【韓国】「日韓基本条約」や「日韓請求権協定」に対する一般的な韓国人の認識
『シンシアリーのブログ』に『韓国紙「関係改善が必要な理由は、日本の助けが必要だからではない。改善しないと日本が妨害してくるからだ」』(2022/05/06)というエントリーがありました。
URLが面白いwので、URLをご紹介してリンク〔https://sincereleeblog.com/2022/05/06/baaaaaaaaaka/〕を貼りますが、ブログ主が注目したのは、元記事(京郷新聞の記事)そのものではなく、そのコメント欄です。
一般的な韓国人の日韓基本条約や日韓請求権協定に対する認識がよく表れているコメントを見つけたからです。
強制徴用は"立証された真実"だ。 被害当事国である韓国外交部は、加害の当事国である日本外務省と決して同じ立場であることができないことを忘れず、普遍的人権問題としての強制徴用の"特殊性"を想起させ、請求権問題が被害当事者本人たちとは"いかなる協議もなく"、"完全かつ最終的に"解決されたという1965年の韓日請求権協定文'自体'の反人権の成果、〔と〕協定文に対する日本の裁判所の'不真面目な解釈'を指摘し、日朝国交正常化時"前例"に悪用される恐れがあることを知らせ、1965年体制の"終了"と新しい協定で"代替"を真剣に検討、推進しなければならない。
このコメントから読み取れるのは、まず第一に、日韓の国交正常化交渉で、(韓国人的には)”日帝による反人道的な植民地支配” に対する賠償を盛り込めなかった事に不満を抱いている事です。
日韓請求権協定が、朝鮮半島出身者への未払賃金等、日韓間の債権債務の相殺のみだった事〔実際には、本来国際法違反の民間人の資産も韓国に移譲されただけでなく、独立祝賀金とか経済援助などの名目で賠償金的なものを日本側は支払っているが。〕が不満なのです。従って、この交渉の元になった、つまり、韓国人の言い分では、日本人の犯罪を指摘しなかった「サンフランシスコ平和条約」は不完全なものなのです。〔以下に韓国に関わる部分のみ、抜粋します。〕
http://www.chukai.ne.jp/~masago/sanfran.html
日本国との平和条約(サンフランシスコ平和条約)第二条
(a) 日本国は、朝鮮の独立を承認して、済洲島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
(以下略)
第四条
(a) この条の(b)の規定を留保して、日本国及びその国民の財産で第二条に掲げる地域にあるもの並びに日本国及びその国民の請求権(債権を含む。)で現にこれらの地域の施政を行つている当局及びそこの住民(法人を含む。)に対するものの処理並びに日本国におけるこれらの当局及び住民の財産並びに日本国及びその国民に対するこれらの当局及び住民の請求権(債権を含む。)の処理は、日本国とこれらの当局との間の特別取極(とりきめ)の主題とする。
第二条に掲げる地域にある連合国又はその国民の財産は、まだ返還されていない限り、施政を行つている当局が現状で返還しなければならない。(国民という語は、この条約で用いるときはいつでも、法人を含む。)
(b) 日本国は、第二条及び第三条に掲げる地域のいずれかにある合衆国軍政府により、又はその指令に従つて行われた日本国及びその国民の財産の処理の効力を承認する。
(c)省略
ブログ主が李承晩を批判しない韓国保守を批判するのは、こういう認識を韓国国民に植え付けたのが李承晩だからです。この、”ボタンの掛け違い” が国交正常化交渉を長引かせた原因であり、それ故、国民から「屈辱的だ」と批判されながらも条約締結を実現させた朴正煕大統領に対しては、相応の評価をしています。
この漠然と「日本は悪い事をした」という認識は、李承晩TVの動画のコメント欄でも見る事ができます。慰安婦とか徴用工とかの個々の問題では自分達が誤解していた事を理解できるのですが、何故か「日本人が悪い事をしたとは言え、事実は受け止めよう」みたいなコメントになるのです。ブログ主はたまに「その『悪い事』って何?」とツッコミを入れるのですが、返信は返ってきません。
ブログ主は、この韓国人の「認知の歪み」は、「併合によって朝鮮半島は日本の一部になり、朝鮮人は当時は日本人だった」事を理解できない、あるいはしない事に原因があると思っています。
ここで「併合か植民地か」という言葉遊びはしませんが、新たに領土となった朝鮮〔行政用語としては植民地という言葉を使っていた〕で日本国民として生きただけの人達を「親日派か否か」で断罪する事がおかしいという事が分からないのです。
この辺は、親日家と知られる漫画家でYouTuberのユン・ソインさんも分かっていません。
動画では「生計型親日派」(日本統治時代に成功した企業家)と「権力型親日派」などと言っており、後者がどういう意味かは分かりませんが、前者だけを肯定するという事は、例えば、日本の教育システムで学んで難関大学を出、官吏になった人とか、立身出世を夢見て志願兵になった人々を否定することになります。しかし、彼らは日本国という支配者に媚びたわけではなく、単に日本人だっただけであり、得意分野で成功するために努力しただけです。
第二に、1965年の日韓基本条約を破棄して、新たな協定を結びたがっているという点です。これは鈴置高史氏もしばしば指摘されています。
日本側は2018年10月30日の所謂 ”徴用工” 裁判での大法院判決を「1965年の日韓基本条約を卓袱台返しするものだ」と言って批判しますが、韓国人、特に左派的な歴史観を持つ人達にはその批判が通じないという事を日本人は分かっていません。
「卓袱台返し」こそ彼らが望んでいる事なのです。
この根底には一つ目に挙げた日韓基本条約への不満があります。
そして、一般的な韓国人も、程度の差はあるでしょうが、「日韓基本条約は韓国が損をした(賠償金を取れなかった)」という認識と、「道徳的に正しくない約束は破っても良い」という日本人には理解できない常識のため、受け入れてしまうのです。
こういう人達に日本人が言葉で説明したり説得するのは無駄です。「約束を守れ」しか言う事はありません。守らなかったら「殴って」(制裁して)分からせるだけです。
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