韓国の金属活字「證道歌字」はオーパーツ?
時々忘れた頃に話題になる韓国の自称「世界最古の金属活字」についてメモしておこうと思います。
◆世界最古級の金属活字本(?)
韓国には『直指心体要節』 〔직지심체요절/※以下『直指』〕と、『南明泉和尚頌證道歌』〔남명천화상송증도가/※以下『證道歌』〕という世界最古の金属活字本と言われる本があります。
前者の『直指』は高麗の禅僧・白雲和尚景閑が1372年〔※記事によっては1377年〕に著した仏教の書籍で、本の最後に「在淸州興德寺用金屬活字印製而成」と書かれていて全世界に残っている金属活字で印刷された本の中で最古のものと言われています。上下2冊から成ると言われていますが、下巻だけがフランスにあり、現存するのはこれ1冊のみです。つまり、『直指』は『グーテンベルク聖書』〔1455年印刷開始〕よりも約80年早いことになるのですが、活字本が量産されたのかどうかが分からず、また当時使った活字も残っていません。清州古印刷博物館に復元された活字が展示されています。〔下図〕
聯合ニュース:世界最古の金属活字本「直指」 半世紀ぶり一般公開=高麗の仏教書
2023.04.11
>現存する世界最古の金属活字本で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記憶」(世界記憶遺産)として登録されている高麗時代の仏教書「白雲和尚抄録仏祖直指心体要節」(直指)が半世紀ぶりに一般公開される。仏パリにあるフランス国立図書館が12日(現地時間)から7月16日まで開催する展覧会で展示される。
後者の『證道歌』〔※リンク先は韓国語namu.wiki〕は1239年に修禅寺〔수선사〕の僧が著した、『直指』よりも古い金属活字本とされていますが、現存する国宝〔宝物第758-1号、2号〕は、調査した結果、高麗時代のものではなく、李氏朝鮮時代に木版で印刷された物と判明しました。
https://www.donga.com/jp/article/all/20160129/521666/1
東亜日報:宝物指定の高麗證道歌が朝鮮の木版本と確認
Posted January. 29, 2016 07:12, Updated January. 29, 2016 07:30
>文化財庁によると、文化財委員3人が含まれた書誌学や書道専門家7人が25日、大田(テジョン)国立文化財研究所で、同じ木版で刷った證道歌3点を比較調査した結果、満場一致で朝鮮時代のものだと判定した。その対象は、宝物第758-1号(三省出版博物館所蔵、1984年に指定)、宝物第758-2号(コンイン博物館所蔵、2012年に指定)やキム某氏が昨年、文化財庁に国家文化財の指定を申請した證道歌だ。
>専門家らは、画の太さや紙の質、書体などを詳しく鑑定した結果、宝物第758-1号の證道歌は、朝鮮時代の世宗(セジョン)時代、所蔵本は成宗(ソンジョン)時代、宝物第758-2号は明宗(ミョンジョン)時代に印刷されたものだと分析した。これらの木版本が朝鮮時代の本であることが明らかになった決定的根拠は、キム氏の證道歌から切り離した仁粹(インス)大妃の跋文だ。この跋文には、朝鮮初期の文臣金守温(キム・スオン、1409~1481)が、成宗在位期間中の1482年6月に文を作成したという内容が出てくる。
◆世界最古の金属活字(?)- 「證道歌字」
2010年9月2日、2010年9月に慶北大学校文献情報学科のナム・グォンヒ教授が金属活字12点が公開しました。 これが、『證道歌』の活字だと言うのですが、それぞれの入手経路の詳細は分かっていません。
以下、num.wikiより。
>證道歌字の出土と所蔵経路が不明なことが議論の種になっている。 清州古印刷博物館が所蔵している7点は、ナム・グォンヒが率いる慶北大学産学協力団が2010年、研究委託事業に於いて8,600万ウォンで買い入れた後、清州古印刷博物館に渡したものだ。 国立中央博物館が所蔵している1点は高麗時代の墓から出土したという話が出回っているが、博物館側が古美術商に直接購入したものだと伝えられている。 多宝星古美術が所蔵している101点は、日本による植民地時代、開城(ケソン)から日本に渡って、大邱(テグ)古美術商が購入してきたという。
当然、科学的な測定... 炭素年代測定が行われました。その結果、人工的な元素であるテクネチウム〔※元素記号 Tc 原子番号43。1937年サイクロトロンでつくられた最初の人工元素〕が検出されました。
オーパーツ〔Out of Place Artifacts(場違いな人工物)〕です。
2015年6月に文化財庁が文化財委員会「高麗金属活字指定調査団」結成して更なる調査に当たりました。
そして、2016年に発表された結果が、「よく分からない」ですw
https://japan.hani.co.kr/arti/culture/26090.html
ハンギョレ:「證道歌字」が世界最古の金属活字? 確実な証拠は見つからなかった
2016-12-30
>文化財庁が出した調査資料によれば、證道歌字活字の書体は相当数が宝物の『證道歌』に出てくる書体と違っていることが確認された。
>国立文化財研究所がX線蛍光分析、エネルギー分散蛍光分析など12種類の方式で調査した結果、證道歌字は銅、錫、鉛の合金で作られていることが明らかになった。
成分に関して、もう少し詳しい説明が韓国語namu.wiki『증도가자』(證道歌字)に書かれています。以下、機械翻訳でご紹介します。
ナム・グォンヒ〔남권희〕国立中央博物館考古歴史部学芸研究官は、韓国書誌学会2015年秋季共同学術大会の討論において、慶北大学産学協力団の委託報告書に、多宝城古美術側が所蔵していた「法」の文字の表面を削り、金属成分を分析する破壊分析を行った結果、テクネチウムが検出された記録がある点を指摘しました。[13] 800年前にテクネチウムとは、オーパーツ?この文字の成分は、酸素(O)1.74%、シリコン(Si)0.49%、銅(Cu)88.5%、テクネチウム(Tc)2.62%、スズ(Sn)6.66%で、他の活字の大部分に含有される鉛(Pb)が欠如している点が特異だった。しかし、たとえ偽造品だとしても、テクネチウムが含まれる理由はない。実験用原子炉でしか製造されない放射性同位体であるため、偽造品製造者であっても誤って使用する可能性がないからだ。したがって、分析過程で汚染された可能性があり、検査結果を信頼できないため再検証が必要な部分だが、まだ実施されていない。
ということで、これ以上追求するのを止めてしまった様で、うやむやのままです。
* * * *
なお、日本でも、世界最古級とは言えませんが、活字本は一時期盛んに作られました。
約400年前に日本で使われた活字をご存じですか?
— 国立国会図書館 NDL (@NDLJP) March 3, 2023
国立国会図書館は、古活字版(16世紀末から17世紀初めに盛んに刊行された活字印刷の出版物)の国内有数の所蔵館です。#リサーチ・ナビ「国立国会図書館所蔵 古活字版目録」から、約300点のデジタル画像にアクセスできます。https://t.co/IL9jx2yQ95 pic.twitter.com/pD4c2Jmrbw
しかし、江戸時代には木版本が主流になるのはご承知の通りです。
Xであるマンガを教えて頂いたので、その画像を貼っておきます。調べたら、みなもと太郎氏の『風雲児たち』という作品だそうです。〔第17巻〕
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