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2022/10/10

【ハングル】10月9日は「ハングルの日」(한글날)

この2日ほど、韓国関連情報のYouTuberが「ハングル」を取り扱っていて、何故だろうと思っていたら、10月9日はハングルの日だそうです。

ハングルの日(ハングルのひ、한글날)は、朝鮮語の表音文字であるハングルの元となった訓民正音の公布を記念する、韓国・北朝鮮の記念日である。韓国は10月9日、北朝鮮は1月15日とする。 〔Wikipedia:ハングルの日

 

昨今は、本来の趣旨とは離れ、日本語撲滅運動の日の様相も帯びているらしいですが。

https://www.newsweekjapan.jp/che/2020/10/post-7_1.php
Newsweek:変質してしまった韓国の公休日『ハングルの日』、増加する「排斥」の雰囲気
2020年10月22日 崔碩栄

>〔以前は「文字」を称える日だったが、〕いつからかこれらの主張は「文字」と「言語」を混同することで変質を始めた。文字であるハングルに対する愛情を訴える日ではなく、「外国語を使わないよう訴える日」かのような雰囲気になってしまったのだ。外来語だとしてもハングルで表記したのなら、それは十分にハングルという文字の長所や優れた点をアピールできるはずであるのに、だ。

  

ハングルという言葉が使われるようになったのは20世紀になってからですが、この表音文字に関する歴史を少し振り返ってみます。

 

李氏朝鮮の第4代国王世宗1397~1450〕が民衆のための文字「訓民正音」〔ハングルの原形〕を作成・公布したのが1443年で、しかし、シナを文化の祖と仰ぎ、知識を独占したい学者達が反対し、公式文書には使われる事が無く、第10代国王燕山君1476~1506〕の時には、王を批判するハングルの張り紙を見つけ、ハングルを弾圧します。

 

李朝末期に朝鮮をルポした『朝鮮雑記』(1894年/本間九介著)という本がありますが、この本の「言語と文章」によると、当時は、純漢文は「わずかに学者間に行わるるのみ」で、朝鮮的漢文は役所の訓令などに用い、「諺文」(オンモン=ハングルの当時の呼び名)は小説、伝記、手紙などに用いられる、とあります。朝鮮人は諺文を使ってこそ、言文一致体の文を書ける、と本間は言っているわけです。

更に、同書の「諺文」という項では、「諺文は、その構造を見ると、西洋のアルファベットよりも良くできた文字なのに、なんで韓人はわざわざ厳めしく難解な漢文を使うのだ。」という趣旨の事を書いています。

 

1883年、朝鮮で初めての新聞〔官報〕である『漢城旬報』が、福沢諭吉の門下生である開化派の朝鮮人留学生や福沢の弟子の井上角五郎によって発行され、福沢は「誰でも読めるように諺文を使うべき」と指示しますが、保守派に妥協して漢文でした。この新聞は1884年の甲申政変〔金玉均ら開化派がソウルで起こしたクーデター〕の失敗で印刷所も焼かれ、廃刊に追い込まれ、開化派の金玉均や井上角五郎も日本に逃げます。

ハングルの普及を使命と考えた井上角五郎は、再び朝鮮に渡り、日本で造らせたハングルの活字で、1886年1月25日、『漢城周報』を創刊します。しかし、これは『百年歴史』さんのブログで知ったのですが、井上が日本に戻ると間もなく、紙面からハングルは消えてしまったそうです。

後述の動画には、米国の言語学者のホーマー・ハルバート博士〔1863~1949〕が1889年に『士民必知』という地理書をハングルで書きますが、これも支配層の両班が漢文に翻訳して出版した、というエピソードが紹介されます。

ここまでで分かるように、現代こそ「ハン(偉大な)グル(文字)」と韓国人は誇っていますが、当時の朝鮮人のインテリの多くは、ハングルに対する蔑視や抵抗が根強かったのです。

別の言い方をすれば、漢文=シナ文化に対する崇拝です。

 

ところで、朝鮮初の新聞である『漢城旬報』も、初のハングル新聞『漢城周報』も、韓国人がその歴史について語る時、福沢諭吉の名も井上角五郎の名も出てきません。日本人の協力が隠蔽されているのです。

また、標準朝鮮語とハングルの普及に努めた日本統治時代も、逆に日本人がハングルを弾圧したと歪曲しています。〔戦争が激化すると、学校での朝鮮語の授業が無くなったり、官庁での公用文書が日本語だけになった事は事実ですが、朝鮮語を禁止したわけでもないし、新聞は相変わらずハングルが用いられていました。

ここで、「韓国人は文字としてのハングルと、言語としてのハングル〔正確には「朝鮮語」〕と混同している」という崔碩栄さんの発言の意味が理解できます。

【関連ブログエントリー】

 

◆ハングルは日本抜きでは語れない

 

▲キムチわさび:ハングルは日本抜きでは語れない/한글날 특집 영상

 

動画では前述の歴史以外に、小倉進平言語学者〕も紹介されます。彼やその弟子によって、朝鮮語そのものが研究の対象となったことが説明されます。〔cf. 小倉進平著『朝鮮語学史

そして、彼らの努力で、1926年に『ハングルの日』が制定されました。当時は、ハングルを「ガギャグル」と呼んでいたので、「ガギャ日」と呼んでいたそうですが、韓国語のWikipediaによると、1906年に考案した「ハングル」という名前を使い、1928年からは「ハングル」と呼ぶようになったそうです。

 

ハングルという表音文字の有用性に目を付け、表意文字である漢字と組み合わせた表記方法を標準とすべく推進したのは日本人やハルバートのような外国人です。

現在は漢字を廃止したからと言って、漢字(漢語)部分をハングルに変えただけで、韓国人は当時に確立された「漢字ハングル交じり文」で話し、文章を表記しているのですから、偉大な先人達にもう少し敬意を払ったらいかがでしょうか。

 

 

  


 

 

 

 

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