【韓国語・日本語】「自尊心」と「자존심」(チャジョンシン)
最近は韓国語の記事が日本語に訳されていたり、自分で翻訳ツールを使って訳すこともできるので、韓国メディアの記事は日本人に広く読まれています。
その為、単語の意味の違いにも気付きます。
最近でも、姜昌一(カン・チャンイル)前駐日韓国大使のインタビューで使った「自尊心(が傷つく)」という言葉に違和感を覚えました。実際に、「韓国語の『自尊心』は使い方が変だ」というのはネットでよく話題になります。
どのような文脈で使われたかというと、前回のエントリーで扱ったように、NATO会議で尹錫悦大統領と岸田首相が立ち話をした時の岸田首相の発言を、韓国政府が発表した後、即座に日本政府が訂正した件です。
韓国政府は、岸田首相が「日韓関係がより健全な関係に発展できるよう努力しよう」と言ったと発表しましたが、日本政府は「非常に厳しい日韓関係を健全な関係に戻すために尽力いただきたい」と言ったと訂正しました。
このことを、「『자존심』(自尊心)が傷つく」と、姜昌一氏は言ったのです。
インタビューの書き取り且つ機械翻訳なので、やや分かりづらい文章ですが、姜氏の発言を引用します。
>(岸田首相の発言を)むしろ韓国側では多くのことを肯定的に報道され、大統領室でも発表した。しかし日本の発表は少し内容が違います。 「韓国に要請した、日本側から要請した」、ということですが、日本側ではそのように話し、私たちは両首脳間で「『韓国関係正常化友好増進のために努力しよう』と言った」とし、日本政府発表と韓国政府発表が少し内容が違うので、それも自尊心が傷つく部分がなくはありません。 日本政府もそうしてはいけません。〔MBC:[시선집중] 강창일 "나토 한일정상 발표 달라, 자존심 상해.. 日'한국이 해결책 갖고 오라'는 것"〕
韓国語の「자존심」は発音は「jajonsim(チャジョンシン)」です。想像するに、漢字で書けば「自尊心」でしょう。
姜昌一氏の発言の意図を簡単に言うと、韓国政府の顔を潰したという批判です。
この場合、韓国人が言う「自尊心」とは「体面」とか「メンツ」の意味だと思われます。
他にも、よく韓国語のコメント欄で、「サムソンは/BTSは韓国の自尊心だ」のような表現を目にします。これは「誇り」や「自慢」でしょう。
一方、日本語の「自尊心」は例えばこのように使います。
「この試合に勝てば体面は保てる。しかし、不正をしてまで勝つのは自尊心が許さない。」、「あんな奴に媚びへつらうのは自尊心が傷つく」。
要するに、韓国語の「自尊心」は「他人からどう見られるか」に重点を置いているの対し、日本語の「自尊心」は内省的で、自分の心の内側に向かっています。
ブログ主は、韓国語が間違っていると言っているのではありません。
言葉の意味や用法は時間と共に変わります。
元々は同じ意味だったはず/かも知れない言葉が、それぞれ別の方向に変化した事に興味があるのです。
そして、それが二者のメンタリティの違いを表している(かも知れない)事に興味を覚えます。
韓国語の「自尊心」が間違ってはいないと思うのは、「自尊」という言葉があるからです。
この言葉の意味は「自ら尊大にかまえること。うぬぼれること。」で、「(自己)卑下」とか「謙譲」、「謙遜」とかの反意語です。〔「卑下」という言葉も日韓で使うシチュエーションが異なりますが、長くなるので、ここでは語りません.〕
韓国語の「自尊心」はこの「自尊」+「心」〔虚栄心〕に近いのかも知れません。
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