外国人旅行者のその場での免税(消費税払い戻し)システムはおかしい(→2025年改正へ)
まずは短く『産経新聞』の記事をご紹介します。
https://www.sankei.com/article/20241024-WR7EE7SZ5JNBZPCREMD6WRKQIQ/
訪日客の消費税、東京税関が3億4000万円見逃し 免税品持たずに出国 会計検査院調査
2024/10/24 18:41
外国人観光客らが出国する際の免税品への課税状況を会計検査院が調べた結果、2022年度に9人が購入した高級腕時計やブランドバッグなど計約34億円分の消費税3億4000万円について、東京税関が課税せず出国させていたことが24日、分かった。9人は免税品を出国時に持っておらず、本来課税対象だったが、財務省や税関側が対応を誤り徴収できなかった。〔以下略〕
日本では、外国人旅行者が買い物をすると、その店で即免税手続きをしてくれる店が多くあります。その商品は日本国内で消費せずに国外に持ち出す事が前提なので、出国地(空港)で、税関がその商品を確認する事になっていますが、それを東京税関が怠ったと事になります。
しかし、購入時に免税手続きしたかどうかを出国時の空港で確認できるのか、いつも疑問に思っていました。事後でしか分からないだろうと。
日本の問題は、
- 旅行中に免税で商品を購入したかどうか、出国時の空港で分からない事
- 免税最低価格が低額、しかも合計額でその金額になれば免税手続きをしてくれる。(ドラッグストアで合計5千円の商品を買った場合などでも免税。)
一方、海外(ex. EU)では、
- 最終出国地(ex. 空港)で消費税(EUでは付加価値税)の払い戻しを行う。その際、その商品と店で発行してくれた書類(バウチャー)を空港の税関に提示して払い戻しを受ける。 〔帰国後などにバウチャーを郵送して払い戻し手続きを受ける事も可能。〕
- 免税の対象となる商品の最低価格が決まっている。〔国毎に異なる〕
25年くらい前、今のようにさほど「インバウンド、インバウンド」と叫ばない時代でも、例えば銀座三越では外国人向けのお土産品コーナーがあり、別の階(「お客様相談室」みたいな窓口)で免税手続きをしていたのを覚えていますが、当時は消費税率5%だったので、私の知人(外国人旅行者)は面倒だからと手続きをしませんでした。
ブログ主はあまり海外で高価なものを買った事はないのですが、オーストリアで(当時の為替レートで)1万円くらいの銀製のアクセサリーを買った時、ドイツで2万円位の木彫りの人形を買った時で、後者の時はその店で郵送の手続きをしたので、その場で免税にしてくれた記憶があります。
最低価格が幾らかなど知らずに買い物をしたのですが、バウチャーを発行してくれる事で対象商品だと気づきました。以下はこちらのサイトで調べた2023年4月時点のVAT(付加価値税)税率と対象商品の最低価格です。オーストリアを例にすると、現在のレートでおよそ12,000円以上の商品が対象です。
オーストリア(20%)(75.01ユーロ)
ベルギー(21%)(125.01ユーロ)
ブルガリア (20%) (250 BGN)
クロアチア (25%) (740 HRK)
チェコ共和国 (21%) (2,001 CZK)
デンマーク (25%) (300 DKK)
エストニア (20%) (38.01 ユーロ)
フィンランド (24%) (40 ユーロ)
フランス (20%) (175.01 ユーロ)
ドイツ (19%) (50.01 ユーロ)
〔以下略〕
商店からしてみたら、元々消費税分は売り上げとは別に帳簿上管理し、仕入れに掛かった消費税と売り上げ時に預かった消費税の差額をトータルで納税すれば消費税の処理は完結するので、外国人が免税で買い物をし、その商品を日本国内で転売しようが、店にとっては売り上げ額に影響はありません。免税手続きをしてくれる店として外国人がたくさん買い物をして売り上げが上がりさえすれば良いのですから。
したがって、日本がこんなルールにしたのは外国人旅行者を当てにした小売業界の要望ではないかと思います。
その店の免税売り上げが例えば1千万あるのに、その分の消費税を徴収できていない事を国税庁で発見するのは確定申告(税務申告)後にデータを突き合わせた後の事でしょう。
悪用する外国人が出ないわけありません。
冒頭の記事は巨額だからニュースになっただけで、恐らくドラッグストアで免税で販売した商品は横流しが横行していると思います。
調べたら、その場で免税から空港での払い戻し方式に変えるのは2025年が目標だとの事です。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA16AU40W4A011C2000000/
外国人向け免税、空港払い戻し型へ 日本国内の転売防止
2024年10月22日 20:21 [会員限定記事]
政府はインバウンド(訪日外国人)向けの免税制度を悪用する例が相次いでいるため、対策を強化する。商品購入時に消費税を払い、出国時に国外への持ち出しを確認してから払い戻すリファンド型を導入し、安く買った商品が日本国内で転売されるのを防ぐ。免税品購入額が年1兆円規模に達するなか、2025年度の改正に向けて制度設計やシステム構築を急ぐ。
現行制度では、免税店で外国人旅行客らが通常の生活で使う商品を買う場...
この改正で、払い戻しを受けるには出国時にその商品を手荷物にしなくてはならないのと、買い物時には一旦消費税分も払わないとならない事で、外国人旅行者の財布の紐がきつくなるかもしれませんが、これでようやく他国並みに悪質外国人の脱税に歯止めが掛かります。
まったく、何やってんだか...
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