【韓国語・日本語】日本語と韓国語で意味が異なる『伝家の宝刀(전가의 보도)』
たまたま読んだ韓国語の記事に「伝家の宝刀(전가의 보도)」という言葉が使われていて、興味を持って調べたら、日本語と韓国語では意味が違うという事を知ったので覚え書きとして。
この、日本語と韓国語で意味が違うというのはある程度の教養がある韓国人は知っている様で、例えば、下の動画は漢字の先生がその違いを説明しています。
韓国語は基本的にはハングル表記オンリーなので、「전가의 보도」と書くも漢字は知りません。発音を確認したら「チョンガエ ボド」の様な音だったので、「伝家」(チョンガ)と「宝刀」(ボド)... 言われてみれば、日本語の音読み(デンカ・ホウトウ)から類推できますね。
そして、漢字語(熟語)や漢字から成り立つ成語の正しい意味を知る為には、こうしてそれぞれの漢字の成り立ちから説明しないとならないのだと分かります。 〔日本人も、漢字は学んでいるとは言え、旧字体を見て初めて本来の意味が分かることが良くありますが... 。〕
この辺が、「デンカ ノ ホウトウ」と聞いて、「伝家の宝刀」という漢字と意味がセットで頭に浮かぶ日本人とは異なるのでしょう。
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では、日本語と韓国語の「伝家の宝刀」はどう意味が違うのか?
『広辞苑』では
代々家宝として伝わっている名刀。転じて、いよいよという時以外にはみだりに使用しない、とっておきの物・手段など。「―を抜く」
と説明されている通り、「滅多には振り回さない刀(手段)」という意味で使いますが、韓国語の伝家の宝刀は、「やたらめったら振り回すもの(常套手段)」の様です。
上の動画では次の様に説明されていました。
① 家宝の名刀
② 万能薬のようにとてもよく効く解決策 → いつでも使える強力な権限
③ 聞きもしないのに、聞き上手のように振る舞う、ありきたりで決まりきった論理や方策を繰り返し使うことを皮肉っている
④ 誤用 昔の両班家から代々受け継がれてきた宝剣 → 家の中に累を及ぼす行動を犯したことを処断する道具として使用
ある記事では、トランプ大統領が一期目に矢継ぎ早に中国に制裁的関税を掛けていたのを「伝家の宝刀」と表現していました。これは②の用法でしょうか。
* * * *
最後に『朝鮮日報』のコラムを機械翻訳でご紹介して終わります。
筆者は申尚穆(シン・サンモク)という方で、韓国で「学校では教えてくれない日本史」〔※〕という本を書かれた人ですが、一等書記官として駐日韓国大使館で勤務していてうどんに魅せられ、韓国で「きり山本陣」といううどん屋を開業した変わり種。
※日本語版: 韓国の外交官が語る 世界が見習うべき日本史 今こそ大事な江戸時代の真の姿
https://www.chosun.com/site/data/html_dir/2018/02/01/2018020103026.html
[신상목의 스시 한 조각] [7] 韓·日 해석 다른 '傳家의 寶刀'
[シン・サンモクの寿司一切れ] [7] 韓日の解釈、他の「傳家の宝刀」
申尚穆·きり山本陣代表·元駐日大使館1等書記官
入力 2018.02.02.03:14
韓国語と日本語には同じ言葉だが、その意味や使い方が異なる場合がしばしばある。 「伝家の宝刀」がその例だ。 韓国では「~を伝家の宝刀のように振り回す」という慣用句で、「状況を有利に導くために常套的に、または執拗に打ち出す自分の特技や相手の弱点」という意味で使われることが多い。
例えば「日本が伝家の宝刀のように振り回す『不可逆的解決』文句を論破するには合意の原点に戻り論理的欠陥に反論する必要がある」という式だ。
反面、日本語で伝家の宝刀は「危機に処して最後に使う最も強力な武器」という意味だ。 例えば「国会解散権は憲法上首相に与えられた伝家の宝刀だ」というふうに使う。 日本の首相は国会解散権を行使した後、選挙に勝利できなければ政治生命が終わる。 韓国の伝家の宝刀のように、むやみに振り回すことができる武器ではない。
事実、伝家の宝刀は日本由来の熟語だ。 かつて日本の武家は刀が命だった。 当時、冶金術では良い刀を作ることが難しく、いくら良い刀でも実戦で使えば刃が損傷して使えなくなる。 したがって最高の名刀は家の中に祀っておいて家門の権威の象徴として代々受け継がれ、生と死が分かれる絶体絶命の瞬間に必殺の武器として使用した。 これが「伝家の宝刀」という言葉の本来の意味だ。
最近、韓日両国で「伝家の宝刀」という表現がぴったり当てはまる事案が北朝鮮の核問題だ。 韓国政府は、北朝鮮の核問題を北朝鮮政権が常に振り回す「伝家の報道」程度と見ているようで、日本政府は、北朝鮮の核問題を金正恩政権の「恐るべき伝家の宝刀」と見ているようだ。 北朝鮮の核問題は、どちらの「伝家の宝刀」に近いのか? 危機状況認識の厳しさと切迫さを自ら点検してみてもいいのではないかと思う。
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さしずめ、日本人にとっての韓国人の「伝家の宝刀」は、「謝罪と賠償!」、「日帝36年の恨み」てとこでしょうか?
日本語に於いても、元の中国語や英語と異なる意味で使われている単語は数多くあるので、意味の違い自体は良いのですが、全く同じ単語・表現なのに意味が微妙にずれているというのは、誤解が生じる原因となる可能性がありますね。
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