【韓国】歴史歪曲は左派だけなのか?ー李承晩の山口県亡命受け入れ要請
※2024/03/26追記 李承晩政権が山口県に亡命を要請したことは証拠が不十分です。詳しくはこちらのエントリー参照。
最初に概要を記します。
朝鮮戦争勃発後すぐに釜山まで追い詰められた韓国政府は、米国を通じて山口県への6万人の亡命政府の受け入れを要請しました。国連軍(米軍)の仁川上陸後に形勢が逆転したので実現はしませんでしたが。
この事は山口県史にも具体的に書かれており、また、日本側の外交文書でも明らかで、韓国の公共放送KBSが2015年6月にスクープをしたのですが、「李承晩記念事業会」等、様々な保守派の団体から「屈辱的」だという批判が起こりました。李承晩が「卑怯者」かのように報じたと言う理由だそうです。
これにより、放送局側の責任問題となり、KBS幹部が降格させられたそうですが、KBSはその後番組内で「放送介入」だと、異例の反論をしました。
KBSのTVニュースが、李承晩を侮辱するようなニュアンスを加えて放送したのかも知れませんが、現在も残っている日本語の記事を読む限りは、事実を報告しているだけのように思えます。
もし、気に入らない報道を大声を上げる事で封殺しようとしていたとしたら、ラムザイヤー論文を「妄言」だと言って葬ろうとする左派とどこが違うのでしょうか。
以下、関連する報道を見ていきます。
* * * *
【KBSのスクープ】
6月25日は北朝鮮が南進した日。
http://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=55261
李承晩政権 韓国戦争勃発直後に日本への亡命を打診か
Write: 2015-06-25 10:45:19 / Update: 2015-06-25 15:20:01
韓国戦争が起きた1950年、当時の李承晩(イ・スンマン)政権は、日本政府に対し、6万人規模の亡命政権を山口県に樹立することを打診し、日本が「韓国人避難キャンプ」をつくる計画を立てていたことが KBSの取材で初めてわかりました。
KBSの取材陣が山口県庁図書館で確認した文書「山口県史」によりますと、韓国戦争勃発2日後、日本外務省は山口県知事に、「韓国政府が6万人規模の亡命政権を山口県に樹立したいとしている」 と知らせ、可能かどうかを尋ねたということです。
これに対し、当時の田中知事は、「日本国民も配給が不足している状態であるため難しい」と答えましたが、しばらくして、韓国人5万人を受け入れる内容の「非常措置計画書」をまとめたということです。
李承晩政権の亡命要請に関する記述は、韓国戦争勃発から2週間足らずの1950年7月7日に作成された「アメリカ軍政記録」にも記されています。
それによりますと、田中知事は、山口県に20の避難キャンプを作り、臨時テント1か所に200人ずつ、合わせて250のテントに5万人を受け入れるという計画を立て、アメリカ軍政に提出し、予算の支援を求めたということです。
当時、山口県は「朝鮮情報室」という別途部署を設置し、韓半島の情報を詳細に記録した「朝鮮情報」という文書を総理など政府閣僚に報告していました。
当時、「朝鮮情報室」は、韓国戦勃発の2日前、北韓が韓国を侵略する危険があるという内容の報告書を日本政府に提出しています。
【韓国での騒動を報じる産経の記事】
https://www.sankei.com/article/20150919-77RBSWVTZRPNNCNM5E6XZK4ZCE/
朝鮮戦争直前「韓国の亡命政権、難民に備えよ」…国防意識高めた山口県 楽観する国とは別に情報収集
2015/9/19
記事は、朝鮮戦争勃発以前から山口県に韓国人が不法入国してくる事から警戒心を強め、知事直轄組織の「朝鮮情報室」を創設して独自に情報を収入していた事や対照的に楽観的な吉田茂政権、万が一亡命政府を受け入れざるを得ない場合にも備えていた事などを書いた後、李承晩の要請があった事は事実だと書いています。
>朝鮮戦争勃発前、「そのとき」に備えて現実的な対応に取り組んだ地方自治体がある。半島と地理的に近い山口県だ。韓国の李承晩政権の日本亡命と難民流入対策として、独自に情報収集を進めていた。
>田中の悪い予測が的中した。外務省から山口県に至急電報が入ったのだ。「韓国政府が6万人の亡命政権を山口県に作ることを希望している」(山口県史)
>「米国の外交関係」(国務省編)の「1950 Korea」などによると、開戦2日後の25年6月27日、ムチオ在韓米大使が、アチソン国務長官にこう打電していた。亡命先には山口県のほか、米・ハワイも選択肢にあった。
そして、最後にKBSの報道に対する韓国国内の反応について報じています。
>日米双方の物証にもかかわらず、韓国側では李承晩政権の日本亡命要請について「屈辱的」との受け止めが広がっている。
韓国テレビ「KBS(韓国放送公社)」が今年6月に李承晩政権の亡命構想を放送したところ、「屈辱的報道」との批判が起き、KBS幹部が降格させられる事態に発展した。
韓国大手紙「ハンギョレ新聞」によると、韓国国内の保守系団体がKBS本社前で「李(承晩)大統領を卑怯な亡命企画者として人民裁判にかけた」と抗議活動を行うなど、事実関係とは違う次元で波紋を広げている。
李承晩政権が山口県への亡命を検討した事実について庄司氏は、当時の戦況と国際情勢を総合的に判断すれば、「亡命することは恥ずべきことではなく、李承晩の権威を汚すものではない」と語った。
【KBSの反論を報じるハンギョレ新聞】
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/21253.html
KBS放送、保守陣営が反発する「李承晩亡命」で異例の反論報道
登録:2015-07-07 19:04 修正:2015-07-08 07:12
ハンギョレは日本で言えば朝日新聞のような左派メディアです。記事はKBS側の主張のみを報じています。
(前略)先月24日、KBS『ニュース9』は「李承晩政権が朝鮮戦争勃発直後に日本政府に対して韓国国民6万人の亡命意志を打診し、日本は韓国人避難キャンプの計画を立てた」という内容が書かれた文書を単独報道した。 この日KBSが公開した文書は、日本の山口県の公式歴史記録と当時の米軍政庁の記録だ。 報道がされると保守団体は直ちに反発した。 従北左翼清算団、滅共山岳会、反国家教育清算国民連合などの保守団体は先月30日、KBS本館前で「KBSが李承晩(元)大統領を卑怯な亡命企画者として人民裁判にかけた」として示威を繰り広げた。李承晩記念事業会関係者は、KBS報道本部長に会い直接反論を要請した。保守指向のKBS共栄労組も25日に批判声明を発表した。(後略)
* * * *
しかし、あれだけ反日しておいて、いざとなったら、6万人受け入れてくれとか、どんだけずうずうしい男なんだw
李承晩に関しては、日本人が解説しているものはかなりバイアスがかかっていたり、作り話の部分もあると思っています。しかし、韓国右派の、称賛一辺倒の姿勢も疑問に思っています。ブロガーのシンシアリーさんも「無能な政治家」、「国父に相応しいのは、まだ、朴正煕の方」という評価で、その根拠は分かりません。韓国人・日本人に限らず、李承晩について書かれたもので、是々非々で論じているものはまだ見た事がありません。
韓国保守は、米国に亡命中に3つの大学で博士号を取得した事や李承晩が行っていたロビー活動とかを熱心に語りますが、朝鮮半島に戻って以降、特に大統領として何を成し遂げたのかとなると、ブログ主が感心するようなエピソードがないのです。まあ、大抵は、得意の英語を駆使した巧みな外交術、みたいな話です。
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