【日本企業の資産売却問題】韓国政府、「被害者の事後説得」を検討…強制徴用解決策発表間近?
朝鮮半島出身労働者の ”賠償” の為に差し押さえた日本企業の資産売却問題では、毎回代わり映えのしない記事ばかりで、いちいちエントリーしないのですが、少し気になる『中央日報』の記事があったので、記録しておきます。
少しずつ、韓国政府が追い詰められている事が想像できる内容で、やや長いのですが、先に記事をご紹介します。
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https://www.joongang.co.kr/article/25130650#home
정부, '피해자 사후설득' 검토…강제징용 해결책 발표 임박? (政府、「被害者の事後説得」を検討…強制徴用解決策発表間近?)
https://japanese.joins.com/JArticle/299448?servcode=A00§code=A10
韓国政府、強制徴用解決策近く発表か…「被害者事後説得」検討
2023.01.02 17:19
昨年の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後に喫緊の外交課題に選ばれた強制徴用被害者賠償が年を越し韓国政府内部では「今年は問題解決にさらにスピードを出さなければならない」という声が高まっている。韓国政府は「併存的債務引受」を骨子とした解決策をまず発表し、事後説得を並行する案も重点的に考慮しているという。
◇解決策近く発表か
韓国政府消息筋は2日、中央日報に「すべての被害者が完ぺきに賛成できる案を持ってくるのは現在では不可能に近い。ひとまず被害者の要求の半分でも満たすために両国が交渉中」と話した。〔※匿名だが一応取材している〕
これに先立ち日本の保守指向産経新聞は1日、「早ければ1月中に韓国政府が解決策を公表する意向を日本側に示していた」と報道した。先月26日に東京で開かれた韓日の局長級協議で関連協議が行われたとし、「(韓国外務部の徐旻廷アジア太平洋局長が)原告団や有識者らが参加する公聴会で意見を聴取した後、すみやかに結論を出す意向を伝えた」と明らかにした。〔※産経:<独自>徴用工訴訟問題、韓国が1月中にも解決策提示、日本側に伝達(2023/1/1)〕
協議から3日後の先月29日にソウルで開かれた尹錫悦大統領との日本の連立与党公明党の山口那津男代表との会談でも双方は「韓日関係の懸案が速やかに解決されるよう努力しよう」と共感したが、ここでの「懸案」とは強制徴用問題を意味するとみられる。
◇官民協議会など「ビルドアップ」
韓国政府は昨年7月から強制徴用解決策をまとめるために両国間の疎通と各界の意見取りまとめを進めてきた。
強制徴用賠償関連官民協議会開催(7~9月)→外交部朴振(パク・ジン)長官の被害者面談(9月)→韓日外相会談で「民間財源賠償」提案(9月)→日帝強制動員被害者支援財団理事長就任(10月)→朴長官主宰の賢人会議開催(12月)などだ。
尹錫悦大統領と日本の岸田文雄首相も昨年9月と11月の2度にわたって会い、強制徴用問題の早急な解決で意見を共にした。現在韓国政府の公式案発表前に最後に残った段階は、外交部がこれに先立ち予告した公聴会など拡張された形態の意見取りまとめ程度だ。
韓国政府は強制動員被害者支援財団が日本の被告企業の賠償金に該当する寄付金を韓日の企業から受け取り被害者に支給する「並存的債務引受」を現実的な解決策としみる気流だ。ただポスコなど1965年の韓日請求権協定で恩恵を得た韓国企業のほかに日本の戦犯企業が寄付金拠出に参加するかどうかは保障し難い。
これと関連して被害者団体は先月、「外交部は最近『政府の有力な案』としながら日帝強制動員被害者支援財団が韓国企業の寄付で財源を調達し確定判決を受けた被害者に返済する内容を説明した。日本の被告企業の参加と謝罪が保障されていないこうした案に対し強く反対する」という立場を発表した。
◇被害者の説得が核心課題
このため韓国政府が強制徴用問題に対する結論を出しても2015年の韓日慰安婦合意の時のように国内政治的に異論が出てくるほかないという懸念もある。朴槿恵(パク・クネ)政権は「日本政府が10億円を拠出し慰安婦問題を最終的・不可逆的に解決する」ということに合意したが、被害者の反対を受け、その次の文在寅(ムン・ジェイン)政権は「当時の合意に重大な欠陥があった」として合意を事実上無効にし長く韓日関係が冷え込む局面が続いている。
ここに法的にも併存的債務引受が被害者(債権者)の同意なく推進できる案なのかに対しても意見が分かれる。韓国政府は「被害者が寄付金を受け取らないとしても債権を消滅でき、関連判例もある」と説明するが、法曹界の一部では「結局代位弁済と同じように契約当事者である被害者の同意が必要だ」という反論もある。
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この記事、韓国人としては結構驚きのニュースだと思うのですが、なぜか韓国語版記事には一件もコメントがありません。
記事中に注釈としてリンクを貼った産経の記事にはこうあります。
>解決策の発表は、日本側が徴用工訴訟問題は昭和40(1965)年の日韓請求権協定で解決済みとし、「韓国の国内問題」との立場であることから、慰安婦問題を巡る日韓合意のような日韓両国要人の対面形式は取らず、韓国側が単独で行う方向で調整している。
普通なら、①韓国側(韓国政府と原告)で意見を摺り合わせ→②日本側と協議〔ここで合意できなければ①に戻る〕→③日韓で合意→④合意した内容を発表、という流れになるはずですが、産経の記事によると、日本側の合意なしに「解決案」を韓国国内で発表するようです。
それでも、①のプロセスは経ている、つまり、原告側が了解した案を発表すると思ったのですが、この中央日報の記事を読むと、原告全員が合意しなくても最終案として発表するようです。
しかも、最後の段落には「被害者が寄付金を受け取らないとしても債権を消滅でき、関連判例もある」と、言う事を聞かないと、債権を消滅させる事だってできるんだからね、と、聞きようによっては『脅し』とも取れる発言をしています。 〔てか、それができるなら、とっととそれやれや、とは思いますがw〕
この件で重要な事は、何度も繰り返しますが、仮に全額を韓国側(韓国企業)が出捐するにしても、「並存的債務引受」、即ち、日本企業に『債務』がある事を認めてはダメです。「並存的債務引受」は、日本企業が財団に対し『債務引き受け契約』をしなくてはならないのです。
下は2022/12/27付け日経『「元徴用工」、韓国が進展急ぐ 財団の賠償肩代わり「有力案」 交渉本格化、原告なお反発』に対する自民党の佐藤正久議員のツイートですが、
>【本記事の抜けてる点は、被告の日本企業は債務はないとの立場なのに、財団との債務引き受け契約をしなければいけない点。取材不足→「元徴用工」、韓国が進展急ぐ】
日本政府も被告企業が債務があると認めたら、日韓請求権協定との整合性が問われる。韓国側で解決すべき問題 〔午前8:13 · 2022年12月27日〕
と批判しています。この日経の記事は「債務引き受け契約」を前提としているので、佐藤議員は「そんな案を日本側が認める訳は無い」と仰っているわけです。
日本を巻き込まないのであれば、韓国側が国内問題として元出稼ぎ労働者に金を出してやるとしても、それは勝手にすればいいのです。もちろん、2018年の大法院判決そのものが日韓基本条約を反故にするものなので、本来はこの判決を取り消すべきです。そうすれば、この話は解決するのですが、まあ、韓国政府もいきなりそれは無理でしょう。
取り敢えず、産経と中央日報の記事で、少なくとも日本側がジワジワと押し返している事は分かりました。あともう一押しです。
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