【慰安婦問題】韓国で秦郁彦教授の『慰安婦と戦場の性』いよいよ発売
李宇衍(イ・ウヨン)博士が翻訳をされていた『慰安婦と戦場の性』〔韓国語:위안부와 전쟁터의 성〕が、9月26日、いよいよ韓国で出版される事になりました。
韓国の保守言論ネットメディアの『メディアウォッチ』からの出版で、金柄憲(キム・ビョンホン)所長に同行してベルリンや名古屋で通訳を務めていた吉田賢司氏が共同翻訳とのことです。
李宇衍博士がFBに書かれていたのですが、この本の翻訳・出版をメディアウォッチに持ちかけた時、メディアウォッチは快諾したそうで、メディアウォッチの黄意元氏によると、「(現在の文在寅政権では)次は必ず政権交代が起こるが、そうなったら、左派の反日煽動が更に酷くなる」という危機感から、理論武装に役立ちそうな本の翻訳・出版を考えたそうです。
既に西岡力教授の慰安婦関連本や ”徴用工” 関連本を出版済みで、この『慰安婦と戦場の性』はその ”最終兵器” 的存在かもしれません。
すでにネット書店では予約が開始されているようですが、韓国のネット書店は日本のAmazonその他の商品ページよりも親切です。どのネット書店でも定型のフォームになっていて、必ず、「目次」、「出版社レビュー(本の紹介)」、「本の中へ(内容の一部抜粋)」があり、本の内容がよく分かるのです。
そこで、ここでは、少し長いのですが、これ自体かなりの力作である「出版社レビュー」を翻訳してご紹介します。
この本をお読みになった方はご存知でしょうが、日本で出版された1999年迄の情報とは言え、慰安婦問題について総合的に書かれている、謂わば『百科事典』的、あるいは『参考書』的な本で、興味のある章だけ読む事も可能です。
李宇衍博士によると、この本の後に出てきた資料は、慰安所管理人の日記〔日本語版は:朝鮮出身の帳場人が見た 慰安婦の真実―文化人類学者が読み解く『慰安所日記』/崔吉城 著〕くらいだそうです。
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〔分かる範囲で翻訳による誤字は修正。多少日本語として不自然でも理解に影響が無いと思われる翻訳は機械翻訳ママ〕
日本近代史最高の碩学秦郁彦、
貴重な証言と第一級資料で解読する「慰安婦問題」の百科全書
秦郁彦教授は慰安婦問題の真相究明と関連し、日本では西岡力教授と共に双璧をなす知識人と評価されている。 西岡力教授が「被害者」役の金学順(キム·ハクスン)などの嘘を初めて暴露し「先発投手」として出たとすれば、秦郁彦教授は「加害者」役の吉田誠司などの嘘を確定し「抑え投手」として出たと言えるだろうか。 今回メディアウォッチ出版社から翻訳出版された秦郁彦教授の力作「慰安婦と戦場の性」はもともと新潮社から1999年度に出版された本で、20世紀が終わる前に日本国内の慰安婦問題議論を完全に終結させてしまったと評価されるクラシック中のクラシックだ。 実際、慰安婦問題の最大の核心争点である「強制連行」説や「性奴隷」説と関連しては、2000年代以降、韓日両国の学界ではこれ以上特に新しい議論もないことが事実であり、これに対しこの本の内容は20年余りが過ぎた今、特に韓国読者にはまるで「新作」のような感じがする「古典」のように受けとめられることもありうるだろう。
これまで韓国人は、過去の日本人がいかなる謝罪でも消すことができない過ちを犯し、これに慰安婦問題を起こしたと信じてきた。 しかし、実は慰安婦問題は、過去の日本人だけの根本的な過ちと関連した問題だと見ることはできない。 慰安婦問題はむしろ今日の日本人が過去に自分たちが関連して何の過ちを犯したのかに対する何の省察もなく、特に北東アジアの国際政治力学の変化問題とあいまって「良いことが良いことだ」〔? 原文:좋은 게 좋은 것이다〕というふうに韓国人にひとまず謝罪してから「爆発」した問題だというのがまさにこの本の著者秦郁彦教授の診断だ。
慰安婦問題はしかも、当代20世紀初めにはさらに両国間の是非の対象ではなかった。
太平洋戦争以前、日本列島とともに大日本帝国の一部だった当時の朝鮮半島は、民間の売春問題と関連し、公機関も衛生などの問題としては関連一定に関与する制度である公娼制システムを持っていた。 軍用の慰安所システムというのも、日本が戦争に突入し、兵士による強姦とそれによる性病の蔓延を防ぐ目的で、当代の公娼制システムを戦場にもそのまま移したに過ぎなかった。 特に実際、これと類似した軍用の慰安婦システムを、ドイツ、イタリア、米国、英国、ソ連など当代の主要国家はもちろん、韓国もやはり朝鮮戦争前後に同様にすべて持っていたという点で、これを過去の日本だけの特殊な問題と位置づけることは明らかに難しい。
ところが、そのように公然としていたこと、さらに数十年前のことが、今日なぜ韓国と日本両国の主要葛藤要因として台頭してしまったのか。 慰安婦問題が1990年代から重大な人権問題に急浮上したのは、「太平洋戦争時期の朝鮮人慰安婦」は他の時期や他の国での私娼、公娼の売春婦とは異なり、「強制連行」と「性奴隷」という2つの厳しい特質があったと誤って伝えられ始め、それが韓日両国国民に通念として固まったためだ。
秦郁彦教授は本書で圧倒的な1次史料と関係者直接証言を提示し、慰安婦問題に対するそのような従来の通念を壊してしまう。 そして、「日本軍など公権力による朝鮮女性に対する強制連行は絶対なかった」と断言する。 第1章「慰安婦問題」「爆発」、そして第7章「吉田誠治の作画」で詳細に説明している通り、この強制連行という概念は吉田誠治という元日本共産党員がでっち上げ、「朝日新聞」など日本左派勢力が広めた「捏造」がまさにその実体だということだ。 他の何かに関係なく、外勢の軍隊が攻め込んで民間で堂々と女性たちを組織的に拉致したという途方もない事件と関連し、当事者証言を除いては第3者の証言、すなわち家族、親戚はもちろん、村人の申告や目撃談、仕方なく個人の日記でも当代にきちんと記録されたことが一件もないというのが果たして話になるだろうか。 強制連行は当初なかった事件と見るのが常識的だ。
性奴隷ももちろん歴史的事実として到底信じられないことだ。 この本の第2章「公娼制下の日本」と第6章「慰安婦たちの身の上話」、第12章「7つの争点Q&A」を読んでみると、私たちがこれまで事実と知っていた旧慰安婦の苦労談は相当部分誇張されたもので、彼女たちの人生はやはり同じ民間公娼制下の当代民間慰安婦、売春婦の人生とそれほど差がなかったことが明確に分かる。 今日の価値で数十億ウォンの金は稼いだものと見られるムン·オクジュ氏の場合は例外的なケースだったのかもしれない。 しかし、それでもいずれにせよ、彼女たちの相当数が当代の一般会社員たちの給与を大幅に上回る収益を得ていたことは色々な史料で確認できる。
売春、それも戦場での売春だっただけに、高危険、高労働、高収益という資本主義秩序がここでも通用したのだ。 もちろん、彼女たちが募集当時、業者、女郎屋と乱暴ならば乱暴な契約には拘束されていた存在だったことは事実だ。 だが、それは当代または今日の売春女性たちも皆同じであり、どうであれこれは私たちが常識的に知っている「奴隷」の概念とも無関係だ。 そして契約過程自体に犯罪が介入したことを証明できない限り、そのような民間の契約問題自体は日本政府や日本軍が責任を負わなければならない領域の問題でも当初ではなかった。
慰安婦問題の実体が当初「強制連行」と「性奴隷」でなかったら、結局韓国がこの問題で日本を追及してきた名分と根拠は全く薄弱だったのではないか。 しかし、残念ながら両国の現実政治はこの問題の実体に徹底的に背を向け、およそ30年以上、韓国と日本の両国民が互いを誤解し反目するようにしてしまった。 秦郁彦教授は河野談話、国連クマラスワミ報告書、アジア女性基金まで、慰安婦問題で「真実究明」には背を向け、問題の責任を完全に日本の右翼と過去史に転嫁し、日本の右翼と過去史だけをいけにえにすれば、両国間の葛藤問題はすべて解決されるというふうに、韓国と日本の「反日種族主義」的「政治便宜主義」の問題までも淡々と述べている。
「慰安婦と戦場の性」は歴史学者が書いた本らしく歴史問題を扱う部分がもちろん最も印象的な本だ。 関連した第2章から第4章までは没頭して読んでいると、近現代の日本と朝鮮に、また当時日本が戦った戦争の中国戦線と太平洋戦線の現場に来ているような感じさえする。 実際にこの本を真剣に読んだ人なら、果たして誰が今後慰安婦問題と関連して「強制連行」と「性奴隷」というむやみに言葉を持ち出すことができるのか気になる。
そのため、さらに残念だ。 この本は世紀末、日本でも学界と言論界、出版界を中心に大きな話題になった本であるだけに、ただ当然の出版商業論理でも原書出版直後に韓国にもすぐ翻訳紹介されたとすれば、それで少なくともその時、韓国知性社会がこの本を薄っぺらにでも消化していたとすれば、慰安婦問題の偽り、挺対協(現正義連)の専横が、2000年代と2010年代の間ずっと韓国社会をこれだけ混沌に追い込んで韓日関係をこのように破綻に追い込むことはなかったかもしれないからだ。 「金大中・小渕宣言」がこの本の原書出版直前の年にあったという点はそれでより一層痛恨だ。 今もまるで韓日関係改善のモデルのように称賛されているこの宣言が、いざその直後にもこのような本の翻訳出版さえ許せなかったということは何を意味するだろうか。
別に見れば「慰安婦と戦場の性」の遅い翻訳出版は過去数十年間にわたりこの国の学界·言論界·出版界に固着化されている、「日本右翼思想·史観」に対する無条件的な「検閲」の問題をそれ自体で暴露している。 ある問題で考えが異なる場合、ひとまず「親日派」に、「極右」に追い込み、その時から相手の主張の根拠は聞かず、真偽も全く問い詰めない、いつからかこの国の知性界に定着したこの浅薄な文化こそ、今後の慰安婦問題と韓日関係問題に関する討論で最も重要な議論争点にならなければならない。 秦郁彦教授は、日本の軍事史の最高碩学であり、韓国の軍事史専門家からも「伝説」と評価されてきた人物だ。 にもかかわらず、慰安婦問題と関連した彼の見解に対する偏見のためか、なかなか彼の作品が韓国に紹介されなかった。 今回の本を皮切りに、今後彼の主専攻分野の作品も殺到するように、韓国に翻訳されることを期待してみる。
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