【慰安婦問題】『慰安婦=性奴隷説反論マニュアル』 (有馬哲夫 著)
有馬哲夫 元早稲田大学教授が『慰安婦=性奴隷説反論マニュアル』を出版されました。
出版と言ってもKindle版〔Amazonの電子書籍 ※後述〕のみで、370円という廉価なものです。
慰安婦問題に関心がある人にとって、日本国内ではほぼ議論は尽きており、書籍も出尽くした感がありますが、これを未だに ”性奴隷” だと言う人達... 韓国人だけでなく、日本国内の人達も含みますが... 彼等が付けてくる様々な ”言いがかり” にどう反論するかという視点から書かれた「想定問答集」的な本です。
まずは目次をご紹介します。
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慰安婦=性奴隷説反論マニュアル 歴史問題反論シリーズ Kindle版
有馬哲夫 著
目次
1.慰安婦は性奴隷だといってくる人に対する反論
2.慰安婦制度は国内法に反していて違法であるといってくる人に対する反論
3.慰安婦の署名入りの契約はあるかといってくる人に対する反論
4.契約書はあるだろうが、騙されたり、強制されたりして署名したといってくる人に対する反論
5.「スマラン事件」の例を出して慰安婦はみなレイプ被害者だ。だから慰安婦=性奴隷だと主張する人に対する反論
6.慰安婦性奴隷説を唱える人で、戦争犯罪(レイプ)は日本軍の責任だといってくる人に対する反論
7.日本軍による慰安婦制度が国際法に違反するという人に対する反論
8.慰安婦のなかに21歳以下の女性がいたので国際法違反だといってくる人に対する反論
9.日本軍=悪だといってくる人に対する反論
10.慰安婦は大金を稼いでいたとしても、ハイパーインフレで無価値になっていたという人に対する反論
11.朝鮮人慰安婦が20万人いたという人に対する反論
12.慰安婦制度は人権侵害であり日本政府は朝鮮人・台湾人慰安婦に賠償すべきだと主張する人に対する反論
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下の画像は見開き2ページ表示にし、更に文中の脚注番号をクリックして脚注を表示(下半分)したところです。
上記項目の中で最もページ数を費やしているのが、第1章の「慰安婦は性奴隷だといってくる人に対する反論」で、本全体の1/2近くを占めています。
ご存知の様に、ラムザイヤー教授の論文は、別に「慰安婦は性奴隷では無い」などとは書いておらず、「慰安婦は一般的な娼妓(売春婦)の延長線にあり、雇用主(抱え主)は契約関係にあった」事を前提として、「何故、一般の娼妓よりも高額な前金(前借金)や短い契約期間になったのか?」を説明したものです。 〔娼妓契約が何故「前金を伴う年季契約」になったのかについては、既にラムザイヤー教授の1991年の論文で詳しく説明済み。〕
cf. 月刊正論オンライン(2023/10/1):慰安婦制度をめぐる学問の不自由の現状 マーク・ラムザイヤー
慰安婦を ”性奴隷” 即ち ”性被害者” としたい人達には、「慰安婦と雇用主は契約関係にあった」事は不都合なので、様々な難癖を付けました。その一つが「契約書がない(現存していない)」です。
これに関してこの章は、まず、契約書の雛形があった事から解説しています。ここではその雛形をご紹介します。
この本で参照されている資料(証拠)の多くはweb上にある物で、URLも紹介されていますが、その中で最も頻繁に参照されているのは『アジア女性基金』のサイトの『文書庫 >慰安婦関連歴史資料』にある資料集、その中でも『政府調査「従軍慰安婦」完成資料集成①』〔※〕です。
※トップページが一覧性が無くて分かりにくいのですが、「次へ」で次のページに進み、村山富市総理大臣(当時)の挨拶のページも「進む」でスキップするとようやく目次のページ〔下図〕が表示されます。下の方に『文書庫』があるので、『慰安婦関連歴史資料』をクリックします。その先のページに5つのPDFファイルへのリンクがあり、1つ目が『政府調査「従軍慰安婦」完成資料集成①』です。
例えば、上述の雛形とは『上海派遣軍内陸軍慰安所ニ於ケル酌婦募集ニ関スル件』(1938年1月19日付け)という資料で、PDFのページで言うと48コマ目から始まり、契約書の雛形は51コマ目にあります。
これは大内という人物が、群馬県で慰安婦を募集するに当たって作成した雛形ですが、批判者は「これは日本人向けの慰安婦募集用契約書だ」と反論して来る事が予想されます。
この本は、「それならこう論破する」という事を次々と指南してくれます。
ついでにもう一つ、この本の脚注にある資料のリンクを貼っておきます。
https://www.digital.archives.go.jp/img.pdf/1032291
国立公文書館デジタルアーカイブ
『娼妓取締規則施行方に付訓令』
ここには抱え主が守るべき規則が書かれています。つまり、慰安婦の女性を守る為の規則でもあります。
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Kindleについて
Kindleを使うには、Amazonの商品ページからアプリをダウンロードする必要があります。それが自分専用のライブラリーとなり、本を購入すると、その本がライブラリーに追加されます。書籍データ自体が自分の端末にダウンロードされるわけではなく、アプリは本の一覧を管理するのと、本を読むのに使います。
本に対してはラインマーカーのようにマーキングしたり、単語を辞書で調べることができる〔下図〕他、特定の単語で全文検索する事も可能ですが、書籍によっては全文検索の機能が無いものもあり、この本は無いようです。
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かんぱちさん
コメント、ありがとうございます。
>番号の若い論点は問題の核心に近くて
仰る通り、1の「性奴隷では無い=契約があり、女性はそれに合意していた」で、8~9割方論破したも同然なのですよね。
しかし、相手は論点をずらしたり、一部の事例をもって全体としようとする。
そこですかさず、「それは詭弁ですよ」と指摘する... 。
「X」上の議論、と言うか、「慰安婦=性奴隷」論者とそれに反論する人達のやりとりを見ていると、実際は上記の下2行の堂々巡りなんですが。相手の言っている事が詭弁であると指摘しても、また暫くすると同じ事を言い始める、と言う感じで。
まあ、これは分かってて故意にやっているので、議論にはなりません。
ところで、有馬哲夫教授がこの本に沿った動画をYouTubeにupされていました。これからシリーズ化するとのことです。
ブログにも書く予定ですが、取り敢えずここにも書いておきます。
慰安婦の契約書 ワンポイント歴史問題第一回目
https://youtu.be/bM8hnniqwgc?si=tkXjPcU51f7cvb62
※コメント欄は「https」をNGワードにしていますが、管理者なので書けます。但しリンクは貼れないので、動画をご覧になるにはコピペしてください。
投稿: ブログ管理者 | 2024/04/06 21:51
「詭弁のパターンと、それに対する対処法」 として、頭の体操になりそうですね。5や8は具体例を挙げているけど、「じつは例外的な事例を、あたかも全体がそうであったかのように言っている」 という、典型的な詭弁の論法。
「反論マニュアル」 の目次の順番が、そのまま慰安婦問題の構造になってますね。番号の若い論点は問題の核心に近くて、初期の頃から議論があったけど、後ろのほうの番号は、論破された人達が論点ずらしのために後から持ち出した論点で、まさに詭弁。
11は 「言い出した側が証明できなければ、誣告」 だし、9・10・12は 「仮に事実だったとしても、だから何?」 で終わりですね。そもそも 「慰安婦だった女性の人権を侵害したのは誰なのか?」 を考えたとき、「戦争をした日本が悪い」 は答えになっていません。
投稿: かんぱち | 2024/04/06 13:51