【”徴用工”問題】韓国の財団に肩代わりさせる案〔基金案〕で協議?
23日、『共同通信』が、「基金案でほぼ合意」といった内容の報道をしました。短い記事なので、先にご紹介します。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/d1743b54d39b3f969340d2934a81b82f1eda733e
韓国財団、肩代わり案が軸 日韓、徴用工解決を本格協議
10/23(日) 21:00配信
共同通信
日韓両政府が元徴用工問題の解決策を巡り、敗訴が確定した日本企業の賠償金を韓国の財団に肩代わりさせる案を軸に本格的な協議に入ったことが分かった。11月にインドネシアで開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)などの国際会議に合わせた日韓首脳の対話も検討。協議を加速させ、早ければ年内も視野に決着を目指す構えだ。複数の日韓外交筋が23日、明らかにした。
日本側は元徴用工問題に関し、1965年の日韓請求権協定で解決済みとの立場。日本企業に実害が生じないよう韓国側の責任ある対応を求めてきた経緯がある。
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この記事は当然韓国側で波紋を呼んだのですが、不思議な事に、韓国では、「韓国企業だけが基金に出資する」として報じられています。
2022/10/24付けと2022/10/26付け『シンシアリーのブログ』や、『カイカイ反応通信』が訳した「日韓政府、韓国の財団が日本企業の賠償金を代納する案を協議…日本メディア報道=韓国の反応」によると、そのようになっているようです。
>47ニュースのこの日午後9時4分頃の報道によれば、韓国企業が強制徴用労働者を支援する「日帝強制動員被害者支援財団」に寄付金を出し、続いてこの財団が日本企業の代わりに賠償金を支給する方案が有力だと知られた。
「47ニュース」の報道とは前掲の共同通信の記事の事で、引用では21:00配信となっていますが、これはYahooニュースに掲載された時間で、全く同じ記事であり、上述のように「韓国の財団に肩代わりさせる案」としか書かれていない事が分かります。
上のカイカイ反応通信でも分かるように、案の定、韓国メディアの記事のコメント欄は荒れていましたが、2015年に合意した慰安婦の基金も、日本政府が金を出したものの、韓国の財団が管理していたのを忘れたのでしょうか。
そして、やはり日本企業も出資する形の案が韓国側から出てきました。
2022/10/26付けのシンシアリーさんのブログで引用した記事によると、テレビ朝日の記事を引用する形で聯合ニュースが、
>〔朝日新聞は〕「韓国政府が当初(日本企業に)代わって弁済する方案を検討していたが、世論が強く反発する可能性が大きいと懸念し、既存の財団が寄付金を集めて代わって支払う方向になった」と報道した。一方、「韓国側はこれまで外交当局間の協議で、原告側の同意を得るためには日本企業側にも一定の負担が必要だと伝え、両社が最高裁が命じたのと同じ金額を寄付するなどの名目で出す案を、水面下で打診した」と伝えた・・
いやいやw 賠償を命じられた企業がその賠償額を基金に支払うなら、韓国企業が出資する必要は無くなるじゃないかw 何ふざけた事言ってるんだ。
なお、元記事(聯合ニュース)がそうなっているのかもしれませんが、引用元はテレビ朝日ではなく、恐らく、朝日新聞の「徴用工問題めぐり、日韓の次官が協議 韓国が水面下で解決策を提案」(2022/10/25)だと思います。有料記事なので一部しか読めませんが。
テレビ朝日の記事はほぼ共同通信と同じ内容で、日本企業〔日本製鉄(旧新日鉄住金)と三菱重工業〕が寄付する云々は書かれていません。
なお、韓国の財団とは、政府が2014年に設立した公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」というふざけた名前の財団で、2022/09/06付けの日経新聞記事「韓国、徴用工問題で財団活用案 政府の代位弁済は見送り」によると、
>1965年の日韓請求権協定を踏まえた日本の経済支援で恩恵を受けた韓国鉄鋼大手のポスコが、60億ウォン(約6億1000万円)を出資して
います。
何度も書いていますが、もう一度原則論から言うと、
本来は2018年の大法院判決が日韓請求権協定違反で、日韓基本条約を覆すものなので、韓国政府は判決自体を取り消すべきです。また、「肩代わり」などと言う表現は、日本企業の賠償責任を認める事になるので、日本側は公式にこれを承諾してはなりません。
1965年の日韓請求権協定では、日本側の債務〔軍人恩給や未払い賃金等〕は既に韓国政府に一括して支払い済みで、しかも、韓国政府も2005年〔盧武鉉政権〕で、
>「1965年の協定締結当時、諸般の状況を考慮すると、国がいかなる場合でも個人の権利を消滅させることはできないという主張は難しい」ということだった。 同委は強制徴用について、「政府が日本に再び法的被害補償を要求するのは信義則上困難だ」
という結論を出しているので、ここに立ち返るべきです。リンク先の過去エントリーに書いているように、7万2631人に6184億ウォンを支給しています。
従って、韓国政府が「原告が ”徴用” で受けた精神的苦痛も償われるべき」と考えるなら、盧武鉉政権同様、尹錫悦政権が支払えばいいわけです。
しかし、尹政府は既に判決を尊重するとし、韓国政府が賠償金を代位弁済〔「肩代わり」ではなく、一旦立て替えて、日本企業に請求〕しないとも表明したので、自ら選択肢を狭めてしまいました。
従って、基金を作るしか方法が無くなったのですが、これも、「韓国側が勝手にそうした」という形に持っていかなくてはなりません。
2014年に作った財団はそういう意図があったのですから。そして、これは日本政府や日本企業のあずかり知らない所です。
喩えが適切ではないかも知れませんが、”元慰安婦は日本軍の被害者” と規定し、韓国政府や自治体が生活費を支給している事に日本政府が関与していないのと同じ事です。
もちろん、彼女達は日本軍の被害者ではないのですが、韓国政府が自腹を切って彼女達を支援する事は韓国の国内問題であるように、元自称”徴用工”にも韓国政府や韓国企業が国内問題として支援する事はいっこうに構いません。
謝罪? 知るか!
以下、『韓国の元”徴用工”問題を巡る主な経過』をまとめたので掲載します。
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