6月1日、木原稔防衛相と韓国の申源湜(シン・ウォンシク)国防相は、2018年12月22日に発生した韓国海軍による海上自衛隊機への火器管制レーダー照射問題を巡る再発防止策に合意した、と報道がありました。〔記事別途〕
ひどい話です。
また、6月14日には、産経が『レーダー照射隠蔽「文在寅大統領の指示だった」』という記事をweb版で出しました。〔紙面は6月15日、記事別途〕
これに関しては「知ってたwww」という人も多いのでは無いでしょうか。
ところで、この記事を取り上げたYouTube番組『ニッポンジャーナル』(6月15日)に出演された伊藤俊幸元海将が仰っていた事が気になったので調べて見ました。
- 【新証言】韓国レーダー照射事件「文在寅が隠蔽支持」か伊藤俊幸さんと飯田泰之さんが解説!〔0:33 辺り~〕
以下、文字起こしです。
今回のこの記事のようにムンジェインさんが(隠蔽しろという指示を)やったかどうかは私は知る立場にないんで、これ分かりません。
ただ、海軍省(将?)は最初から「ごめんなさい」だったんですよ。だから、これ(=レーダー照射)が起きた時の翌月には、その海軍のトップがまさに第2艦隊というこのアホな館長がいるところに行って、指導してんですよ。「ちゃんと国際法を守れ」と。「くだらん事やるんじゃ無い」っていうのがあって、それは向こうの韓国のニュースに出たんですよ。だから、分かってんですよ、海軍のトップはね。...
〔その事を当時の幕僚長に聞いたら、その記事を見ただけで、あちらの海軍からは何も言ってこないと言っていた、という話の後に、〕その上の国防省ってのはもう政治(の世界)ですから、青瓦台(=大統領府)の指示のままである、それも、本来は日本語ペラペラで、航空自衛隊で育った人がトップになったのに、これも一切日本とは関係ないみたいな感じで嘘に嘘を重ねたんですよ。
この時に私が思ったのは、「もうちょい上手に嘘つけよ」というぐらいもう下手くそすぎたんですよ。
日本でもそうですが、所謂「制服組」と「背広組」の立場の違いがあります。
改めて、当時の言い訳の変遷を調べて【時系列】に追記したのですが、最初は「遭難した漁船を捜査するのにレーダーを使用したら、連動して火器管制レーダーも連動した」、つまり、レーダーを使った事は認めていました。
その後、「光学カメラで自衛隊機の動きを追っただけ」と言いだし、年が明けて2019年1月4日に、韓国防衛部が自衛隊側検証ビデオに対抗してビデオを公開します。この頃から、自衛隊哨戒機の低空飛行を言い出します。
つまり、この時点では、「P-1哨戒機が低空飛行で威嚇したので、レーダーで追っ払った」というストーリーだったのです。
しかし、1月7日に海軍のトップが駆逐艦「広開土大王」の所属部隊を訪問すると、再びストーリーを変えます。
以下、聯合ニュースの記事です。
* * * *
https://www.yna.co.kr/view/AKR20190107119451062
해군총장 "외국機 조우시 작전예규 따라 즉각 대응해야"(종합)
2019-01-07 17:56
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190107003000882?site=lang_jp
海軍トップがレーダー問題の部隊を訪問 対応を叱責?
2019.01.07 20:40
海軍制服組トップの沈勝燮(シム・スンソプ)海軍参謀総長は7日、威嚇的な飛行を行った海上自衛隊の哨戒機に対し煮え切らない対応をとったとして批判を受ける駆逐艦「広開土大王」の所属部隊を訪問し、叱責とも受け止められる発言をした。
海軍によると沈氏はこの日午前、東海を守る海軍1艦隊司令部を訪問し、新年の軍事対応態勢の現場を点検した。同艦隊は先月20日、東海上で北朝鮮の船舶を救助中に海自の哨戒機と遭遇した「広開土大王」が配備された部隊。
「広開土大王」を巡っては、同駆逐艦から海上自衛隊の哨戒機が火器管制レーダーの照射を受けたと日本が主張。韓国側は火器管制レーダーの照射は行っておらず、むしろ海自哨戒機が同艦に対し威嚇的な飛行を行ったとしている。
沈氏はこの席で「全部隊は外国の艦艇・航空機との遭遇など海上で発生しうるあらゆる偶発状況に対し、作戦例規や規定、国際法に基づいて即時に対応し、現場で作戦が終結するようにしなければならない」と指示した。
また「すべての艦艇は作戦を遂行しながら様々な状況を同時に管理することができるよう、能力を備え、作戦の完全性を保障しなければならない」と強調した。沈氏のこのような発言は「広開土大王」が海自の哨戒機の威嚇飛行に対し、適切な対応をしなかったとの批判を意識したものと受け止められる。
武装した軍用機が艦艇に向かって近づく行為は危険であり、接近しないように警告するべきだったが、同艦は海自の哨戒機に対し、そのような措置を取らなかった。
また「様々な状況を同時に管理できる能力」を強調したのは、北朝鮮の漁船の救助作戦を行いながらも、外国航空機の威嚇飛行のような突発的な状況におかれれば、適切な措置を取らなければならないとの叱責と受け止められる可能性がある。
海軍関係者は「沈総長は激励のため1艦隊司令部を訪問した」とし、拡大解釈に対する慎重な姿勢を示した。
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伊藤提督の話とはやや異なりますが、要するに、「異常接近した哨戒機に対抗してFCレーダーで威嚇した」という、(国際法はともかくw)一応、つじつまの合うストーリーから、「異常接近した自衛隊哨戒機はけしからん。」、「広開土王は何もしなかった。(それもけしからん)」とストーリーを変えたのです。
これ以降は「レーダー照射は無かった」という一点張りで、韓国側はメディアも含め、「自衛隊機異常接近事件」と呼ぶ様になります。
そして、広開土王が ”煮え切らない” 対応をした(=レーダー照射などしなかった)のを既成事実化するかのように、政府は2月1日には5段階で構成された「日本哨戒機対応指針」を海軍、つまり制服組に通達します。これには国防軍側もさすがに批判をして、「破棄を検討中」という報道がありました。〔→ブログエントリー(2022/08/19):【レーダー照射事件】2019年2月に文在寅政権が「日本の哨戒機にFCレーダーを照射しろ」という指令〕
しかし、その後、この指針が破棄されたという報道は聞いていません。
※「レーダー照射事件」のエントリーが増えたので、ブログカテゴリー「レーダー照射事件」を作成しました。過去のブログエントリーは追々カテゴリーを変更します。
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