『朝鮮王公族―帝国日本の準皇族』(新城道彦 著)が韓国語に翻訳されて出版
前回のエントリーでもご紹介しましたが、『朝鮮王公族―帝国日本の準皇族』は2015年に発刊された本で、以下、中公新書の同書の解説を引用します。
>1910年8月、日本は大韓帝国を併合した。最大の懸案だった皇帝一族の処遇については、王族・公族の身分を華族より上に新設し、解決を図った。1945年8月の敗戦まで、男子は軍務に就くなど、皇族同様の義務と役割を担う。異民族ながら「準皇族」扱いされた彼らの思いは複雑であり、日本に忠誠を尽くす者、独立運動に関与する者など多様であった。本書は、帝国日本に翻弄された26人の王公族の全貌を明らかにする。
併合前後から始まり、日本の皇族並の待遇で迎えられた朝鮮王公族が併合下の朝鮮や日本でどのように過ごし、そして戦後(解放後)、その地位を剥奪されてどのように身を処したのかが、新書なのでコンパクトに纏まっています。
この本が『反日種族主義』の著者の一人、李宇衍(イ・ウヨン)博士の翻訳で、『조선 왕공족』(報朝鮮王公族)というタイトルで韓国で10月5日に発売されました。〔リンク先は韓国のネット書店の商品ページ〕
ブログ主はこの本を数年前に購入したのですが、併合前後以降の「王公族個々人の動向は、必要な時に参照すれば良いや」と、わりと雑な読み方をしていたので、韓国で出版されたと知って、もう一度、「韓国人がこれを読んだらどう思うだろうか?」という視点でざっと読み返してみました。
改めて思うのは、
- 併合に関して日本政府は、他国から国際法違反と批判されないように気を使っていた。
- 日本政府は朝鮮王公族を皇族に準ずる破格の待遇で扱っていた。
- 但し、一国に2人の ”皇帝” がいる事はまずいので、肩書、国葬(李太王、李王)などの扱いには相当苦心していた。
- 一方、李完用等、朝鮮人の官僚達は「朝鮮」という国を、たとえ形式的であっても存続させようと日本政府と必死に交渉していた。
と言う事です。
国民の力の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)非常対策委員長の発言で、日韓併合に注目が集まっているこのタイミングで出たのは、偶然とは言え、良いタイミングだと思いました。
この本は個々の王公族の動向に重点が置かれているため、歴史的な事柄は背景程度に比較的あっさりと書かれています。
韓国語の書評(出版社レビュー)を読むと、やはりその点が物足りないらしく、以下のような記述がありました。〔誤字の訂正以外は機械翻訳ママ〕
>韓日それぞれの国家的、民族的自尊心の問題を越え、客観的で中立的な見方が残念な部分もある。 ハーグ密使事件(1907)後、高宗の皇帝譲位を圧迫し、「社稷を重しと為し、君を軽しと為す」と言った李完用(イ·ワンヨン)の言葉(43ページ)で、「社稷」は果たして王室の家門だけを意味し〔→意味するのではなく?〕、国を意味するのではないだろうか。 高宗と純宗大葬の日の3·1万歳運動(1919)と6·10万歳運動(1926)を単なる「騒擾」とみなすことができるだろうか。 そして韓国には陰で陽で独立運動に加わったほぼ唯一の王室人物として知られている義王(義親王)李堈〔りこう/イ・ガン〕を反骨·浮浪児〔日本語の本での表現は「無頼」。実際に素行が悪かった〕のように記述したものなど、日本人の立場で決心して書いただけに、今後もまともに熾烈でより生産的になれる論争の種も本は豊富に盛り込んでいる。
「社稷は果たして王室の家門だけを意味するのではなく、国を意味するのではないだろうか」は、ブログ主も同意します。しかし、家産国家〔領土と人民と財産とを君主の私的な家産として扱うような国家〕であった朝鮮は近代国家の体をなしておらず、王家=国だったので、朝鮮人貴族達が王族の肩書きや葬儀の形式などに拘ったのは王家の家門を存続させるためでもあり、日本の中に形式だけでも国を存続させる事でもあったと、ブログ主は理解しました。
3.1や6.1は、首謀者はともかく、民衆が暴れたのは、ブログ主は、現代韓国の「BSEロウソクデモ」、「朴槿恵弾劾ロウソクデモ」同様、参加した多くの民衆は無知蒙昧で煽動されたとは思いますが、まあ、韓国人が納得いかない気持ちも分かります。憲法前文には「悠久な歴史と伝統に輝く我々大韓国民は、3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統と、不義に抗拒した4・19民主理念を継承し...」と書かれているのですから。〔但し、3.1運動と臨時政府は直接は関係なく、前文の歴史観がおかしいのですが。〕
李堈公に関しての独立運動家としての記述は、Wikipediaにも本書からの引用がありますが、以下のような記述に留まっています。
>1919年11月、朝鮮独立運動組織「大同団(朝鮮語版)」が李堈に「金は出すから、朝鮮から出て独立運動の象徴となってほしい」と彼を騙し、上海に拉致しようとした。
利用されていた程度なのか、李堈がどれ程独立運動に熱心だったのか、ブログ主はこれ以上の知識は持ちませんが、韓国人が李堈に対するこのような扱いに不満があるなら、出版社レビューにあるように、論争をしたら良いと思います。
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