【月間正論】金正恩のリムジン密輸:美濃物流ははめられた
ブログ主は金正恩のリムジン密輸について興味を持って、このブログでも幾つか記事を書きました。(カテゴリ『【国際】韓国(金正恩のリムジン密輸)』その続報が月間正論2019年11月号に『「金正恩のベンツ」不正輸出事件 韓国が隠蔽する黒幕』(古川勝久)として掲載されています。
この密輸事件はアメリカのシンクタンク「C4ADS」が7月に発表したレポートで明らかにされたのですが、その中に日本から釜山にリムジンを運んだ日本企業が中心人物かのように大きく取りあげられました。
しかし、この企業は実は中国大連市の物流会社によって利用された、というのです。
この件について書いたエントリーの一つが『【北朝鮮・韓国】金正恩のリムジンの輸送ルート:リムジンを積んだ船が釜山を出航して何故か石炭を積んで帰る』なのですが、そこから概要をおさらいとして転記します。
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リムジンの密輸に関しては、①ロッテルダム(オランダ)→②大連→③大阪→④釜山(韓国/ここでトーゴ籍の貨物船に積み替え)→⑤ナホトカ(航空便?)→⑥北朝鮮というルートで、釜山までの輸送には尼崎市の企業が関わっていると書かれています。(取締役やCEOは中国名らしき名前で、瑞祥株式会社、美濃物流、MINO Logisticsと名前は異なれど、同一の企業らしい。)
しかし、ルートの中で一番不可思議なのは、釜山を出てナホトカに向かったはずのリムジンを載せた貨物船が自動船舶識別装置(AIS)の送信を止めて18日間、行方不明になっていることです。
この船はナホトカに入港した記録はないのですが、再びAISを作動させてから釜山港に「ナホトカからの石炭」を積んで戻ります。この石炭の荷受人(=consignee/貨物の引き取り人)は韓国のEnermax Koreaという会社で、この会社は今回と同じ船「DN5505」で、2018年4月に北朝鮮の船から石炭を瀬取りしており、相手の北朝鮮の貨物船「ワイズ・オネスト」はアメリカに差し押さえられています。
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上にも名称が書いてありますが、③大阪→④釜山の輸送を請け負ったのは美濃物流と言う企業で、社長は徐氏という方です。
古川勝久氏のルポによると、美濃物流は最初、大連の企業から別の取引(日本からの飲料の輸出)を持ちかけられ、そのやり取りをしている間に急にメルセデスベンツの輸送の話に変わり、美濃物流は消極的だったものの渋々その仕事を引き受けた、ということが通信記録から見て取れるそうです。
また、後に発覚したことには、書類上、メルセデスベンツの購入者にもされていたとのことです。
美濃物流はC4ADSの報告書で実名が報道されて深刻な打撃を受けているとのことで、真相究明の調査を行っていて、その依頼を受けた一人が古川氏です。
今回の記事はまだ調査の中間報告の様な形ですが、リムジン密輸事件はこれまでに報じられている以上に多くの企業が関わっていて複雑であることが明るみに出始めています。
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この件とは直接関係ありませんが、韓国で今話題の「タマネギ男」こと曺国法相(チョ・グク)も親族(義兄)が北朝鮮との石炭運搬に関わっていたという疑惑が出ています。(当然、国連制裁違反)
曺国氏のスキャンダルは日本人にとってはどうでもいいことですが、こうした制裁破りが韓国で横行しているのなら、やはり「信頼できない国」として、日本の輸出管理が厳格されても当然のことでしょう。
この件に関してはこちらの記事『japan_Indepth:韓国法相の親族に新たな疑惑(2019/9/26)』に詳しいので興味があればお読み下さい。
ここではメモとして、上記記事から朝鮮日報で報じられた内容を記した部分を引用しておきます。
朝鮮日報2019年9月18日付けは、韓国法務部長官・曹国(チョ・グク、54)氏の義兄(義弟ではない)チョン氏(56)が所属するA海運が北朝鮮産石炭運搬に関与したという疑惑を次のように報道した。
『自由韓国党チュ・グァンドク議員室によると、A海運の関連会社は、2017年6月に保有していた「ドンチン上海」号を中国系船会社に売却。その後この船は、中米の国であるベリーズ国船籍となり「シンソンハイ」号に名前を変えた。その後同年7〜8月にこの船は、北朝鮮南浦港で石炭を乗せ、中国・ベトナムなどに輸送したことが国連の調査で明らかになった。しかしこの船は依然として「韓国船級(韓国管理)」を維持しており、北朝鮮に入港するたびに船舶自動識別装置(AIS)を消していたという。
韓国政府が発表した対北朝鮮独自制裁によると、北朝鮮に寄港した外国船舶は、1年間韓国の港に入港できない。しかし、シンソンハイ号は、北朝鮮に立ち寄った後、10〜11月に4回にわたって仁川・釜山・浦項・麗水港を出入りした。これに対して、米国の声(VOA)放送は「北朝鮮を寄港した船舶の追跡と監視が行われていなかったか、北朝鮮寄港事実を把握しながらまともに対処していなかったとの批判を受ける問題だ」と指摘している。
シンソンハイ号は、(国連)安保理制裁違反容疑を受けているという事実が知られると、名前を再び「タレントエース」に変えて、国際海事機関(IMO)の登録番号まで変更し「身分ロンダリング」を試みたことが分かった。昨年1月群山港に抑留された「タレントエース号」は、現在金属スクラップ廃棄手続きを踏んでいる。
A海運は、他の海運会社に比べて小規模だったにもかかわらず、2017年8月に国籍コンテナ船会社の協力体である韓国海運連合のメンバーとして参加し、業界では、特恵騒ぎが起こった。当時は、A海運関連会社が中国系船会社にドンチン上海号を売却した時期とほぼ重なる』(朝鮮日報韓国語版2019・9・18)
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