会の活動とまでは至っていません。

日本代表の棄権は、議論が不十分という理由とのことですが、では、議論を尽くしたからといって、日本が台湾と共に反対できるのかという疑問は残ります。

 

【追記】8月5日付読売にこの件に関する良い記事があったので貼っておきます。

 

20180805_yomiuri_taiwan

 

 

 

 


 

2018/08/02

【書籍】「海の武士道」-英国兵422名を救助した駆逐艦「雷」と工藤俊作艦長-

ブログ主が観た動画の覚え書きと関連書籍のご紹介です。

 

【沖縄の声】中国、14日より沖縄近海にて無断で海底資源試掘 日本政府は拱手傍観!/SAPIO紹介[H30/7/21]

https://youtu.be/IlQZHuL39W8

該当箇所(41:59~

※ネット生放送配信:平成30年月7月20日、19:00~

出演:
   恵 隆之介(ジャーナリスト・沖縄支局担当キャスター)
   島 あずさ(沖縄県在住ラジオパーソナリティー)

 

番組に出演された惠隆之介氏が月刊SAPIOに執筆した記事『422名の英軍将兵の命を救った帝国海軍中佐の「武士道」』を紹介しています。

この帝国海軍中佐とは駆逐艦「雷(いかずち)」の工藤俊作艦長で、惠氏が著した『敵兵を救助せよ』を元に作成された『DVDブックも紹介されます。

 

 

 

 

このDVDブックは山形県の道徳の教材として使われているそうで、雑誌の影響でサマースクールなどで子供達に見せたいといった問い合わせが来ているとのこと。また、海上自衛隊の幹部候補生学校でも使われているそうです。

しかし、番組内では以上のような説明のみだったので、もっと知りたくなり、DVDブックを購入してみました。

 

マンガ版もあるようです。

 

 

 

工藤艦長と後述するサムエル・フォール卿のエピソードはをテレビ番組『奇跡体験!アンビリバボー』が取り上げたそうで、この番組を観たことがある方は想像がつくかと思いますが、番組は再現ドラマをスタジオで観ながらトークするという形式です。

DVDの内容はこの映像を再編集したもので、再現ドラマを中心に惠氏のインタビューも収録されていました。

本体はDVDブックというくらいなので本の形式をしています。内容はDVDとほぼ同じですが、人物の略歴を紹介するコラムなども加筆されており、短いですが、本としても読める内容です。

 

ここで紹介される工藤俊作館長が指揮した駆逐艦「雷」と英軍のサムエル・フォール卿のエピソードを簡単に説明すると...

 

1942年(昭和17年)3月1日、ジャワ海で日本海軍艦隊に撃沈された英国艦「エクゼター」と「エンカウンター」の乗員は21時間漂流していたところ、哨戒航行中の雷がこれを発見しました。

艦影を見つけて味方だと思った漂流者は、それが日本海軍だと分かると絶望に襲われますが、工藤艦長は全員救出を命じ、生存者422名を救います。雷の乗員はたった120名だったそうです。

服や食糧を与えてから甲板に整列を命じられた英国海軍士官に工藤館長が告げた言葉は「貴官達は勇敢に戦われた。本日は日本帝国海軍の名誉あるゲストである。」というものでした。そして、翌日、英国軍兵士はオランダの病院船に引き渡されます。

このことは長らく知られていませんでしたが、この時に助けられたフォール卿が1998年にこの件を英タイムズ紙に投稿し、世に知られました。フォール卿は退役後外交官になりサーの称号を受けていました。

実はこの年の5月には天皇皇后両陛下が訪英される予定があり、この時のタイムズには元捕虜が天皇陛下の謝罪を要求する投稿も掲載されたそうです。(これぞ、両論併記ですね。)

また、1987年には米海軍の機関誌にもフォール卿の書いた『武士道(Civility)』という寄稿文が掲載されたそうです。

 

 

工藤館長はこの件を一切語らず、日本では知られることなく亡くなりましたが、フォール卿の努力が実って墓所が見つかり、当時89歳の卿は2008年に来日、66年9ヵ月ぶりに墓前での再会を果たしました。DVDはこの時の映像から始まります。

 

なお、DVDブックの帯には、本書を使用した中学校道徳授業の指導案をウェブサイトに掲載してあると書いてありますが、発行元の育鵬社のサイトを見たところ、それらしいページは見つかりませんでした。問い合わせフォームはあるようなので、そこから問い合わせたらいいかと思います。

 

工藤艦長の墓所は埼玉県川口市の薬林寺にあるそうです。

 

 

 

 


 

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