このところ、100円ショップ・セリアの木材を使ってよく工作をするのですが、これを使ったら、ハウスと言うかディスプレイコーナー(床と2枚の壁だけのハウス)も作れそうだと気づきました。
正確には“ハウス”ではなくて、ヴィネット(vignette/物語のある一場面を切り取ったような作品)用のフレームですが。
こんなの↓。 高さは23cmくらいです。
以前、パン屋のミニチュアを作っていたときに実際のパン屋の画像を検索していて見つけた画像から、竈(かまど)を作りたいと思っていたので、それを置くために、パン屋の店頭ではなく厨房をテーマとしました。
もう一つ、ドールハウス本にあった『森のパン屋さん』という作品にもインスパイアされました。この本の該当作品に関しては小物の作り方は書いてありませんが、ハウスと竈の作り方だけ説明があります。
上の画像は、雰囲気をお伝えできる程度に元画像を縮小やトリミング等、加工したものですが、左側がブログ主が見つけたパン屋の竈、右側がドールハウスの作品です。
さらに、近所の自家製パン屋からもインスピレーションが湧きました。
左の、トリミングする前の竈のあるパン屋は厨房の写真を見ると、厨房自体は現代的なのですが、中にこのような竈を作り付けていて、これを作りたいと思ったのです。
以下、作り方を説明します。
【100均素材を使ったディスプレイコーナーの作り方】
Ⅰ.素材・サイズ
下はサイズや素材の説明です。
ここに書いてあるとおり、ヒノキ棒以外は基本的には100均で手に入る素材です。ヒノキ棒はホームセンターの工作材コーナーで見つかります。(竈は後日ご紹介しますが、紙やスチレンボード、針金といった素材で作っています。)
今回、床は1cm厚のスチレンペーパーを使いました。これはレンガを表現したかったからで、100均木材を使っても構いません。(スチレンペーパーとはスーパーの肉や魚が載っている様な白いトレイの素材です。これの両面に紙を貼ったものもあり、そちらはスチレンボードと呼ばれます。100均で売っているのはスチレンペーパーですが、アイドルの応援うちわの素材として片面だけカラフルな紙を貼ったものも売られています。)
ここで、セリアの板材(ダイソーにも同じようなサイズの板があります。)に付いて書いておくと、厚さ0.9cm/45cm長で幅15cm、12cm、9cmの3種類の桐板があります。他にも細い板(棒)や、厚さ3mmくらいの30cm四方の合板もあります。合板も素材は桐で、両面に桐を薄く削ったシートが貼られているものです。
一般にドールハウスは7mm厚くらいのシナベニアを使うことが多いようですが、ホームセンターの板は大きく、それなりの道具がないとパーツを作れません。
しかし、桐は柔らかいので切りやすく、上の様に既に小さくカットしたものが数種類あるので、最低限の加工(カット)で済むように考えました。
更に桐は軽いので、ボンドだけでも組み立てが可能で、このくらいのサイズなら壁掛けにもできます。
今回は15cm幅と9cm幅のもの、それと底に合板を使いました。
作品の高さが22.5cm(正確には底に合板を貼っているので22.8cmくらい)なのは、45cmの板を半分にしたからです。
残った部分でもう一つ作れます。
なお、木材をカットするのに便利なノコギリを以前(バードフィーダーの作り方を説明した記事)でご紹介しましたが、これに限らずノコギリで木材をカットすると、刃の厚み分、どうしても1mmくらいはロスしてしまいます。これがピラニア鋸なら刃が薄いので0.5mmくらいで済みます。(→ピラニア鋸について書いた記事)
スチレンペーパーの小口を隠すために1cm幅のヒノキ棒(3mm厚)を貼りました。
底に合板を貼っていますが、一回り大きな台座(飾り台/デコパージュ台)を作ってその上にディスプレイコーナーを貼り付けてしまうなら、合板は不要です。
台座も作る予定ですが、このディスプレイコーナーだけを壁掛けにする場合、底(裏)にスチレンペーパーが見えてしまい、見苦しいので合板を貼りました。
Ⅱ.手順
- 壁となる2枚の板をカットする。
- 今回は、15cm幅(背面)と9cm幅(側面)の板を使い、それぞれ1/2の長さにカットました。
- 側面に12cm幅の板を使えば、もう少し奥行きのあるものが作れます。
- 床用の素材(スチレンペーパー)をカットする。
- 床のサイズは15cm×8.1cm(9cm-板の厚さ0.9cm)になるのですが、厚さ3mmのヒノキ棒を小口に貼るため、14.7cm×7.8cmにしています。
- フローリングの床にするなら、板材をそのまま、あるいは、その上に1cm幅(2mm厚)くらいのヒノキ棒を貼ってもいいかと思います。
- 床を着色する。
(竈の作り方はここでは省略します。)
- 壁の板を塗装する。
- ここでは内側は漆喰風、外側は板のままステイン(木部用塗料)を塗っただけで済ませましたが、まず、全体にステインを塗りました。
片側だけ塗ると、水分で板が反ってしまうからで、後でもう片面を塗ることで戻る場合もありますが、両面(全面)塗った方が安全です。
(ステインだけでなく少し大きなものを塗装するとき、板を乾かすのに、大きなゴミ袋(45Lくらい)を下に敷いておくといいでしょう。新聞紙などの紙ではくっついてしまいます。)
次に漆喰風の塗装をします。
- 小口など、塗料を付けたくない部分にマスキングテープを貼っておきます。
2枚の板の接着面(9cm幅の方の端の9mm分)も忘れずにマスキングテープを貼って下さい。
塗装については次章で補足説明をします。
- 壁、床を接着する。
- 作品が小さいのと、桐の板は軽いので木工用ボンドだけで接着しました。(竈部分によって接着面が増えたのも釘を使わなかった理由です。)
更に小釘を打って補強すれば、強度が増します。
- スチレンペーパーは合成ゴム系のボンドなど、ボンドによっては溶けるので注意して下さい。(木工用ボンドや発泡スチロールに使えるボンドならOKです。)
- ボンドを塗って組み合わせたら、乾くまでマスキングテープで固定する。
Ⅲ.塗装について
今回の作品の塗装方法について補足します。
下の画像は今回使った塗料です。100均ものばかりですね。
(註:カネゴンは関係ありません。 )
左の瓶は、2種類のステイン(水性)を混ぜたものが入っています。気に入った色がない場合、このように混ぜて自分の好みの色を作り出しても構いません。
壁に使ったのはセリアのアクリル塗料(右端)で、このシリーズの塗料は落ちついたいい色が多いです。これ以外に、トールペイント用の塗料も値段が手頃(150円くらい)で、色数が多いので便利です。この塗料もトールペイント用塗料と同様、希釈せずにそのまま塗れます。
画像にはありませんが、壁には下のメディウムも使いました。塗料を塗る前の下地剤ですが、ブログ主は塗料に混ぜて塗りました。
これ以外にも表面にニュアンスをつけるメディウム(盛り上げ剤)は色々あり、テクスチュアメディウムと呼ばれます。
塗料については、過去の記事の『ミニチュア製作ワンポイントメモ(No.6): 使用する塗料について』や『床(floor)-ミニチュア制作ワンポイントメモ(No.10)-木部用ニス/ステイン』にも書いています。
上の画像で、混色したステインをガラス瓶(梅干しか何かが入っていた瓶)に入れていますが、こういう瓶とか海苔の佃煮が入っているような瓶(スクリューキャップでしっかり蓋が閉まるもの)は、混ぜた塗料を製作期間中保管するのに便利です。
また、ブログ主はこのような瓶を水を入れて筆洗いにも使います。普段は3つに分かれた陶器製のものを使っているのですが、ちょこっと色を塗りたいときなど、瓶で代用してしまいます。
汚し・ウェザリング・エイジング-パステルを使って-
ミニチュアでは、生活感や使用感、古さを表現するために、“汚し”をかけることがあります。(シャビー・シック-shabby chic-とかいう“ファッション”の汚しとはちょっと違います。)
汚しをかけるものの素材(下地)によって使うものは様々ですが、メディウムによってザラザラした表面にはパステルが使用できます。
パステルはカッターで削って粉にし、柔らかい刷毛で表面に載せていきます。
画像はダイソーのパステルで、セットは2種類ありますが、ウェザリングに使える色は両方にあるので、2種類買っておきましょう。(画像のパステルは2箱から使えそうな色をチョイスしました。)
筆は以前から家にあったものですが、ホームセンターの塗料コーナーにある動物毛の刷毛です。ナイロン筆では硬すぎるかと思います。
この壁の場合はザラザラしているのでそのままでも定着するのですが、念のため、上からトップコートを掛けておくといいと思います。
左側はプラモデル用のもの、右側はUVからの保護もできるアクリル画や水彩画、インクジェットプリンタの印刷物用のもの。(グロス、マットなど質感も選べます。)
次回以降、細部や追加して作成した小物についてご紹介していきます。
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