【韓紙】韓国国立山林科学院「現在の『韓紙』は植民地時代に伝わった日本式の製法である」
以前のエントリー〔【韓国】「韓紙(한지)」とか「K-紙」って何?〕にも書きましたが、韓国の国立山林科学院が、「現在、韓国の様々な韓紙工房で行われる『韓紙』の製法は日本統治時代に普及したもの」という報告を5月27日付けでHPに掲載しました。
以下は、それを一部翻訳した『Wow!Korea』という、主にエンタメ情報を日本語で配信しているメディアの記事ですが、意味不明な箇所があるため、元の記事〔国立山林学院〕を確認したところ、翻訳ミス等が何カ所かありました。以下、原文の機械翻訳を参考にして修正したものを引用します。
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https://nifos.forest.go.kr/kfsweb/cop/bbs/selectBoardArticle.do?nttId=3171123&bbsId=BBSMSTR_1036&mn=UKFR_03_03&ctgryLrcls=CTGRY150
역사 속에 사라진 전통 한지 제작법을 미국에서 찾다!
2022-05-27
https://www.wowkorea.jp/news/korea/2022/0528/10349682.html
伝統韓紙の製作法、米国の資料を通じて明らかに=韓国国立山林科学院
2022/05/28
韓国の国立山林科学院は27日、米国アトランタ州所在の博物館、紙科学技術研究所が所蔵する韓紙製作道具の分析と文献調査を通じて、失われた伝統韓紙の製造法法を初めて究明したと発表した。
研究対象となる韓紙の製作道具、簀(す)と漉桁(すきげた)は、米国の製紙研究家であるダード・ハンター氏〔Dard Hunter:1883.11.29 – 1966.2.20〕が1933年、ソウル市のセゴム(洗剣)亭付近にある韓紙工房で収集したもので、同氏の著書〔※〕に掲載されて知られることになった。
※ ”A Papermaking Pilgrimage of Japan, Korea and China”(1936年)/「和紙のすばらしさ 日本・韓国・中国への製紙行脚」(2009年 久米康生 訳
同院とチョ・ヒョンジン韓紙研究所は、文献と現地にある実物の調査を通じて、この簀と漉桁は、紙をすく技法の1つ「溜め漉き」用の道具であり、韓紙の製作にもこの技法が使われていたことを明らかにした。
紙を漉く際はまず、2人が漉桁の縦方向に沿って向かい合った後、簀の両端に、長さ120センチメートル、縦と横が2.5センチメートルの角材を1つずつ置き、両手でつかむ。その後、水に混じった紙の原料を漉桁ですくと、角材2つと簀の両端にある木材2つが、囲み枠として作用する。水が簀を通過しつつ、原料は簀の上に残るという仕組みだ。
韓紙の技法は「流し漉き」以外、とくに伝わっているものはない。現在さまざまな工房が使う「溜め漉き」の手法は、日本の植民地時代に普及が進んだ日本式の技術となる。
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ダード・ハンターの著書は、前回のエントリーでご紹介した論文〔植民地期における韓紙の変容〕でも言及されており、ハンターは朝鮮の紙漉きの様子を以下のように描写しています。上掲の写真はまさしくこの風景ですね。
... パルプを柔らかくするために天然石が回転し、いくつかの漉槽は野外にあり、他の漉槽はすべて川のほとりで、粗末の稲わらの筵の下に置かれていた。すべてが粗野な技法で、5世紀あるいは 10世紀前にそこでみられたであろう、ユニークで美しい産業風景であった ...
前回のエントリーでも書きましたが、朝鮮の紙は、原料をを溶かした水から漉いて、そのままでは厚さが均一ではないので、2枚を重ねて上から叩いて乾かすという製法でした。その特徴は「強靱さ」で、ロープや建材に使われていました。
従って、折り紙を折れるような紙ではなかったし、海外の美術館で古文書などの修復に使われ始めたという『韓紙』は韓国製の「和紙」なのです。
元記事(国立山林科学院の記事)について、まだ物申したい事があるのですが、ここではやめて、一旦公開します。〔→続き〕
【用語メモ】발(御簾、スダレ、簀)、발틀(漉桁、踏み台)、가둠 뜨기 제작법(溜め漉き/直訳は「閉じ込め製法」)、흘림 뜨기(流し漉き/直訳は「流し打ち技法」・・・恐らく、朝鮮では「打つ」工程があるからと思われる)
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