【尖閣諸島】台湾人の7割が「尖閣諸島は日本のもの?」に「No!」この理由は?
先日、台湾メディアが「尖閣諸島は日本のもの?」という世論調査を行い、約7割の人が「ノー」と答えました。
質問がこういう形式になったのは、次期台湾総統選に出馬予定の元台北市長・柯文哲氏が来日してNHKのインタビューに答え、「台湾の人たちはこの土地が欲しいというわけではなく、そこで漁業ができればいいだけ」と発言した事がきっかけだからです。〔記事後述〕
後述しますが、1969年末に海底資源がある事が分かり、台湾(中華民国)は1970~71年頃から「尖閣は台湾の付属諸島」と言い出したもので、1971年に公式に中華民国領の東端を「東経122度6分25秒 → 124度34分09秒」から教科書の地図(日本との境界線)も書き換えています。
この問題を扱ったのが、『新日本文化チャンネル桜』の『台湾チャンネル』で、以下の動画です。
結論から言えば、台湾の人は(竹島を巡っての韓国人とは異なり)、日本と常日頃領土問題で言い争いをしている訳ではないので、教科書で習った事をそのまま覚えているだけで、論争をした事がないから、それ以上の事を知らないだけです。
※これ以外に、「明の時代から尖閣はシナのものであり、『下関条約』(日清戦争)で日本が奪った」という主張もありますが、その件は別のエントリーにします。
上記動画でも説明されている通り、台湾とは特に尖閣諸島の領有権で大きな争いのないまま、「日台漁業取り決め」〔安倍・馬英九政権時代〕を行い、台湾の漁民は尖閣周辺の日本のEEZでの操業を許可されています。
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◆資料等
外務省『尖閣諸島について』(https://mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/pdfs/senkaku.pdf)
1969年5年の国連アジア極東経済委員会による学術調査の結果、東シナ海に石油埋蔵の可能性ありとの指摘がなされ、中国・台湾がそれまで主張していなかった尖閣諸島の領有権を主張し始めるといった説明や、台湾の教科書に掲載されている地図が1970と71年では境界線の位置が異なる事が示されている。
※上記PDFは、外務省トップページ > 外交政策 > その他の分野 > 日本の領土をめぐる情勢 > 尖閣諸島 にある。
『重修臺灣省通志 卷二 土地志轄境篇』〔臺灣省文獻委員會/1989年5月24日(民国78年5月24日)出版〕
動画で紹介された資料。1971年を境に中華民国領の東端を「東経122度6分25秒 →124度34分09秒」 に変更したという記述がある。
◆新聞記事
https://www.cna.com.tw/news/aipl/202306080093.aspx
藍綠齊轟柯文哲釣魚台論述 柯辦:會捍衛國家主權
2023/6/8 12:23(6/8 15:52 更新)
https://japan.focustaiwan.tw/politics/202306080004
フォーカス台湾
総統選/柯氏の釣魚台巡る発言に与野党反発 民進党「主権を軽視」 国民党「勉強不足」/台湾
2023/06/08 18:25:44
台北中央社)来年1月の総統選への出馬を表明している野党・民衆党主席(党首)で前台北市長の柯文哲(かぶんてつ)氏がNHKのインタビューで、台湾が領有権を主張する釣魚台列島(日本名:尖閣諸島)に関し、「台湾の人たちはこの土地が欲しいというわけではなく、そこで漁業ができればいいだけ」と発言したことに対し、与野党から反発の声が上がっている。柯氏の事務所は8日、「国家の主権を守ることを堅持する」との立場を強調した。〔中略〕
与党・民進党の林静儀立法委員(国会議員)は8日の同党立法院党団(国会議員団)記者会見で、柯氏は主権を気にしておらず、主権の問題を軽視していると指摘。総統選に出馬する人が国際儀礼や国際関係、政治の役割さえも知らないとしたら、どうして総統になり得ようかと非難した。
野党・国民党の立法院党団総召(院内総務)を務める曽銘宗立法委員らも同日、立法院で記者会見を開いた。曽氏は、柯氏は訪日前に勉強をしっかりとしていないと批判。台湾と日本が2013年に台日漁業取り決めを締結したことに触れ、同取り決めの適用水域以外で台日双方の主張が重なる排他的経済水域については問題を棚上げしており、双方の漁業者が操業可能だとした上で、柯氏は国際常識が著しく欠けているとなじった。〔後略〕
世論調査は支持政党別・年代別などの分析もあるので一応全文引用しておきます。ただ、あまり大差ない。
https://www.recordchina.co.jp/b915920-s25-c100-d0052.html
「尖閣諸島は日本のもの」、世論調査で7割超が反対―台湾
Record China 2023年6月19日(月)
台湾で行われた世論調査で「釣魚台(尖閣諸島)は日本のもの」に7割超が反対の姿勢を示した。中時新聞網や三立新聞網など、台湾の大手メディアがこぞって報じている。
来年1月の台湾総統選への出馬を表明している野党・民衆党の柯文哲(カー・ウェンジャー)前台北市長が先日訪日した際、「台湾の漁民は尖閣諸島が欲しいわけではない」などと発言したことが台湾で物議を醸している。
そうした中、18日に台湾民意基金会が発表した世論調査(20歳以上の男女1080人を対象)では、「故・李登輝氏がかつて発言した『釣魚台は日本のもので、台湾のものではない』に同意しますか?」との質問に、「とても同意する」は2.9%、「どちらかといえば同意する」は9.3%にとどまる一方、「あまり同意しない」は34.2%、「全く同意しない」は36.4%と「同意しない」が合わせて7割を超えた。残りは「意見はない」「分からない」など。
同基金会の遊盈隆(ヨウ・インロン)董事長によると、「同意しない」が多いという傾向はどの政党支持層でも同じだったが、その「強度」にやや違いがあり、与党・民進党の支持者では「同意しない」が66%、「同意する」が18%だった。国民党支持者では「同意しない」が83%、「同意する」が5.7%だった。柯氏の民衆党支持者では「同意しない」が76%、「同意する」が11%だった。
また、年齢層では、20~24歳は「同意しない」が70%、「同意する」が9.4%、25~34歳は「同意しない」が57%、「同意する」が26%、35~44歳は「同意しない」が70%、「同意する」が15%、45~54歳は「同意しない」が78%、「同意する」が8.5%、55~64歳は「同意しない」が73%、「同意する」が8.6%、65歳以上では「同意しない」が73%、「同意する」が6%だったという。
このほか、学歴や民族などの別でも大きな違いはなかったといい、同基金会は総括として「釣魚台は日本のものであるという主張には、台湾では大多数の人が反対しており、性別や世代、教育の程度、職業背景、民族、支持政党などを超えた共通認識となっている」としている。
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