公開:2021-12-15 16:09:12 最終更新:2021/12/16 6:27
掲題は、韓国の「食品医薬品安全処」(日本の厚労省に相当)で審査委員であった方が、K防疫について批判した文の中に書いてあった事です。
医学メディアに掲載された『K防疫 vs. J防疫 何が違うのか』(K-방역 vs J-방역, 무엇이 차이를 만드는가?)という記事で、この医学ライターの経歴など詳しい事は不明です。
実は、この記事は『シンシアリーのブログ』で知り、翻訳の一部はシンシアリーさんのブログで読んだのですが、全文読んでみたら、なかなか興味深い事が書いてあるので、かなり長いのですが、全文をご紹介しようと思います。
この方の言いたい事は、韓国の防疫は政治であり、専門家チームの意見を無視したが、日本政府は専門家の意見に耳を傾けて政策を決定しているというもので、これによると、韓国の専門家チームも、既に市中感染が広まった昨年6月頃には「ゼロコロナ」は無理だと判断してたそうです。ゼロコロナとは、ウイルスの撲滅です。しかし、それに基づいた提言を政府が聞かなかったそうです。
また、日本の、「濃厚接触者や症状がある人を対象に検査する」方式と、韓国の、「大規模に検査をして陽性者を見つける」方式を『モグラ叩きゲーム』に喩えて、結局前者の方が “勝利した” とまで言っています。
いつものように、機械翻訳をした後、誤訳を訂正し、分からない所は機械翻訳ママにしています。小見出し(◆~)はブログ主が便宜的に付けました。
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http://www.medicaltimes.com/Users/News/NewsView.html?mode=view&ID=1144563&REFERER=NP
K防疫 vs. J防疫 何が違うのか?
カン·ユンヒ元食薬処審査委員
記事入力 : 2021-12-1305:45
こんな言葉がある。「最後に笑う者が本当の勝者だ」。コロナが発生して2年が経った昨今、韓国と日本のうち誰が笑っているのか。 むろん、日本がすべてうまくやったというわけではなく、今後も変動性が残っている。 ただ、韓国と日本国民いずれも大きな苦痛を経験しているのに、同じ時点でこのように大きな違いがある理由が何かについては問わなければならない。
◆隠れているモグラも叩こうとする韓国、飛び出したモグラだけ叩く日本
コロナ防疫において韓国が選択した戦略は、診断試薬の早期開発による3T(Testing-Tracing-Treatment)戦略だった。 多くの先制検査で無症状確定者まで見つけ出し、疫学調査基盤の密接接触者をすべて隔離し、角度に1、2ヵ所ある拠点病院で治療をするのだった。 モグラゲームで言えば、飛び出そうが飛び出まいが、一旦全部をぴょんハンマーで打ってすべてのモグラを無くすという政策だった。
一方、日本は有症状者中心の防疫政策を駆使した。 臨床的に有意な症状がある場合、制限的に無料でコロナ検査を実施し(もちろん本人が望めば検査は可能だが有料)、同居人程度を一緒に検査し、必要な場合は近くの指定医療機関(韓国でいえば町内病院)で診療するシステムだった。 モグラゲームで言えば飛び出す子だけを捕まえ、静かな子は放っておく戦略だった。
初期には当然、すべてのモグラを捕まえる韓国がリードした。 新天地集団感染の危機を奇跡的に克服した韓国は、すべてのモグラを捕まえることができると意気揚々としていた。 海外入国者が入国しても捕まえられるし、入国者の隔離は不要だ」と話した。 その結果、海外入国者から始まった梨泰院クラブ集団感染が発生し、以後、疫学的なつながりが見られない感染が増加し始めた。 すなわち、コロナ感染が地域社会に広まったのである。
◆自然免疫を得た日本
しかし、韓国政府は防疫戦略を変えていない。 教会で集団感染が発生すれば、教会を閉鎖させ、クラブで発生すればクラブを閉鎖させた。 「あと2週間がヤマ場」と叫びながら、同様の政策を押し通した。 その結果、20年7月、一般人を対象にしたコロナ抗体陽性率は0.03%だった。 一方、有症者中心の防疫政策を取る日本の場合、発表された論文によると、2020年8月に東京の一般サラリーマンを対象にしたコロナ抗体検査の陽性率は46.8%だった。 このデータは、韓国は静かな感染をほとんど経験せず、自然免疫を獲得した者はほとんどおらず、日本は相当数が自然免疫を獲得したことを意味する。 ご存知のようにワクチンによる免疫は3-4カ月有効で、自然免疫は1年以上有効であることが立証されている。
今年、韓国政府は「接種率80%、11月には集団免疫」を叫び、ワクチン接種率を上げるのに全力を尽くした。 筆者は株式取引をしないが、株式取引の大原則の一つが一つの銘柄に集中しないことだという。 しかし、この原則は、実は大半の政策にも通じる。 現在、コロナ防疫に比較的成功している国のうち、どの国も一つの防疫政策にこだわっている国はない。 結局、国のワクチン政策によって十分な情報なしにワクチンを接種し、重症の副作用を経験した被害者が発生することになり、疾病管理庁の「因果関係なし」通知書を受けた人たちは訴える所がないため、国民請願を出し、この内容が連日マスコミに報道されている。 にもかかわらず、政府の政策は全く変わっていない。 一方、ワクチン接種率が15%にも満たない状態で日本は立派に五輪を開催し、おかげで私たちは金軟景選手の最後の五輪を一緒に楽しむことができた。 正直、筆者はその時感じた。 なぜなら韓国の3T戦略、ワクチン戦略では五輪どころか忘年会もできない状況だと。
そのため、政府の目標どおり、今年11月に韓国は集団免疫を達成したのか。 しかし、水槽(수조)を投資〔?〕し、数千人の重症の被害者を量産した政策が失敗したにもかかわらず、謝罪する人はおらず、なぜ政府は青少年ワクチン接種やワクチンパスなどワクチン関連政策だけを押し通すのか。 筆者の前のコラムで、「食薬処の暴れん坊、剣舞(칼춤)で、ボツリヌス、トキシン製剤会社はみな潰れる」と言ったが、政府のワクチン剣舞〔?〕には、「国民のストレスが大きすぎる」(もちろん筆者はワクチン無用論者では全くない、必要なところに使うべきだけ)。
◆専門家の声を無視する韓国政府
それでは韓国と日本の違いはどこから始まったのだろうか。 「What makes the difference?」これは、両国で防疫政策を決定する主体が異なるためだ。 我が国は政府という行政組織が決める。 ところが、韓国では政府に専門家がほとんどいない。 食薬処で働いてみたら確かに分かったよ。 医薬品の安全の責任を負わなければならない組織に医薬品安全専門家が一人もいなかった。 実際に一人の専門家がいれば、その専門家が他の専門家を育てて成長することができる。 しかし、食品医薬品安全処にはその一人の専門家がいないため、医薬品安全ではただの一歩も進むことができないのだ。 そのため、食薬処のコロナワクチンの安全性管理も全くないのだ。
◆ゼロコロナは無理と判断した専門家チームの声は封じられた
しかし、政府の防疫初期には、外部の専門家で構成された中央臨床委員会という専門家グループがあった。 中央臨床委員会が1-2カ月ごとに科学的な根拠に基づいてブリーフィングをした時、国民は安定感を得ることができた。 しかし、昨年6月ごろ、中央臨床委員会が「コロナが地域社会の感染に拡大した時点で、コロナの終息は不可能で、コロナと共存する防疫政策に切り替えるべきだ」という意見を示すと、突然予定されていた中央臨床委員会の説明会は取り消され、その後、中央臨床委員会の声が消えた。 同中央臨床委員会は、国内でのワクチン接種を開始する前から、ワクチンでは集団免疫を達成できず、ワクチンは高危険群にのみ有効だという意見を示していた。
すなわち、韓国の防疫政策は専門家グループの意見を無視したまま、政治的に進められた。 政府ブリーフィングで専門家グループの意見は消え、いわゆる「一介の専門家」と呼ばれる数人の医師が出始めた。 以前、ある俳優が出演した広告が多くて「000の一日」という言葉があったが、この少数の個人専門家たちがそうだ。 朝にはこの放送に出て、夜にはあの放送に出る。 しかし、韓国国民は一介の専門家という人々の意見に何気なく従う、そんな国民ではない。 誰が専門家かを見分ける国民であり、自ら専門家になる国民である。 結局、もはや政府のいかなる政策も受け入れられていない。 防疫が政治に変質した韓国は、政府の政策に専門家グループの後押しがないからだ。
◆専門家の意見が反映する日本政府の政策
一方、日本の防疫政策は誰が決めたのだろうか? もちろんこの点については触れていないが、筆者が確信するに、保健医療の専門家たちが決定したに違いない。 すなわち、日本は保健医療専門家が防疫政策を主導し、政治が介入しなかった。 筆者がこれを推定できる理由は、日本は保健医療システムの政策を決定する際に医療専門家の意見を尊重しながら政策を展開してきたためである。 例えば、日本の食薬処〔=厚労省〕はある薬物の許可に医療専門家の意見を決定的に反映する。
一例としてドライアイの治療剤としてcyclosporine製剤が欧米許可になったが、日本眼科学会の反対で許可されなかった。 当然、韓国は許可になり、韓国の食品医薬品安全処は、薬物の許可時に一般的に医療専門家の意見を最初から問わない。 日本の食薬処は、いつもの機能通りコロナワクチンの安全性をモニタリングし、独自のデータを基に10月14日、モデルナワクチンを30歳未満には接種しない措置を取った。 一方、韓国は11月17日になってようやくモデルナの年齢制限をしたが、当然韓国は能動監視をしなかったため、独自のデータを基盤とした措置でもなく、他の国がそうするのでやむを得ずそれに従う措置であった。
韓国と日本の昨今の状況を見守りながら、リーダーの重要性を悟る。 筆者がかなり前に嫌いなリーダーの類型に対するアンケート調査結果を見たことがあるが、1位が無能なリーダー、2位が性格破綻リーダーだった。 専門家グループの意見を無視したまま、自らも気が抜け、国民も気が抜け、結果も惨敗の防疫政策を進めてきた韓国政府は、性格破綻のリーダーだろうか。 無能なリーダーなのか? 政府は今からでも中央臨床委員会を再び呼び、専門家主導の防疫政策に切り替えなければならない。 それだけが国民からの信頼を回復できる唯一の道だ。
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なんとも日本をずいぶん高く評価してくれたものです。この記事には現時点で6件のコメントがあり、4件は筆者を批判、2件は評価するものでした。
元々、韓国のK防疫とは、①GPSやカード利用履歴等を使った行動追跡とそれを利用した②クラスター潰しでした。①は、好むと好まざるとにかかわらず効果はあり、台湾もすぐにオードリー・タン氏の指揮の下、同様のシステムを構築しました。(その人の行動経路を地図上で確認できるようなシステムでした。)台湾は、それと共に徹底した水際対策を行ったので、そもそも市中感染が少なく、初期段階でコロナの封じ込めに成功しましたが、K防疫と同じやり方です。ここまでは良かったのです。
大邱(テグ)市の教会(新天地教会)での大規模感染も、大規模なPCR検査で封じ込めましたが、人数が多いだけで、実際は範囲を絞ったクラスター追跡で封じ込めたものです。〔→国家基本問題研究所:【韓国情勢】誤認されている韓国のコロナ検査の実態 西岡力〕
クラスター追跡ができる内は良かったのですが、経路不明の市中感染が広がると、韓国では、“引っ込んでいるモグラ”も叩き始めました。ドライブスルー方式など大規模に無料のPCR検査を実施し、それによって市中感染を未然に防ごうという方式です。
これは、「知らずに感染者の発生した場所にいた人に対してアラームを送り、PCR検査を促すというシステム」が始まりだと思います。光化門広場での反文在寅デモを見に行った産経の黒田勝弘記者にもアラームが来た(恐らく、その中に感染者が出たのでしょう)と言っていたので、範囲を広げすぎました。国民の間にも、自覚症状がなくてもPCR検査を受ける事が自然となりました。
一方、日本の方式は、“飛び出たモグラ” (=自覚症状があり発熱外来を受診した人)と(陽性判明後に)その周辺だけを調べるので、後手と言えば後手です。しかし、市中感染拡大後にPCR検査で広範囲なスクリーニング(ふるい分け)調査をするのは、砂浜で砂粒をより分けるような非効率的な方法なので、いくら “ケンサーズ”(共産党や立憲民主党、マスメディアと言ったPCR検査至上主義者)が「韓国に学べ!」と言っても、政府は耳を貸しませんでした。
ネット上でも、PCR検査とはどういうものかを説明し、PCR検査が偽陰性を大量に生み出す害悪を説く医師が、ワイドショーなどに騙されないようにと警鐘を鳴らしていました。そして、一般の日本人の多くが、ケンサーズ達は、医療崩壊により政権を失脚させようとしているのだと悟ったのです。日本の場合は、2類に指定された新型コロナ患者は病院に入院させる事が法律で決まっているからです。
ちなみに、昨年の4月頃は、ドイツも「大規模なPCR検査」をコロナ対策の3つの柱の1つにしていました。但し、この頃は、PCR検査を受けられる基準は、「熱や咳などの症状があり、2週間以内に下記のいずれかの場所(として、イタリアとかスイスの○○地域とか列記)を訪れた者」としていました。当初はスキーリゾートで感染する若者が多かったからです。その後、ドライブスルー方式等で広範囲にテストし始めました。また、ニュースで見た限りでは、軽症者は自宅で療養し、かかりつけ医が電話やパソコンカメラなどでサポートしていました。
シンシアリーさんも書いていますが、福島の原発処理水の海洋投棄に関して、韓国の専門家は当初「韓国への影響は少ない」という論文を書いていました。しかし、いつの間にか、その論文はサイトから消されました。
韓国でも正論を述べる専門家はいるのです。が、このライターのような文も主要メディアには載らず、主流な意見とはなりません。
ところで、タイトルにした「2020年8月に東京の一般サラリーマンは46%以上が抗体を持っていた」という研究ですが、ブログ主は知りませんでした。これが事実なら、「東京の」というのがミソでしょうね。恐らく、満員電車でクラスターが発生したのでしょうが、どのみち追跡できないし、「経路不明」で処理されていたのでしょう。【追記】この論文を見つけました。但し、査読されていないようです。
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