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【国内政治】 テロ等準備罪

ブログ主の頭の中を整理するための覚書

2017/06/19

【テロ等準備罪】 (1) なぜ必要か?、誰が対象になるのか?

テロ等準備罪法(改正組織犯罪処罰法)が(2017年)6月15日に成立しました。

委員会の審議・採決を省く、異例の「中間報告」での採決でしたが、ブログ主はいくつかの委員会を視聴したり、民進党が多くの委員会を審議拒否する様や日本維新の会の東議員の質疑を遮って委員長への問責決議案を提出するのを見て、やむを得ない処置だと思いました。

 

ブログ主は法律関係の知識が乏しいため、テロ等準備罪について、専門的、体系的にまとめることはむずかしいのですが、関連サイトのインデックスも兼ねて自分の覚書としてブログ記事にしておこうと思います。

幸い、6月16日付読売新聞朝刊にはかなりの紙面を割いて説明があり、特に、読売独特なのですが、このような重要な法律や事件などがひと段落すると『基礎から分かる○○』(今回は『基礎から分かるテロ準備罪法』)というまとめ記事を掲載するので、これを参考にします。

 

 

 

 

参考資料

最初に、参考資料をまとめておきます。

 

【資料】

  1. 6月16日付読売新聞朝刊
     
  2. なぜ日本は「組織犯罪封じ込め条約」に乗り遅れたのか
    坂口祐一・論説委員に聞く(Nikkei Plus10 2017/2/6 10:00)
    Q&A形式で分かりやすい
     
  3. 法務省『組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案』 (下記はPDF/必要なもののみリンク)
    • 要綱
    • 法律案
    • 理由
    • 新旧対照条文
       
  4. 法務省
  5. 衆議院 審議インターネット中継(2017/06/16 法務委員会

    参考人として、木村圭二郎(参考人 弁護士 ニューヨーク州弁護士) 、椎橋隆幸(中央大学名誉教授 弁護士)、海渡雄一(弁護士) 加藤健次(弁護士) 、指宿信(成城大学法学部教授)
     
    質問者は、山田賢司(自由民主党・無所属の会) 、國重徹(公明党)井出庸生(民進党・無所属クラブ) 、畑野君枝(日本共産党)、松浪健太(日本維新の会)
    以上敬称略

 

 

●なぜテロ等準備罪が必要なのか?

(このブログ記事では、この法律を「テロ等準備罪」で統一します。)

TOC条約に加盟するためです。(英名:United Nations Convention against Transnational Organized Crime = TOC条約/国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約/パレルモ条約とも呼ばれる。)

TOC条約を締結することで、テロなどの組織犯罪について、締約国間での捜査協力や犯罪人引き渡しなどが円滑になります。

TOC条約は、組織的な犯罪集団への参加・共謀や犯罪収益の洗浄(マネー・ローンダリング)・司法妨害・腐敗(公務員による汚職)等の処罰、およびそれらへの対処措置などについて定める国際条約で、日本は2000年に署名しましたが、締結には至っていません。現時点で未締結の国は、日本以外に、イラン、南スーダン、ソマリア、コンゴ、ブータン、パラオ、パプア・ニューギニア、ソロモン諸島、ツバル、フィジーと、11カ国のみです。

 

過去、日本がTOC条約に入れなかったのは、締結国の条件として、

“重大な犯罪”の実行の“合意”と“参加”の両方かいずれかを犯罪と位置づける国内法を整備する必要

があり、これが日本にはなかったからです。

 

上記を補足すると、“重大な犯罪”とは「懲役・禁固4年以上の刑が科せられる罪」で、過去廃案になった法律ではこれを全て洗い出して676の犯罪としましたが、今回はここから更に絞り込んで、277の犯罪に限定しました。

この277の犯罪とは、資料3「法律案」のP.16以降に書かれていますが、先日AbemaTVの『みのもんたのよるバズ!』で使っていたパネルが分かりやすかったのでキャプチャを貼ります。(この番組では「共謀罪」と表記していました。)

 

Terr01

 

①~③は分かりやすいかと思います。

④は国会審議でも民進党の山尾議員などがさかんに言っていたキノコ泥棒が含まれるのですが、これは(これだけでなく民進党の質疑はこの手法が多いのですが)、一般人も、うっかり犯してしまいそうな罪と混同させて不安を煽ろうとして言っていたことで、

前提条件が「組織的犯罪集団に属している」ということを無視

しています。

④の犯罪は主に、

犯罪集団の資金源の調達に使われることを想定

していて、AbemaTVのコメンテーターの一人が言っていましたが、具体的なストーリーがないと分かりにくいのです。

例えば、キノコ泥棒にしても、組織的犯罪集団が保安林で高価な松茸を採取することや、海でアワビなどを違法に獲ることを想定しているというような説明がないと分かりにくいかと思います。

犯罪集団に属していない普通の人がこういったものを違法に採取したら、

現行法で処罰されるだけ

で、テロ等準備罪に問われるわけではありません。

 

その他に話題になったものに「著作権法」もありましたが、これも海賊版CDを大量に作ることが想定されるという説明が審議の中でなされています。

 

その他の例として、「森林法」に関し、資料5の法務委員会で公明党の國重議員が出していた例を引用します。

森林法における保安林の区域内における森林窃盗については、実際に、良質の山砂を盗掘して販売する目的で、保安林の区域内である国有林で長期間にわたり継続的に従業員等を使ってユンボなどの重機を用いて山砂の掘削を繰り返して、時価約四千万円にも相当する五万立方メートルを超える山砂を採取した事例もある、このように紹介をされております。

 

●TOC条約の共謀罪を採用するのか、参加罪を採用するのか

ここで言う「共謀罪」は過去廃案になった「共謀罪」ではなく、一般的な意味です。

先に、『“重大な犯罪”の実行の“合意”と“参加”の両方かいずれかを犯罪と位置づける国内法を整備する必要』と書きましたが、

“合意”を犯罪と位置づける法律は一般的に共謀罪、“参加”を犯罪と位置づける法律は参加罪と呼ばれます。

これはTOC条約第5条に定義されていて、参加罪は、犯罪活動以外の「その他の活動」に参加するだけでも処罰の対象となる、範囲の広いもので、一方、共謀罪は「重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意すること」を犯罪とする、狭いもので、今回のテロ等準備罪では「共謀罪」を選択し、「計画・実行」だけでなく「実行準備や予備」も構成要件に加えた、より厳格なもの(限定されたもの)になっています。

「実行準備や予備」とは、ハイジャックを例にすると、航空券の予約や凶器を持って現場に行くこと(ハイジャック自体はこの時点では未遂)等が該当します。

 

下に資料3「テロ等準備罪QA」に書かれているTOC条約第5条-1を転記しておきます。(i:共謀罪、ii:参加罪)

第5条 組織的な犯罪集団への参加の犯罪化

1 締約国は,故意に行われた次の行為を犯罪とするため,必要な立法その他の措置をとる。

  • (a) 次の一方又は双方の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)
     
     (i) 金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって,国内法上求められるときは,その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの
     
  •  (ii) 組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動又は特定の犯罪を行う意図を認識しながら,次の活動に積極的に参加する個人の行為
      a 組織的な犯罪集団の犯罪活動
      b 組織的な犯罪集団のその他の活動(当該個人が,自己の参加が当該犯罪集団の目的の達成に寄与することを知っているときに限る。)

 

なお、民進党等一部の野党はテロ等準備罪を作らなくても、現行法のみで要件を満たすと主張しています。これに対しては、資料4『現行法のままでも条約を締結できるのではないかとの指摘について』にて法務省が見解を述べていますが、殺人予備罪のような準備行為をしただけでも犯罪となるものは一部の犯罪に限定され、対象とする犯罪には予備罪のないものがあるからです。

その他、資料5の法務委員会議事録でも椎橋参考人、木村参考人が説明しています。

また、日弁連(日本弁護士連合会)は統一した見解としてテロ等準備罪に反対しています。が、資料5の議事録を読めば分かるように、木村弁護士は賛成の立場をとっています。議事録を読んだり活動内容を調べれば、各参考人がどのような立場かはおおよそ分かるかと思います。(例えば、海渡参考人は福島瑞穂議員の夫〔事実婚〕です。)

 

以下に、資料5より、木村参考人の発言を転記しておきます。

○木村参考人 (前略)残念ながら、今回のテロ等準備罪に関する日弁連の意見書には正面から反対をさせていただいています。日弁連の意見はすばらしいものが多いのですが、時に、特定の考え方を持った会員の意見が強く反映されることがあるように思います。テロ等準備罪への反対意見書もそのようなものと考えています。
 私は、弁護士が一枚岩となって反対しているという誤解を与えてはいけないと思い、呼びかけ人の一人として、百三十名の弁護士の意見として、組織犯罪対策としてのテロ等準備罪に賛成をする立場で提言書をまとめ、関係省庁及び各政党に対し送付をさせていただきました。(後略)

○山田(賢)委員 ありがとうございます。
 そこで、改めて木村参考人にお尋ねしたいんですが、木村参考人のようにこれはぜひとも創設すべきだというような御意見というのは、日弁連さんの意見表明なり決議なりの過程においては反映されなかったのか、あるいは、こういったことを言う機会があって、十分議論して、その上で日弁連全体としてこの意見表明になっているのか、この辺をちょっとお聞かせいただけますでしょうか。

○木村参考人 日弁連が今回、反対の意見書を出すに当たって、さまざまな内部手続が行われるんですけれども、それに対して私は言いたいことがたくさんあるんですが、ここに出席するに当たりまして、執行部の方から、日弁連の内部手続については一切口外してはいけないというふうに言われましたので、そのお答えについては、ちょっとお答えできかねます。

 

●誰が対象になるのか?

下は、資料3「テロ等準備罪QA」からの転記です。既に上で説明したことで理解は可能かと思いますが、次回、もう少しまとめようとおもいます。

 

テロ等準備罪処罰法案による改正後の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(組織的犯罪処罰法)

(テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)

第6条の2

  1. 次の各号に掲げる罪に当たる行為で,テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち,その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第3に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動(※) として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は,その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配,関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは,当該各号に定める刑に処する。ただし,実行に着手する前に自首した者は,その刑を減軽し,又は免除する。

    一 別表第4に掲げる罪のうち,死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 5年以下の懲役又は禁錮

    二 別表第4に掲げる罪のうち,長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 2年以下の懲役又は禁錮


  2. 前項各号に掲げる罪に当たる行為で,テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ,又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し,若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も,その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配,関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは,同項と同様とする。
     
    (※)団体の活動:団体(共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって,その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるもの)の意思決定に基づく行為であって,その効果又はこれによる利益が当該団体に帰属するもの 〔第2条第1項・第3条第1項〕

 

今国会で、議論が深まらなかったという批判があり、読売新聞でもそのように指摘されていますが、ブログ主も同意します。

が、その原因の一端は、一部野党の、議論のためではなく法務大臣の失言を引き出そうとする質問や、山尾議員の“きのこたけのこ”論のような陳腐な質問、(ブログ主のような“一般の市民”には)一般の市民とは思えない例での質疑が多く、大臣や参考人(林刑事局長)の答弁時間がそれに多く費やされたことが原因だと思います。

例えば、参院法務委員会 小川敏夫議員質疑 2017年6月13日では、「私がヤクザに誘われてヤクザの利益のために一緒に ついついその気になって(犯罪行為を)やっちゃったら処罰されますよね? じゃあ、一般の人が同じことをやったら処罰の対象になるんですよ。犯罪の構成要件として、一般人であっても。」という発言がありましたが、ヤクザと一緒に犯罪行為を行う人間が一般人とは思えません。(リンクは民進党公式YouTube。参議院インターネット審議中継はこちら。但し、アーカイブスから6月13日の法務委員会を選択する必要あり。

また、5月19日の衆議院法務委員会では民進党枝野議員が「業績が悪化した会社が、取締役会でオレオレ詐欺を行うことにした。社員は、本当はやりたくないが、上から言われたのでしかたなく参加した。これって普通でしょ?」(←枝野議員にはこれが“一般市民”ということらしい。

こんな質問にいちいち答えなくてはならない林刑事局長が気の毒でした。

この記事は必要に応じて加筆修正します。

 

 

 


 

2017/05/28

【ブログ主覚書】NHK日曜討論 テロ等準備罪があればオウムの事件は防げたのか?

この記事はブログ主の覚え書きで、各種ソースのインデックスを作成する目的です。

今朝(2017/05/28)の日曜討論で、 「賛成?反対? 激論“テロ等準備罪”」 というテーマで討論があった。(【司会】島田敏男、松村正代)

出演者は

賛成派として、

  • 木村圭二郎 弁護士
  • 井田良 中央大学法務研究科教授、慶應義塾大学名誉教授、法学博士、名誉法学博士
  • 門田隆将 ジャーナリスト、ノンフィクション作家

反対派として、

  • 高山佳奈子 刑法学者。京都大学教授
  • 山下幸夫 弁護士
  • 江川紹子 ジャーナリスト

(敬称略)

 

 

 

 

相変わらずの高山佳奈子氏の“とんでも理論”の展開に辟易したが、木村圭二郎弁護士の、パレルモ条約を批准するにあたり、なぜ今回のテロ等準備罪が必要なのかという説明は分かりやすかった。

録画しなかったのが残念である。(NHKオンデマンドでも観られるらしいが、視聴可能期間が短いようで、過去の放送分も既に終了していたので、機会を逸しそうである。)

 

正直に言って、反対派の論理は、犯罪者やテロリストの立場に立ってのもとしか思えず、聴くに値はしなかったが。

江川紹子氏は「テロ等準備罪があっても坂本弁護士の事件は防げなかった」というオウム真理教に絡めた理論ばかりで、これもうんざりしたが、ふと考えた。

 

“もし、この法律が存在していたら、オウム真理教の一連の犯罪を防げたのか?、防げたとしたら、どの段階で摘発できたのか?”

 

実際、ある時点からは公安等にマークはされていただろうが、現行では犯罪を実際に犯さないと捜査や逮捕はできない。しかし、当時、この法律があれば、サリン等毒薬の材料を入手する段階で法を適用できたのかも知れない。

オウム真理教を題材に、シミュレーションしてみたら分かりやすく、説得力があるのではないだろうか。

 

調べたら、木村圭二郎弁護士は2017/05/16に衆議院法務委員会で参考人として意見陳述を行っていた。(5月16日の衆議院法務委員会のビデオライブラリはこちら

 

 

 

なお、衆議院法務委員会のビデオライブラリを観るなら、5月19日もおすすめ。民進党枝野議員の噴飯ものの質疑が観られる。

「業績が悪化した会社が、取締役会でオレオレ詐欺を行うことにした。社員は、本当はやりたくないが、上から言われたのでしかたなく参加した。これって普通でしょ?」(←枝野議員にはこれが“一般市民”ということらしい。)

 

パレルモ条約とは

(英名:United Nations Convention against Transnational Organized Crime = TOC条約/国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約)

組織的な犯罪集団への参加・共謀や犯罪収益の洗浄(マネー・ローンダリング)・司法妨害・腐敗(公務員による汚職)等の処罰、およびそれらへの対処措置などについて定める国際条約である。略称は国際組織犯罪防止条約。TOC条約、パレルモ条約とも

2000年12月、イタリアのパレルモにおいて、条約及び関連議定書の署名会議が開催され、本体条約には124カ国、「人身取引」議定書は81カ国、「密入国」議定書には78カ国が署名した。

 

テロ等準備罪とは

『組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案』に関する各種資料(要綱、法律案、理由、新旧対照条文)をPDFで公開している法務省のサイト

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00142.html

 

 

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