【”徴用工”問題】韓国政府が時間稼ぎ:外交部が大法院に「意見書」提出
韓国の外交部〔日本の外務省に相当〕が、大法院〔最高裁〕に対し、「(日本企業の資産現金化の件は)外交案件であり、司法より行政府が優先される」という意見書を提出したという報道がありました。
後述の記事で、この事は「司法自制の原則」と説明されています。Wikipediaによると「統治行為論」とも言うそうで、以下、説明をWikipediaから引用します。
>「国家統治の基本に関する高度な政治性」を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、高度の政治性ある事柄に関しては司法審査の対象から除外するという理論。三権分立の民主主義国家の国際法・国家間合意に関する外交問題など国家の行く末に関わるような重大な事柄に関して、国民に選ばれた訳でなく間違った判断をした際の責任も負えない裁判所よりも国民に選挙で選ばれた政府の立場尊重を基本とするために「司法自制の原則」ともいわれる。
この意見書の提出は、後述の記事にありますが、韓国の「民事訴訟規則」で明文化もされているそうです。
それであれば、政府が「1965年の日韓基本条約で既に解決している」と言って現金化を止めればいいと思いますが、「日本から賠償金を取る」事に関しては正当だと考えているので、あくまでも日本と協議する時間を稼ぎたいのでしょう。
ところで、朴槿恵大統領は事の重大さを分かっていたので、この裁判の審理を止めていました。
>徴用工訴訟介入疑惑では、梁被告の部下だった最高裁機関元幹部の公判が先に進んでおり、大統領府の元高官が13日の裁判で、朴前大統領から訴訟に絡んで「大恥をかかないように」と指示されたと証言した。
>慰安婦問題をめぐる日韓合意の締結を目前にした2015年12月、朴氏は元高官に「世界の中の韓国という地位と国の品格が傷つかないように賢く処理してもらいたい」と電話で述べ、政府の意見を最高裁に送って問題を終結させるよう指示。元高官は当時の外相らに内容を伝えたという。〔産経(2019/5/29):「韓国は法治国家か」前最高裁長官が徴用工訴訟介入を否認 朴前大統領は「大恥かかぬよう」と指示〕
「民事訴訟規則」に従えば、朴槿恵政権のやったことは問題無いはずですが、これを「司法への介入」として、朴槿恵氏の罷免理由とはなっていないようですが、当時の梁承泰大法院長官はこの件で逮捕されています。調べたら、2年前(2020.02.13)の記事ではまだ裁判中のようでした。別の裁判官が無罪になったという記事ですが、大法院長官の事にも言及されていました。
>大法院が朴槿恵(パク・クネ)前政権の意向をくみ、強制徴用被害者らによる損害賠償請求訴訟の判決を遅らせたなどとして梁承泰被告が起訴された事件に絡み、ソウル中央地裁は職権乱用などの罪に問われた柳海ヨン(ユ・ヘヨン)元大法院首席裁判研究官に無罪を言い渡した。
>今回無罪を言い渡された3人の容疑は梁被告の控訴事実にも含まれていることから、同被告の判決にも影響を及ぼすものとみられる。〔現職裁判官3人に無罪判決 司法行政権乱用事件=韓国地裁〕
いずれにしても、韓国外交部が「被害者中心主義」を言い続け、日本企業から賠償金を取ったり、謝罪を求め続けるのであれば、いくら時間を掛けても無駄な事でしょう。
現政権は、口では「日韓関係の修復」を口にしていても、やっている事は文在寅政権と同じです。
彼は「日韓基本条約破棄」が目的でした。
その為に、自分の意向を汲んだ判決を出してくれる裁判官を抜擢して大法院長官に据えたのですから、確信犯的なやり方です。
しかし、現政権は、この判決が「日韓基本条約破棄」を意味すると分からないようなので、単なる間抜けです。
下の中央日報の記事を書いた記者も、「現金化されたら日韓関係が破綻する」と考えているようですが、「大法院判決そのものが破綻を意味している」事が理解できていないようです。
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https://www.joongang.co.kr/article/25090836#home
외교부, 대법원에 '강제징용 의견서' 제출…"현금화는 피해야" 우려 반영
2022.07.29 22:57
https://japanese.joins.com/JArticle/293771
韓国外交部、大法院に「強制徴用意見書」提出…「現金化は避けるべき」憂慮反映
中央日報日本語版 2022.07.30 09:58
韓国外交部が26日、強制徴用被害者の特別現金化命令事件を審理中の大法院(最高裁)に意見書を提出していたことが明らかになった。この意見書には政府が強制徴用問題を外交的に解決するために努力しているという内容が含まれているという。4日と14日の2度にわたり官民協議会を開催するなど強制徴用問題の解決法を用意している中、日本企業の韓国国内資産を強制的に現金化する大法院の最終結論が出てくる状況を憂慮した措置と解説される。結局、外交部の意見書提出は、国家間の利害関係が対立する外交的事案の場合、司法的な判断ではなく行政府の立場が優先して反映されるべきという「司法自制の原則」を要請するメッセージということだ。
外交部当局者は29日、「政府は(強制徴用問題に関連し)韓日両国の共同利益に合う合理的な解決策を模索するため、日本と外交協議を続けていて、官民協議会などを通じて原告側をはじめとする国内の各界各層の意見を聴くなど、多角的な外交的努力を傾けている」として「大法院の民事訴訟規則に基づき、こうした立場を説明する意見書を大法院に提出した」と明らかにした。
外交部が言及した大法院民事訴訟規則とは「国家機関と地方自治体は公益に関連する事項に関し、大法院に裁判に関する意見書を提出することができる」という条項だ。外交部が強制徴用訴訟に関連して意見書を出したのは、強制徴用被害者が提起した損害賠償請求訴訟の再上告審が進行中だった2016年以降初めてだ。
現在、大法院民事2部と3部はそれぞれ強制徴用被害者の梁錦徳(ヤン・クムドク)さんと金性珠(キム・ソンジュ)さんの現金化要請を審理している。これに先立ち2018年11月、大法院は日本戦犯企業が強制徴用被害者に慰謝料を支払うべきという結論を出した。しかし三菱重工業がこれを履行しないため、梁さんと金さんは該当企業の国内資産を強制的に現金化することを裁判所に要請し、早ければ8、9月に最終結論が出ると予想される。
大法院が現金化命令をする場合、三菱重工業の国内資産(商標権・特許権)は強制的に売却され、売却代金は強制徴用被害者に賠償金として支払われる。ただ、韓日両国はこうした現金化だけはいかなる形態でも防ぐべきだと考えている。現金化される場合、強制徴用問題をめぐる葛藤はむしろ増幅し、韓日関係も破綻に向かうという判断からだ。
これを受け、朴振(パク・ジン)外交部長官は18日、東京で林芳正外相と会い、現金化前に強制徴用問題の解決策を用意すべきだと強調した。また朴長官は翌日に岸田文雄首相を表敬訪問し、同じ趣旨の立場を伝えた。朴長官は岸田首相を表敬訪問した後、記者らに「強制徴用賠償問題に関連し、現金化の前に望ましい解決策を模索するために努力すると岸田首相に伝え、そのために日本側が誠意のある呼応をすることを期待すると述べた」と明らかにした。
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