【東海?】京都国際学園の校歌について(情報整理)【トンデモ歴史観?】
まず最初に、京都国際学園の野球部に対しては優勝を祝福したいと思います。
その上で、少し情報を整理しておきます。
◆大韓民国よりも歴史が古い学校
開学は1947年。まだ大韓民国が建国される前なので、「京都朝鮮中学」という名でスタートし、1958年に「京都韓国学園」と改称。更に2005年に「京都国際学園」に改称し、一条校の指定を受けています。〔同校の「沿革」より〕
つまり、朝鮮総連系の朝鮮学校で無い事、校歌がいつ作られたのかは分かりませんが、朝鮮語で作詞されたなら日本海を「東海」と呼ぶのは自然であった事は理解します。
ちなみに、作詞は辺洛河氏、作曲は金瓊燦氏です。
◆「東海」→「東の海」という誤魔化しは学校側ではなくNHKらしい...
気になったのは校歌の字幕と共に表示された「日本語訳は学校から提出されたものです」という断り書き。
果たしてそうなのだろうか?と思っていた所、韓国の『毎日経済』(2021-03-24)に、NHKが訳したという韓国語の記事がありました。この年の春の選抜が京都国際学園の甲子園初出場でした。
https://www.asahi.com/articles/ASP1Y72C2P1YPLZB002.html
朝日新聞:京都国際 初の甲子園
2021年1月30日
https://www.mk.co.kr/news/world/9802062
"동해바다 건너~" 한글 교가, 日전역에 울려 퍼졌다
「東海、渡って~」ハングルの校歌、日本全域に響き渡った
2021-03-24
>甲子園の伝統に従って、1回が終わった後、両校の校歌が鳴り響き、試合が終わった後、京都国際高校の校歌が再び演奏された。 京都国際高校の校歌は「東海を渡って山都の地は聖なる先祖の昔の夢の場所」などで始まるが、NHKは「東海」を「東の海」と訳して字幕を出した。 NHKは「日本語翻訳は学校が提出したもの」と別途字幕で説明したが、学校側は校歌音源だけを提出し、日本語翻訳を提出しなかったと明らかにした。
恐らく、学校も了解済みだとは思うのですが、少なくとも、学校側が単独で誤魔化そうとしたわけではなさそうです。実は、「東海」だけでなく、「韓日の」という部分も原文では「韓国(한국)の」なのに誤訳で誤魔化しています。それ以外の部分は意訳というか、校歌風の文語調に訳しているだけです。
◆敢えて批判するなら「トンデモ歴史観」
原文は以下の通りで、なるべく直訳すると次の様な日本語になります。
동해 바다 건너서
야마도 땅은
거룩한 우리 조상
옛적 꿈자리
아침 저녁 몸과 덕
닦는 우리의
정다운 보금자리
한국의 학원
ヤマトの地は
神聖な私たちの祖先
むかしの夢の場所
朝夕の体と徳
磨く私たちの
仲睦まじい塾
韓国の塾
ここで、日韓の歴史認識問題に関心がある人は気づくはずです。
韓国人学者でも今は少数派となりましたが、好太王碑(広開土王碑)の碑文を曲解して、「百済や新羅が海を渡って倭に攻め入った」という解釈をする韓国人がいます。
本来は、「391年以来、倭が海を渡って百済や新羅を破り、臣民とした」なのですが、1972年、在日朝鮮人の学者の李進熙が日本にある好太王(広開土王)碑文の拓本が改竄されたものだと主張し、2006年に中国人学者が改竄されていない事を証明するまで、韓国側や在日コリアンは上記の様に逆に解釈していたわけです。〔下記記事参照〕
逆に言えば、在日朝鮮人が「日本人が改竄した」と言っていたという事は、正しく解釈したら韓国側に都合が悪い歴史だと知っていた事になります。
恐らく、校歌はその時代(2006年以前)に書かれたものだと思います。
京都国際学園に入学した生徒が校歌を学ぶ際にこの歪曲された歴史観を覚え込まされる方が問題です。京都国際学園の生徒さんには是非これを知ってほしいと思います。
◆韓国側もこの歴史観に気づいた?
以下は『スポーツソウル』の記事です。機械翻訳ママでご紹介しますが、この辺りが平均的な韓国人の歴史観です。
https://www.sportsseoul.com/news/read/1456075
동해 건너 ‘대한의 민족’ 부르짖던 교토국제고 日 여름 고시엔 정상 우뚝 “야구는 역시 기본” 증명
東海を渡って「大韓の民族」を叫んだ京都国際高校、夏の甲子園の頂上にそびえ立つ「野球はやはり基本」証明
2024-08-23
>このような場所で「東海を渡って大和の地は神聖な先祖の昔の夢の場所」として始まる韓国語の校歌を優勝チームの資格で歌うのは一度も見たことのない風景だ。 諸説(說)があるが、日本古代統一王国と呼ばれる大和政権は、百済や伽耶など韓半島の人々が日本に移住し、先進文化を伝播して建設した国家だという史料もある。 日本の明仁王が「旧桓武王の生母が百済武寧王の子孫だと続日本紀に記録されており、韓国と縁を感じる」と言ったことが韓日両国で大きな話題になった。
あの ”タマネギ男” ことチョ・グクも気づいたようです。
재일한국계 민족학교 교토국제고 학생 및 야구부 선수의 다수는 일본인이다. 그렇지만 학생들은 의미심장한 한국어 교가를 부른다. 이 학교는 1947년 재일 조선인들이 세운 학교로 오랜 동안 정식 학교 인가를 받지 못했다. 결승 진출 소식에 뭉클하다. '뉴라이트'들은 언급할 가치가 없고, 쿨한 자칭 '탈민족 좌파 국제주의자'들도 이 감정을 이해하지 못하거나 폄훼할 것이다. 교토국제고 필 우승!
機械翻訳:在日韓国系民族学校京都国際高校の学生や野球部の選手の多くは日本人だ。 しかし、学生たちは意味深長な韓国語の校歌を歌う。 この学校は1947年に在日朝鮮人たちが建てた学校で、長い間正式な学校認可を受けることができなかった。 決勝進出の知らせに胸が熱くなる。 「ニューライト」たちは言及する価値がなく、クールな自称「脱民族左派国際主義者」たちもこの感情を理解できなかったり卑下したりするだろう。 京都国際高校必優勝!
最後に、『月刊朝鮮』の記事をご紹介して終わります。日本人も韓国人も、この記者のような冷静な見方をして欲しいと思います。
http://monthly.chosun.com/client/mdaily/daily_view.asp?idx=20104&Newsnumb=20240820104
교토국제고의 고시엔대회 우승,한일이 손잡는 미래 보여줘
'한국계 민족학교'의 성취라기보다, 한국인이 일본 사회에 녹아들고 일본 사회가 그들을 받아들인 결과
京都国際高の甲子園大会優勝、韓日が手を握る未来を見せてくれ
「韓国系民族学校」の成就というより、韓国人が日本社会に溶け込み、日本社会が彼らを受け入れた結果
2024.08.23
배진영(ペ・ジンヨン)記者
京都国際高校が日本の甲子園大会で優勝した。 京都国際高は8月23日、兵庫県西宮市の甲子園球場で行われた東京関東第一高と全国高校野球選手権大会(別名甲子園)の決勝で、延長10回勝負の末、2対1で勝利した。
記者のようなスポーツ門外漢も甲子園大会が日本で野球をする青少年たちがどれほど羨望する「夢の舞台」なのかは知っている。 甲子園大会優勝って、本当にすごい!
京都国際高校は広く知られているように、1947年に在日韓国人が建てた「京都朝鮮学校」が母胎となった学校だ。 「東海 渡ってヤマトの地は神聖な私たちの先祖の昔の夢の場所」で始まるこの学校の校歌は、そのようなアイデンティティ(正体性)をよく示している。
京都国際高校の活躍と優勝を報道した国内マスコミの報道は一様に「韓国系」「在日韓国系民族高等学校」という修飾語と共にこの学校の校歌の歌詞を紹介する。 まるで京都国際高校が、はるかな古代に海を渡って日本列島に進出し、大和原野を征服した祖先の偉業を再現していると隠喩したり、漫画「南伐」シーズン2を連想させるような感じがその根底にあると言えば、言い過ぎかな?
しかし、そのような「民族主義的」な見方が妥当なのかは疑問だ。 まず、京都国際高校はもはや韓国系学校ではない。 むしろ日本人学生数が多い「韓日共学」学校と見るのが正しい。 同校は在日韓国人の生徒数の減少を克服するため、学校の門戸を開放したためだ。 同校が1999年に野球部を創設したのも、生徒数を増やそうという苦肉の策だった。
京都国際高の野球選手選抜基準は「第一が賢さ、第二が根性、第三が誠実」という。 初期は晩年下位チームだったが、京都国際高はこのような精神を土台に成長した末、2020年代に入って着実に甲子園に進出し、新興野球名門として位置づけられた。 今大会決勝で惜敗した関東第一高の米沢貴光監督は、敗北後「残念だ」という言葉を何度も繰り返しながら「京都国際高の守備と強い精神力に押されて敗れた」と話した。
在日韓国人たちが作った学校として出発した京都国際高校の甲子園大会制覇は確かに快挙だ。 ただ、それを「東海 渡って~」で始まる韓国語の校歌を歌う「韓国系民族学校」の成就と見ることには同意し難い。
むしろ、今回の京都国際高校の優勝は、前世紀以来100年余りにわたって日本に渡った韓国人とその子孫たちがあらゆる困難の末に日本社会に成功的に溶け込み、日本社会が彼らを受け入れた結果の一つだと見るのが正しいだろう。 もちろん初期に在日韓国人が「朝鮮人」として軽蔑と差別を受け、まだ京都国際高校の韓国語の校歌に嫌韓感情を表わす日本人がいないわけではないがだ。
それでも「韓日共学学校」である京都国際高校の甲子園制覇は、韓国人と日本人が手を取り合えば想像以上の美しい結実を結ぶことができるということをよく示している。
韓国にも日本にも両国間の葛藤を助長することで食べていく者がいる。 しかし、京都国際高校の優勝は、そのような者たちの時代は終わりつつあることを、韓日がともに手を取り合えば、いくらでももっと素敵な明日を作っていけるということをよく示している。 それで「韓日協力を象徴する京都国際学院は今回の大会優勝で韓日両国国民に胸の奥に残る輝く感動をプレゼントした」というパク·チョルヒ駐日韓国大使の言葉がより一層胸に響く。
*追記) ちなみに、もし釜山の日系学校が母体となった国際高校が、亡国と解放と光復の月である8月に韓国高校野球大会で優勝していたら、彼らが日本語の校歌を歌っていたら、大韓民国社会は彼らを容認しただろうか?
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