【慰安婦問題・”徴用工”問題】和解癒やし財団の残余金を”徴用工”の基金に流用する案は、既に2019年に提案され、取り下げたもの
前回のエントリーの補足です。
2015年12月に慰安婦問題に関して日韓合意〔安倍政権・朴槿恵政権〕が結ばれ、日本が10億円〔約100億ウォン〕を拠出しました。現在は約60億ウォン弱が残された状態ですが、ここに至るまでの経緯を簡単にまとめておきます。
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10億円の使い道については、合意の約半年後の2016年8月頃に決まりました。ここには書いていませんが、韓国の元慰安婦に対しては、生存者に1億ウォン、遺族に2千万ウォンを現金で支給し、最終的には生存者47人の内36人〔76%〕が受け取り、11人が受け取りを拒否しました。
◆テレビ朝日(2016/08/12 17:35):慰安婦問題巡り “政府拠出”10億円の使い道で合意
>日韓両政府は12日、先月に韓国が設立した財団に日本が拠出する10億円について、医療・介護、また、葬儀関係などに使用することで基本合意しました。一方、少女像の撤去について、日本側は韓国の努力を引き続き強く求めました。この後、岸田外務大臣と韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が電話で会談し、必要な手続きを進めることにしています。
しかし、これ以降はこれといった事業は行われません。そして、朴槿恵弾劾で文在寅政権発足〔2017年5月10日〕、文在寅政権で官民合同のタスクフォースにより、この合意に瑕疵があったと結論づけ、韓国政府が10億円を拠出し、日本政府へ10億円を返却する事になりました。日本政府は当然合意しません。
◆日経(2018年7月24日 17:00):慰安婦財団に10億円拠出 韓国政府決定
>韓国政府は24日の閣議で、従軍慰安婦問題に関する2015年の日韓合意に基づき日本政府が拠出した10億円を韓国政府予算に置き換えるため、相当額の予備費を計上する案を決定した。予備費の使い道について女性家族省は「日本政府などと協議して決める」としている。韓国政府は今年1月、元慰安婦らの声を踏まえて同額を自国予算で拠出する方針を示していた。
>韓国の元慰安婦関連団体はかねて「最終的かつ不可逆的な解決」をうたう日韓合意の無効を訴え、財団の解散を要求。財団は17年7月に理事長が辞任し、その後は事実上の休眠状態となっている。
10億円の予算措置は取られたものの結局執行されず、休眠状態だった財団は解散されます。
◆朝日(2019年7月5日 13時22分):韓国の慰安婦財団解散、日本は抗議 5億円の使い道未定
>2015年の日韓慰安婦合意に基づく「和解・癒やし財団」が解散登記を終えたことに対し、日本政府は5日、外交ルートで韓国政府に抗議した。拠出金の一部が残っていることなどから、日本側は解散が完了したとは認めず、引き続き合意の実施を求めた。
>文在寅(ムンジェイン)政権は昨年11月、財団の解散手続きを進めると発表。財団は6月に解散登記を申請し、完了通知を受け取った。
前回のエントリーで取りあげた、慰安婦財団の残金を、”徴用工” 倍賞基金に流用しようという案は、実は2019年に文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が提案していますが、批判され、取り下げました。この頃は、元朝鮮半島出身労働者の大法院判決(2018年10月)により差し押さえられた日本企業の資産を現金化しない為に「1(韓国企業)+1(日本企業)」案、或いは、不足分を韓国政府が拠出する「+α」案などをしきりと日本に提案していましたが、日本側は取り合いません。結局、韓国政府はこの頃から堂々巡りをしているわけです。
但し、この事から、今回、案として言及されるのはあり得る話 という事は分かります。
◆テレビ朝日(2019/12/05 18:46):韓国・文議長「徴用工基金に慰安婦財団残金使わず」
>文議長は日韓の政府や企業からの寄付金を集めて基金を作り、元徴用工らに支払うなどとする案をすでに公表していますが、(中略)一方で、基金に「慰安婦財団」の残金を組み込む構想は取りやめました。
韓国政府は残金の用途を日本政府と協議しようとしますが、これ以降は日本政府は取り合いません。韓国側が勝手に使い道を議論しているだけです。
◆韓国KBS(2021-10-22 10:12:09):「慰安婦被害者への支援金、残った6億円の使い道を日本と協議中」外交部長官
>鄭長官は22日、国会で開かれた外交部・統一部の国政監査で、野党議員が、和解・癒し財団の解散後に3年間そのまま残っている6億円を被害者の追悼事業に活用することを提案したのに対し、「日本政府が拠出金を他の目的で使うことに反対している」と明らかにしました。
>鄭長官は、「男女平等基金の名目で韓国が10億円の予算を設け、そのお金をそのまま日本に返す方法、あるいは10億円と和解・癒し財団の基金の残高6億円を合わせて、慰安婦被害者を追悼する活動を行う方法、または日本が心から謝罪した場合、被害者の方々に補償金として現金を支給する方法など、様々な案を日本と協議している」と明らかにしました。
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これを読んで分かるように、慰安婦問題にせよ、朝鮮半島出身労働者問題にせよ、韓国側が一方的に合意や条約を破棄して自縄自縛になっているだけなのです。日本側が妥協する必要は全くあり得ません。
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