【佐渡金山】「書類の不備で今年度の世界遺産申請・登録断念」は表面上の理由。政府にやる気が無かった事が判明。
先月下旬に、佐渡金山の申請書類にミスがあり、今年度の登録は無理だと報道がありました。但し、実際には2月にユネスコ世界遺産委員会から不備を指摘され、その時点で今年度の申請には間に合わない事が判明していたようです。
産経(2022/7/29):佐渡金山の書類不備は2月に指摘、世界遺産登録へ「大失態」 自民で批判続出
>自民党は29日、政府が「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)の世界文化遺産登録に向けて国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出した推薦書を再提出することになったことを受け、外交部会などの合同会議を党本部で開いた。関係省庁から経緯を聴取したところ、2月28日にユネスコから書類の不備が指摘されていたことが判明した。出席者からは「前代未聞」「大失態だ」と政府対応への批判が噴出した。
※FNNは28日の午後7時頃には報道し、19時6分にツイート。ブログ主が「文科省め、やりやがったな」とコメントしてリツイートしたのが残っている。また、前川喜平元文科省事務次官が「よくやった!」とツイートしていたのを見た記憶があるが、このツイートは今は無く、最早証明はできない。
不備に関しては後述しますが、些細な、しかし、いちゃもんレベルのミスです。但し、もっと早く文化庁〔文部科学省の外局〕の推薦決定が下され、余裕を持って書類を提出していれば、修正が可能でした。
従って、「何故遅れたのか」がこの問題の核心です。
これを、自民党の青山繁晴議員が2022/08/08付けでupした動画で解説されています。
青山繁晴チャンネル:【ぼくらの国会・第380回】ニュースの尻尾「佐渡金山はミスじゃない」
先に結論めいた事を書くと、根本的な原因は、昨年7月にユネスコから明治産業遺産の展示に ”朝鮮人被害者” の展示をするよう勧告された事で、面倒を抱え込みたくない外務省〔と、もしかしたら文科省(文化庁)も〕佐渡金山を申請したくなくて、サボタージュをしたと言う事。
◆ユネスコの勧告→佐渡金山の推薦見送りの方向に
昨年の7月にユネスコは異例の決議をしました。恐らく、韓国のロビー活動が功を奏したのでしょう。
産経(2021/7/22):軍艦島に「強い遺憾」 ユネスコ世界遺産委が決議採択
>国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は22日、長崎市の端島(はしま)炭坑(通称・軍艦島)を含む世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」について、徴用された朝鮮人労働者をめぐる説明が十分ではないとして、「強い遺憾」を盛り込んだ決議を採択した。韓国の要請に沿ったもので、日本に対し、犠牲者を記憶するための方策をとるよう勧告した。
佐渡金山も韓国政府は文句を付けてきており、同じ問題を孕んでいるのはご存知の通りです。
つまり、軍艦島に対する勧告に対応しなくてはならない政府は、問題を増やしたくなく、この時点で、佐渡金山の推薦見送りを決めていました。
今回、青山議員が聴き取り調査〔恐らく外務省〕をして聞いた話と、以前、岸田首相から直接聞いた話とが繋がり、「佐渡金山を申請したら、(軍艦島の事が)不利になる」と、政府が結論づけていたようです。
◆日本は申請書類(暫定版)の提出を見送り、12月にようやく提出
世界文化遺産の申請書類の提出の締切は2回あるそうで、1回目は9月30日。ここで「暫定版」を提出し、不備があれば、翌年2月1日の「正式版」締切までに、委員会と意思疎通をして、修正するという流れなのだそうです。
しかし、昨年9月頃には日本政府は「推薦見送り」を決めており、かと言ってそれを発表する事もなく、年末となりました。
そこで12月28日に政府は、「(佐渡金山を推薦候補として)選定するが、推薦決定ではない」という奇妙な発表をしました。
産経(2022/1/18):自民保守系、世界遺産「佐渡金山」推薦要求 政府消極的
>自民党の保守系議員でつくる「保守団結の会」(保守の会)は18日、国会内で会合を開き、文化審議会が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の推薦候補に選んだ「佐渡島の金山」(新潟県)について、政府に対し早期推薦を求める決議を採択した。
>遺産登録をめぐっては昨年12月28日、文化審議会がユネスコに推薦する候補に佐渡金山を選定した際、「選定は推薦決定ではない。政府内で総合的な検討を行う」と異例の注釈がついた。
青山議員は別の事を仰っています。「ユネスコに書類を提出したのは12月28日だ」と。
「推薦決定ではない」と発表したその日に書類をユネスコに提出???
もしかしたら、この発表をした直後から巻き起こった批判に恐れをなし、その日の内にユネスコに提出したのかもしれません。
提出方法は分かりませんが、恐らく電子的な申請でしょうから、28日に発表した後の世論の批判を受け、慌てて提出したのかも知れません、しかし、既に年末です。正式な受理は翌年になったと思います。
しかし、書類送付は公表されませんでした。上の記事にあるように、1月18日に自民党の議員が「推薦要求」を提出しています。この時点では、政府は既に書類を提出していたにも関わらず隠しており、21日には「推薦見送り」が報道されています。
産経(2022/1/21):佐渡金山の世界遺産推薦見送りへ 政府
>政府は20日、文化審議会が世界文化遺産の国内推薦候補に選んだ「佐渡島の金山」について、今年度は国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を見送る方向で調整に入った。複数の政府関係者が明らかにした。
いずれにしても、今年早々には書類は受理はされましたが、暫定版ではなく「正式版」で、一発勝負を余儀なくされました。
そして、冒頭にご紹介した記事にあるように、今年2月28日に不合格の連絡がユネスコからあったのです。
これも政府は隠しており、明らかにしたのは7月。
* * * *
ここで改めて時系列にまとめておきます。
【佐渡金山の今年度の登録が不可能になる経緯】
2021/07/21 【ユネスコ】「明治産業遺産」の展示に『強い遺憾』決議。展示内容の修正を『勧告』
- この頃には、佐渡金山の世界文化遺産登録も既に期待されていたので、韓国は官民挙げて反対キャンペーン。
- 日本政府は佐渡金山の推薦見送りの意向を固めた(らしい)←外務省が岸田総理にアドバイス〔青山繁晴議員談〕→これで、佐渡金山に関する作業が滞った。
- いつの時点か不明だが、岸田首相が青山繁晴議員に「(佐渡金山の事で)困っている。申請すると(ユネスコの勧告の件で)不利になると外務省が言っている。」(青山氏の動画 11:37~)
2021/09/30 【ユネスコ】来年度の申請の「暫定版」締切
- 日本政府は動かず。
2021/12/28 【日本政府】佐渡金山を「候補に選定するが、推薦するかどうかは未定」
同日 【日本政府】佐渡金山の申請書類をユネスコに提出〔青山繁晴議員談〕(但し、政府は発表せず)
2022/01/18 【自民党有志議員】佐渡金山の推薦要求書を政府に提出
2022/02/28 【ユネスコ→日本政府】書類の不備を指摘。この時点で今年の登録は不可能に。(但し、政府は発表せず)
2022/07/29 【日本政府】書類の不備で今年度の登録は不可能と発表
- 新潟はもちろん、自民党内部からも怒り爆発。
産経(2022/7/29):自民・高市氏、政府の書類不備に「怒り心頭だ」 佐渡金山の世界遺産登録めぐり
自民党の高市早苗政調会長は29日、「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)が当初目指していた来年の世界文化遺産登録が困難になったことを受けて、「新潟県の方々の20年以上のご努力を思うと、怒り心頭です」と自身のツイッターに投稿した。
* * * *
さて、その書類不備ですが、青山議員の説明によると「このような指摘は異例」、つまり、言外に、不合格にしようと鵜の目鷹の目であら探しをしたのではないかと仰りたいようですが、暫定版を出していれば、修正は可能でした。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/niigata/20220728/1030021930.html
新潟 NEWS WEB
ユネスコが指摘した「不備」の背景
07月28日 18時08分
文化庁によりますと、ユネスコから不備が指摘されたのは、「佐渡島の金山」の2つの構成資産のうち「西三川砂金山」に関する部分だということです。
砂金をとる水を引き込むための「導水路」が、途切れている箇所についての説明が記されていないと指摘されたということです。
文化庁は「必要なものはしかるべく記載した」と話しています。
日本が提出した推薦書の不備を指摘されて審査がストップするのは初めてだということです。
ユネスコの作業指針によりますと、推薦書の審査結果は3月1日を目安に提出国に知らされることになっています。
文化庁は、今回、不備が指摘された時期について、「外交上のやりとりであり、差し控える」としています。
新潟県など地元自治体には、27日から28日にかけて連絡したということです。
今回、推薦書提出までの過程がこれまでとは異なっていました。
世界文化遺産の登録を目指す国は通常のスケジュールでは、まず、9月末までに暫定版の推薦書を提出します。
その後、ユネスコからの助言などを踏まえ翌年の2月1日までに正式なものを提出するということです。
文化庁の審議会は、例年、夏ごろに推薦候補を選定していますが、「佐渡島の金山」の推薦にあたっては、基準の見直しなどもあって、選定が冬にずれ込みました。
これに伴って、政府の決定も1月になり、暫定版は提出されず、最初から正式版が提出されました。
文化庁は「結果としてこうしたことが影響したという指摘もあろうかと思う」と話しています。
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