【慰安婦・徴用工】韓国政府が9月に国連人権理事会に提出した意見書
本題に入る前に、昨日(26日)に韓国で出された2つの裁判の判決です。
朴裕河教授の『帝国の慰安婦』名誉毀損裁判(刑事)で、朴教授の勝訴。正確には高裁への差し戻しです。但し、まだ民事が残っているそうです。
もう一つは、対馬の仏像の所有権を巡る裁判で、所有を主張する韓国曹渓宗の寺と韓国政府の争いですが、寺側が敗訴。対馬に戻される可能性が高くなりました。
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ここで本題ですが、昨日、『ハンギョレ』が「韓国政府、国連に示した「日本は強制動員を公式謝罪」意見を見直し」と報道をしました。
国連に示した意見とは9月13日に国連人権理事会に提出した意見書です。
先に簡単に9月14日の『ハンギョレ』の報道を見ておきます。
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/47838.html
尹政権、国連に提出した「日本は強制動員に公式謝罪した」との意見書で波紋
2023-09-14
>「現在進行中の過去事問題を韓国政府は大部分解決し、あるいは解決中である」
>「日本政府は『慰安婦』被害者と『強制動員』被害者に公式謝罪し、加害事実を認めた」
>報告書によると、韓国政府は1993年の日本の「河野談話」に言及し、上記のように述べた。現在、日本政府は河野談話と2015年の韓日「慰安婦」合意を通じて慰安婦問題に対して謝罪はしたが、「国家犯罪であるため政府予算で賠償する」という法的責任は認めていない。強制動員問題についても、1965年の韓日協定で両国間の請求権問題が解決されたとし、非人道的な強制動員に対して賠償するよう宣告した韓国の最高裁(大法院)判決の履行を拒否し続けている。
河野談話に言及していますが、この談話は「朝鮮人女性の強制連行」など認めておらず、実は正義連の方がそれに気付いていて、水曜集会で、公式な謝罪を求めて続けています。
▲水曜集会の舞台に書かれた要求事項(金柄憲先生による日本語訳)
赤枠はお借りした画像、つまり金柄憲(キム・ビョンホン)氏が付けたものなので無視して下さい。未だに「公式謝罪」を求めている事が分かります。
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https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1113676.html
[단독] 정부, 유엔에 낸 ‘일본 강제동원 공식 사과’ 의견 재검토
韓国政府、国連に示した「日本は強制動員を公式謝罪」意見を見直し
https://japan.hani.co.kr/arti/politics/48193.html
2023-10-26
国連に「日本政府は強制動員の被害者に公式謝罪した」との趣旨の意見書を送った韓国政府が、この内容を見直し、意見書の修正手続きを踏んでいることが25日に確認された。
外交部は25日、共に民主党のパク・ホングン議員室に「我々(政府)の意見を改めて提出するために、国連人権理事会との協議を含む関連手続きに着手した」とし、「今後類似したことのないよう、よりいっそう綿密に検討する」と述べた。政府は韓国の歴史問題を調査した真実・正義・賠償・再発防止の促進に関する特別報告者のファビアン・サルビオリ氏に8月29日に送った意見書に「日本政府は『慰安婦』被害者と『強制動員』被害者に公式謝罪し、加害事実を認めた」との内容を記していたことが明らかになり、波紋を呼んだ。
政府は意見書における日本政府の「公式謝罪」項目に、岸田文雄首相が5月の韓日首脳会談後の共同記者会見で「個人の意見」であることを前提として「当時の厳しい環境のもとで、多数の方々が大変苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と述べたことを記載し、批判を受けた。「強制動員被害者」への言及すらない曖昧な個人の意見を、韓国政府が公式謝罪だと認めたのだ。
政府はまた、サルビオリ氏が2015年の慰安婦合意の改正を勧告したことについて「韓日両国の公式合意」だとしつつ、「被害者の名誉と尊厳を回復し、心理的な傷を癒やすために努力している」との意見を示した。
4・9統一平和財団、民族問題研究所、カトリック人権委員会などの国連人権理事会の韓国NGO代表団は、先月13日に発表した報道資料で、政府のこのような意見書の内容を公開し、強く批判した。10日に行われた外交部に対する国政監査でも、民主党議員による指摘が相次いだ。パク・ホングン議員は「岸田首相が個人的に遺憾を表明したことを、政府は『公式謝罪』の項目に入れた」とし、「国際機関に大韓民国を代表して意見書を提出するのに、うそを記述してもよいと思っているのか」と述べた。キム・サンヒ議員も「歪曲された政府意見書を提出したことを正さなければならない」と述べた。これを受け、主務省庁の外交部は意見書を見直すことを決めた。
外交部の関係者はハンギョレに「まだ修正内容を確定したわけではなく、事案ごとに内容を検討している」と語った。
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所謂 ”国連の方から来ました” の特別報告者であるファビアン・サルビオリ氏は(NGO団体のロビー活動で)「2015年の慰安婦合意の改正」を勧告したのですが、韓国政府はその意思が無いこと、慰安婦問題については『河野談話』を根拠とし、朝鮮半島出身労働者問題では、岸田首相が韓国で述べた ”個人的お気持ち” を根拠に、既に日本は慰安婦問題、労働者問題共に公式謝罪したと意見書に書いてしまったのです。
恐らく...ですが、現在の尹錫悦政権としては、国連人権理事会でもうこの件について日本と争わないつもりでこのような意見書を出したのではないかと思います。少なくとも、国連にこれ以上口出しして欲しくない、と。
しかし、どちらも中心となる事は『強制動員』で、日本はそれを認めおらず、従って公式謝罪などしていません。
韓国政府は、勇み足と言うのか、無能な働き者と言うべきか...。
9月13日に提出した意見書は一部が画像で公開されていたので、それも機械翻訳しておきます。
48が問題だと思います。
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4. "慰安婦"被害者
46. 韓国政府は2015年の日韓日本軍「慰安婦」被害者問題の合意を両国間の公式合意として認め、「被害者の名誉と尊厳を回復し、心理的な傷を癒すために努力しています。
法律
47. 日本軍慰安婦被害者に対する生活安定支援及び記念事業等に関する法律」は 1993 年に制定されました。 この法律の目的は次のとおりです。
'被害者の保護及び支援、生活安定及び福祉の増進、記念事業等を通じた名誉回復、真相究明及び人権の増進に寄与する。
公式謝罪
48. 1993年、河野洋平官房長官は、日本軍が慰安所の設立と運営、慰安婦の移送に直接的・間接的に関与したことについて、公に謝罪しました。 彼は、多くの場合、慰安婦が本人の意思に反して説得、強要、その他の手段によって募集され、行政・軍関係者が募集に直接関与した場合もあったことを認めました。一方、被害者たちは、日本政府の公式謝罪と法的責任を認めることを継続的に要求しています。
補償
49. 大韓民国女性家族部は、被害者の生計と安定のために様々な支援を行っています。生活安定支援金は2023年現在1,797 009ウォンで、昨年の1,626,000ウォンより5%引き上げられ、1人当たりの月平均介護費用は289万8,000ウォンから今年312万6,000ウォンで7.9%増加しました。
ブログ主は、この報道が出たときに、日本政府は内々に抗議したのではないかと思っているのですが...。
仮に河野談話で公式謝罪したなら、”慰安婦被害者” の公式謝罪要求を黙らせるのが韓国政府の役目でしょう。
日本人、特に、これ以上の謝罪は不要だと考える人達は、2015年の慰安婦合意は不本意ではありましたが、合意したことは戻せません。日本政府としては、合意を履行していない韓国政府に粛々と「合意を守れ」と言い続けるしかありません。もはや、韓国国内問題なのです。
ただ、この件で分かるのは、”道義的” 謝罪でも、岸田首相の ”お気持ち” でも、謝罪めいた事を韓国に対して言ってしまうと、次は「法的責任を取れ!」、「謝罪と賠償!」とエスカレートするという事です。
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