【”徴用工”問題】2012年の大法院判断(原審差し戻し)と大韓民国憲法
前回のエントリーの補足です。
前回、一審(2007年)、二審(2009年)と、棄却された「”徴用工” 訴訟」が2012年の最高裁の原審差し戻しとなったと書きましたが、これの根拠となったのは韓国の憲法です。〔下図は2017年8月25日放送のプライムニュースよりキャプチャ〕
「韓国憲法の規定に照らすと日本占領期の韓半島支配は規範的観点から不法な独占にすぎない」
韓国の憲法では、大韓民国は、「1919年に上海にて設立された臨時政府を継承する」という趣旨の事が書かれています。
さすがに、他国から承認されなかったこの臨時政府をもってして大韓民国の建国年は1919年だと主張するのは左派だけですが、それでも、憲法では臨時政府の正当性を謳っているので、日本の統治は「不法な占拠」という論理が成り立ちます。
この日本統治不法論は20年ほど前に唱えられて、それが知識層に広く受け入れられたそうで、従って、現在40代~60代にこの考えを持つ人が多い〔=反日が多い〕のです。
もちろん、一旦締結した二国間の条約を一方的に覆す事自体が不法なのですが、1965年の日韓基本条約で日本側に「不当な占拠」を認めさせられなかった事は韓国人には痛恨の事なので、なんとしても日本政府にこれを認めさせたいのです。
そして、「永遠の被害者」ポジションを勝ち取りたいのです。
以下、鄭大均(てい・たいきん)名誉教授の『国家基本問題研究所』の寄稿文(冒頭)をご紹介します。
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https://jinf.jp/weekly/archives/24300
【第573回】韓国憲法前文が、日韓友好の障害となっている
鄭大均 / 2019.02.18 (月)
国基研理事 首都大学東京名誉教授 鄭大均
韓国国会議長の「天皇謝罪発言」に一文をというのが、国基研企画委員会からの要請であるが、ここではもっと大事なことを記したい。
韓国憲法の前文に、「悠久の歴史と伝統に輝くわが大韓民国は3・1運動により建立された大韓民国臨時政府の法統」を継承するという文があって、それが意味するのは、今日の韓国が1897年に成立した大韓帝国の正統性を継承するものであり、1910年から45年までの日本による韓国統治は違法であり、法的に無効であるということである。
●歴史認識の大いなる虚構
韓国のナショナル・アイデンティティを端的に表現したこの歴史認識はしかし大いなる虚構である。当時を振り返ってみればわかるように、日本帝国による大韓帝国の政治的統合が合法と見なされた半面、臨時政府を承認した国はなかったし、大韓民国政府が樹立したのは日韓併合期と連合軍軍政期を経た1948年8月のことである。
にもかかわらず、この前文は韓国人が「日韓併合期」を「日帝強占期」(日帝による強制的占領期)と呼ぶときの根拠であり、戦時期の朝鮮人労働者に賠償を命じる大法院判決に根拠を与えた歴史観であり、今般、文喜相国会議長が慰安婦問題について天皇に謝罪要求をして泰然としていられるのも、この前文に守護されているからなのだろう。それは今日の韓国人に日本に対する歴史道徳的優越性の感覚を与える便利な理念なのである。〔以下略〕
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