【パリ五輪】女子ボクシングの男性選手はトランスジェンダーではなく性分化疾患
女子ボクシングの57キロ級に出場している台湾の林郁婷選手、66キロ級のアルジェリアのイマネ・ケリフ選手はトランスジェンダー(トランス女性)ではなく、生まれた時は外形上「女の子」と判断され、その後XY染色体を持つと判明した「男性」です。
平たい言葉言えば「両性具有」なのでしょうが、正確には「性分化疾患」と言うそうです。
ケリフ選手の対戦相手であるイタリアのアンジェラ・カリニ選手が試合開始46秒で棄権した事で特に議論が沸騰しました。
「X」に流布されている情報からブログ主も最初は彼らをトランス女性、即ち、身体は男性で心は女性だと自認する男性だと思っていて、後に誤りだと気づいたのですが、どうやら一部のLGBTQ思想の人達(=男女の境界を壊したい思想の人達)がわざと「彼らはトランス女性」という誤情報を流したり、「トランスヘイト」にすり替えようとしているようなので、後々の為にブログエントリーにしておきます。
性分化疾患の ”女性” がオリンピックに出場する事は過去にも例がありました。2012年のロンドン五輪などに出場して無双した陸上のキャスター・セメンヤ選手です。Wikipediaの情報ですが、彼は結局、子宮と卵巣はなく、精巣を持つと判明しましたが、女子のカテゴリーで試合に出場してきました。遡って賞の剥奪まではされませんでした。
陸上競技であれば、少なくとも対戦選手に被害は及びませんが、今回はボクシングという接触競技であるために問題になりました。
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記事や情報が比較的集めやすい台湾の林郁婷選手を例にします。
”彼女” は中学生の時に兄の影響でボクシングを始めたそうです。成長してから数々のアジア/世界大会で女子選手として優秀な成績を収めてきました。
”彼女” の資格に疑問が持たれて失格になったのは2023年の杭州大会の時です。銅メダルの獲得が決まった後の検査で失格とされました。つまり、2021年に開催された東京オリンピックには女子選手として出場していました。イマネ・ケリフ選手も同様です。
従って、東京オリンピックには問題なく出場できていた事を根拠に ”彼女” 等の資格の正当性を主張する人もいますが、次に述べる様に、判断をする機関が変わったのです。
◆判断基準が変わったのでは無く、出場資格判断をする組織が変わった
今回、ブログ主も初めて知ったのですが、基本的にはオリンピックの各競技を主管するのは、その競技の国際組織です。ボクシングの場合は本来「国際ボクシング協会(IBA)」ですが、ボクシングに関しては「国際オリンピック委員会(IOC)」が東京オリンピックの時も主管しました。この理由は、後述しますが、オリンピックではIBAが出場可否を判断できないという事を理解して下さい。
IBAの判断基準は染色体とテストステロン(男性ホルモン)の値です。
しかし、IOC... 少なくともパリ五輪で公表されたIOCの判断基準は「パスポートの性別」です。IOCと書きましたが、正確には「パリ・ボクシングユニット(PBU)」という暫定組織が判断しました。
台湾の林郁婷選手を支持する人達... 主に台湾人ですが、彼らが「林郁婷選手は検査に合格している」と主張するのは、PBUの合格判定の意味のようです。
◆林郁婷選手の心情に寄り添えば...
今回の騒動で台湾の賴清德総統も「X」でコメントを発しました。
As an avid sports fan, I have always admired the determination of our athletes—like our boxing contestant Lin Yu-ting 林郁婷, whose focus & discipline are truly inspiring. At #Paris2024 & beyond, we firmly & proudly support her & all #TeamTaiwan. pic.twitter.com/Ar59Z25HlV
— 賴清德Lai Ching-te (@ChingteLai) August 2, 2024
林選手をサポートするというメッセージです。
”彼女” の気持ちとしては、生まれてからずっと女性として生きてきたのに、2023年にいきなり「あなたは女性では無い」と言われたら、それまでの人生を否定されるようなもので、国民の人権を守る総統としてはこの様なメッセージを出すのも理解はできます。 〔尤も、本人は、例えば生理が来ないなどの異変には途中で気づき、自分の障害は知っているのかも知れませんが... 。〕
台湾人は、インチキ(?)をしてまでもメダルが欲しいという訳ではないのです。
しかし、性分化疾患の人の ”お気持ち” に寄り添うとしても、ボクシングで対戦させられる相手はたまったものではありません。
単純にセメンヤ選手の様に生殖器官の有無を調べたらいいのかも知れませんが、そうなると、”彼女” 達の性器の形や子宮の有無などを公表せざるを得なくなるわけで、人権上の問題が出てくるでしょう。
◆なぜ、東京五輪やパリ五輪ではIBAの資格が剥奪されたのか
Wikipediaの『国際ボクシング協会』の項を読むと分かりますが、簡単に言えば、旧ソ連邦の国々などが牛耳っており、反社とのつながりがあり、ガバナンスに問題がある組織だからです。日本でも一時期「男 山根」で日本ボクシング連盟のおかしさが話題になりました。
台湾人の動画のコメントなどを見た所、”ロシアによる陰謀” 説を唱える人が少なくありませんが、資格判定の基準まで否定するのはどうなのでしょうか?
”彼女” 達はある意味、ポリコレに狂ったIOCの被害者なのかも知れません。
※後ほど必要に応じて記事などを追加します。
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