【韓国】北朝鮮船の「拿捕禁止」指令は2019年6月から
前回のエントリーで韓国軍(国防部)は青瓦台に逆らったのか?という趣旨の事を書きました。
- 2019年8月上旬、朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀本部議長〔当時〕が、前月の7月27~28日に「北朝鮮船舶を拿捕せずに送り返せ」という青瓦台からの指示に従わなかったので、翌8月に呼び出されて取り調べを受けて叱責された。
- 同年9月に「北朝鮮船舶を拿捕せずに送り返す」内容のマニュアルが作られた。
- 同年11月2日に脱北した ”殺人犯” が乗った船を拿捕。
3は命令違反になるからです。
しかし、『脱北漁師強制北送、北が青瓦台に「漁船が南下」と事前に通知か』〔朝鮮日報/記事後述〕という記事が出て、北からの依頼で捕まえたのではないか?という疑惑が提起されました。
従って、11月2日の拿捕は青瓦台からの命令で行った可能性が大です。
そして、もう一つ判明した事があります。
それは、2019年6月15日に、江原道〔日本海側で北朝鮮と接する道〕の三陟港という港に、北朝鮮船舶が入港してしまうという失態があり、それをきっかけにして、軍(合同参謀本部)を排除して大統領府国家安保室が中心となって「拿捕禁止」という指針を作った事です。
マニュアル化はされていませんでしたが、関係部署には通達されていたようです。〔東亜日報韓国語版(2022/07/15):文정부 靑 “단순 사유로 NLL 넘은 北선박 나포말라” 매뉴얼 바꿔/文政府、「単純な理由でNLLを越えた船舶だ捕するな」マニュアル変更〕
従って、7月27~28日に領海侵入した北朝鮮船を拿捕したのは指針を無視した事になり、それで合同参謀本部議長が4時間もの取り調べを受けたわけですが、指針は、「航路を誤ったりした単純な理由でのNLL越えの場合」となっており、7月の場合は、不審船だと判断しての事でした。
その部分を機械翻訳して引用します。
>当初、該当マニュアルは国家情報院が2009年に作成し、2018年10月まで改正作業を主管してきた。 しかし、2019年6月、北朝鮮の木船が三陟港に無断入港した事件をきっかけに、大統領府国家安保室主管で改正作業が行われ、この過程で主務部署である合同参謀などは排除された。 軍内外では当時、大統領府が改正されたマニュアルを合同参謀が遵守するよう圧迫したという話が出ている。
>実際、2019年7月、軍が東海NLLを越えてきた北朝鮮船舶に対して対共容疑点〔대공 용의점:北の工作などの疑いがある、という意味らしい〕があると見て曳航した後、調査後送還したことと関連して、当時大統領府民政首席室所属の反腐敗秘書官室は軍作戦最高責任者だった朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀議長(陸軍大将)を呼んで高強度調査を行ったりもした。 朴議長を取り調べる前に合同参謀本部主務課長3、4人も召喚し、「なぜ北朝鮮漁船をだ捕したのか。 なぜマニュアル通りにしなかったのか」と追及したという。
現在、この指針とマニュアルについては当然、安保上の問題を指摘されています。
11月2日の件は、後述する記事の与党議員の発言内容〔=北が直接青瓦台に「南に向かっている船の拿捕」を示唆した事〕が正しければ、国防部は「拿捕しろ」という青瓦台からの命令を受けたことになります。
「乗っているのは特別な人物」だと言っているようなもので、尤もらしい ”16人を殺した凶悪な犯人” という話をでっち上げたのかも知れませんが、それが嘘だとしても、やはり金正恩暗殺未遂のような重大な事件があったのでしょう。
それにしても、青瓦台に振り回された国防部は怒り心頭でしょう。
以下、上記記事にあった時系列の表を翻訳して引用しておきます。
【文在寅政府当時、北朝鮮船舶対応マニュアルの改正時系列まとめ】
2019年6月 北朝鮮漁船(木船)、三陟港「ノック亡命」事件〔※〕発生(15日) その後、大統領府国家安保室、対応マニュアルの改正に着手
「韓国管轄水域内で北朝鮮船舶人員発見時の対応マニュアル」/マニュアルを正式発刊する前までに変更予定指針を適用するよう指示
※ノック亡命とは、2012年10月2日に発生した、軍事境界線を越えて脱北してきた北朝鮮軍兵士に警備所のドアをノックされるまで韓国軍が気づかなかった事件。それの海上版という意味。
7月 合同参謀、東海NLL侵犯した北朝鮮漁船だ捕(27日)/大統領府反腐敗秘書官室、合同参謀実務者たち召喚調査
8月 大統領府民政首席室行政官、当時の朴漢基(パク・ハンギ)合同参謀本部議長召喚調査
11月 大統領府安保室、対応マニュアル改正完了
マニュアル核心内容:
単純事由(機関故障、航路錯誤など)でNLL越船した船舶は現場退去または現地送還せよ
* * * *
https://www.chosun.com/politics/politics_general/2022/07/16/F6L3GYYULRGUXD3UNJHRRZRP6E/
北, ‘어선 내려간다’ 靑에 미리 알린 정황… “국정원보다 먼저 알아”
2022.07.16
https://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2022/07/16/2022071680020.html?ent_rank_news
脱北漁師強制北送、北が青瓦台に「漁船が南下」と事前に通知か
韓国与党関係者「あの時青瓦台は国家情報院よりも先にNLL越船を知った」
2022/07/16 10:13
文在寅政権「北朝鮮からの要求はなく、送還は独自の決定」と一貫して主張
2019年11月に起こった亡命漁師強制北送事件当時、文在寅(ムン・ジェイン)政権の青瓦台(韓国大統領府)は北朝鮮漁船が東海のNLL(北方限界線)を南下する事実を事前に認識していたとの見方が浮上している。韓国与党・国民の力のある幹部が15日に語った内容によると、当時北朝鮮が「漁師の乗った船が南側に下っている」という事実を青瓦台に事前に伝えた兆候があるという。北朝鮮が青瓦台に事前に伝えたとすれば、これは事実上「漁師らを北朝鮮に送り返せ」というメッセージと解釈できそうだ。
実際に文在寅政権は2019年11月2日、NLLを越えた北朝鮮漁船を拿捕(だほ)して2人の漁師を拘束したが、政府合同調査はわずか三日で終わらせ、北朝鮮に「漁師たちを追放し船も引き渡したい」と伝えた。そのため「漁師らの亡命意志とは関係なく送還を決め、その上で漁船を拿捕した」との見方にも説得力がある。脱北民の調査はスパイ容疑や亡命の意志などを正確に把握するため少なくとも数週間、長い時は数カ月かかるケースもある。
上記の国民の力幹部によると、当時青瓦台は北朝鮮漁船がNLLを越えた事実を国家情報院よりも先に認識していた兆候もあるという。通常だと北朝鮮関連の諜報や情報は国家情報院や国防部(省に相当、以下同じ)などが把握して青瓦台に報告するが、今回のケースはあまりにも異例続きだ。
文在寅政権はこれまで「北朝鮮が送還を要求したことはない」と説明してきた。2019年11月に当時の金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一部長官は国会外交統一委員会で「北朝鮮が送還を要求したことはなく、私が原則と基準を持って(送還を)決めた」と証言した。
仲間の漁師16人を殺害した疑いがあった2人の漁師は自筆の亡命意向書などにより亡命の意志を重ねて訴えたが、2019年11月7日に板門店を通じて北朝鮮に強制送還された。上記の与党幹部は「文在寅政権が何を根拠に殺人容疑が立証もされていないのに急いで北朝鮮に引き渡したかが争点だ」「北朝鮮漁船が南下する前から北朝鮮に送り返すつもりで待っていた疑惑がどうしても残る」と指摘した。
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