産経出版の『トランスジェンダーになりたい少女たち』取扱い書店に脅迫相次ぐ/性同一性障害とトランスジェンダーの混同
まずは記事のご紹介です。
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https://www.sankei.com/article/20240330-MHOJKNM325BGFBGT4JVPMTOOQI/
「トランスジェンダーになりたい少女たち」 発行元や複数の書店に放火の脅迫、被害届提出
2024/3/30 15:15
4月3日に発行予定の翻訳本「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」を巡り、同書を扱う書店への放火を予告する脅迫メールが、発行元の産経新聞出版宛てに届けられていることが30日、分かった。複数の書店にも同様のメールが送られており、産経新聞出版は威力業務妨害罪で警視庁に被害届を提出した。
メールはドイツのドメインが使われており、産経新聞社のアドレスに送られてきた。「原著の内容はトランスジェンダー当事者に対する差別を扇動する」として、「出版の中止」などを求めた上で、発売した場合には抗議活動として同書を扱った書店に火を放つとしている。
翻訳本は米ジャーナリスト、アビゲイル・シュライアーさんによるノンフィクション。ブームに煽られ性別変更したが、手術などで回復不可能なダメージを受け後悔する少女らを取材している。すでにアマゾンなどネット書店では予約が始まっている。
同書は2020年に米国で発売されたのに続き、フランス語、ドイツ語、スペイン語など9つの言語に翻訳されて出版され、多くの人に読まれている。日本語版については、昨年末に大手出版社のKADOKAWAから発行予定だったが、一部の強い批判や同社本社前での抗議集会の予告などを受けて発行中止となった経緯がある。
産経新聞出版では「多数の人が集まる書店を脅すなど許されない行為。悪質な圧力に屈することなく、書籍は発行します。被害届を出したほか、書店にも状況を説明していきます」としている。
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▲本の表紙(Amazon商品ページよりキャプチャ
大手書店のサイトを調べたところ、4月3日発売予定のこの本に対し、紀伊國屋書店やジュンク堂書店、丸善など、紙の本を取り扱っている書店が軒並み「現在お取り扱いできません」などと予約受付を中止しています。調べた範囲ではAmazonと楽天が紙の本と電子書籍の両方共受け付け以外は、ヨドバシも電子書籍版のみ予約受付中となっています。要するに、実店舗を持っている所は全滅らしいです。
この本は、当初KADOKAWAが「あの子もトランスジェンダーになった SNSで伝染する性転換ブームの悲劇」という邦題で昨年末に発売を発表。発売予定は翌年(2024年)1月を予定していたところ、相次ぐ脅迫で発売中止を発表して話題になっていたものです。
元産経新聞記者で現フリージャーナリストの三枝玄太郎氏が、発売中止が発表されてからSNSで語ったことによると、KADOKAWAの知り合いから、「大変な事になりそうだから、SNSでの援護を頼む」と言った趣旨のメールを受け取っていたそうで、発売中止は残念ですが、相当の圧力が掛かっていたことは想像できます。
そもそも、性同一性障害とトランスジェンダーを混同させようという社会の動きが異常でした。
この2つの違いは、自分が持って生まれた身体に違和感や嫌悪感を感じる(前者)か、違和感は感じず、意識だけ「女/男」と主張する(後者)かです。
「トランスジェンダー」とは「trans-」(~を越えて、横断しての意の接頭語)と「gender」(文化的・社会的役割としての「性」で、身体的な「性」を意味する「sex」とは概念が異なる)からなる造語で、本人の「心、自認(自称)」に依存します。
従って、”身体は男性だが、心は女性。しかし同性愛者(=好きになるのは女性)” と主張する人がいる他、「tans-」を付ければ、年齢さえも超越(trans-age)でき、”(身体はおじさんなのに、)心は7歳の女の子” など、科学的な要件を無視した主張をする人が現れ、それを認めないと「ヘイト」と見なされる風潮が日本でもできています。
2023年6月23日に施行された、通称『LGBT理解増進法』は本来は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」と言い、表面的には性的マイノリティへの理解を高める事が目的とされていますが、この法律に反対だった人達は、この法律が ”蟻の一穴” になってしまう事でした。
つまり、女湯や女性更衣室に「身体は男性の自称 ”女性” 」が入ってきたり、スポーツの女性部門に「身体は男性だが、規則に従い、一定期間ホルモン投与を受ければ ”女性” として出場できる男性」が出場する事になり、日本では前者が堂々と女性スペースに入ってきたり、後者については世界でも「行き過ぎた」と見直す動きや女性アスリートによる反対運動が起きています。
『トランスジェンダーになりたい少女たち』に話を戻すと、ブログ主の理解では、思春期などの不安定な時期に、ふと、「自分は(身体は女だけど)男かもしれない」と考えた少女が、SNSなどで同様の事例を探し確信して、安易に身体を改造してしまう、という事に警鐘を鳴らす本だです。
ブログ主は、もし、KADOKAWAからすんなりこの本が出版されていたら予約はしなかったと思いますが、産経出版が勇気を出して出版すると発表したことでAmazonで予約しました。
ページ数の割には高い(2,530円)本ではありますが、版権が高かったのでしょう。せめて、初刷りは完売、できれば発売と同時に増刷決定くらい売れれば良いと思っています。
性的マイノリティに限らず、従来、折り合って来たものの権利を主張して、マジョリティの生活を脅かしたり、従来の秩序を破壊するのは、広義の共産主義です。
労働者の待遇が改善され金持ちになった事で、労働者と資本家という従来の対立構造を利用できなくなった事で新たな ”弱者” を作りだし、それを利用して革命を起こすことが目的です。
彼等は本当にマイノリティの事を考えているわけではありません。利用しているだけです。
この問題は、ブログ主よりも詳しくて熱心に活動していらっしゃる方が多いので、敢えてブログには書きませんでしたが、まだ記憶に新しい内に時系列に整理しておいた方が良いと考えてエントリーにしました。このエントリーの続きか別のエントリーで、ここ数年の動きを纏めたいと思っています。あと10年もしたら、リアルタイムで見ていない世代が「なんでこういう事になっているのか」が分からなくなってしまうからです。
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