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2023/12/25

【書籍レビュー】『 慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破 』

ラムザイヤー教授の新著『 慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破 』を読み終えました。〔訳者:藤岡信勝、藤木俊一、矢野義昭、茂木弘道、山本優美子

本書の内容は上記リンク先、Amazonの商品ページに詳しいので、そちらも参考にして下さい。

 

◆構成

本書は五部構成で、以下の様になっています。

  1. プロローグ
  2. 第1論文 1991年
  3. 第2論文 2019年
  4. 第3論文 2020年
  5. 4に対する批判者への反論

 

ラムザイヤー教授がバッシングを受けるきっかけになった論文(学術雑誌『IRLE』に掲載された論文)は、4の第3論文ですが、教授は上記の通り、この時に初めて慰安婦問題(=日本型芸娼妓システム)を扱ったわけではなく、1991年の第1論文で、日本国内の芸娼妓、即ち、売春婦と業者との間の『年季奉公契約』の論理を扱い、第3論文では、それを参考文献として、「日本軍慰安婦の契約はその延長である」ものとして、「何故、日本軍慰安婦が高額な前金となったのか?」を論じた物です。

つまり、慰安婦あるいは一般的な公娼と業者の間に『契約』がある事は既に第1論文で論考済みで、第3論文ではそれを前提にしているので最早「契約の有無」など扱ってはいませんが、(慰安婦となった女性全てが理解していたかはともかく、)「性奴隷」では無かった事を間接的に証明するものです。

ラムザイヤー教授へのバッシングは『産経新聞』の2021年1月31日付け『「慰安婦=性奴隷」説否定』とタイトルがつけられた記事が火を点けたようなものですが、本来は二段論法、つまり、①「慰安婦と業者の間には契約があった」→②よって、「慰安婦は性奴隷ではない」、の①を飛ばしたようなタイトルだったので、「慰安婦=性奴隷」だと考える人達に火を点けてしまったのです。

 

各章をもう少し詳しく見ていくと、

 

◆プロローグ

1の「プロローグ」は、産経の記事が出た後にラムザイヤー教授の身に何が起こったのかが書かれています。

殺害予告など、身の危険を語る他、アメリカの、特に人文系の学問が如何にポリコレに犯されているかをラムザイヤー教授自身が語ります。一例を挙げれば、ハーバード大学の人文系の教授はほぼ「民主党支持者」に占められている、といった話です。例えば、日本の古典文学に興味を持った学生が来ても、そんな授業が無いので、学生が専攻を変えてしまい、益々ポリコレ教授が幅を占める、という悪循環があるそうです。

この騒動には、韓国系などの新聞編集者も加担しました。

 

◆第1論文

2の「第1論文」については、前述の通り、(日本の)芸娼妓契約の特徴である「年季奉公契約」が如何に合理的なものであるかを論じた論文で、タイトルの『Indentured Prostitution in Imperial Japan: Credible Commitments in the Commercial Sex Industry』(直訳:日本帝国に於ける年季奉公売春:性産業における「信じられるコミットメント」)だけでは分かりにくいのですが、

できるだけ簡単に言えば、

これから性産業で働こうとする「女性」と「業者(売春宿)」はそれぞれにリスクを抱えており、女性は①「自分の名誉を毀損する仕事」、②「どれだけ稼げるのか分からない」、③「業者が契約違反をした時の訴訟リスク」等の不安(ジレンマ)を抱えており、業者は、④「(密室での仕事なので)女性が客にちゃんとしたサービスを提供するか分からない」(=店の信用に関わる)というリスクを抱えています。

しかし、総報酬の大部分を「前金(前借金)」の形で、且つ、それを借金とすることで、女性は総報酬の大部分を既に受け取っている事から②の不安は解消され、それが①と相殺できる額であれば、①の不安も低減されます。

業者に取ってみれば、「○年」という年季契約期間で、娼婦の売上の一部から借金を返済させる/一部は娼婦の手取りとする事で、良いサービスで売上が高ければ高い程、娼婦のインセンティブ〔目標への意欲を高める刺激〕となり、④のリスクが低減されます。彼女達の目的は短期間で大金を稼ぐことなのですから。

両者の間での「訴訟リスク」は、娼婦が前金を持ち逃げする事くらいなので、リスクはほぼ業者が全面的に負担します。これにより、女性の③の不安も解消されます。

 

◆第2論文/第3論文

長々と「第1論文」の核心部分を説明しましたが、これが分からないと、芸娼妓の年季奉公契約が如何に合理的なものであり、性奴隷ではない事が理解できないからです。

これが理解できれば、第3論文は尤もな事だと理解できるのですが、その前の第2論文は、第3論文の元となった論文であり、慰安婦の契約だけでなく、韓国の「挺対協(現 正義連)」や「元慰安婦と称する女性達の裏付けの無い証言」についても述べられています。この2つを削ったのが、第3論文です。

 

第3論文に対する批判者は、第1論文で述べられた事もろくに理解せず、単に彼等が守りたい「慰安婦=性奴隷」という神話を崩すものであるから、論理的に反論せず、論文撤回署名や、雑誌『IRLE』の編集/査読者に対する抗議メールという形で、論文を闇に葬ろうとしたのです。

これは、最近起きた、KADOKAWA書店の「LGBT」本の出版取消運動と似ています。KADOKAWAは批判に屈してしまいましたが、『IRLE』は屈せず、批判者達に「論文で議論したらどうか」という提案をしました。

当時のハーバード大学の学長も、ラムザイヤー論文を学問の自由という見地から擁護しました。

 

◆第4論文(批判者への反論)

さて、第4論文ですが、これは、第3論文を批判する者達へのラムザイヤー教授からのアンサー(反論)です。これが本書の半分近くのページ数を占めます。

主な批判者は3グループに分けられ、①ゴードン/エッカートという教授、②茶谷さやか、エイミー・スタンレー等 ”お笑い” 5人衆〔下図参照〕、③吉見義明教授です。

 

20230826_amystanley
▲エイミー・スタンレーと愉快な仲間達
2021/02/19付け韓国MBCのニュース動画よりキャプチャして追記)

 

①と②のグループは基本的には「慰安婦問題」に関しては無知な輩(やから)です。

①は「契約書の実物が提示されていない」といちゃもんを付けますが、実物がなくても、芸娼妓の年季奉公が「契約」をベースにしてあり、実際には「紙の契約書がなければシステムが成り立たない」事をラムザイヤー教授は説明します。

一例を挙げれば、元慰安婦の女性が、業者と前金の金額で交渉したり、父親だけでなく祖父母の「ハンコ」(押印)が無ければ駄目だったと証言しています。

 

②も無知な事には変わりないので、雑誌『IRLE』の論文掲載の申し出を断り、自分達のサイトで反論文を公表します。〔彼等だけでは反論文は書けないのは、彼等の日本語能力レベルからも明らかで、バックには手助けしている者がいると思われる。

①も②も、日本語の一次史料すら読めないレベルなので、始めからラムザイヤー教授の敵ではありません。

 

③の吉見義明教授ですが、彼は本当は事実は分かっています。既に、強制連行が無かったことも認めているので、「慰安所では外出の自由がなかった」等の、所謂 ”広義の奴隷” 説や、「人権問題」を唱えます。

しかし、外地、即ち前線近くの場所では、休みの日以外の外出が制限された事などは当然の事であり〔現代だって、勤務中の行動は制限を受けるでしょう〕、「人権問題」は、ラムザイヤー論文(第3論文)が論じる内容、つまり「契約」とは全く関係無いことです。教授は慰安婦制度の善悪や道徳を論じている訳ではないのですから、吉見教授の批判は反論にはなっていません。

 

ブログ主は第1~3論文は既読で、ある程度慰安婦問題の知識があるのですが、それでも、見落としていた/忘れていた事に気付かせて貰いました。

それは、慰安婦や一般の公娼達は、借金の返済が終わらなくても、途中で契約を解消できた事です。前金には利息が付かないのですが、中途解約する場合には1割のペナルティが課せられる仕組みでした。その請求先は女性のみならず、連帯保証人となっている親にも及びます。この事からも、業者は自分を守る為に紙の契約書が必要だったと、常識があれば理解できます。

この章では、厚顔無恥な教授達をラムザイヤー教授がバッタバッタと切り捨てる心地よさが醍醐味です。

 

* * * *

◆出版記念シンポジウム

この本の出版記念に12月24日に訳者によるシンポジウムが開催されました。

 

20231224_symposium

 

ブログ主は動画配信(有料)を視聴しましたが、ここで、この本の韓国語訳が来年1月中旬に発売されることを知りました。

英語圏向けには、元々の論文が英語なので、ジェイソン・モーガン准教授とラムザイヤー教授の共著という形で1月下旬に出版される事が決まっています。〔当初の予定は12月だったので、やや不安は残りますが...〕

既に多くの日本人は気付いていますが、最早「資本家×労働者」という構図では戦えなくなった共産主義者による文化やモラルの破壊 ... 登壇者のお一人はこれを「文化共産主義者」と呼んでいらっしゃいましたが、我々はこれとの戦いの最中です。

シンポジウムの別の登壇者が仰っていましたが、国連での活動に新たなアイディアもあるそうです。

 

* * * *

◆この本の意義

この本(日本語版/韓国語版)と英語圏向けの本の意義は、議論の叩き台となる知識が共有できる事だと思います。

それぞれの言語圏でどのように活用されるか/読まれるかはまた別の話ですが、今までは、韓国は韓国で、日本は日本で、その他の世界ではその他の世界で、別々の論戦があり、それぞれの「慰安婦=性奴隷」説を否定する論者の基礎知識も差があったのですが、9月に西岡力教授等が韓国を訪問して意見交換をし、韓国側(主に李承晩学堂)が疑問点などを西岡教授に質問して、知識の共有化ができたようです。

韓国では、李承晩学堂による新たな慰安婦本 ... 日本で言えば、秦郁彦教授の『慰安婦と戦場の性』のような決定版も先日発売されました。〔尤も、メディアは相変わらず無視していますが...〕

 

つまり、少数の良識的な学者の連携がしやすくなった事が大きいのです。

韓国の、「”定説” に反することを言うと社会的/司法的に制裁される」という異常な社会も知らしめられました。アメリカでは、アカデミックの世界での異常なポリコレに一石を投じるかもしれません。

 

ところで、この本とは直接関係無いのですが、 Pershing Squareという投資会社のCEO、Bill Ackman氏が自身の 2023年12月19日付け「X」で、以下の様なポストをしていました。

Finally, the @Harvard
faculty are speaking up. Tenure was supposed to protect faculty so they could speak the truth. Unfortunately, cancelling, shaming, and the inevitable accusation of being a racist have prevented faculty from speaking the truth.
Kudos to Harvard Law Professor Mark Ramseyer for his bravery. Perhaps he will inspire others.

〔ついに、ハーバード大学の
教員たちは声を上げている。テニュア(終身教授)は、教授陣が真実を語れるように保護するはずだった。残念ながら、キャンセル(カルチャー)、辱め、そして人種差別主義者であるという避けられない非難が、教授陣が真実を語ることを妨げてきた。
ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授の勇気に拍手を送りたい。おそらく、彼は他の人々を鼓舞するだろう。

 

これはどうやら、ハーバード大学の現学長〔〕を批判したポストのようですが、ラムザイヤー教授に賛辞を贈っている所を見ると、ある層の人達はラムザイヤー教授に起こった事に注目しているのでしょう。

※黒人女性で、反イスラエル、且つ、過去の論文剽窃が問題になっている。つまり、ポリコレの為に本来のその立場に相応しい能力が無い者が高い地位を得ているという批判。

 

このブログエントリーが、この本に関心のある方の一助になれば幸いです。

 

 

  


 

 

 

2023/04/22

【図書】『日本人はどのように森をつくってきたのか』コンラッド タットマン(Conrad Totman)著

本題に入る前に、たまたま目に付いた『中央日報』の記事、「森に100億(ウォン)をつぎ込んだ···教師を辞めて60年間、はげ山を再生した男』(原題:숲에 100억 쏟았다…교사 관두고 60년간 민둥산 살린 남자/ 2023.04.21)から。

60年余りの間、畜産業を営む傍ら、森を育てた篤林家、故・陳載良(チン・ジェリャン)氏(1923~2021)に山林庁が「森名誉殿堂」を贈ったという記事ですが、このような事が書いてありました。

全羅南道長城出身のチン氏は1943年光州師範学校を卒業し、霊光妙良小·仏甲小などで教師として働いた。 日帝時代、師範学校在学中に日本に修学旅行に行った陳氏は、鬱蒼とした山林を見て衝撃を受けたという。 当時の記憶を忘れられなかった彼は、教師を辞めて「日本を凌駕する山林強国を作らなければならない」と山林緑化に飛び込んだ。

同じ中央日報の2000.04.05付けの記事では以下のように書いてあります。

中学校の国語教師だった陳氏が山林づくりに関心を持つようになったのは1955年。研修のため日本に渡った陳氏にとって、鬱蒼とした日本樹林は大きな衝撃だった。 45년간 36만그루 심은 진재량씨 일가(45年間36万株を植えた陳載良氏一家)〕

  

陳氏が最初に日本の森林を見て衝撃を受けたのは日本統治時代だったのかも知れませんが、別の記事にも本格的に森林再生に取り組む決心をしたのは教師時代と書かれていたので、直接のきっかけは1955年なのでしょう。解放後、極貧に陥った韓国人は再び森林資源を収奪し始めて、それが再生するのは朴正煕大統領のセマウル運動(1971年~)なので理解できます。

その記事にはこうあります。

「日本の300年生のヒノキ林をモデルに未来経営成功を継承する」と確信を固める陳代表は「休養林の基本機能は地域と共に同伴成長することです。 地域住民と官、休養林が一緒に行ってこそシナジー効果を得ることができます。 森の解説者配置の件だけでもそうです。 日本のような森林先進国は、地域住民が森の解説をします。 何よりも地域の歴史や付帯施設を熟知しており、観光客が森と地域に対する理解を容易にすることができ、連携された周辺の観光地に対する説明および特産物広報もして地域経済活性化にも役立ちます。 しかし、まだ韓国では森林解説者が講義だけ受けて資格を取得し、単に暗記しただけの説明をするため、森林解説者の役割に限界を感じています。」〔2016.08.31. ‘무등산편백자연휴양림’에 生을 불사르다 - 목양 진재량(牧陽, 陳載良) 선생〕(「無等山ヒノキ自然休養林」に生を燃やす - 牧陽、陳載良先生)〕

 

* * * *

長々と陳載良氏の記事を引用したのは、これがきっかけで、以前読んだ『日本人はどのように森をつくってきたのか』(コンラッド タットマン 著)を思い出したからです。〔原題:Green Archipelago(緑の列島)〕

古代と近世、二度の大きな略奪の危機に直面しつつ、政治的・自主的な規制と人工造林によりドイツと共に持続的林業の先駆けとなった日本。列島の人と森の歴史的関わりの全体像を鮮明にした「通史」。〔商品説明より〕

 

邦題からは、何か日本人独特のもの、例えば「自然と調和する精神性」とかが書かれているのかと思いきや、江戸時代までの日本の森林利用を背景となる政治制度の変化も含めて淡々と解説しています。

実は日本も近世の途中までは、森林資源は収奪するだけのものであり、せいぜい流通や伐採に規制を加えるという「消極的管理体制」で辛うじて維持されていました。

まずは古くから都が造営され、巨大な建築物を建造した畿内地方の山林が荒廃します。そして各地に都市が発達して、山林の荒廃は日本全土に広がります。「消極的管理体制」が試行錯誤的に全国規模で行われたのは1630年から1720年の間だと言います。

そこから更に「積極的管理体制」=「再生林業」に転じるのですが、この時期を見れば、やはり、江戸時代になって平和になり、しかも日本独自の封建制で地方の自治も確立されたからだと思います。

例えば、18世紀後半から19世紀にかけて、造林の為の「上方苗(かみがたなえ)」が流通します。これは京都や大阪で生産される杉や檜の苗で、特に大阪の北に位置する池田が中心となるのですが、これが下火になるのは、各藩の領主が貨幣の流出を抑える為に自前で苗木を生産することを奨励するからです。

日本で森林の再生が可能だったのは複合的な要素の為というのが結論で、学術書らしく、とりわけセンセーショナルな事が書かれているわけではありません。外国人が読む場合、「林業を通して見る日本史」と言えるかも知れません。

 

この本自体は他国と比較してはいないのですが、どうしても、中国や朝鮮のような中央集権制の国と比べずにはいられません。

中央集権国家では、中央から派遣された官吏は蓄財しか目的としません。一方、地方自治が早くから確立した日本では、領主は搾取するだけの存在では無く、富国に励みます。林業で言えば、18世紀後半には、各地で割山とか年季山といった、領民に一定の権限を与えて植林させるというシステムが生まれます。

こうした事を通じて、権利や義務、契約の概念が自然発生的に根付いたのではないかと思うのです。

そして、「村」=共同体のあり方も、日本と中国や朝鮮とではこの時代に決定的に違う物となったのではないかと思います。

 

  


 

 

 

 

2022/12/19

【韓国/書籍】韓国併合 大韓帝国の成立から崩壊まで(森万佑子 著/中公新書)

掲題の『韓国併合 大韓帝国の成立から崩壊まで』を読みました。

タイトルが示す通り、日清戦争の結果、李氏朝鮮が清から独立して大韓帝国と改称(1897年)してから、日本との併合(1910年)で消滅するまでの経緯を解説した本で、実際には、日清戦争の遠因となる「東学党の乱」(1894年)辺りから扱い、この間に「日露戦争」(1904~05年)も起こります。

この本のタイトルを見た時、今更韓国併合の歴史なんて〔←もう大凡知ってるという意〕と思ったのですが、下の記事を読んで、韓国の出版社から翻訳・出版のオファーが来ていると知り興味を持ち、新書版というボリュームなのでほぼ一日で読み終えました。

Wedge(2022/12/09):「韓国併合」を今問い直す意味とは何か?

 

上記記事には、

本書『韓国併合』(森万佑子、中公新書)は「まえがき」で、「なぜ日本の植民地になったか」という日韓の根本問題について書かれた一般向けの本はほとんどない、と記す。歴史学者による韓国併合についての日本の本は、1995年以降刊行されていない。

と書かれていますが、これは意外でした。

と言うのは、韓国と日本の近現代史を扱う本はこの数年で数多く出版されており、朝鮮独立から併合は当然論じられているからですが、確かに、日韓で論争になるのは主に併合後の日本統治のあり方についてのテーマが多いので、それ以前にスポットを当てて、歴史家としてその過程を詳細に解説したものはないのかも知れません。

また、日本側の視点だけではなく、著者は朝鮮(大韓帝国)側の視点との併記で、客観的に書いており、従って、例えば、ロシア南下の脅威はあくまでも日本側の都合であり、そうした事を排除すると、外交権など、徐々に主権を奪う日本のやり方は強引であり高圧的であり、一方、李王は改革など興味が無く、清の権威が失墜した後、明の正統な後継者になりたかったという朝鮮の姿が浮かび上がります。

日本側の「併合合法論」では主に国際法的な見地から語られますが、朝鮮人はどう感じていたのかという視点は省かれがちです。

この辺りは、日本側には、公式な記録のみならず政治家などの回顧録が豊富なので多角的に見る事ができるのに比べて、朝鮮側は日誌のような記録しか無く、そうした史料が断片的なので、心情などは著者が推測せざるを得ない部分もありますが。

 

「終章」では、日韓の様々な研究者による「併合を巡る論争」を取りあげます。それぞれに対し著者自身の評価は語られませんが、歴史家の立場として、やや、韓国側の ”肩を持つ”ような結論で終わります。

多くの朝鮮人が日本に支配に合意せず、歓迎しなかったことである。一方、細部まで逐次叙述される日本の史料から抽出される史実がある。それは、日本人が朝鮮人から統治に対する「合意」や「正当性」を無理やりにでも得ようとした

 

ブログ主は、仮にこの本を韓国人が読んだらどう思うかという事を想像してみました。

李氏朝鮮という国はひたすら中国に事大した国でした。

この本では範囲外なので語られませんが、朝鮮は1636年、清のホンタイジ清朝の第2代皇帝。太宗。ヌルハチの子。〕にボコボコにされて、時の王、仁祖は三田渡の壇上に座るホンタイジに三跪九叩頭の礼で屈服するという屈辱を味わい、その後は属国の地位に甘んじます。李氏朝鮮が平穏だったのは、これ以降、清に逆らわなかった為と、鎖国していたからです。

李王家は、自らを民族に最も近い民族と見なし、野蛮人である女真族の清を見下して、明が滅んだ後も明に忠誠を誓い、依然として華夷秩序に生き、明の正統な後継者は我が国が唯一〔=小中華思想〕とばかりに中華式の祭祀を行い続けます。大韓帝国と国号を改めても、高宗から譲位された純宗は、1897年、中華の皇帝の印である黄色い衣装で即位式を行います。今までの属国の身分では許されないことでした。とにかく、中華世界に回帰して行くのです。

この本の韓国語版を手に取って読もうとする韓国人なら、そうした事大主義の朝鮮を知っているでしょうから、ここで描かれる李王家の姿を見て、顔から火が出る程の恥ずかしさを感じるでしょう。李王家やその側近は、体面を重んずるだけで、民の事は考えていません。

この本で改めて日本人に対しては怒りを感じるかも知れません。併合不法論に我が意を得たりと思う韓国人もいるかも知れません。一方、朝鮮人自らの手では改革は成し遂げられなかった現実も思い知るでしょう。

ブログ主はこの本が朝鮮語に訳される日を楽しみにしています。

韓国人は、多少目覚めた韓国人でも、自分が信頼を寄せるYouTuberに「教えて、教えて」とせがむばかりで、自分の頭で考える事はしません。しばらくは、彼らは自分の頭で考える練習をする必要があります。この本は、その為の良い教材となる事でしょう。

 

  


 

 

 

2022/11/20

【隣の日本人】「お詫び」に対する受け止め方、日韓の違い

たまたまある本を読んでいて知った『隣の日本人』〔韓水山 著、方千秋 訳/1995年9月1日/徳間書店〕を読みました。

商品の説明には、「韓国人作家が住んでみた日本は、反日教育で植えつけられたイメージとはまったく違う国だった…。日韓相互理解の原点を探る比較文化論。」とあります。

Amazonの読者レビューを見ると星一つのレビューが1件ありますが、これは本の内容ではなく、現在(レビュー当時の2020年)の著者の ”徴用工” に対する見解などを批判しているのであって、書評とは言えないと思います。

著者に関しては詳しくは後述しますが、1946年生まれ、つまり、「解放」直後に生まれた小説家で、1988年に日本に一家4人で移り住み、3年ほど滞在する中で感じた日韓の違いや相似点を書いた本です。帰国したのは、ある時に韓国から日本に戻った時に居心地の良さみたいなものを感じた時に、作家としてそれではいけない、そろそろ帰るべきだと思ったからだそうです。刺激を感じなくなったという事でしょう。

比較はしてもさほど批判はしていないので、ブログ主は好感が持てました。ところどころ、皮相的だったり、勘違いもありますが、それは韓国人故にそう解釈するのだろうと、読者に分析の余地が与えられます。

例えば、公園で一人でベンチに座って昼食(弁当)を食べるサラリーマンを見て、仲間外れにされたのだろうと書いていましたが、韓国では一人で食事をする事は「仲間がいない」惨めな事だと考えるからでしょう。

こういう本は、現在も続々と出版されますが、古い本(1995年発刊)が面白いのは、日韓の違いだけでなく、現在とその当時の違いも感じられるからです。

 

前置きが長くなりましたが、「日韓の言語感覚」と題する章の中に以下のような記述があります。

極めて日本的な慣行といえば「お詫び」ではあるまいか。何かミスを犯せば「お詫び」をして、相手がそれを「我慢してくれれば」、それは許されたことになる。

 

これを読んで、なるほどと思いました。

「我慢してくれれば」の部分は、日本人なら「受け入れてくれれば」と表現するでしょう。

やはり、韓国には「水に流す」という文化はないのだと思いました。

「我慢する」というのは、痛みや怒りは続いている状態です。従って、しばらく経って、「やっぱり、我慢できなくなった」と再び蒸し返す可能性があります。

もちろん、著者個人の考え方ですが、「日本人の慣行」と書いているので、「韓国人の慣行はこうではない」という、一般的な韓国人の考え方を述べたものであり、それは、我々日本人が歴史問題等でさんざん見てきた光景では無いでしょうか。

 

この「お詫び」に関するエピソードとして、宇野宗佑総理大臣のスキャンダルに言及しています。

総理就任後数日で、元愛人が、月30万円で囲われていた事を曝露したのですが、著者はこのように書いています。

家内に詫びました。家内も許してくれました。彼は女性関係をそのように公に話していた。それを見ながら私は到底理解できない日本人の顔を見た気がした。どうしてそのことが詫びて終わり、許せる事なのか。それにしても、それをよく我慢できる日本人の心の広さと言おうか。

事件が起きれば、すべてお詫びですませるのである。列車が脱線事故を起こしても鉄道関係者がお詫び、学生が事件を起こしても校長先生がお詫び、〔中略〕そして日本人はそれで許し、許される。実に日本人の我慢強さがもたらした独特の文化ではないかと思う。

 

宇野総理の件は、実際には、宇野宗佑の総理としての資質のみならず、リクルート問題や牛肉・オレンジの輸入自由化、特に消費税導入の是非が大きな焦点になり、次の衆議院選挙では自民党が大敗、社会党が躍進するのですが、愛人問題に関しては家族の問題です。夫人が「許す」と公言して報道が収まったのかどうかは記憶にありませんが、韓国人にとっては生ぬるいと見えたのでしょう。

また、後者の事故や事件での責任者のお詫びは、一旦、けじめとしての謝罪で、それだけで完全に許されるわけではないと思いますが、韓国人の目には許されたと見えるのでしょうか。梨泰院の事故を見ても、捜査の途中で被疑者が次々と報じられ、犯人捜しに連日大騒ぎしていますが、基本的にはイベントが行われた自治体や警察などのシステムの問題で、日本なら、再発防止策の方に目が向くのではないでしょうか。

梨泰院の件では何故か大統領が謝罪していました。直接の関係者が謝罪したかどうかはよく分かりませんが、以前、韓国人YouTuberの『湿TV』さんが、「韓国では、謝罪したら、そこから始まる」と仰っていました。だから、謝罪しないのだと。〔まあ、日本の左翼もそうですね。〕

* * * *

 

本の中でもところどころに出てきますが、著者は ”徴用工” 問題などで、徹底的に日本を批判しています。〔但し、本書の中でこれを直接のテーマとしては扱ってはいません。〕 日本滞在中かどうかは分かりませんが、長崎の端島を取材して、『軍艦島』(上/下)という小説も書いています。恐らく、映画「軍艦島」の原作でしょうね。

内容は、「注目の歴史遺産に秘められた朝鮮人徴用労働者たちの悲劇。地獄の海底炭坑に拉致された男たちの苦闘を描く空前の大河小説。」という本の説明から想像がつきますが、『隣の日本人』に、韓国に戻った後、取材でお世話になった故・岡正治氏を自宅に泊めたというエピソードが出てきます。この人物は牧師で、悪名高き『岡まさはる記念 長崎平和資料館』の館長でした。

著者は、”植民地時代の日本人” と ”現代の日本人” を分けて考えているのかも知れません。

日本滞在中は、歌舞伎を楽しみ、茶道を習い、「寅さん」映画が好きで、京都などを旅して、日本人の親切に触れた事などを書いています。

 

ところで、韓水山氏の韓国語のWikipediaを読んで知ったのですが、この人は、全斗煥時代に『中央日報』に連載していた小説「欲望の街」(욕망의 거리)で政権を批判したとして逮捕・拷問にあったそうです。〔Wikipedia:韓水山筆禍事件(韓国語)〕 恐らく、軍事政権に批判的な立場の人だったのでしょう。

著者が日本に移住したのは、1987年の大統領選挙で引き続き軍事政権〔盧泰愚大統領〕が続く事が分かってからです。

この筆禍事件はその後2007年に真相究明委員会が調査報告を出しています。最後にその記事をご紹介します。

 

* * * *

https://s.japanese.joins.com/JArticle/92312?sectcode=200&servcode=200
小説を拷問した全斗換政権
2007.10.26 13:44

国防部の過去の事件真相究明委員会(委員長イ・ヘドン)は25日「新軍部の言論統制事件調査結果報告書」を発表した。

報告書には中央日報連載小説『欲望の街』(韓水山著)筆禍事件が書かれている。全斗換(チョン・ドゥファン)大統領時代の1951年5月〔←日本語版の誤り。韓国語版では1981年5月〕のことだ。

5共政権は新聞小説の内容を問題視して作家と小説掲載にかかわる記者たちを保安司に連行し、苛酷な行為をした。作家韓水山(ハン・スサン)氏と権寧彬(クォン・ヨンビン)当時中央日報出版部長、チョン・ギュウン編集委員、イ・グンソン記者、詩人のパク・ジョンマン氏らが被害者だ。記者たちは出勤途中で強制連行され、韓氏は済州道(チェジュド)行きの飛行機便に押し込められた。〔中略

過去事委は「保安司は言論界などで政府批判ができないよう見せしめるため、韓氏と中央日報記者らを連行して拷問したとみられる」とし「政府は公開謝罪と補償をしなければならない」と勧告した。

当時、韓氏と中央日報記者たちが連行された所は、ソウル西氷庫洞(ソビンゴドン)保安司大公分室の地下調査室だった。記者たちは水が膝まで満ちた部屋で服を脱がされ、全身を打たれたと報告書は明らかにした。電気拷問と水拷問もあった。保安司要員たちは2~5日ずつ拷問と暴行をした後、陳述調書と反省文を書かせてこれらを釈放した。

中央日報社長だった権寧彬文化財団代表は「タオルで顔を覆われて水をかけられる拷問と、十指に指ぬきのようなものをはめられて電気を流される電気拷問に遭った」と述べた。

韓水山氏は保安司令官だった盧泰愚氏が88年に大統領に就任した後、家族と一緒に日本へ移住し、92年ごろ帰国した。パク・ジョンマン氏は拷問の後遺症に苦しみながら88年9月に死亡した。

* * * *

 

この本にはブログのテーマになりそうな事が他にもあるので、追々書いていく事にします。

 

 

  


 

 

 

 

2022/10/22

『朝鮮王公族―帝国日本の準皇族』(新城道彦 著)が韓国語に翻訳されて出版

前回のエントリーでもご紹介しましたが、『朝鮮王公族―帝国日本の準皇族』は2015年に発刊された本で、以下、中公新書の同書の解説を引用します。

1910年8月、日本は大韓帝国を併合した。最大の懸案だった皇帝一族の処遇については、王族・公族の身分を華族より上に新設し、解決を図った。1945年8月の敗戦まで、男子は軍務に就くなど、皇族同様の義務と役割を担う。異民族ながら「準皇族」扱いされた彼らの思いは複雑であり、日本に忠誠を尽くす者、独立運動に関与する者など多様であった。本書は、帝国日本に翻弄された26人の王公族の全貌を明らかにする。

 

併合前後から始まり、日本の皇族並の待遇で迎えられた朝鮮王公族が併合下の朝鮮や日本でどのように過ごし、そして戦後(解放後)、その地位を剥奪されてどのように身を処したのかが、新書なのでコンパクトに纏まっています。

この本が『反日種族主義』の著者の一人、李宇衍(イ・ウヨン)博士の翻訳で、『조선 왕공족』(報朝鮮王公族)というタイトルで韓国で10月5日に発売されました。〔リンク先は韓国のネット書店の商品ページ

ブログ主はこの本を数年前に購入したのですが、併合前後以降の「王公族個々人の動向は、必要な時に参照すれば良いや」と、わりと雑な読み方をしていたので、韓国で出版されたと知って、もう一度、「韓国人がこれを読んだらどう思うだろうか?」という視点でざっと読み返してみました。

改めて思うのは、

  • 併合に関して日本政府は、他国から国際法違反と批判されないように気を使っていた。
  • 日本政府は朝鮮王公族を皇族に準ずる破格の待遇で扱っていた。
  • 但し、一国に2人の ”皇帝” がいる事はまずいので、肩書、国葬(李太王、李王)などの扱いには相当苦心していた。
  • 一方、李完用等、朝鮮人の官僚達は「朝鮮」という国を、たとえ形式的であっても存続させようと日本政府と必死に交渉していた。

と言う事です。

 

国民の力の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長の発言で、日韓併合に注目が集まっているこのタイミングで出たのは、偶然とは言え、良いタイミングだと思いました。

 

この本は個々の王公族の動向に重点が置かれているため、歴史的な事柄は背景程度に比較的あっさりと書かれています。

韓国語の書評(出版社レビュー)を読むと、やはりその点が物足りないらしく、以下のような記述がありました。〔誤字の訂正以外は機械翻訳ママ

韓日それぞれの国家的、民族的自尊心の問題を越え、客観的で中立的な見方が残念な部分もある。 ハーグ密使事件(1907)後、高宗の皇帝譲位を圧迫し、「社稷を重しと為し、君を軽しと為す」と言った李完用(イ·ワンヨン)の言葉(43ページ)で、「社稷」は果たして王室の家門だけを意味し〔意味するのではなく?、国を意味するのではないだろうか。 高宗と純宗大葬の日の3·1万歳運動(1919)と6·10万歳運動(1926)を単なる「騒擾」とみなすことができるだろうか。 そして韓国には陰で陽で独立運動に加わったほぼ唯一の王室人物として知られている義王(義親王)李堈〔りこう/イ・ガン〕を反骨·浮浪児〔日本語の本での表現は「無頼」。実際に素行が悪かった〕のように記述したものなど、日本人の立場で決心して書いただけに、今後もまともに熾烈でより生産的になれる論争の種も本は豊富に盛り込んでいる。

 

「社稷は果たして王室の家門だけを意味するのではなく、国を意味するのではないだろうか」は、ブログ主も同意します。しかし、家産国家〔領土と人民と財産とを君主の私的な家産として扱うような国家〕であった朝鮮は近代国家の体をなしておらず、王家=国だったので、朝鮮人貴族達が王族の肩書きや葬儀の形式などに拘ったのは王家の家門を存続させるためでもあり、日本の中に形式だけでも国を存続させる事でもあったと、ブログ主は理解しました。

 

3.1や6.1は、首謀者はともかく、民衆が暴れたのは、ブログ主は、現代韓国の「BSEロウソクデモ」、「朴槿恵弾劾ロウソクデモ」同様、参加した多くの民衆は無知蒙昧で煽動されたとは思いますが、まあ、韓国人が納得いかない気持ちも分かります。憲法前文には「悠久な歴史と伝統に輝く我々大韓国民は、3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統と、不義に抗拒した4・19民主理念を継承し...」と書かれているのですから。〔但し、3.1運動と臨時政府は直接は関係なく、前文の歴史観がおかしいのですが。

 

李堈公に関しての独立運動家としての記述は、Wikipediaにも本書からの引用がありますが、以下のような記述に留まっています。

1919年11月、朝鮮独立運動組織「大同団(朝鮮語版)」が李堈に「金は出すから、朝鮮から出て独立運動の象徴となってほしい」と彼を騙し、上海に拉致しようとした。

利用されていた程度なのか、李堈がどれ程独立運動に熱心だったのか、ブログ主はこれ以上の知識は持ちませんが、韓国人が李堈に対するこのような扱いに不満があるなら、出版社レビューにあるように、論争をしたら良いと思います。

   

  


 

 

 

 

2021/11/10

【韓国・書籍】韓国「反日主義」の起源(松本厚治 著/草思社 /2019/2/27)

西尾幹二先生は、「歴史は、過去の事実を知る事ではない。事実について、過去の人がどう考えていたかを知る事である。」と言いました。

この本(『韓国「反日主義」の起源』)は、まさにそれを実践した本です。

 

その当時、実際に韓国人()は、日本人による統治で変わっていく世の中をどのように見ていたのか、何を感じていたのかを膨大な文献から拾い上げ、整理し、韓国人の目に映った社会を提示してくれます。〔※時代によっては大韓帝国国民であったり、朝鮮系日本人であったりしますが、ここでは簡単に「韓国人」と表記します。

7章で構成されていますが、各章の末には詳しい注釈が10数頁から20頁くらい付き、更にその引用文献が巻末に70頁に渡りリストされています。歴史の証言者は韓国人のみならず、日本人や中国人、欧米人と多岐に渡ります。

ジャンルは小説にまで及びますが、小説はフィクションではあっても、その当時の世相が分かります。例えば、小説に登場する日本人がどのように描かれるかでも、その時代の韓国人の日本人像が分かります。

韓国の通念的認識によると「日帝は世界史で類例を見出せないほど徹底した悪辣な方法で、我が民族を抑圧、収奪した」(1996年/高校用『国史』/恐らく『韓国の歴史―国定韓国高等学校歴史教科書』2000年)となっていますが、1970年代を舞台にした小説では、「道行く女性は大半、淑子、明子、英子だ」というくだりがあるそうで、これだけでも、韓国人は「日本的なもの」を戦後もしばらく受け入れていた事が想像できます。

 

このように、韓国人の「public memory」(公共の物として広く共有される歴史的記憶)が如何に誤ったものであるかを論破するだけなら、情報の多寡は別として類書はたくさんあります。

しかし、著者はそれだけに留まらず、韓国人が何故「反日イデオロギー」を纏う必要があったのか、何故歴史を捏造するのか、何故起源を主張するのか、そういった心理や反日国家になる過程を緻密に考察していきます。

ブログ主はこの本を読んで、長年モヤモヤとしていた疑問の回答を得たように思いました。

 

この本についてはもう少し書き留めて起きたい事があるので、エントリーを分けて書いていこうと思っています。

 

 

  


 

 

 

 

2021/10/03

『アメリカのマルクス主義』(American Marxism/Mark R. Levin著)【産経・古森義久】

ブログ主の覚え書きとして。

この本(American Marxism)をAmazonで検索してみた所、現時点で、2115件の評価があり、その95%が星5つを付けているので驚きました。

著者の名前に見覚えがあったのですが、『失われた報道の自由』の著者でした。

 

20211003_american_marxism

 

日本人は比較的早くから、アメリカの社会主義化・共産主義化は見えていたのではないかと思いますが。

 

日本には「日本共産党」が存在し、更には国会に議席まで持っている事を知ると、海外では驚かれるようです。

韓国人とYouTubeのコメント欄でやり取り(筆談)していて、「何故、日本は共産党を非合法化しないのか?」と質問された事があります。

以前、日本維新の会の足立康史議員が共産党を含んだ超党派の議員団でイギリスに行った時、あちらの議員が、「歩いている共産党員を見るのは初めて!」と驚いていたと本に書いてらっしゃいましたが、ブログ主は、共産党は必要悪だと思っています。

その意味は、共産主義者がいる限り、共産党を名乗って活動してくれるのは、ある意味分かりやすいからです。監視や警戒もしやすいですし。

上述の韓国人にもこのように答えました。

 

 

  


 

 

 

 

2021/01/02

【書籍】『朝鮮雑記 日本人が見た1894年の李氏朝鮮』

この本は、本間九介ペンネーム「如囚居士」)という人物が1894年4月から6月にかけて『二六新報』という日刊新聞に連載した朝鮮事情(連載終了後書籍化)を現代語に直したものです。その際、日本近代政治思想史を専門とするクリストファー・W・A・スピルマンという歴史学者が監修し、『朝鮮雑記 日本人が見た1894年の李氏朝鮮』とサブタイトルが付けられ、スピルマン博士による解説が付せられています。

後述しますが、この本が書かれた1894年というのは非常に象徴的な年です。

 

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『朝鮮雑記 日本人が見た1894年の李氏朝鮮』表紙
イラストは本間九介による

 

この『朝鮮雑記』(1894年=明治27年)とイザベラ・バード韓国ではビショップ婦人と呼ぶようです)の『朝鮮紀行』(1898年=明治31年)、荒川五郎の『最近朝鮮事情』(1906年=明治39年)と併せて読めば、朝鮮末期、即ち、日韓併合直前の朝鮮事情は大凡理解できますが、この3冊の性格は若干異なります。

 

 

イザベラ・バードは謂わば物見遊山の旅行記、荒川五郎の本は朝鮮に住む(予定の)日本人のための現地生活ガイドのようなもの。しかし、本間九介は、現代風に言えば新聞の特派員として、体裁はコラムのような形式で朝鮮の習俗などをユーモラスな文章でリポートしながら、時折、政治状況や経済状況を考察したり批評しています。それは、「朝鮮を先進的な日本の援助のもとで独立させ、東アジア全体に近代的な秩序と文明をもたらす」(スピルマン博士の解説より)という「アジア主義」の思想が根底にあるからです。

確かに、彼は「開化人」として所謂“上から目線”で「未開」な朝鮮人の風習や生活習慣を小馬鹿にしています。例えば、「市街の不潔」というタイトルのコラムでは、「不潔は、朝鮮人のパテント(専売特許)だろう。」という文で始まり、腐った食物も意に介さずに食べることや、家が粗末なこと、衛生観念に乏しいことなどを書いています。

しかし、一方で、朝鮮人がこのような惨めな生活をしているのは、中央政府の事大主義と改革を受け入れない李氏の保守主義や、役人が腐敗し、賄賂が横行する社会システムのせいだと同情したり、属国意識が抜けずに気概のない朝鮮人に憤慨し、世界情勢を知らない朝鮮人を、しばしば「井の中の蛙」と言っています。また、依然としてシナ(清)の影響下に置かれている状況や、朝鮮政府が顧問として日本人ではなく、アメリカ人やフランス人を招聘している事に対し、何故我が国はもっと積極的に朝鮮に関わらないのかと日本政府を批判したりしています。

従って、この本の価値は、彼の考えを述べた最終章の「清国の野心 朝鮮の懦弱 日本の無為」(懦弱:なまけて弱いこと。いくじのないこと。進取の気性のないこと)と、スピルマン博士の解説にあると思っています。

 

なお、この本は『朝鮮雑記 日本人の朝鮮偵察録』(조선잡기 일본인의 조선정탐록)というタイトルで韓国語訳もされています。(2008年06月16日出版) ネット書店のレビューを見た所、10段階評価で7.7と、思ったよりは高評価でした。(この項、後述)

 

ご存知の通り、伊藤博文(1841~1909)は、併合には消極的で、朝鮮の真の独立や開化は朝鮮人自身で成すべきと考えていました。つまり、これが当時の日本政府の方針であり、福沢諭吉も当初は同じ考えで、朝鮮の改革派の若者を庇護していました。

これら主流派と比較すると本間九介はかなり急進的ですが、彼の言動を通して、この時代の日本人が「世界におけるアジア」、「アジアにおける日本や朝鮮」という広い視野で状況を捉えて、朝鮮の自立を望んでいたことがよく分かります。もちろん、その根底には日本の国益があるのですが、「アジアの権益を虎視眈々と狙う欧米列強」、「依然として朝鮮への影響力を及ぼし続ける清」、「清の脅威」、「日本の朝鮮における権益」等々、これらが朝鮮を舞台に渦巻いていた時代でした。明治維新を成し遂げたこの時代の日本人、特に知識人は、現代の平和ボケした日本人とは異なり、日本を取り巻くアジアや世界の情勢には鋭敏でした。

一方、朝鮮人はと言うと、これもある種の「平和ボケ」...。この言葉が適当かどうかは分かりませんが、一部の知識層を除き、多くの人々が一握りの支配階級に生殺与奪を握られている状態を受け入れていました。いくら本間九介が不甲斐ないと憤ったり、義侠心に駆られていても、それ以外の世界を知らない層が大半だったので、そういう意味で安定した社会でした。

 

そして、当時の朝鮮人の対日観はどうかというと、非常に反日的でした。これは、『(小)中華思想』、『華夷秩序』によるものが大きいのでしょうが、秀吉の朝鮮出兵(文禄・慶長の役)に対する恨みもあるようです。

何故か、彼らは朝鮮が大勝したと思っていたようですが、この時の戦乱により、朝鮮全土が焦土と化したことを非常に恨んでいるということを本間九介は度々書いています。(実際には、秀吉の目的は明であり、その通り道の朝鮮は“焦土”とされるほどに抵抗してはいなかったのですが。

日本人からすると、「それでは元寇(1274年、1281年)はどうなんだ」と言いたくもなりますが、とにもかくにも、16世紀から延々と日本を恨み続けていたのは事実であり、朝鮮人(韓国人)の「反日」は戦後教育によるものよりもっと根深いということを知りました。そしてこの反日感情は、この本が書かれた時代、何かの折に必ず吹き出すのです。

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

さて、この本が書かれた1894年という年ですが、朝鮮の改革を目指して1884年にクーデター(甲申政変)を企てるも失敗した金玉均(キム・オッキュン)が殺された年(3月28日)であり、甲午農民戦争=東学党の乱が始まった年(1月11日~翌3月29日)、日清戦争(7月25日~翌4月17日)が勃発した年でもあります。つまり、朝鮮が最も不安定な時期でした。

 

もう少し補足します。

朝鮮末期は李氏第26代国王の高宗(1852年7月25日 - 1919年1月21日)の実父で摂政の大院君と高宗の妻の閔妃(びんひ/ミンピ)の一族との対立と高官の派閥争いに明け暮れ、事大主義(自主性を欠き、勢力の強大な者につき従って自分の存立を維持するやりかた)により、その時々で周囲の国を利用していました。

大院君がまず権力を握ると王権強化と攘夷に努めますが、1860年代から欧米列強が通商を迫り始め、1875年の江華島事件の結果日朝で結ばれた江華島条約により朝鮮が開港すると、閔氏一派が権力を握ります。日本の援助を受け、軍隊の近代化を図りますが、財政出費がかさみ、旧軍人への俸給が滞ったことから、1882年、兵士の不満が爆発して反乱(壬午軍乱)が起こり、この騒乱は反日感情を引き起こし、日本公使館襲撃事件にまで発展します。背後には大院君がおり、再び大院君が権力を握ります。日本も軍を出しますが、この騒乱を制圧した清が影響力を強め、大院君を拉致し、清は袁世凱を送り込んで朝鮮の実権を握ります。

一方、政治に不満を持ち、日本の明治維新のような改革を目指した金玉均や朴泳孝(ぼくえいこう/パク・ヨンヒョ)等の開化派は1884年にクーデター(甲申政変/甲申事変)を起こしますが、事大党(伝統を守って宗主国たる清国への臣属を主張した保守派)に与する清の派兵を許し、クーデターは失敗に終わります。金玉均は日本に亡命しますが、後に閔氏の刺客により、1894年、上海で暗殺されます。遺体は朝鮮に運ばれて切り刻まれ、これを知った福沢諭吉は朝鮮に見切りを付けて脱亜論を唱えます。

甲申政変鎮圧の際、清国の軍隊によって日本人居留民が殺されたことから、日清の対立が深まり、1885年、伊藤博文と李鴻章が全権大使となり、天津条約が結ばれ、この条約で、両国の朝鮮駐屯軍を撤退すること、以後朝鮮へ軍隊を派遣する必要ある時は両国互いに通知することなどを取り決めます。これが日清戦争の伏線となります。(本間九介はこの天津条約により朝鮮は独立したと考えており、その後も影響力を持ち続ける清に不満を持っていました。)

この間も欧米列強により朝鮮の権益が奪われていき、1894年の甲午の年、朝鮮南部を中心に農民戦争(甲午農民戦争)が起こります。これは東学(土着の宗教や儒教・仏教・道教を折衷した新興宗教で西学=キリスト教に対する)の信徒を主体とし、「反侵略・反封建」の性格を持った反乱です。本間九介や朝鮮の独立を支援しようとする日本人居留民は東学党を親日だと勘違いし、これを支援しますが、彼らは日本も敵視していました。

閔氏政権はこれを鎮圧するために清に出兵を要請、これを日本は天津条約違反として日清戦争(1894~95年)に発展します。

1895年10月8日、閔妃が暗殺されます。これは、一般には、「日本公使三浦梧楼の陰謀により1895年10月8日、日本守備隊および日本人壮士に惨殺された」(広辞苑)とされますが、まず、日本人だけでは閔妃を識別できたのかという疑問があり、朝鮮人の間でも閔妃を除外しようとする勢力が少なくなかったこと等から、日本人が首謀者だとしても朝鮮人の協力があったと考える方が自然です。そして、それどころか、実は閔妃は生き延びて、ロシアに逃れたという説(※)もあるようです。

 

※「친구 ともだち」さんの動画

動画主さんは、新たな資料がロシアから出てきて、これが事実だと言います。それなら何故、日本人の歴史家はこれを取りあげないのか不思議に思いますが、今更、異説を唱えても韓国の反日に火を点けるだけなので、やる気が無いのでしょうか。

 

日清戦争における日本の勝利により、下関条約(1895年4月17日)で清に朝鮮の独立を認めさせ(第1条)、高宗を皇帝として大韓帝国が成立すると、開化派はこれを記念して「迎恩門」(シナの使者を三跪九叩頭礼で迎えた屈辱的な門=沖縄の守礼門のようなもの)を壊して独立門を建てます。しかし、日本に対して三国干渉(仏、独、露)が行われると、王は今度はロシアに事大します。その元凶である閔妃が下関条約の半年後に暗殺(?)されると、高宗はロシア公館に亡命して(露館播遷/俄館播遷)引きこもります。ここから、日露戦争(1904~05)で日本はロシアと戦う羽目になっていきます。

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

上記は主に日本が関係する部分を中心に1894年に至るまでの経緯を簡単にまとめたものですが、どのような感想を持たれるでしょうか?

韓国の歴史教科書では、高宗は「改革君主」とされているそうです。(これが、李栄薫博士らの唱える『植民地近代化論』に対して、“既に朝鮮末期には資本主義が萌芽していて、日本がいなくても朝鮮は自力で近代化できた”、というファンタジー理論に繋がります。)

 

日本は余計なお節介をしすぎたのかもしれません。そして、望み通り、清の属国のままであれば、今頃、中国の一地方か、独立国のままで北朝鮮のような生活をしていたかも知れません。

 

無知な安重根が伊藤博文を暗殺しなければ、福沢諭吉の言葉に従っていれば...

そう思わざるを得ませんが、歴史に「IF」はありません。現代の韓国人が日本を恨むのなら、それは感情の問題だからとやかくは言いません。しかし、理不尽な言いがかり(慰安婦問題、徴用工問題)は、日本側(反日日本人や朝鮮総連)が火付け役とは言え、毅然とした態度で望むしかありません。旭日旗などに対する子供じみた嫌がらせに対しても同様です。

歴史認識は利害関係のある二国間では一致することはないでしょう。しかし、願わくば、韓国人には歴史を捏造せずに、「朝鮮=善、日本=悪」という結論ありきではなく、起きたことを客観視できる理性を持って欲しいと思っています。そして、16世紀から西欧のアジア侵略の野心(cf. 1596年、 サンフェリペ号事件)を知っていた日本人と、知らない朝鮮人(韓国人)とでは自国史の視野が異なるのはしかたがありませんが、せめてアジアくらいには視野を広げないと、自国の置かれていた立場は理解できません。

これを改めるのは韓国人自身でしかできません。これが必要ないと考えているなら、日本人は、よく喩え話で言われるように、「回覧板だけは回すお隣さんの関係」として静観するしかありません。

ただ、現在、一部の理性的な韓国人が、「慰安婦関連法」(=元慰安婦を「被害者」と定義づけている)撤廃活動や反日銅像(慰安婦像、徴用工像)撤去を求める活動を行っています。慰安婦問題と徴用工問題は韓国が歪曲している歴史の内、最も「ほころび」が出やすい問題であり、歴史認識を正すきっかけになる可能性があります。

年末には『売国奴高宗』という本も出ました。どうやら、「日本=悪」という立ち位置は変わらない本のようですが、ファンタジー歴史ドラマで李氏朝鮮を美化している韓国にあって、ようやく、自国のダメな歴史を論じることができるようになったようです。(今更かよwという気がしないでもありませんが。)

この本の読者は別に日本との関係を良くしたいのではなく、左派の洗脳から自分を解放するためでしょう。しかし、それでいいのです。我々はもはや本間九介になる必要はないのですから。

 

 

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『朝鮮雑記』の原書は国立国会図書館のデジタルアーカイブで読むことも可能です。但し、語句が難解で、読むのに苦労するかと思います。現代語訳版は語句の解説(※印で章末にまとめて解説している他、括弧書きで意味の説明あり。)があり、すらすらと読むことができます。

ブログ主は電子図書版(Kindle)で読みましたが、紙の本への拘りがなければ、文中の※印をクリックすると注釈に飛び、戻るボタンで本文の元の位置に戻れる他、語句をドラッグで範囲指定して辞書(デジタル大辞泉)を引いたり、ラインマーカー(4色)でマーキングできたりと便利で、また、電子図書はページの概念が無いので、ページ幅を自由に変えたり、文字の大きさも変えることができます。(1ページに入る文字数がそれによって変化する)

『最新朝鮮事情』はおそらく国立国会図書館のデジタルアーカイブ、つまり原書でもあまり苦労なく読めるでしょう。

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

韓国語版『朝鮮雑記』について

この項、書きかけ

 

  


 

 

 

 

2020/11/16

【韓国】『反日種族主義』(李栄薫著)に欠けていること

ブログ主は保守系韓国人の方が作るYouTube動画を観て、そこに書き込まれたコメントを翻訳ツールで読んで、必要があればコメントを返しています。(日本語だったり、英語だったり。)

そこにコメントを書くような韓国人は、いかに李氏朝鮮時代が未開だったのか、日本統治時代に韓国の発達の基礎が築かれたこと=植民地近代化論は理解しているのですが、なぜ、日本と朝鮮が併合に至ったのか、正確には、なぜ、朝鮮が日本に併合を依頼したのかを理解していない事に気付きます。

反日種族主義』(李栄薫著)は画期的な本で、(李栄薫教授は以前からそのような内容の本を書いていたのですが)多くの韓国人に読まれ、そこで真実を知って「反日種族主義」から脱することができたとは思うのですが、最近、上記のことに気付きました。

このことを『反日種族主義』で取りあげなかった理由は分かりませんが、李栄薫教授は「併合」自体は認めていないようです。ブログ主が『李承晩TV』の動画で理解できるのは日本語字幕付きのものくらいですが、その中でも、そのようなことを仰っていた記憶があります。しかし、その上で、しかも、身の危険を顧みず、客観的な数字から植民地近代化論を解説していることは大いに称賛を贈ります。

こうした本や動画で多少歴史の事実を分かった方が「李朝の王族は国を売って自分達だけ貴族となっていい思いをした」、「高宗は売国奴」などと言いますが、毎年、歳出が歳入を何倍も上回り、大韓帝国は、最早財政破綻をしていました。併合以前にそれを援助していたのが日本です。1910年にいきなり併合したわけではありません。

手元に『日韓併合 韓民族を救った「日帝36年」の真実』(崔基鎬著/2004年、2007年文庫化)という本がありますが、これによると、1904年度に日本から目賀田種太郎(1853-1926)を財政顧問に招聘し、日本政府は直接支出で援助します。1907年の朝鮮(大韓帝国)の国家歳入は748万円で、一方、歳出は3000万円以上だったので、差額は日本が支払っています。

おそらく、大韓帝国は日本にまるごと併合されなかったら、欧米列強に“食い散らかされて”いたでしょう。最早、高宗一人でどうにかできる状態ではなかったのが朝鮮であり大韓帝国でした。

日本が併合しなかったら、中国やロシアの一部になっていたと考える方もいるようですが、中国やロシアが朝鮮の借金を肩代わりしたとは思えません。それ程朝鮮は貧しい国でした。権益だけ貪って、朝鮮という国は消滅していたのではないでしょうか。

例えば、併合以前、京仁線の鉄道敷設権も日本がアメリカから買って開通(1900年)させました。併合以前にいかに日本が大韓帝国を自立させようと協力したか、しかし、結局自立できなかった。それが分からないので、日本がいきなり「植民地」化したなどという誤解が生じるのだと思います。

 

 

  


 

 

 

 

2020/09/22

【書籍】池萬元著『反日への最後通告』(ハート出版)を読んで【書評】

公開:2020-09-22 08:08:56  最終更新:2020/09/22 9:09

以前から気になっていた『反日への最後通告』(池萬元著/ハート出版)。〔原題『조선과 일본 - 한국인이 알수 없었던 진실』(朝鮮と日本-韓国人が知らなかった真実)〕

 

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日本統治時代の話は(日本人向けには)語り尽くされていると思って後回しにしていたが、池萬元(チ・マンウォン/チ・マノン)博士の数々の発言(後述)を読んで、この本を読んでみたくなり購入。

 

 

慰安婦や徴用問題といったテーマでは『反日種族主義』と被る部分もあるが、システム工学博士でありMBAを取得された博士の視点は、経済学者である李栄薫教授等とはまた違ったものである。

この本は上記のような日本統治時代の事=所謂、植民地近代化論=も扱っているが、一貫するテーマは「日本人と韓国人の【精神性】の違い」であり、どちらかと言うと戦後から現代に至る日本と韓国との比較、特に「なぜ、戦後の荒廃から日本が現在の地位を勝ち得たのか(それに比べて韓国は...)」という事に重点が置かれている。おそらく、韓国人の「反日」の根底には「侮日」があると見抜いてのことだと思う。

池萬元博士が称賛してくれる日本人、特に日本の企業家と労働者の美徳は、日本人が現在もそれを維持しているか?と考えると、日本人がもう一度原点に立ち返るためにこの本から学ぶ点も多いと思う。

 

◇ ◇ ◇

 

李栄薫教授は韓国の「聖域」の一つである「慰安婦問題」に言及して韓国社会からバッシングを受けた。池萬元博士は、慰安婦と並ぶ韓国の別の「聖域」である「光州事件」の真実を追究したことから100件以上もの訴訟を起こされた。(光州事件については後述)

この件に関してはこの本でも扱っており、博士自身の身に起こった激しい攻撃は韓国社会の「病巣」の一端を見ることができる。

日本人がこの本を読む時は、これは韓国人に向けて書かれた本という意識を持たないと、いかに衝撃的な内容かが想像できないと思う。

この本は以下の7つの章より成る。

 

第1章 世界の中の朝鮮
第2章 外国人と内国人が見た朝鮮
第3章 滅ばざるを得なかった朝鮮
第4章 日本軍慰安婦と強制徴用
第5章 日本との決算
第6章 日本は学ぶことの多い国
第7章 韓国を牛耳る左翼勢力の専横的な歴史歪曲

 

第1章と2章では、韓国人がいかに「井の中の蛙」かということを韓国人に向けて突きつけている。特に第2章では、欧米人による「韓国(人)評」を多く引用し、韓国人の「自尊心」(メンツ)を徹底的に叩き潰す。そして、現代韓国人が英雄だの義士だのと称賛する朝鮮人(安重根を含む)が日本の偉人(伊藤博文、渋沢栄一、松下幸之助、etc.)と比べていかに過大評価、というより、間違って評価されているか、一方、「親日派」というレッテルを貼られた朝鮮人(尹致昊李完用等)が、いかに愛国者であり正しい事を言ってたのか、白日の下に晒している。

李氏朝鮮時代や日本統治時代の朝鮮に対する外国人の評価は、『反日への最後通告』を元に作成された下記の動画でも分かる。

 

『친구 ともだち』チャンネルの動画「外国人が見た日韓併合以前の韓国人の暮らし。第1部。
(この動画主は、元々韓国人向けだけに誤った歴史を正す動画を作成。恐らく、日本語訳を付けて紹介されて日本人の関心が高まったために日本語字幕を付けて発信し始めたのだと思われるので、「用日」韓国人とは区別する必要がある。)

 

第6章の「日本は学ぶことの多い国」では、韓国人が「日本は敗戦後、朝鮮戦争を利用して経済復興を成し遂げた(だけの国)」という韓国人の『侮日』を根底から覆すものである。

日本がみすぼらしいトランジスターラジオでアメリカ人に馬鹿にされながらも、徹底的なQC(品質管理)でアメリカの製品を凌駕する過程を韓国人向けに説明している。

この本は『反日種族主義』で「反日」の呪縛から冷めた韓国人を更に啓蒙する書だと思う。そういう意識を持って日本人がこの本を読むと、いかに衝撃的な本であり、タブーに挑戦したかがより理解できると思う。

 

◇ ◇ ◇

 

韓国に於ける「光州事件」の扱い

日本人にとっては、池萬元氏が韓国人にとってどのような存在かが気になると思う。

これを理解するには、日本人にはそれ程関心がない『光州事件』(5.18民主化運動)について、池萬元氏がどれほど満身創痍になりながらも真実を追究し、韓国人からの尊敬を集めているかを知らないと理解できない。

まず、『光州事件』について広辞苑を引くと、「1980年5月、光州市で、軍部による戒厳令拡大に反対する学生・市民を戒厳軍が鎮圧、武力衝突に発展して、多数の死者が出た事件。」と解説され、韓国民主化のための運動であったとしか言わないが、実態は北朝鮮の工作員が主導した共産主義者による暴動であり、しかし、それ以外の解釈をしようとすると池萬元博士のように100件以上もの訴訟を起こされることで、普通の韓国人は口を閉ざさるを得ない。池萬元氏のHPは政府によって閉鎖されても、反共で愛国的な韓国人は彼を支持している。

現在の与党は光州事件の公式評価について反論する者に対し懲役刑を下す法案まで通そうとしている事でも、この事件(暴動)がどれほど文在寅政権にとって「聖域」であるかが分かると思う。

ブログ主はこの本(原書)の評価を探して読んでみたが、実際に購入した読者はほぼ☆5つの評価を付けているのに対し、読まない者から低評価をつけられている。高評価の読者のコメントには「発禁になる前に購入した」というものまであった。

 

池萬元氏ほどの「韓国の知性」を20年近くにもわたって裁判で浪費していることは韓国にとって多くな損失であり、悲劇だと思う。

 

光州事件の首謀者達が北のスパイである証拠は数多く挙げられている。

 

 

518_03

 

光州事件の公式評価について、韓国人が異を唱えられないことがどれほど異常なことかは、たとえば下記の洪熒(ホンヒョン)氏の動画でも分かる。

 

 

現在、韓国与党は光州事件の評価を覆そうとする者に対して懲役7年の刑を与える法律を成立させようとしている。(韓国の名誉毀損の刑罰は最高でも5年)

民主化運動という美名の元に、これに実際に関わったかどうかも関わらずに光州市(5.18補償委員会)が「光州5.18民主有功者」を選定して、恩給のような特権(特別支援金や就職の特権)を与えている事や、なぜか、政権が代わるごとに「有功者」の数が増えているのを見ると、有功者認定が利権となっていることが理解できるだろう。(本来、時間が経つにつれて減るはず)

 

513_01
拾いものの画像にブログ主が追記

 

この有功者の選定は金大中政権の時に決定し、光州事件当時中学生だった者や他の地域の民主化運動家にも「有功者」の認定がされて特権を享受している。(証明書が発行される)

 

518_04
518_05

 

【参考】

 

◇ ◇ ◇

 

おそらく、この本は池萬元博士がブログなどに書き溜めた文が元になっていると思われるが、ブログ主がこの本を読もうと思ったきっかけになった池萬元氏のコラム(実際に同書に収録されている)を紹介する。

 

「日本人たちは憎しみを学ぶことで昇華させた」

製造業や貿易業の仕事に携わる韓国人は、日本の悪口を言ったり憎んだりはしていない。日本から学ぶことが多いからだ。日本を知らない人だけが、過去という氷の棺の中に自分の魂を閉じ込め、日本なら無条件に嫌いだと言っているのだ。60年もの間憎しみ続けて我々に一体何の得があるというのか。我々は考えなければならない。

過去数千年の間、我々民族が同族同士の間で犯した蛮行の中に、日本以上に厳しい事例が果たして本当になかったのだろうか。日本が我々よりも野蛮なのか、そうではないのか、優秀だったか、醜かったか、今の日本人と韓国人を見れば、その違いをまざまざと知ることができる。日本人は今でも我々より、何倍も元気に暮らし、世界で最も尊敬される礼儀作法と信用力を持っている。もし、日本経済と韓国経済の間に万里の長城を築けば、被害は両国ともに生じるが、我々の被害の方がはるかに大きい。外国に行って日本人を罵れば、悪口を言ったものが除け者に合う。認めたくないだろうがこれは現実だ。

我々は日本よりも早く成長したがる。発展の原動力は、創造性と先進科学を収容する姿勢だ。憎しみからは絶対に創造性は生まれない。我々が今からでも考えなければならないのは、日本が米国から学んだ方法を学ばなければならないということだ。

健康薬品ひとつ作るにしても動物を相手に実験をする。人の命というのはそれほど尊いものであるからだ。ところが、米国は原子爆弾を作り、その実験相手に日本人を選んだ。日本人たちの自尊心がどれほど傷ついたことだろうか。放射能とは恐ろしい物質である。日本人たちは、その放射能を子どもの世代まで受け継がなければならないという現実に一体何を思っただろうか。おそらく、我々に原爆が落とされていたのなら、米国は今でも我々の不倶戴天の敵であっただろう。だが、日本人たちはその憎しみを学ぶことで昇華させた。日本人は自分たちより優秀な人の前にはひざまずく。このような姿勢を我々は持っていない。日本人は優秀な米国人から学び、学んで勝たなければならないと考えたのだ。

日本人は一方で、廃墟の地にブラシをかけ、もう一方では、こまめに米国に渡り、工場の門を外からのぞき込んだ。これは彼らよりも優秀な米国を学ぶためだった。米国人たちは、そんな日本人たちを蔑視した。「日本人は寝ても覚めても米国に引っ付くことしかできない。ドアを開けてすべて見せてやれ。」

1957年当時、ダレス米国務長官が、多くの日本群衆に向けて、米国の優越感を表現した。「親愛なる日本国民の皆さん!日本は技術面で永遠に米国と競争することはできません。日本は今、世界最高のハンカチと優れたパジャマを生産しています。なぜそのようなものを米国に輸出しようとしないのですか?」あえて米国を真似るとして、工場の門をのぞき込む見苦しい姿を蔑視したスピーチであったし、1957年に米国に渡ったみすぼらしいトランジスタラジオをあざ笑う言葉だった。

当時、米国は世界のGNPの54%を占めていた。ほぼすべての生産拠点が米国にあり、世界の新製品すべてが「MADE IN USA」だった。彼らは米国で作られていないすべての製品をゴミとして蔑視した。これをNIH症候群(Not Invented Here Syndrome)と呼んだ。

これらの侮辱を跳ね除け、日本人たちは米国から続々と先生たちを呼び寄せた。1950年には、あの有名なデミング博士を、52年に​​はジュラン博士を、54年にはピゲンバウム博士を招き、科学経営、システム管理、統計学的品質管理を覚醒させた。そして、日本は産業界のノーベル賞であるデミング賞(Deming prize)を制定した。日本が今日の品質ナンバーワン国に君臨するのは、米国人の師匠であるデミング博士の存在があったことを世界に示したものである。一方、我々自身を今一度振り返ってみよう。我々は今、外国を排斥する中、狭いナショナリズムに浸っている。我々なら、多くの国民を原爆で殺した敵国の人種、米国人を師匠とし、それを記念して産業界のノーベル賞と呼ばれるデミング賞なるものを制定することができるだろうか。

「米国を模倣しよう(Copy the West)」「米国に追いつく(Catch up with the West)」。日本人は米国を追い越すために情熱を注ぎ知恵を絞った。そして1980年代にはいよいよ日本が生産技術と品質管理で、米国を上回った。その時からしばらくは、米国が日本へ学びに通った。ダレス米国務長官の嘲弄まじりのスピーチから25年、1982年に自動車の米国人顧客満足度調査で、日本の自動車が上位1・2・3位を占めた。一方、米国車はわずかに7位であった。米国人が最も好きな車は米国車ではなく、日本車だったのだ。仕事に没頭し目標を捕らえる姿は美しくはないだろうか。「日本のやつら」がやったことだから、こんなことも見苦しいと見るべきなのだろうか。

日本だけ憎むのではなく、最近では米国を憎む人も増えてきている。優秀な人を見られない心や憎悪する心が、我々に何を持たらすのだろうか。我々よりも立派な人も敵で、我々よりも優秀な国も敵ならば、我々は誰から学び誰とともに生きていけばいいのか。

わが民族同士?外勢を憎み、国際社会に不当な理由を上げながら飢えに苦しむ住民を弾圧して殺す北朝鮮と手を取り合って生きなければならないというのだろうか。憎悪心をそそのかせば団結はできても発展はない。醜い人同士が手を握れば皆が醜くなる。我々が恐るべき対象は北朝鮮ではなく、憎悪心を学ぶ力に昇華させ米国と肩を並べた日本の人々である。我々は日本の学習方法を学ばなければならない。

昨日、自分が何を間違ったのかを問う人々は、昨日の間違いから知恵と教訓を導き出す。しかし、昨日の間違いが誰によってもたらされたのかを問う人々は、昨日の間違いを延々と繰り返すことになるだろう。

池萬元|2011.3.1

(カイカイ反応通信:韓国人「日本人たちは憎しみを学ぶことで昇華させた」より転記)

 

 

  


 

 

 

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