【韓国】久保田るり子氏の尹錫悦政権評
『救う会』のYouTubeチャンネル(sukuukaiweb)で、國學院大學客員教授で元産経新聞ソウル特派員の久保田るり子氏が、韓国の尹錫悦大統領についての評価を語っていました。メモを取りながら視聴したのでその部分の要約を覚え書きとしてエントリーしておきます。
※下記のLive動画は削除され、新たに別の動画として再upされたようです。取り急ぎ新しい動画へのリンクだけ貼っておきます。
▲sukuukaiweb:東京連続集会119 韓国新政権と拉致被害者救出(37:21~)
※元動画が変わってしまった為、タイムスタンプもずれています。
◆対北、対米外交姿勢
尹錫悦政権は北朝鮮に対しては強硬姿勢を見せており、閣僚などに米国通を置き、米韓同盟を重要視している。5月21日にバイデン大統領と会い、文在寅政権時代にはほとんど停まっていた米艦合同軍事演習も拡大すると明言。反北・親米の姿勢は「保守」の要件を満たしている。
〔50:10~〕情報機関(国家情報院)に関しては、文在寅時代に情報機関ではなくなり、むしろ北朝鮮の窓口と化していた〔※1〕り、保守政権〔李明博、朴槿恵〕のあら探しをしていた。尹錫悦政権はこれを改革する意識は持っている。金奎顕(キム・ギュヒョン/元国家安保室第1次長)国情院長は、現在、国家情報院局長クラス27名を入れ替えた他、前職に待機命令を出して内部監査中。国情院の庭にあるスローガンが刻まれた石碑〔※2〕も元に戻した。
※1 徐薫(ソ・フン)国家保安室長は現在アメリカに逃亡中。本人は米シンクタンクの招待で渡米と主張。徐薫氏は金大中、盧武鉉両大統領の南北首脳会談のお膳立てをし、1996年から1年ほど軽水炉建設の為に北朝鮮に滞在しており、この時に「北とのパイプが深まった」とされる。2018年3月に徐薫〔当時は国情院長〕は鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長等と共に文在寅の親書を携えて訪朝したが、この時に北は迎賓館では無く朝鮮労働党の庁舎で迎え入れた。真偽は定かではないが、金正恩と会って涙を流したと言われている。【西岡力教授補足】韓国に「隠れ労働党員がいるのは確か」
2代目の国情院長は朴智元(パク・チウォン)。彼は金大中と金正日の南北首脳会談の為に5億ドルの裏金を北朝鮮に不正送金し、実刑判決。拘禁中に二階俊博が下着を差し入れたというエピソードがあるくらい親しい。
※2 文在寅時代には北朝鮮のスパイだった故申栄福(シン・ヨンボク)の書体の石碑に変えた。申栄福は文在寅が尊敬していると言って憚らない人物で、青瓦台にも彼の書が飾られ、この前で金与正と記念撮影をしたことがある。→cf. 統一革命党事件(1968年):ソウル大を中心とした地下党が一斉摘発された事件。これに申栄福が関わっていた。
◆歴史観・イデオロギー
〔1:00:25~〕しかし、イデオロギーや歴史観に関しては疑問が残る。
例えば、済州島4.3事件の追悼式に済州島を訪れた時の発言は左派に迎合するような内容であった。
済州島4.3事件とは南朝鮮単独での建国を阻止しようと、共産勢力(南朝鮮労働党)が蜂起した事件で1948年4月3日に始まり、最後のゲリラが逮捕されたのが1956年だった。この間、島では誰が共産主義者か分からず、島民は疑心暗鬼になり大きな混乱が生じ、8月(建国)以前は米軍が、建国後は李承晩政権が鎮圧に当たったが、大変苦労した。3万人以上の犠牲者が出たとされる。
この事件は保守側にとっては「鎮圧」、進歩側にとっては「弾圧」と立場が明確に分かれるが、尹氏はこの事件が共産党による反乱だという本質を述べなかった。
〔1:04:45~〕もう一つ、5.18(光州事件)の追悼式に参加し、「みんなのための行進曲」〔Wikipedia:「あなたのための行進曲」〕を唄った。この歌は親北の民主派のシンボル的な歌であり、過去の保守政権では禁止されていた。この歌を唄うか唄わないかはリトマス試験紙みたいなもの。
このことから、歴史観が危ういか、歴史に疎いのではないかと思われる。
◆韓国国民が尹錫悦政権に求めている事ができるかどうか
〔1:08:20~〕彼が大統領になれたのは、文在寅政権に危機感を抱いた保守派を含む国民が支持したからだ。
彼は権力を操作する検察〔日本で言う「特捜」〕として朴槿恵弾劾に一役買った人であり、それを認められて文在寅が検事総長に抜擢したが、文在寅の片腕であるチョ・グクに容赦ない捜査を行った。
従って、彼を支持した国民からは前政権の不正を裁くことが求められている。特に文在寅を逮捕ができるのかどうかが注目される。但し、文在寅が任期満了直前に通した、所謂 ”文在寅保護法” 〔検察の捜査権の大部分を警察に移譲する法律〕が9月に施行されるので時間があまり無い。
保守の朴槿恵だけでなく左派の文在寅周辺も捜査する彼は、イデオロギーではなく、職務に忠実なのかも知れない。
◆対日政策
〔1:26:27~〕対日関係では、この人のイデオロギーの弱点がそのまま出ると思う。
最も重大な懸案事項は慰安婦問題と徴用工問題で、本当に解決するには、慰安婦とは何かという本質に迫らなければならないが、それをやるエネルギーはこの人には無いと思う。
この政権の限度は2015年の日韓合意に戻るのが限度だと思う。
10億円の残りで財団の活動を復活させるのは可能だと思う。
徴用工問題は日韓基本条約までは戻る事は可能だと思う。しかし、これも歴史観を変える覚悟は無い。
※この後、「韓国の保守」について語られるのですが、別のエントリーとします。
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