【韓国】歴史上の人物の発言まで言論弾圧する韓国人
中央日報に李完用(りかんよう/イ・ワンヨン)に関する、とても韓国人らしい記事がありました。
先日もエントリーしましたが、国民の力の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長〔臨時の党代表〕の発言〔「朝鮮はなぜ滅びたのか。日本軍の侵略で滅びたのか。朝鮮は中から腐って滅びた。日本は朝鮮王朝と戦争をしたことがない」〕の余波と言っても良い話です。
李完用と言えば、韓国では朝鮮(大韓帝国)を日本に売った『売国奴』とされています。前回のエントリーに転載した記事から一部引用します。
>韓国史専門講師のチェ・テソン氏が「売国奴」李完用(イ・ワンヨン)の文を共有し、与党・国民の力の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長を間接的に批判した。チェ氏は11日、自身のインスタグラムに、「朝鮮が植民地になったのは旧韓国の力が足りないからであり、歴史的に当然の運命と世界的な大勢に順応するための朝鮮民族の唯一の活路であるため断行されたのだ」という文と共に李完用の写真を載せた。
この発言がどこからの引用かは分かりませんが、李完用はまさしくこのように考えていました。
これについての現代韓国人の評価はともかく、当時生きていた人物が発した言葉を、「植民史観」だからと、公務員の教育資料に掲載するのはけしからんというのは、歴史の改竄です。
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https://www.joongang.co.kr/article/25110738#home
이완용 "日 한국 장악 어쩔 수 없었다"…이게 공무원 교육자료
2022.10.20 13:21
https://news.yahoo.co.jp/articles/4dac4c79af99e6386279e9f3c0551823f4ced666
韓国公務員の教育資料に…李完用「日本の韓国占領はやむを得ない選択」
韓国の公務員と公共機関職員が毎年履修する統一教育資料に植民史観を擁護する内容があるという指摘に対し、統一部が「検討する」という立場を明らかにした。
国会政務委員会所属の金翰奎(キム・ハンギュ)共に民主党議員は20日、統一部傘下の統一教育院が「歴史から学ぶ韓半島平和統一」というタイトルで制作して数年間使用された映像教育資料に、植民史観に該当する内容が相当な分量で紹介され、親日行為を美化する内容が含まれていると明らかにした。
該当資料をみると、仮想対話形式で制作された映像に李完用(イ・ワンヨン)が登場し、「日本が韓国を掌握するのは李舜臣(イ・スンシン)将軍が生きていてもやむを得ないことだった」とし「最大限に良い条件で併合されるようにした」と話す。また、自らを「現実主義者」と紹介し、「どっちみち鞭で打たれるのなら少ない痛みで打たれるのがよい。そうしなければ必ず戦争が起きて国はまるごと失われたはず」と語った。
これについて金議員は韓日併合の正当性を主張する論理であり、日帝の侵奪が避けられなかったという植民史観論理だと主張した。
教育資料には独立活動家の申采浩(シン・チェホ)の仮想対話も出てくるが、ここで申采浩は「誰もが李完用のような現実主義者だったなら我々はまた日本の奴隷だ」と話す。
金議員は「あたかも申采浩先生が李完用を現実主義者と認めるような内容」とし「現実主義は日帝強占期を擁護する主な論理」と批判した。続いて「公務員が聞くべき教育資料で親日派の論理を紹介したのは極めて不適切だ」とし「深い傷と痛みを招いた韓日併合が正当だったという論理、親日行為を美化する論理をあえて仮想対話で紹介する必要があるのか」と指摘した。さらに「鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国民の力非常対策委員長と李培鎔(イ・ベヨン)国家教育委員長の植民史観論争など我々はまだ日帝強占期をめぐる歴史的な葛藤を経験している」とし「植民史観が自然に拡散するおそれがある内容は直ちに変えるべきだ」と強調した。
金議員のこうした指摘に対し、統一部は報道資料を出し、「該当資料は旧韓末という歴史的な時期に活動した人物の仮想対話を通じて、韓半島(朝鮮半島)の平和と統一問題に与える含意を考えてみようと2020年に制作された資料」と説明した。問題の部分については、「全ボン準(チョン・ボンジュン)、李完用、申采浩などの人物が順に登場し、当時の地政学的環境変化で自身の選択と立場を仮想で紹介するものだ」とし「統一教育教材全般の修正の必要性などを綿密にチェックしている」と明らかにした。
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「高宗〔大韓帝国皇帝〕の意志に背いて、官僚が日本に国を売り渡した」という韓国での定説は、ある意味間違っていないのですが、これは、高宗=善、日本・李完用=悪という単純な二分論で且つ韓国人の都合の良い史観で歪曲されています。
『朝鮮王公族―帝国日本の準皇族』(新城道彦 著/中公新書/2015年3月24日)にこのような文が出てきます。
>〔ハーグ密使事件(1907年6月)の後の〕七月一七日に閣僚一同が参内したときには、李完用が皇帝に「社稷重しと為す。君軽しと為す」と 述べて位を退くように迫っている。〔P.31〕
「社稷〔しゃしょく〕を重しと為し、君を軽しと為す」というのは、正確には「民を貴しと為し、社稷は之に次ぎ、君を軽しと為す」という孟子の言葉で、『社稷』とは「土地の神(社)」と「五穀の神(稷)の意で、「国家」を意味します。つまり、李完用は、
>社稷を守るために、実態としての君主ではなく、形式(祭祀を行う地位)が重要だと考えた。すなわち、〔ハーグ密使事件で日本の怒りを買った以上、〕皇帝の地位にある一個人としての高宗とともに国が心中するするのではなく、日本の怒りを抑えるために高宗だけを排除し〔息子の純宗に譲位させ〕、皇帝という肩書だけは守ろうとしたのである。〔同書、同頁/途中の緑字はブログ主の補足〕
「皇帝という肩書」という部分に関し、ブログ主の解釈は、たとえ日本に朝鮮が飲み込まれても、その中に「形式的でも『朝鮮』という国を残そう」と必死だったのだと考えます。その為、李完用達朝鮮人高官はなるべく良い条件を引き出そうと日本政府と交渉します。
高宗は李完用の言葉に怒りますが、結局再度高官達から意見を聞き、純宗に譲位する決心をします。
このような事を知って、韓国史専門講師のチェ・テソン氏が引用した「朝鮮が植民地になったのは旧韓国の力が足りないからであり、歴史的に当然の運命と世界的な大勢に順応するための朝鮮民族の唯一の活路であるため断行されたのだ」や、教材の「最大限に良い条件で併合されるようにした」、「どっちみち鞭で打たれるのなら少ない痛みで打たれるのがよい。そうしなければ必ず戦争が起きて国はまるごと失われたはず」 という李完用の言葉を読むと、その真意が分かるのではないでしょうか。
この本については書きたい事があるので別途エントリーすることにしますが、話を中央日報の記事に戻すと、気に入ろうと気に入るまいと、李完用という人間がそのような考えを持っていた事は動かしがたい史実であるのに、それを脚色したり、あるいは隠蔽してどうしようと言うのでしょうか。
韓国人は過去の人物まで言論弾圧をしようというのでしょうか?
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