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2023/05/07

【韓国】『十五少年漂流記』? 正しくは『二年間の休暇』です【朝鮮日報】

小説に限らず、映画や音楽のタイトルを日本語に訳す時、様々な理由で原題とは離れたタイトルに訳すことはままあります。

韓国語で出版された外国文学は日本語訳からの翻訳、即ち、重訳が多いらしく、タイトルも日本語タイトルの直訳だったのを原題に忠実に変えたり、韓国人の感性に合うように変える動きがあるそうです。

それ自体は良いのですが、日本語版のタイトルを ”誤って訳された” と言うのはどうなんでしょう。「原題は~です」というのならともかく。

『若草物語』はオルコットの『Little Women』を誤訳したわけではありません。

そのタイトルを付けた翻訳者は、日本人なら日本の読者に興味を持って貰おうとか、原題の直訳では伝わらないと思ってタイトルを考えたのですから。

そして、タイトルしか問題にしていないのが気になります。えらそうに言うなら、新訳を出してから言え、と。

 

* * * *

https://www.chosun.com/culture-life/culture_general/2023/04/11/NT72WES6HVHFXG7DQGQRP25AUI/
15소년 표류기? ‘2년동안의 방학’ 이 맞습니다...일본식 제목 뒤집기
2023.04.11. 09:19

https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2023/05/04/2023050480097.html
『十五少年漂流記』? 正しくは『二年間の休暇』です…韓国出版業界、日本語重訳依存から脱却の試み
2023/05/07

慣行のように使ってきた日本語訳のタイトルを原題の意味を生かして新たに出版

 小説『二年間の休暇』(Deuxans de vacances)を耳にしたことはあるだろうか。『十五少年漂流記』で知られるフランス人小説家ジュール・ベルヌが手掛けた作品の原題だ。15人の少年が船上で嵐に遭遇して難破し、漂流した先の無人島で生きていく話だ。出版社の「ヨルリムウォンオリニ」は最近ジュール・ベルヌの5冊の小説を児童・青少年用に再編集して発行する過程で、『二年間の休暇』というタイトルを採用した。代わりに『十五少年漂流記』を副題として付け、誤解の余地を減らすのに努めた。

 これまでタイトルが誤って知られていた理由は、1896年に日本で翻訳されたタイトルを韓国がそのまま取り入れたためだ。原題を使ってこそ少年たちが2年間の共同生活を通じて成長してきた過程に集中できるというわけだ。『ジュール・ベルヌ傑作集』(ヨルリムウォンオリニ刊、全20巻)などの翻訳を手掛けたキム・ソクヒ氏が翻訳した。キム氏は「14年前に全集の翻訳を担当した時はでたらめの作品と勘違いされるのではないかと思って本のタイトルを変えなかった」とし「これまでは日本語訳のタイトルを踏襲してきたが、今は変える価値があると思った。本来のタイトルが知られ、広く使われることを願う」と話した。

 誤って訳されたタイトルが原題に近く再び翻訳し直されるケースが少なくない。日本語など重訳本に依存していた慣行から脱し、原作の意味をきちんと知らせようとする試みだ。チャンビ世界文学全集1巻であるゲーテの『若きヴェルターの悩み』が代表的だ。『若きウェルテルの悲しみ』(Die Leiden des jungen Werthers)で知られる作品だ。主人公の名前(Werthers)を「ウェルテル」という日本式の発音を原語に近い発音(ヴェルター)に変えたほか、「Leiden」を悲しみよりも悩みという解釈に変えたことだ〔※後述 。ヨンアムソガ、シゴンサなどの出版社もこのタイトルを使用している。この他『若きヴェルターの悲しみ』『若きヴェルターの苦痛』など「ヴェルター」と表記するケースも多々見受けられる。

 タイトルのニュアンスを正しく表現しようとする試みも多い。出版社グリーンビーは、アルベール・カミュの『異邦人』を『異人』(韓国語読みが「イイン」)というタイトルに直して出版した。原題(L'Etranger)が普通の人と違う見知らぬ人間である異人と、作品の中で断絶した二人(韓国語読みが「イイン」)の主人公が存在するという意味の「イイン」を同時に内包しているというのだ。チャンビは夏目漱石の『吾輩は猫である』を『この体は猫だ』に※後述、英国作家ドリス・レッシングの『黄金ノート』(原題 The Golden Notebook)を『金色ノート』に変えて出版する。それぞれ小説の中心素材を指す原文のニュアンスを反映して修正したという説明だ。

 作品のタイトルを変えることに懐疑的な立場もある。翻訳の意図が良くても、全く違う作品のように思われる場合、読まれなくなる恐れがあるためだ。出版社の立場としては、作品の販売部数を無視することはできない。ある出版業界の関係者は「原題に忠実な翻訳だとしても、大衆が古典に対して持っている情報がすでに蓄積されているので、タイトルを変えることはより一層慎重にならざるを得ない」と説明する。

* * * *

 

『若きウェルテルの悩み』は韓国語では『若きウェルテルの悲しみ』になっているようですが、主人公の名前が日本語訳からとっているようなので、これも日本語訳からの重訳のようですが、日本語では一般に『若きウェルテルの悩み』で知られています。

これは日本の訳者も原文(ドイツ語)からではなく、他言語から翻訳した人もいるようで、Wikipediaによると、

日本では1891年(明治24年)に『山形日報』に連載された高山樗牛の訳によって初めて本格的に紹介された。高山訳は、原作の約5分の4を訳出している。初の完訳版は1904年(明治37年)に、漢詩人でもある久保天随(得二)訳『ゑるてる』である。重訳をふくめ谷崎精二、秦豊吉、茅野蕭々、高橋健二、澤西健、前田敬作、井上正蔵、高橋義孝、手塚富雄、柴田翔、竹山道雄、神品芳夫など多数の訳者により訳・出版された。

だそうなので、韓国語のタイトルは英文(『The Sorrows of Young Werther』)からの日本語訳を更に韓国語に訳した可能性もあります。

 

意味が分からなかったのは、夏目漱石の『吾輩は猫である』を『この体は猫だ』に変えた、という部分です。

記事の原文によると、「나는(私は) 고양이로소이다」〔機械翻訳:私は猫である〕を「이 몸은(この体は) 고양이야」に変えたそうで、「体」に当たる「몸」は、辞書によると「身体」以外に「身分、立場」の意味があります。

恐らく、元の「私は~」では表せなかった、「吾輩」と自称する猫の尊大さを出そうと苦心して訳したのだと思います。

しかし、これを記者が日本語に再翻訳する際に「この体」と訳してしまったので、日本人読者には何のことだか分からなくなってしまいました。これが翻訳の難しさですね。

良い訳かどうかは分かりませんが、「我が身分は猫である」とでも意訳(と言うか直訳?)したら、韓国人訳者の苦労が伝わったかも知れません。

 

重訳、それ自体は、上記の『若きウェルテルの悩み』の日本語訳でもあるように、よくある事ではあるのですが、韓国の外国文学がこれほど日本語訳に依存していてたとは、あらためて驚きました。

 

別に現代の日本人が「感謝しろ」などというつもりはないのですが、朝鮮時代の高等教育もそうですが、韓国(朝鮮)の近代化は、日本語無しにはありえなかったのではないかと思います。

 

  


 

 

 

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