【”徴用工”裁判】2021年10月15日の岸田首相との電話会談で文在寅大統領が言った事
前回のエントリーでは、長くなるので書きませんでしたが、二つ追記があります。
一つは、文在寅が自分の意向を汲んだ判決を出してくれる裁判官を抜擢して大法院長官に据えたのであり、その裁判官が今も大法院長官なのですから、意見書をどのように扱うか?という事です。
韓国人は三権分立がよく分かっていないようなので、「司法の独立を蔑ろにする行為だ」みたいな事を言って反発すれば、文在寅のもう一つの目論見である、尹錫悦政権への攻撃にもなります。
二つ目は、文在寅大統領が岸田首相に対して、首相就任直後にはっきりと、「(”徴用被害者” への賠償は)日韓請求権協定の範囲外だ」と伝えていたと言う事です。
前回のエントリーで引用した中央日報の記事(韓国語版)のコメント欄を読んでいて気がつきました。
コメントの一部を機械翻訳で引用します。
>〔尹錫悦政権が前政権と違って北との対決姿勢を見せている事を評価し、しかし、これによって従北左派さからの攻撃が激しくなるだろう、という事を述べた後〕尹錫烈政権は米国との関係強化のための理由を表に出して国民を説得しなければならない。 いずれにせよ、韓国国内問題だ。 2021年10月文在寅大統領と岸田総理との電話会談で、ムン大統領が「徴用」を巡る問題に対して「1965年韓日請求権協定の適用範囲に対して法的解釈に差がある」と話したように、韓国最高裁によって請求権協定の解釈を変更したことが問題の根源だ。 盧武鉉政権は日本の最高裁による請求権協定の法的解釈を受け、2007年12月「太平洋戦争前後の国外強制動員犠牲者等支援に関する法律」を制定し、2012年までに7万人以上の「自称徴用被害者」が政府から金を受け取った。 2018年10月、11月の最高裁の確定判決は韓国政府の請求権協定の解釈を覆した。
文在寅大統領がそんな事を言ってたのは記憶に無かったので調べてみました。
探し方が悪いのか、一般メディアの記事は見つからなかったのですが、『JBpress』に舛添要一氏が寄稿した文があり、そこに書かれていたので引用します。文在寅の発言はどこかの記事からの引用でしょう。
>岸田文雄首相は、10月15日、韓国側の要請で、約35分間、文在寅大統領と電話会談を行った。大統領は首相就任への祝意を述べた。
>岸田首相は、韓国最高裁の徴用工判決や慰安婦に関する日韓合意違反に関して国際法違反であることを指摘し、適切な対応を強く求めた。これに対して、文在寅大統領は、「1965年の日韓請求権協定の適用範囲についての法的解釈に(日韓間で)違いがある問題だ。両国間で外交的解決を模索するのが望ましい」との認識を示した。
〔引用元は『ニコニコニュース』に転載されたもの(2021/10/30):【舛添直言】日本と韓国、関係悪化状態を放置したままでよいのか〕
◆日韓請求権協定の第二条と三条を読んでみると...
日韓請求権協定〔正式には、「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」〕の第二条をリンクを貼ったWikipediaから引用します。第1項が重要です。
第二条
- 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
- この条の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれの締約国が執つた特別の措置の対象となつたものを除く。)に影響を及ぼすものではない。(a)一方の締約国の国民で千九百四十七年八月十五日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約国に居住したことがあるものの財産、権利及び利益(b)一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつて千九百四十五年八月十五日以後における通常の接触の過程において取得され又は他方の締約国の管轄の下にはいつたもの
- 2の規定に従うことを条件として、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であつてこの協定の署名の日に他方の締約国の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対するすべての請求権であつて同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとする。
一般的には、これで両国は新たな請求はできないと解します。
よく言われる、「個人の請求権は消滅しない」とは、韓国人個人の請求先は、第一条で述べられた経済協力金を受け取った「韓国政府」という意味です。
その為、朴正煕大統領は一部の債権者(死亡した軍人・軍属)には遅まきながら70年代になって支払い、2005年の盧武鉉政権時には、官民共同の委員会で検討した結果、「これ以上日本には請求できない」と判断して、申請者に一時金や医療補助金といった名目で補償しました。
皮肉な事に、この時に申請者が提出した給与明細や写真などの資料が、所謂 ”徴用工”、実際は募集に応じた出稼ぎ労働者が殆どですが、後に、李宇衍(イ・ウヨン)博士等の研究に役立ちました。
一部の日本の法律家も、原告が要求している「精神的な苦痛に対する補償」は含まれていないと言いますが、日本政府は「完全且つ最終的に解決された」という見解です。
この点に関して韓国政府が「解釈に違いがある」と主張するなら、第三条には、「両国間の紛争は、まず外交で解決を努力し、それでも解決しなければ仲裁委員会を間に立てて調定する」旨書かれています。〔Wikipedia参照〕
従って、韓国が一方的に国内法により日本企業や日本政府を被告として裁き、賠償金を請求するというのは、明らかな協定違反なのです。
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なお、冒頭にご紹介したコメントは、かなりこの問題に詳しい方が書いたのだと思います。ちなみに、共感が4、非共感が3、付いていました。
コメント数は返信も含めて全部で6件ほどと少ないのですが、「共感/非共感」数を加味すると、韓国政府というか原告に批判的な意見が若干多いようで、慰安婦問題よりは若干冷静に考えられる韓国人読者が多いと言えます。
もっと挑発的な、「自分たちがお金を稼ぎに行っておいて今さら強制徴用されたんだって。まったく。結局お金が目的なの? (笑)」〔지들이 돈벌러 가놓고 이제와서 강제징용 당했다고 ,. 참나 ,. 결국 돈이 목적이여 ? ㅋ〕というコメントもありましたが、これに対しては、共感が11、非共感が5でした。
同じ記事が、左派がより多く集まるポータルサイトの『Daum』にも転載されていましたが、こちらは圧倒的に尹錫悦政権を「親日派」〔売国奴と同義〕呼ばわりしているコメントが多かったです。
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