公開: 2018/02/10 最終更新: 2018/02/14 7:43
前回のエントリーで憲法9条と自衛隊について考えたのですが、更に考えさせられる動画やニュースを観たので、再度まとめておこうと思います。
今週、北陸を襲った大雪で、福井県では車約千台が立ち往生、犠牲者も出るという災害がありましたが、これを報じるテレビ朝日・報道ステーションの富川アナウンサーの心ない発言がネットで炎上しています。
国会でこれを取り上げた野党議員もいて、たまたま視聴していましたが、先頭の大型車が脱輪、片側1車線の国道のために除雪車も出せなかったということで、千人を超す自衛官が賢明の手作業で除雪を行いました。
https://twitter.com/i/web/status/961935519792820224
【福井大雪】報ステに批判殺到「自衛隊の除雪わずか1.5km」http://hosyusokuhou.jp/archives/48810693.html …
ネットの声
湿った雪は重い 1㎡厚さ1mで200㎏ 10m路幅1mで2トン 1.5kmの雪は3000トン しかも車輪周りは機械NG人力で運ぶ その途方もなさを考えろよテロ朝
隊員の方々への感謝や敬う気持ちがあれば絶対に出ない発言
リンク先に報ステの動画がありますが、1100人ほどの自衛官が作業し、220台を救うも、「24時間で除雪できたのは、手作業がメインだったこともあって、わずか1.5km」と発言しています。
ニュース全体ではなく切り取られたものなので、個人的な判断は控えますが、炎上していると言うことから想像すると、全体を聞いても自衛隊の方々に対する感謝の念やリスペクトが感じられない報道のしかただったのでしょうか。
少なくとも、投稿された動画部分には、作業されている自衛官の方へのねぎらいの言葉はありませんでした。
【追記】髭の隊長こと佐藤正久外務副大臣もこの報道には苦言を呈しています。
佐藤正久認証済みアカウント@SatoMasahisa
https://twitter.com/SatoMasahisa/status/961868433385074689
【皆さん、どう思われますか?重機が入れるところは地元の建設業者等も行なっています。】 現場がわかっていないような気がします。重機が入れない場所こそがポイントでは?
なお、今回の福井県への自衛隊派遣については防衛省・自衛隊のサイトに『福井県における大雪に係る災害派遣について』として報告されていますが、それによると、派遣規模は、
- 人員約410名(延べ約4,925名)
- 車両約70両(延べ約805両)
だそうです。
5日には佐賀県で自衛隊ヘリが墜落、女の子が軽い怪我を負い、操縦していていた自衛官2名が“死亡”しました。
すっかり平和ボケをしているブログ主は、この報道にさほど違和感を覚えなかったのですが、お亡くなりになった自衛官のご家族のことは気になっていました。単に、家族を亡くしてお気の毒、というだけではなく、国内の一部には、自衛隊を敵視している一定の勢力があるため、ご遺族や隊の方達が肩身の狭い思いをしていないだろうか、という心配からです。が、報道のしかたにまでは疑問を感じませんでした。
自分が平和ボケしていると気づいたのは、昨日視聴したチャンネル桜沖縄支局の番組を観たからです。この番組は月~木19:00からYouTubeなどで放送されるので、最近はLiveで観ています。(動画は翌日にYouTubeの『チャンネル桜沖縄支局「沖縄の声」 』にupされます。)
【沖縄の声】名護市長選挙保守勝利の衝撃波、全国を駆ける/陸自ヘリ墜落、自衛隊ヘリ全機飛行停[H30/2/10]
2018/02/09 に公開
平成30年2月9日金曜日に放送された『沖縄の声』。本日は、ジャーナリストの恵 隆之介氏が「名護市長選挙保守勝利の衝撃波、全国を駆ける」、「左翼勢力は『争点外し』と非難したが市議補欠選挙で市民ははっきりNO」、「陸自ヘリ墜落、自衛隊ヘリ全機飛行停止/ロシア軍北方領土で訓練開始」、「今こそ万国津梁の精神を発揮しよう」の4つヘッドラインについて解説いたします。
※ネット生放送配信:平成30年月2月9日、19:00~
出演:
恵 隆之介(ジャーナリスト・沖縄支局担当キャスター)
島 あずさ(沖縄支局担当キャスター)
惠隆之介氏はコザ出身の元自衛官で、比較的、沖縄県民に対して辛口のコメントをして、番組ではたいてい“お怒りモード” なのですが、名護市長選について語っていらっしゃるときは珍しく終始ニコニコされていました。
が、陸自ヘリ墜落のニュースでは、一転、いつもの惠氏の表情になり、安倍首相に対して批判をしていました。
ブログ主は、この事故に関する安倍首相のコメントをリアルタイムで観ていないのですが、惠氏の批判は、“殉職”された自衛官のご遺族に対する謝罪がなかったことに向けられていました。
前回のエントリーで触れましたが、武官である自衛隊は文民である防衛省の下に置かれています。そして、防衛省の上には内閣総理大臣が位置づけられています。つまり、自衛隊の最高指揮官は内閣総理大臣である安倍首相なのです。
殉職された自衛官は任務で飛行していたわけで、実際に首相の指示で飛行していたわけではないとは言え、全ての任務は形式的には首相の命令なのです。
“軍隊”を持たない歪な国に生まれ育ったため、そういう表現を普段耳にすることがなかったとは言え、そういうことが普段頭からすっかり抜け落ちているブログ主は、部下を任務で殉死させてしまったことに対し、首相が謝らなければならないのは殉職した自衛官の家族、という惠氏の言葉には目から鱗が落ちました。
また、報道で「自衛官が死亡」と表現されることにも批判をしており、遊覧飛行などではなく、任務上の死亡事故なのだから「殉死」と呼ぶべきだということも、惠氏に指摘されるまでブログ主は気づきませんでした。
日頃、自衛官や警察が事件を起こすと、マスコミは殊更自衛官や警察であることを強調して報道します。(普段は正義面をしているにも関わらず自分達の不祥事は極力隠すくせに) 彼らにとりわけ厳しく報道する根底には「日本人や市民を守る立場の人間がそんな規律のないことではどうする」という意識があるのだと思います。
警察官はともかく、
自衛隊は多くの憲法学者や、日教組によって違憲の存在だと言われ続け、一部の野党(特に共産党)からは『人殺し』や『暴力装置』呼ばわりされているにも関わらず、いざとなったら危険を顧みずに国民の命を守ってくれなどと言うのは虫がよすぎるのではないでしょうか。
テレビ朝日の富川アナウンサーなどは、多分、防災救助隊程度にしか思っていないのでしょう。
* * *
もう一つ、惠氏は自衛官が起こした事故は、現行の刑法で裁かれることも指摘していました。これはブログ主も改憲について考えるようになってから問題視していたのですが、たまたま昨日の山本一太氏(自民党参議院議員)のネット番組に出演されていた青山繁晴氏も、現状では、例えば戦闘行為で流れ弾で死亡した隊員がいた場合、殺した隊員は殺人罪で裁かれるかも知れないと指摘していました。
【CafeSta】山本一太の直滑降ストリーム@Cafesta ゲスト:北村経夫参議院議員、青山繁晴参議院議員(2018.2.7)
改憲の話題は1h26m12s辺りから。具体的な言及は1h28m30s辺りから。
下は、陸自ヘリ墜落の原因に関して報じる産経のweb記事。
メインローターが空中分解か 飛行前に初めて部品交換
2018.2.7 06:29更新
佐賀県神埼市の住宅に墜落した陸上自衛隊のAH64D戦闘ヘリコプターが、飛行前に4枚の羽根をつなぐ部品メインローター(主回転翼)ヘッドを初めて交換していたことが6日、分かった。メインローターは上空でばらばらになったとみられ、機体部品は広範囲にわたり散乱していた。陸自は整備不良が原因となった可能性もあるとみて、点検の経緯を詳しく調べる。
メインローターが分離する事故は極めて異例。国土交通省航空局は、民間機で同様の事故は把握していないとしている。陸自と県警は業務上過失致死と航空危険行為処罰法違反の容疑で現場検証を実施し、機体からフライトレコーダー(飛行記録装置)を回収した。
この事故で副操縦士の高山啓希1等陸曹(26)が死亡。全身を強く打ったことによる外傷性ショックが死因だった。また行方不明だった機長の操縦士、斉藤謙一2等陸佐(43)の遺体が機体下から見つかった。墜落で炎上した住宅に住む川口貴士さん(35)の長女(11)も軽傷を負った。
(以下略)
日本には軍法がないために、軍法会議もありません。
自衛隊を軍隊と位置づけずに軍法を制定できるのかどうかはよく分からないのですが、これも改憲論議の一部として、広く国民に知らしめて欲しいものです。
* * *
話を『チャンネル桜沖縄支局』に戻しますが、この番組では、日替わりのキャスターが出演されます。
月曜日のボギー・テドコンさんと水曜日の栗秋琢磨さんと宮平大作さんのコンビのときは主に『沖縄左翼』の実態、惠隆之介さんは元自衛官の目から観た危機管理や沖縄県民の甘えの構造(※)を指摘することが多いようです。火曜日は我那覇真子さんとブログ”狼摩人日記”管理人の江崎孝師匠がキャスターです。
先週の名護市長選の結果を受けて、今週はどのキャスターも終始ニコニコ顔だったことは確かなのですが、我那覇さんは、チャンネル桜の別の番組ではちょっと違うことを言っていました。
彼女はずっと前から常に「正論」を言い続けています。
今回当選した渡具知氏は確かに保守(自民・公明・維新推薦)なのですが、海兵隊の県外移設を掲げる公明沖縄支部の支持を得るために公約協定を結んだことをずっと批判していました。そのため、我那覇さん一家は名護市民なのですが、名護市長選ではあまり発言するなと周囲から言われていたそうです。
ブログ主もこの姿勢は見習おうと思います。
つまり、今後、加憲案の9条改正案が出てきたとして、国民投票にかけられることになれば、第1ステップとして賛成の票を投じるつもりですが、意見としては、2項の書き換えや自衛隊を軍隊として認めるという正論を唱える決意をしました。
自民党、特に安倍首相も、よく、「自衛隊を憲法に明記しても、今と変わらない」などと曖昧な表現をしたり、「自衛官の子供が使う教科書に『違憲という論議がある』のは可哀想」といった情緒的なことを言いますが、正面から、改憲の必要性を説明して欲しいと思います。
名護市長となった渡具知氏は辺野古移設に関しては最高裁の判断に従う旨の発言をしているので、取り敢えずは、公約を実現することに専念して市民の信頼を得るのが最善ではないでしょうか。
2018/02/07 に公開
【沖縄の声】オール沖縄に大打撃!名護市長選挙は新人の渡具知氏が初当選/翁長知事を追い詰める法定闘争[桜H30/2/7]
2018/02/08 に公開
【Front Japan 桜】皇室報道の罪と罰 / 田母神裁判判決へ / 我那覇真子~名護市長選は本当に良かったのか / 習近平はスターリン再来 / 凄技!北の謀略宣伝戦 [桜H30/2/8]
2018/02/09 に公開
【我那覇真子「おおきなわ」#5】名護市長選挙~歩み出す沖縄、心を取り戻す道[桜H30/2/9]
惠隆之介氏のHPに月間正論への寄稿文が掲載されていて、閲覧または画像ファイルのダウンロードが可能です。(画像の上で右クリックして表示されるメニューから別タブで表示すると読みやすくなります。)
これを読むと、いかに過去、沖縄県民が米軍基地の恩恵を目当てにしていたのかが分かります。(時代と共に考え方も変わるので、これを盾に、現在の市民の意識を非難することは控えますが。)
同時に、同じ名護市と言っても、現在、普天間飛行場の移設先(キャンプ・シュワブを拡張)として工事が行われている辺野古地区(東海岸)と名護市中心部(西海岸)の意識の違いも説明されています。
この寄稿文によると、現・辺野古地区にキャンプシュワブが建設されたのは、旧・久志村村議会が1956年(昭和31年)に決議、1959年(34年)10月4日に開隊されました。一方、現在の名護市は1970年に名護町を中核として1町4村が合併してできました。4村の内、最も大きいのが久志村(92.48平方キロメートル)で名護町はその半分ほどの面積(46.49平方キロメートル)です。(ちなみにブログ主の住む川崎市は143.00平方キロメートル、横浜市は437.56平方キロメートル、大阪市が223平方キロメートルだそうです。)
地元民ではないので、各地域の住民感情を勝手に推測するのは失礼ですが、東海岸側の方達は西海岸の名護町によって翻弄され続けたのではないでしょうか。
また、大浦湾が入り込んだ位置(中心点の「+」が表示されている場所)には、前回のエントリーに書いたように、辺野古移設を容認したことで、稲嶺前市長に下水処理施設の工事もストップされた地域です。
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