【朝鮮人陸軍特別志願兵】朝鮮人の学徒志願兵同窓会「1.20同志会」
先日(6月3日)、韓国の保守系ネットメディア『ペン&マイク』が、『反日種族主義』の著者の一人であり、「落成大学経済研究所」研究員の鄭安基(チョン・アンギ)博士を招いて「学徒志願兵の記憶と忘却」〔학도지원병의 기억과 망각〕という番組を放送しました。
一方、以前のエントリーでご紹介した通り、最近、『週刊新潮』が5月18日号に『韓国のユスリタカリ 「慰安婦」「徴用工」の次は「志願兵」』という記事を書きました。
日本の教科書検定で通った教科書を韓国政府が批判したのですが、その批判の対象の1つが、日本統治時代の朝鮮人の志願兵の写真に付けられた「多くの若者が陸軍志願兵に志願した」というキャプションです。『新潮』の記事は、志願兵が新たな日韓歴史問題の火種になるのではないかという内容です。
実はこの2つの報道は広い意味で繋がっていたのです。
台湾もそうですが、朝鮮半島では徴兵制ではなく、志願兵を募りました。
陸軍特別志願兵は数十倍の高い倍率であった事は事実なのに、何故そんないちゃもんをつけるのか...?とお思いでしょうが、特に学徒志願兵については、韓国では公式には「志願の美名の元に行われた強制動員」という事になっているのです。
韓国社会では、証拠など大した問題では無いという例を幾つも見てきたではありませんか。
裏付けのない本人の証言だけで ”慰安婦の強制動員” が真実になる社会です。日本に密航してまでも働きに来たかった朝鮮人の様子を報道する記事が無数に残っており、日本企業で好待遇を受けていた証拠がたくさんあるのに ”強制労働” の被害者となり、国民の大多数が無批判に信じてしまうのが韓国社会です。
誰かが仕掛けたら新たな反日ネタとして燃え上がる事は容易に想像できます。事実を重視する韓国人もいらっしゃいますが、声が大きい方が勝つのが韓国社会です。
* * * *
日本では北朝鮮の専門家の加藤健氏(アジア調査機構代表)と立憲民主党で拉致問題にも熱心に取り組んでいらっしゃる松原仁衆議院議員が(おそらく)連携して、松原議員が5月31日の衆議院外務委員会で、「朝鮮人陸軍特別志願兵」を取りあげました。
- 加藤健氏のブログ
2023年05月01日 韓国の新たな賠償ネタか?
2023年06月02日 韓国の不当要求撃退にむけて前進!
『ペン&マイク』がなぜ今この時期に、日本の報道と連携するように陸軍特別学徒志願兵を取りあげたのか?と不思議に思ったので、ブログ主は鄭安基博士に伺ってみました。「日本では、慰安婦、徴用工に次ぐ新たな歴史問題になりかねないと危惧し、国会でも取りあげた」と伝え、このシンクロニシティは何故だろうという疑問を。すると、「そうです。先制的に対応して政治的火種になることを事前に除去しなければなりません。」というお返事を頂きました。
おそらく、教科書問題がきっかけなのでしょう。
* * * *
◆1.20同志会(1.20동지회)とは
ところで、ここでは単なる「(朝鮮人)志願兵」ではなく、「学徒志願兵」というところがポイントです。
学徒志願兵、即ち、大学生の志願兵です。
彼らは1944年1月20日に入隊したので、独立後「1.20同志会」という会を結成しました(1963年3月16日)。
彼らはエリートだったので、独立後の韓国で要職を務める者も多く、回顧録を書き、その発信力を利用して、「民族の反逆者(日帝の協力者)」から「独立運動の闘士」にまで記憶を改竄し、過去をロンダリングしたのです。そして、彼らを研究する学者も多く、例えば、姜徳相(カン・ドクサン、강덕상)氏はその代表的な学者です。
こうした活動が結実し、韓国政府(行政安全部)は2018年、「日本軍を脱営して光復軍に参加した学徒志願兵を独立有功者とし、彼らの学徒志願を独立運動まで格上げしなくてはならい」という報告書を発表しました。
姜徳相教授の本のタイトルを見ても分かるように、朝鮮人学徒陸軍特別志願兵を日本の学徒動員と同列にしようとしています。
しかし、日本人学徒は徴兵対象、つまり義務でしたが、朝鮮人は違います。
鄭安基博士によると、朝鮮人学徒志願兵の多くは日本の大学に在籍していました。そこで日本人学生は「義務」として動員され、朝鮮人は免除されていたので、逆差別のような事が起きます。また、朝鮮人学生は自分達が1級国民でない事を痛感し、負い目のようなものを感じていました。日本人・朝鮮人双方に不公平感があったのです。それを解消するのが臨時の「朝鮮人学徒陸軍特別志願兵」募集でした。
彼らに関しては多くの資料が残っています。例えば、身上書の類いや彼らの動向を調査した報告書です。
動画で紹介されたのは、彼らの不安や希望の声です。
ある者は「甲種合格(将校への道が開ける=幹部コース)かと思っていたら乙種合格(下士官コース)で、将来が不安になった」と不安を吐露したり、「甲種合格した今は国家に一身を捧げる覚悟だ」などと抱負を語っていました。
それは当然で、彼らは1920年前後、遅くても1923年12月以前に生まれた、生まれながらの日本人でした。
軍人になる事、軍人として出世する事は立身出世の夢を叶える手段だったのです。それは、陸軍特別志願兵全体の倍率の高さや、血判状まで送って軍人になりたがる朝鮮人の若者がいた事を考えれば、彼らも同様だった事は容易に想像がつきます。
しかし、彼らの一部は厳しい軍隊の規律についていけなかったり、幹部コースからの脱落、死への恐怖などで嫌気が差して脱走します。
独立後の彼らの回顧録には、「志願兵になる事は、中国で脱営して臨時政府軍に参加する為だった」などという嘘がちりばめられます。光復軍に参加するなら直接参加すればいいはずなのに。
『ペン&マイク』の動画は日本語字幕はありませんが、下記の『李承晩TV』にそのエッセンスは説明されています。
- 「11. 学徒志願兵、記憶と忘却の政治史!」〔日本語字幕付き/無し〕
なお、4.385人の『朝鮮人学徒陸軍特別志願兵』という数字は姜徳相教授によって広く流布されていますが、正しくは3050名です。
次回、この数字についてもう少し詳しく検証します。
« 【沖縄】「済州フォーラム」で照屋喜美沖縄県副知事は何を約束してきたのか | トップページ | 【朝鮮人陸軍特別志願兵】朝鮮人の学徒志願兵同窓会:姜徳相教授の数字の誤り »
« 【沖縄】「済州フォーラム」で照屋喜美沖縄県副知事は何を約束してきたのか | トップページ | 【朝鮮人陸軍特別志願兵】朝鮮人の学徒志願兵同窓会:姜徳相教授の数字の誤り »
コメント