【災害対策】③火災保険や地震保険について勉強してみた【ブログ主覚書】
この記事はブログ主の覚え書きです。必要に応じて加筆修正する可能性があります。(初稿:2016/06/17 更新:2016/06/19)
火災保険、地震保険、そして家財保険とは
火災保険と地震保険について説明する前に用語の整理です。
単独でこれらの言葉だけを聞いていると、それぞれの関係が分かりにくいのですが、この3つは並列の言葉ではありません。
そもそも、火災保険と地震保険は、それぞれ“建物を対象とするもの”、“家財を対象とするもの”があり、この、“家財を対象とする”保険のことを便宜的に『家財保険』と呼ぶことが多いようです。(参考-①、②…丸数字はページ末の参考資料 以下同)
(図-1)
戸建て住宅の場合、災害時に住居と家財両方の損害に備える必要がありますが、賃貸住宅の場合、家財のみが対象になるので、建物と家財を分ける必要があるのです。
地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、既に1社(A社)で建物のみを対象とした火災保険に加入している場合、契約期間の中途からでも地震保険に加入できます。
また、他社(B社)で家財を対象とする火災保険と地震保険に加入するということはできますが、それに加えて建物を対象とする地震保険にも加入する、ということはできません。
これを踏まえて、現在加入中の保険に不足があれば、補償内容を追加するか、解約して新たに保険を組まなくてはならないのか考える必要があります。
解約する場合、加入中の保険の未経過分の保険料は戻ってきます。
火災保険、地震保険、それぞれどんな損害に対して補償があるの?
火災保険とは、一般的に火災、落雷、破裂・爆発、風災、雪災、雹災、外部からの物の落下・飛来などによる損害 が対象になりますが、盗難や水害など補償の対象外となる(※)ものもあります。また、地震を原因とする火災による損害や、地震により延焼・ 拡大した損害、津波による損害は補償されません。(参考-③、④)
一方、地震保険は地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災・損壊・(土砂崩れなどによる)埋没ま、たは流失による損害を補償する地震災害専用の保険です。(参考-③)
※同一の保険会社の商品でも、シンプルなタイプ、手厚いタイプがあり、どちらがどこまでカバーするかは様々で、大抵パッケージ化されており、ワイドプラン、ベーシックプランなどのような名称でコースが分かれています。(参考-⑤)
(図-2)
次項で述べますが、火災保険は建物の評価額(現在の価値ではなく、同等のものを再取得するための価格)が最高額として、それ以下でも設定できるので、最も手厚いプランと最もシンプルなプランで、それぞれ、保険金額2,000万円、1,000万、500万円での見積もりを取りました。参考まで。(前提:昭和56年6月以降取得/神奈川県/木造=非耐火住宅/保険料は月額で計算を依頼)
なお、これ以外に一時的な費用補償が自動的に付きます。火災保険の保険金額の5%で、目的は仮の修理費や仮住まいのサポートやお見舞い金のような性格のものです。
従って、地震による被害を含めて、どこまでカバーするかを考慮しつつ、保険料と見合うかどうかを吟味する必要があります。
(図-3)
火災保険は原状復帰が目的 地震保険は火災保険の被災後の生活再建が目的
これは火災保険と地震保険とでは基本的な考え方が違うからです。(参考-⑥)
火災保険は“損害を受けたものを保険金で修理・再購入する”ことを目的とし、地震保険は“被災後の生活再建”をサポートするものです。
火災保険はまず保険金額の最高額は「再調達価格」になります。
現在、同等の家を新築した際にいくらかかるのか、修理して現在と同じ価値に復帰するのにいくらかかるのかという金額が「建物評価額」で、これが保険金の最高額です。(再調達価格が例えば3,000万円の場合、保険金を2,000万円というような設定は可能です。)
従って、「建物評価額」を保険金額とした場合、全焼・全壊の場合は満額、全焼・全壊以外では原状復帰のための修理費が損害額と見なされます。
一方、地震保険は最高で火災保険の保険金の50%の金額までしか設定できません。(30~50%の範囲内で任意) 火災保険と同額まで引き上げるために上乗せ特約が付けられる保険会社もあります(参考-⑦)が、特約分の保険料は地震保険の保険料の2倍ほどと高額です。
(図-4)
更に、地震保険の場合は、全損・半損・一部損の三段階で評価され、一部損の基準に満たなければ保険金は支払われません。(2017年から四段階に変更→次項参照)
地震保険については次項で更に説明します。
地震保険の保険料は2017年から段階的に引き上げ
地震保険は政府と民間の保険会社が共同で運営する公的な性格の保険なため、保険料はどこの保険会社で入っても変わりません。(参考-⑧)
参考-③を読むと分かりますが、地震は大規模で被害金額が莫大になり得る災害なので、民間の保険会社は再保険(保険の保険みたいなもの)を掛けており、その引受先が国なのです。
地震保険の保険料率は主に次の2つの要素で決まります。
- どこにあるか?(所在地)
- 何ででできているか?(構造)
住んでいる場所により地震に対するリスクが異なるので、保険料は居住地(都道府県)により異なるわけです。
例えば、現在、耐火建築の建物の保険金額1,000万円に対する保険金額は北海道では年額8,400円、東京、神奈川、千葉では20,200円です。
更に、昭和56年6月以降に取得した場合や、それ以前でも耐震診断を受けたり改修を行って「耐震基準適合証明書」や「住宅耐震改修証明書」がある場合など、割引がなされて保険料が決定します。(参考-③)
これが、地震の危険度を計算し直した結果、2017年1月に全国平均で5.1%上がり(安くなる都道府県もある)、2、3年程度の間隔で段階的に引き上げられ、最終的には通算で19%引き上げられることが決まっています。
また、家屋の被害に応じた損害区分も現行の全損・半損・一部損の三段階から四段階に変わり、保険金の支払い割合が50%の半損が大半損(60%)と小半損(30%)に分かれます。
地震保険料と都道府県別の改定率一覧(→表 /参考-③)
【参考資料】
- ① 日経マネー研究所『意外と知らない 地震保険のウソとホント』
- ② All About 『家財保険とは? 特徴と比較のポイント』
- ③ 財務省 『地震保険制度の概要』
- ④ All About 『火災保険とは?』
- ⑤ 日経interesse(No.242) (図-2、3)
- ⑥ All About 『火災保険と地震保険は何が違うの?』
- ⑦ 日経 『地震保険、補償を上乗せ』(2016/03/09)
- ⑧ 読売新聞 『知って安心 地震保険』(2016/01/12)
- ⑨ All About 『地震保険、保険料率の決まり方と保険料』
今回、保険の見直しを行う際に少し詳しく勉強してみました。
上に挙げた参考資料は、手持ちの参考資料(新聞記事や保険会社のパンフレットなど)だけでは不明な点や、その裏付けを取るためにネットで探して参考にしたものなので、せめて上記のネットにあるものくらいは目を通しておくとよいと思います。
地震保険を保険会社に見積もりを取る場合、
- 家の取得日(昭和56年6月以降取得か否かがポイントのため)
- 家の構造(耐火、非耐火)
- 家の面積
- 所在地(都道府県)
- 同居人人数(家財に対する保険の算定根拠になる)
が分かればOKです。
保険会社に見積もりを依頼すると、大抵、最大限度額の保険金で最も手厚いプランで見積もりを出してくるはずです。保険金額はどれくらい欲しいのか、自宅の所在地によりどんな災害を想定すべきか、ローンや預貯金の有無などによってもどういう補償が必要か個人によって異なるかと思います。
また、パンフレットにはプランの一覧表の下などに小さな文字で、補償を外せるものや限定できるものも書いてあります。相見積もりを取る場合にも、1社の補償内容を良く理解した上での方が比較のポイントも見えてくるのではないでしょうか。
最近のコメント