【愛されない共和国】第2章 歴史を整理しようとする韓国人【ブライアン・マイヤーズ 著】
先日のエントリーで韓国に長年住むアメリカ人のブライアン・マイヤーズ(Brian Reynolds Myers)東西大学教授が著した『愛されない共和国』という本をご紹介しましたが、この本を入手してみました。
スキャンしてPCのGoogleレンズで翻訳して読むという方法で少しずつ読んでいます。
前回、同じくアメリカ出身で韓国在住のコラムニスト、コリン・マーシャル(Colin Marshall)氏がこの本を紹介するコラムを引用しましたが、少し分かりづらい部分がありました。
>私が10年前にマイヤーズに初めて会った時、彼が社会を大きく2つに分けることができると言ったことを思い出した。 ひとつは、人々が常に過去と未来を正確に認識している古代エジプトのような歴史意識が強い社会、もうひとつは、人々が契約書を作成するときに日付を書くこともなかった古代ギリシャのような歴史意識が弱い社会だと言った。 マイヤーズは、大学生たちも自国の歴史を一貫して説明することが難しい韓国を、歴史意識が弱い社会のカテゴリーに該当すると述べた。
この分類はドイツの哲学者オスヴァルト・シュペングラー(1880~1936)によるものだそうで、簡単に言うと、歴史を流れで捉え、記録を残した古代エジプト人、一方、古代ギリシャ人は年代記化せずに、教訓的な昔話(神話)を好んだという違いです。
どちらが優れているかという話ではありませんが、マイヤーズ教授によると、王朝実録を残した李氏朝鮮時代の両班達はエジプト的であったが、現代韓国人はギリシャ的だと言います。これは国史教科書に表れているのですのですが、その話の前に、海外から韓国に来た旅行者の感想、「なぜ古い建築物がないのだろう?」という言葉を紹介しています。
マイヤーズ教授によると、景福宮のような場所に立ち寄ると、古く見えないように常に新しくきれいに整備している努力が目につき、北京の紫禁城を比較するだけでも明らかな違いがある、と言います。
ブログ主はどちらも実物を見た事がないので良く分かりませんが、要するに ”古色蒼然” としたものが少ないのでしょう。
「韓国に過剰に復元された建物がかなり多いのは、きちんと復元する技術が不足しているからではなく、古い建物も新品のように見えなければならないと考えるからだと思う」とも教授は述べています。
北朝鮮もそうだとして、万景台にある金日成の生家を例に出しています。
建てたばかりのように見える建物だけで無く、中に置いてある物も新品の様に見えるそうで、「欧米の観光客はこれらを見ながら笑いをこらえるのに苦労するが、北朝鮮の人たちにとっては全く違和感がないようだ」と言います。
そして、同じ文脈で、歴史の捉え方も「韓国人は年代順の必要性をあまり感じない様だ」、と。
学生に、出来事を年代順に並べよという試験を出すと、外国人学生の方が成績が良いのだそうです。
教授曰く、「西洋人が歴史を長い物語として捉えるのに対し、韓国人は歴史を様々な感動的な出来事の集合体として捉えているようだ。」。
更にこう続けます。
「一般国民に日帝時代について尋ねると、ほとんどが3.1運動〔※1919年〕のような主要な出来事をよく知っているが、植民地化の大まかな過程についてはよく知らない。多くの歴史学者でさえも、歴史的な出来事を年代順に記述することにあまり関心がないようだ。ある段落で1987年を論じて、次の段落は1982年、その次の段落は1979年、そんな感じだ。多くの本では、章すらも年代順に並べられていない。例えば、朴正煕時代の章が李承晩時代の章の前に出てくる。」
「事件を年代順に整理できないというよりは、整理しないという方が正確だと思うが、これは年代にあまり重きを置かないからだと結論付けるしかない。歴史を単純ですっきりした小さな物語にまとめようとする欲求は、古代ギリシャ人の典型的な特徴であるように、韓国人の特徴でもある。」
ブログ主は韓国の歴史教科書や歴史書を通して読んだことはありませんが、確かに彼らは英雄譚のような物語を好む様な気がします。
ネットで金容三(キム・ヨンサム)記者〔※元朝鮮日報の記者で『反日種族主義』の著者の一人〕や個人YouTuberの動画のコメント欄に「ようやく、背景が/繋がりが分かった」みたいなコメントを時々見かけるのは、恐らく、それ以前に学んだ歴史が、流れとか因果関係をあまり重要視していないからかも知れません。
逆に、韓国人が日本の歴史教科書を読んだら、客観的すぎて、出来事が時系列に並ぶだけで、面白みに欠けるのかも知れません。
日本の歴史教科書が出来事の羅列だと言うのは、中国人で経済アナリストの柯隆(か りゅう)氏も言っていました。中国の歴史教育は、そこ(出来事)から教訓みたいなものを学ぶ様になっているのだそうです。
- GlobalCenter Shizuoka:対談企画 中国人の中国観【前編】(劉傑教授×柯隆特任教授)/【後編】
以前、作家の百田尚樹氏が『日本国紀』を著した動機を、ケント・ギルバート氏から「アメリカの歴史教科書は読んだらアメリカを好きになる」と言われたからだと言っていました。
歴史教科書もお国柄が出るのですね。
この『愛されない共和国』については、また何か新たな ”発見” があったらブログに書くことにします。
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