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2023/02/08

【韓国】文化財に登録された「銀製梨花文花瓶」、よく見たら日本のメーカーの製品だった。14年ぶりに登録抹消

韓国関係の記事ではイライラさせられることが多いけど、たまにこういう ”お茶目な” 事があるから憎めないw

 

20230207_kabin06

▲http://www.heritage.go.kr/heri/cul/culSelectDetail.do?pageNo=1_1_2_0&ccbaCpno=4411104530000

 

まずは『中央日報』の記事をご紹介します。

* * * *

https://japanese.joins.com/JArticle/300708
韓国文化財に登録された花瓶、日本時計店の製品だった…登録抹消
2023.02.07 11:56

韓国文化財庁が3日、官報を通して国家登録文化財「銀製李花文花瓶」〔※은제이화문화병〕の文化財登録を抹消すると告示した。

文化財庁は「銀製梨花文花瓶の底の『小林』の押印は東京の小林時計店の製品であることが確認され、登録を抹消する」と明らかにした。

小林時計店はかつての日本の有名な時計店で、美術品制作所として知られている。19世紀半ばから1943年まで東京で営業し、時計のほか銀製品や装身具を制作した。宮内省をはじめ各官庁にも納品していたという。

銀製梨花文花瓶の中央には大韓帝国の皇室紋章「李花」模様がある。文化財庁は2009年、この遺物を登録文化財に登録しながら「王室で使用する工芸品を制作するために設立された李王職美術品制作所で1910年代に制作」と説明した。

しかし花瓶の底に小林を意味する押印があった。登録当時、文化財委員と専門家は遺物の形態、保存状態、製作技法などを調べたが、小林の押印にはいかなる言及もしなかったことが確認され、文化財鑑定専門家としての威信が損なわれた。

* * * *

 

「小林を意味する押印」などと書いていますが、底にはくっきりと「小林」と刻印されていますw

 

20230207_kabin01

 

骨董品としてはそれなりに価値があるにしても、大韓帝国~日本統治時代にあった「李王職美術品制作所」の製品ではないということです。

 

別の『聯合ニュース』の記事「알고 보니 日 시계점서 제작…은 공예품, 14년 만에 문화재 말소」(実は日本の時計店で製作…銀工芸品、14年ぶりに文化財抹消)によると、

https://www.yna.co.kr/view/AKR20230206137200005
学界では、李文紋を持つ工芸品はとりあえず李王職美術品製作所が作ったと見る視点を批判する意見も少なくなかったという。

 

とあり、李家の御紋であるスモモの文様付きという程度で李王職美術品製作所が作ったという短絡的な鑑定しかなされていなかったようです。

 

もう少し調べて見ました。

まず、「東京小林時計店」で検索してみると、例えば、オークションサイトのような所に「東京小林時計店謹製 純銀製 皇室御下賜品 閑院宮春仁王殿下 菊葉彫純銀花瓶」という出品物が見つかったので、記事の通り、宮内庁御用達のメーカーで、皇室や宮家の行事などで使う下賜品などを注文製作していたのでしょう。

 

 

下は別の例。古物販売サイトからのキャプチャです。

 

「李王家御下賜品「李花紋」王家の紋章 純銀蓋物・香合・ボンボニエール 御道具 小林製 刻印有」

20230207_kabin02

 

 

次に、「李王職美術品制作所」について調べて見ました。

以下は「韓国学中央研究院」(한국학중앙연구원)が運営している「韓国民族文化大百科事典」からの翻訳の抜粋です。

http://encykorea.aks.ac.kr/Contents/Item/E0071749
1908年に李王家で設立した工芸品製作施設。(...)日帝強占期の1937年頃まで30年余り運営され伝統工芸技術の伝承的基盤を作り、さらにその伝統を今日伝えた。
設立当時は「漢城美術品製作所」として発足したが、1911年には「李王職美術品製作所」、1922年からは「株式会社朝鮮美術品製作所」と名称が変わり、運営主体が日本人に変わり、製作活動の性格も商品を生産する方に変わっていった。
設立当時は金工部と木工部、染織部で発足し、1910年頃には需要層の要求に応じて製墨部と陶磁部を追加的に新設した。 また、初めて図案を導入し、工芸分野に近代的な製作方式を普及し、先導した。金工部は主に中国の青銅製器の形式を銀で再現した小型記念品を製作し、木工部は螺鈿漆器を、陶磁器部は当時愛好家の間で収集熱が高かった青磁比色の再現にそれぞれ力を注いだ。すべての製作品には李王家の李花紋章を刻んで差別化を図り、運営主体が李王家と無関係になった1910年以降も、この紋章は商業的な目的によって継続的に刻まれた。

 

どうやら、設立目的は、李氏朝鮮伝統の工芸品を作る商業的な工房のようです。技術を継承しつつ、輸出品を製造していたのではないでしょうか。

「金工部は主に中国の青銅製器(を銀で再現した記念品を製作)」とあるので、今回話題になった「銀製梨花文花瓶」のような銀製品、ましてや、それに七宝を施す技術が李氏朝鮮の伝統工芸品と言えるのかどうか...。

下図は、あるオークションサイトで見つけた絵葉書セットのキャプチャですが、確かに青銅器(風の金属製品?)を作っていたようです。

  

20230207_kabin03

 

要するに、その時代に骨董品と認識される物のレプリカを作っていたに過ぎない工房です。

「李王職美術品制作所」がどういった物を作っていたかという知識があれば、「このような(現代的な)花瓶を作っていたはずがない」と結論が出たのでは無いでしょうか。

 

ところで、韓国の文化財庁は度々このような失態を演じています。

一例を挙げると、2020年には以下のような事がありました。

https://www.hankookilbo.com/News/Read/202004291153061105
韓国日報(2020.04.29):원나라 도자기였다니… 46년 만에 매화 백자 ‘국보’ 박탈(元王朝の陶磁器だったなんて...46年ぶりに梅花白磁「国宝」剥奪
46年前に国宝に指定された梅文白磁〔※백자 동화매국문 병:白磁 銅畵梅菊文 甁〕の国宝資格が剥奪される。一般的な中国元王朝の陶磁器であることが判明したためだ。
理由は3つだ。まず、朝鮮時代の白磁と合わない銅畵(銅畵:銅が主成分の顔料で文様を飾る技法)だ。この技法は高麗時代後期の13~14世紀の遺物の一部と18~20世紀の朝鮮白磁に見られる。 その間は空白だ。朝鮮前期白磁には銅畵が活用された例がないというのが専門家の指摘だ。
産地が朝鮮ではない可能性も大きい。この陶磁器の製作時期・場所が15世紀の朝鮮ではなく、14世紀の中国というのが学界の判断だ。形や大きさ、技法、文様が元の陶磁器である「釉裏紅」と非常に似ているということだ。
同じ種類の陶磁器が中国に多く、希少性が低く、レベルもそれほど高くないというのが文化財庁の説明だ。

 

20230207_kabin034

 

時代や生産地の判定も間違っており、確かに古いものではあるが、ありふれた物だった、という訳です。 

要するに、骨董品の鑑識眼がまるで無いのですねw

 

  


 

 

 

 

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