【一つの中国】台湾は中華人民共和国の一部と認めている国は何カ国?
JBpressに興味深い記事が掲載されました。”「台湾は中国の一部」という『一つの中国』、全面受け入れしている国は少数派” というタイトルの記事です。
中国が主張する「一つの中国原則」は以下のような三段論法です。
- ①世界にはただ一つの中国しかない
- ②台湾は中国の不可分の一部
- ③中華人民共和国は中国を代表する唯一の合法政府である
③は明確です。中華人民共和国建国〔1949年10月1日〕後、中華民国と共に「(大陸も台湾も自国の領土と主張する)2つの中国」ができてしまった事で、1971年、一般に「アルバニア決議」と呼ばれる国連総会決議2758で ”蒋介石の政府を追放し、中華人民共和国を国連の『中国』における唯一の合法的代表とする” 旨の決議がなされたからです。
国連総会決議2758:Restoration of the lawful rights of the People's Republic of China in the United Nations. 「国際連合における中華人民共和国の合法的権利の回復」)
国連総会は、国連憲章の原則を思い起こし、中華人民共和国の合法的権利を回復させることが、国連憲章を守り、かつ国連組織を憲章に従って活動させるためにも不可欠であることを考慮し、中華人民共和国政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であり、中華人民共和国が国連安全保障理事会の5つの常任理事国の1つであることを承認する
中華人民共和国のすべての権利を樹立して、その政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であることを承認し、蔣介石の代表を、彼らが国連とすべての関連組織において不法に占領する場所からただちに追放することを決定する
Wikipedia「一つの中国」によると、蒋介石は「アメリカや日本から「二つの中国」を検討するよう説得されても、反発し続け」、「アメリカのリチャード・ニクソン政権は、「中国代表権と安全保障理事会常任理事国の地位を放棄して、一般の加盟国として国連に残る」という道を蔣介石に勧めた。しかし蔣介石が妥協しなかった(あるいはアメリカの最後通告の後に妥協を決断したが、遅過ぎて間に合わなかったとの説もある)」と、妥協しませんでした。
国連憲章には「中華民国」という言葉が残っていますが、これは中国が引き継いだと認識されています。同様にソヴィエト連邦もロシアが引き継ぎました。
国連憲章 第5章 安全保障理事会
第23条
1.安全保障理事会は、15の国際連合加盟国で構成する。中華民国、フランス、ソヴィエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国は、安全保障理事会の常任理事国となる。総会は、第一に国際の平和及び安全の維持とこの機構のその他の目的とに対する国際連合加盟国の貢献に、更に衡平な地理的分配に特に妥当な考慮を払って、安全保障理事会の非常任理事国となる他の10の国際連合加盟国を選挙する。
ここまで、主に以下の動画やサイトを参照しました。
- Wikipedia:一つの中国
- 興梠一郎公式動画:【台灣海峡危機】台湾は中国の一部か?〜「アルバニア決議」の謎(2022年8月24日)
①や②は中国の言い分ですが、これを認めている国がどれくらいあるのか?という調査について書かれたのがJBpressの記事で、筆者は譚璐美(たん ろみ)というノンフィクション作家の方です。
最初にアメリカの例を挙げると、「米中共同声明」(1978年)で、③については「recognize(承認)」。①、②については中国側の立場を「acknowledge(認知する)」と表現して、曖昧にしています。日本も1972年の「日中共同声明」では「承認」/中国の立場を「十分理解し尊重する」と表現を使い分けています。
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https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/74092
「台湾は中国の一部」という『一つの中国』、全面受け入れしている国は少数派
世界各国の公文書を分析して分かった、多くの国がとっている曖昧戦略
2023.2.26(日)
譚 璐美
中国政府は長年にわたり台湾は中国の一部だとする「一つの中国」原則を展開し、世界の180カ国がそれを承認していると主張している。
ところが最近、国立シンガポール大学の政治学系の庄嘉頴副教授が世界各国の公文書を分類・整理したところ、「一つの中国」原則を全面的に受け入れている国はわずか51カ国だけであることが判明。残りの国々は国情に応じて異なる認識を示していることがわかった。
◇「承認する」としている国が51カ国
中国政府が主張する「一つの中国」原則とは、三段階論からなる。(1)世界にはただ一つの中国しかない、(2)台湾は中国の不可分の一部、(3)中華人民共和国は中国を代表する唯一の合法政府である、という主張だ。
だが、いくら中国が強硬に主張しても、世界中の多くの国々は自国の国情に合わせて曖昧に受け入れ、独自解釈しているのである。
博訊ネット(2023年2月19日付)によれば、庄嘉頴副教授はまず、世界各国の公文書にある「一つの中国」原則に対する表記を比較検討し、それを10パターンに分類した。最も多かったパターンは、「一つの中国」原則を認め、中華人民共和国は唯一の合法的な政府であり、台湾は中国の一部である(不可分の一つの省である)として「recognize」(承認する)という用語を使用している国が51カ国あったが、決して中国がいうように180カ国ではなかった。
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ここまでは分かりやすいのですが、この後に挙げられる国の数を合計しても残りの約130カ国になりません。〔合計111カ国〕 が、以下にそのまま引用しておきます。恐らく、庄嘉頴副教が調査対象にできた国の合計が162カ国(51+111)しか無かったのでしょう。正直に言って、51カ国というのは侮れない数字のように思えます。
>さらに残りの約130カ国を9パターンとして、そのうち7パターンでは、中国政府の合法性を承認しつつも、必ずしも台湾に対する主張を受け入れているわけではないことが判明した。
>7パターンの表記には、「中華人民共和国が台湾を中国の一部であると主張している」ことを「acknowledge」(認知する)と表現した国が9カ国あり、また、同主張を「take note of」(注記する、留意する)と表現している国が9カ国。「understands and respects」(理解し尊重する)と表現している国が9カ国。中国の主張を「respects」(尊重する)とだけ記した国が2カ国あった。
>庄嘉頴副教授の分類によれば、その他の41カ国は台湾の主権について明確に言及せず、また27カ国は、中華人民共和国を唯一の合法的な政府だと承認せず、台湾の主権についても言及していない。さらに14カ国に至っては台湾と友好国であり、「中華民国を承認し、台湾の主権を認める」と表記していて、中華人民共和国と国交を持っていない。
次回、もう少し日本政府の立場をまとめておこうと思います。
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