【ハロウィンの惨劇】梨泰院の事故は何故防げなかったのか
韓国ソウルの有名な繁華街である梨泰院(イテウォン)で起きた「群衆雪崩」による死亡者は現時点で155名と、未曾有の大惨事となりました。お亡くなりになった方へはご冥福をお祈りいたします。
この事故でよく言われるのは、「主催者無きイベント」という言葉ですが、渋谷のハロウィンイベントも特に主催者はいないそうです。
後述しますが、梨泰院は既にハロウィンのスポットの一つとして定着しており、10月には地元の行政庁(区)や商工会が警察と打ち合わせをしていました。つまり、当事者意識のある人々や機関が混雑はある程度予測しており、しかし、窃盗や麻薬等の犯罪防止のみで雑踏の安全対策は立てていなかった事が間接的な原因です。
以下、読売新聞の記事です。
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https://www.yomiuri.co.jp/world/20221031-OYT1T50188/
韓国のハロウィーンは「主催者なきイベント」…警備計画の対象外、安全管理の責任あいまい
2022/11/01 07:50
>ソウルの繁華街で10月29日夜、若者らが折り重なるように倒れて多数死亡した雑踏事故で、韓国政府の事故対策本部は31日の記者会見で「(窃盗や麻薬犯罪など)不法行為の防止や摘発に焦点を当てていた」と述べ、雑踏警備に不備があったことを事実上認めた。イベントとしての主催者がいないハロウィーンは、事前の警備計画の対象外で、安全管理上の責任があいまいだった可能性がある。
>記者会見した韓国警察庁幹部によると、現場の 梨泰院 に仮装した若者が集まる毎年恒例のハロウィーンには2017~19年には30~90人の警察官を配置させた。今年は137人を派遣する増員態勢で臨んだが、「現場統制より犯罪防止中心」だったという。
>韓国のKBSテレビによると、地下鉄梨泰院駅の当日の乗降客は、1年前の約5万9000人の倍を超える13万人だった。新型コロナウイルス規制が解除されたことを受けて、当局の予想をはるかに上回る人々が人気スポットに殺到したことがうかがえる。
>韓国政府の安全管理マニュアルでは、自治体や民間団体が主催する行事では、安全管理計画を警察や消防当局に事前に届ける必要がある。今回は主催者がいないため、安全面での事前チェックが入らなかった。
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ブログ主は土地勘がないので、色々調べてみましたが、事故現場付近は下図のようになっています。
リポーターが歩いている「世界グルメ通り」というのは国際色豊かな飲食店が建ち並ぶグルメスポットで、今回、多くの人達はこの通りに集まっていました。
というのは、元々ここはハロウィンで人が集まる場所でしたが、ドラマ『梨泰院クラブ』(2020年)でハロウィンのシーンとして使われたからです。
つまり、この通り一帯が一種のイベント会場になる事は分かっていて、最寄り駅の梨泰院駅(地下鉄)からこの通りに行くには、地下鉄出口に近い、今回事故が起きた路地〔※〕を抜けるのが一番便利で、他にもこの路地と並行して走る道は幾つかありますが、この路地に人が集中する事は予測可能でした。
※路地は幅最大5.5m、最小3.2mで約40m程の長さ。駅に向かって下り坂で、下の方が狭くなっている。
ちなみに、梨泰院駅の地上は片道2車線の道路で舗道も広いのですが、この舗道も他の道と同じように大変混雑していました。そうなった時点では、事前にプランを用意していないのですから、手の施しようがなかったのでしょう。
問題は、例年の倍以上の人出があると迄は予測していなかった事ですが、事故の責任が問われるべきかどうかは別として、コロナから3年ぶりに解放されてのハロウィンなので、安全対策を取らなかった事は想像力の欠如と言わざるを得ません。
こちらは、地下鉄駅側から見た事故現場の路地。この坂道を上っていくと世界グルメ通りにぶつかります。
下は、「世界グルメ通り」から地下鉄駅方面を臨んだ風景で、これが撮影された直後に事故が起きたそうですが、路地に入ってすぐの、ホテルの通用口(?)に上る短い階段のある所から更に数mほど下った辺りが「群衆雪崩」の先端となりました。駅に向かって下り坂になっているのが分かります。
路上で酒を飲む人もいたので、路面は濡れて滑りやすかったそうです。

今回の事故の死傷者286名は、10畳ほど〔18.24平方メートル〕の空間にいた方だそうです。〔昨日朝の情報番組より〕
従って、ホテルの階段付近の集団に集中している事になります。
前述したように、地元の関係者は事前(事件の3日前)に打ち合わせをしていたそうです。
2022年10月31日付けの『シンシアリーのブログ』より、和訳された『文化日報』の記事の一部をお借りします。
>26日、梨泰院観光特区連合会事務所で、警察、区役所、梨泰院駅長、商人連合会などが参加する懇談会が開かれた
>警察関係者は「警察、区役所、駅長、商人など関連人がすべて参加した」と話した。別の安全管理主体であるソウル市は、その会議に出席すらしなかった。懇談会では、安全管理対策について議論することなく、防疫規則などについてのみ議論が行われた。大勢の市民が集まるのが自明な状況だったが、車両制限、ポリスライン設置などによる歩道の確保などの対策は設けられなかったのだ。
今回の痛ましい事故を教訓に、日本のDJポリスの導入も検討されているそうですが、犠牲者の死を無駄にしないようにして欲しいものです。
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