【日本企業資産現金化問題】「被害者中心主義」という足枷
尹錫悦政権は、韓国側の言う ”強制徴用被害者” への賠償金支払いのために日本企業の資産が売却されることを防ごうとはしています。
その為に ”被害者” 側を含めた「官民協議体」なる会議体を設け、ここで対応策を話し合うことになっていますが、7月6日付けの『シンシアリーのブログ』によると、この会議には決定権がなく、最終的には外交部〔日本の外務省に相当〕が決めることになります。
ブログ主は、なまじこんな協議体を作ったために、益々政権が窮地に追い込まれたと思っています。
というのは、文在寅政権が掲げた「被害者中心主義」を尹錫悦政権も踏襲しているからです。
官民協議体でどんな事が話し合われようと、”被害者” 様、正確には、原告を操っている弁護士団体(民弁)や市民団体に振り回されます。
本来は、大法院判決自体が国際法無視の司法の暴走なので、それを立法機関が止めるべきなのですが、韓国人の大多数は感情に流されやすい人達なのでもちろんのこと、尹錫悦政権も「国際条約」が優先だという考えが欠如しています。
原告側は以前から「お金では無い、真の謝罪が重要だ」と、実現しないことを主張していますし、支援団体も「日本企業は被害者と会って協議しろ」と言っています。〔記事後述〕
昨日(7月6日)のBSフジ『プライムニュース』で鈴置高史氏が仰っていましたが、原告はお金が欲しいだけとしても、弁護士団体は「基金化」したいわけです。基金の存在で「日本=加害者、韓国=被害者」の構図を永続化させたいのです。
そして、現在原告は約300人程いるため、基金には300億ウォン程度必要なのだそうです。〔カイカイ反応通信:韓日300億ウォンの基金で徴用被害者への補償を検討する案が浮上=韓国の反応〕
鈴置氏の言うとおり、大法院判決の主眼は「”徴用工” 問題」ではありません。
1965年の日韓基本条約で日本に認めさせられなかった、”日本は朝鮮半島を「不当に」支配した” という事を認めさせたいのです。そして、日本側がこの判決を少しでも認めるような姿勢を見せたが最後、日本統治時代に朝鮮人が ”強制的にやらされた” と主張すれば、あらゆる行為が賠償の対象になってしまう危険性があります。
従って、日本側は絶対に賠償金は支払えませんし、今まで韓国側が提示してきた様々な案も受けいれることはできません。
例えば、「代位弁済」〔=韓国政府が一旦賠償金を肩代わりして、後で日本に請求する〕も、韓国政府が既に一括して日本から金を受け取っている事を認めて支払うべきであり、日本側がこれを飲むことはありえません。代位弁済に同意する事は ”日本企業に債務=賠償金の支払い義務=がある” 事を認めてしまうからです。
ところで、以前(6月25日)にシンシアリーさんが書いていましたが、韓国メディアは、日韓基本条約の付随協約である日韓請求権協定の「完全かつ最終的に解決された」を引用する際に「『何が』解決されたのか」を示さないのだそうです。
第二条
1.両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
この時点で、未払い賃金や未収金だけでなく、韓国国民〔=個人〕のあらゆる権利の請求先は韓国政府となっているわけですが、韓国国民はそれを理解していません。〔本来なら、韓国政府が請求できる期限を決めるべきだったのでしょうね。日本側の法律では1965年12月17日に、日本政府に対する韓国国民の請求権の消滅を規定する法律『財産権措置法』を制定しています。【下図参照】〕
閑話休題
原告側や韓国政府がこれに関して日本企業や日本政府と「協議」したがっているのは、その時点で自分達のペースに引き込めると思っているからです。
まさしく、
しかし、尹錫悦政権自体が、まんまと文在寅が仕掛けた罠にはまってしまったのです。
以下に、これに関する『中央日報』の記事を引用しておきます。
* * * *
https://news.yahoo.co.jp/articles/1267d6de4026bf3f606e4e0e9516d3df1a6668a0
強制徴用被害者「日本企業と直接交渉したい」…日本の態度変化は可能か
강제징용 피해자 “日 기업과 직접 협상”…“배상·화해 말라” 日 태도 변화 가능할
7/5(火)
「強制動員問題は長時間被害者と加害企業が訴訟を行ってきた事案だ。被害者と日本企業が会って議論をすることが当然の道理だ」。
2018年の強制徴用大法院(最高裁)判決を勝訴に導いた法律代理人と被害者支援団は4日、強制徴用問題解決に向けた官民協議会最初の会議に先立ち記者会見を行いこうした立場を明らかにした。強制徴用被害者に賠償せよという最高裁判決を無視している日本製鉄(新日鉄住金)や三菱重工業など日本の戦犯企業と直接交渉して解決策を設けたいという趣旨だ。
◇現金化控えて「交渉」要請…「賠償は真の和解ではない」
〔前略〕梁錦徳さんと金性珠さんを支援している勤労挺身隊市民会のイ・グクオン代表は〔中略〕単純に賠償金をいつ受け取るのか、どれだけ受け取るのかよりは、日本企業が強制動員の事実を認めて謝罪の意向を表明し、被害者がこれを受け入れて心の荷を下ろす方式の解決策でなければならない」と話した。
◇日本「個別交渉賠償・和解するな」指針
〔前略〕問題は日本政府の頑強な態度だ。日本側は大法院判決直後の2018年10月末に外務省や経済産業省など日本政府官庁が共同で説明会を開き、「1965年の韓日請求権協定ですべての賠償が終わっており一切の賠償と和解には応じないように」という趣旨の指針を下した。〔後略〕
◇韓日の「外交的努力」前提にならなくては
結局日本政府のこうした指針が有効な状況では強制徴用被害者と日本企業間の交渉窓口を設けたとしても具体的な解決策を導出するのは難しい。官民協議会などを通じた国内意見取りまとめ手続きとは別個に日本の頑強な態度を転換させるための韓国の外交的努力が必要だという分析が出ている理由だ。〔後略〕
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よもぎねこさん
ご無沙汰しております。
>この自称徴用工達は何で日本企業を告訴するんでしょうね?
>「徴用」が事実だと仮定したら、被告は日本政府になるはずです。
仰る事はごもっともです。
ただ、彼らが言う”強制徴用被害者”の賠償請求は、始めから企業がターゲットなんですよね。
だから、「日本による不当な支配」云々という理屈は、大法院が原告勝訴にするための『禁断の手』として、1965年の日韓基本条約の卓袱台返しをこの裁判に便乗させたのかな?と思っています。韓国政府は1965年に日本に認めさせられなかった「不法な占拠」を認めさせたいので。
韓国のやる事にあまり整合性を求めても意味が無いのかもしれませんが、2015年の盧武鉉政権の時には、官民共同の委員会で「日本政府にはこれ以上請求はできない」と結論づけて韓国政府が申請者に補償金を支給した事もあります。
なお、この裁判が最高裁で原審差し戻しになったのは2012年5月ですが、そこを「損害事実や加害者を知った日から3年後に時効」の起点として、これ以降の提訴は律儀に(?)棄却しています。
繰り返しになりますが、日本企業相手の訴訟が先行してしまったから、という事ではないでしょうか。
投稿: ブログ管理者 | 2022/07/09 12:46
この自称徴用工達は何で日本企業を告訴するんでしょうね?
「徴用」が事実だと仮定したら、被告は日本政府になるはずです。
だって徴用は徴兵と同様、政府による強制なのです。 民間企業には他人を強制労働させる権利はありません。
だから徴用が不当だと言うなら、徴用令を出した日本政府を告訴するべきなのです。
実際新日鐵住金への原告達が自分の意思で就職したことは韓国大法院の判決文にも書かれています。 徴用されたのは雇用主だった新日鉄住金側で、原告達が働いてた新日鉄住金の工場が工場丸ごと徴用されたのです。 これについても判決文に描かれています。
徴用令は国民個人だけではなく、民間企業など法人にも適用されるのです。
これを企業側が拒否できません。
だから新日鉄住金の工場が徴用されて、従業員がそこで働き続ける事になった件について、新日鉄住金側には何の責任もないのです。
だからどう考えても、自称徴用工達が「徴用」への賠償請求をする先は、雇用主の民間企業ではなく、日本政府のはずです。
ところがなぜかその点を誰も指摘しません。
一体どうなっているのでしょうか?
投稿: よもぎねこ | 2022/07/08 23:50