【北方領土】ウクライナ国民や政府が「北方領土は日本の領土だ!」
この数日、ウクライナ(政府・国民)が北方領土に関する発言をしたことでネットでは話題になっています。
一つはゼレンスキー大統領が「北方領土の日本主権を支持」する発言をした事、もう一つは、小規模ですが、在ウクライナのロシア大使館前で、日本への「北方領土返還デモ」が行われたという話題です。
横断幕には、「ロシアは泥棒国家、盗んだものを返せ!」という言葉と共に、「1945年 北方領土(日本)」、「1992年 モルドバ」〔トランスニストリア戦争〕、「2008年 ジョージア」〔南オセチア紛争〕、「2014年 ウクライナ」という文字と国旗が描かれており、さしずめ、『ロシア被害者友の会』ようになっています。
こちらは産経新聞のゼレンスキー大統領の発言を報じる記事です。10月8日付けの紙面では「北方領土の日本主権を支持」という見出しになっており、副題に「ゼレンスキー氏、大統領令署名」と書かれています。
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https://www.sankei.com/article/20221008-QTZ3D3C5GBIYLINDJEW6TLHQYY/
ゼレンスキー氏「北方領土は日本」 露軍、司令官交代相次ぐ
2022/10/8
ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は7日、交流サイト(SNS)に投稿したビデオ声明で、「ロシアが不法占拠している北方領土を含む、日本の主権と領土の一体性を支持する」と述べ、対応する政令に署名したと明らかにした。ゼレンスキー氏はウクライナを支援する日本との連携を確認し、ロシアへの共同対処を呼び掛けた形だ。〔中略〕
7日のビデオ声明でゼレンスキー氏は「ロシアは、わが国と国民、国際的な法秩序に対するこの戦争を通じ、自分自身を一つの条件下に置いている。それは、ロシアがかつて奪取して支配している全てのものが真に解放されるということだ」と指摘。「侵略者の手には何も残らない。われわれのパートナー国にも正義が回復されることを確信している」と述べた。〔後略〕
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様々な思惑があるとは思いますが、敵とか味方と言う単純な発想ではなく、ウクライナ人とどういう形で連帯できるのかと考える必要があるかと思います。
何故今、ウクライナの人々が日本にシンパシーを寄せるのかというと、北方領土に住んでいる ”ロシア人” は、実はスターリンによって強制移住させられたウクライナ人が多い、ということにも理由があるようです。実効支配を既成事実化するために、即座にウクライナ人をここに住まわせたようです。
倉井高志(くらい・たかし)前ウクライナ大使のインタビュー記事を一部引用します。
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https://sakisiru.jp/37049
なぜ「北方領土返還デモ」がウクライナで行われるのか……日本は思いにどう応えるべきか
前ウクライナ大使が日本に問う「覚悟」#3(最終回)
2022年10月08日 06:00
梶原 麻衣子 ライター・編集者
――倉井さんの新著『世界と日本を目覚めさせたウクライナの「覚悟」』(PHP出版)を読んでいて、実は最も驚いたのは、ウクライナの若者が北方領土の日に当たる2月7日に、ロシアに対する「北方領土返還要求デモ」を行っているという事実でした。
【倉井】私もウクライナに赴任して初めて知り、大変驚きました。2月7日になると、若者たちがウクライナ外務省と、在ウクライナのロシア大使館前で抗議活動を実施します。人数はそれほど多くありませんが、おそらくウクライナの人たちからすると、「ロシアの西の国境に接しているのは自分たちウクライナ、東の国境に接しているのが日本であり、両国ともロシアの軍事行動によって領土を取られ、領土問題で今もロシアと争っている」という思いがあるのでしょう。「同じ境遇に置かれている」「だからこそ、日本と協力すべきだ」という気持ちがあるのです。
――日本では今回の件でようやくウクライナの位置を知った人も多いですが、ウクライナの人は日本を知っているのでしょうか。
【倉井】これも日本ではあまり知られていませんが、ウクライナにとって日本は特別な国です。広大な領土を持つロシアを挟んで、8000キロも離れた国ではありますが、日本は対ウクライナ人道支援において、世界でもトップクラスの実績があります。1991年にウクライナが独立して以降、日本は31憶ドル以上の支援を行ってきました。2014年のマイダン革命はウクライナにとって重要な節目ですが、それ以降の8年間だけでも18憶ドル以上の支援を行っています。
ウクライナの人たちは精神的にも、経済的にも西の方、つまりEUの方向を向いていますが、しかし一方で、東にいる日本が自分たちを助けてくれる国だという意識はある。だからこそ、政治的意識の高い人たちは「北方領土問題をウクライナ人が訴えることで、ロシアに対する領土問題での共闘もできる」と考えているのでしょう。
また、もう一つ事情があります。沿海州を含むロシアの極東には、ウクライナ系の人々が多く住んでいます。ごく少数、農奴解放の時期に自ら移り住んだ人たちもいるようですが、多くの人たちは主にスターリン時代の強制移住によって東に移動させられた人たちです。実は北方領土の住民にも、ウクライナ系の人たちがかなりいます。
倉井高志(くらい・たかし)
元外交官。前ウクライナ大使。京都大学法学部卒業後、1981年、外務省入省。外務省欧州局中東欧課長、外務省国際情報統括官組織参事官、在大韓民国公使、在ロシア特命全権公使、在パキスタン大使を経て、2019年1月から2021年10月までウクライナ大使を務め、同月帰国。著書に『世界と日本を目覚めさせたウクライナの「覚悟」』(PHP研究所)
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