【ウクライナ問題】1.プーチンのウクライナ侵攻の目的
2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始してから3週間ほど経ちました。
21世紀に、主権国家を侵略するというあり得べき事が起こっている訳で、まず、ロシア(プーチン大統領)を擁護する事などできません。
一方、プーチンの頭の中、つまり、彼の論理や歴史観を理解する事は大事だと思います。「理解」と言うのは「理解を示す(共感する)」という意味では無く、客観的に把握するという姿勢です。これによって、かれの最終目的が分かるからです。
また、上記を理解するためには、ウクライナを取り巻く歴史的・政治的背景も知る必要があるので、自分なりに少しずつ整理しておこうと思います。
まず、プーチンの目的ですが、侵攻を開始して2日目の26日に「勝利宣言」の予定稿?らしきものが、ロシアの国営通信であるRIAノーボスチに掲載され、すぐに削除されるという事が起こりました。これを読むと、その目的が見えてくるようです。
以下は、『チャンネル桜』の「【討論】ロシアのウクライナ侵攻から世界はどうなった?[桜R4/3/10]」から、パネリストの茂木誠氏(作家・予備校講師)がまとめられた「勝利宣言」と3月4日の安全保障会議でのプーチン大統領の発言(フリップ※)をテキスト化したものです。(17:28~)
※フリップでは箇条書きにされているものを便宜的に項番に変え、補足は括弧内に緑色の文字で追記しています。赤字はフリップのママ。
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【1.勝利宣言?(2022/02/26 モスクワ時間午前8時)】
「ロシアと新たな世界の到来」 Petr Akopov
- 1991年のソ連崩壊の悲劇は克服された。
- 「反ロシア」としてのウクライナはもう無い。
- 大ロシア人、ベラルーシ人、小ロシア人〔=ウクライナ〕が集結する。
- ウクライナ現政権の非ロシア化政策によって、ウクライナ奪回は10年毎に困難になる。
- ウクライナに対する西側の完全な地政学的・軍事的支配は、ロシアへの復帰を完全に不可能とする。
- 500年続いたグローバルな覇権は終わった。
- 世界新秩序の構築の加速化は、アングロサクソンのグローバリゼーションの拡大を通じて明白である。
- 多極世界が、ついに現実のものとなった。
- これは大西洋主義者の地政学的拡大への対応であり、ロシアの歴史的空間と世界のケル地位の復活だ。
- 中国、インド、中南米、アフリカ、イスラム世界・・・は、西側が世界秩序をリードしているとは信じない。
- ロシアの挑戦は、西側の世界支配の終焉を示した。
【2.安全保障会議でのプーチン大統領の発言(2022/03/04)】
- ロシアとウクライナ人は一つの民族(ナロード〔国民,民族,民衆などを意味するロシア語〕)であり、この確信を蜂起する事は決して無い。
- ウクライナ住民の一部は脅迫され、ナチのナショナリズムに溢れたプロパガンダに翻弄され、また一部のものはバンデーラ主義者〔反ユダヤ主義→ステパーン・バンデーラ=ウクライナ民族解放運動の指導者〕や、第二次世界大戦ではヒトラー側で戦ったナチストの手先を真似ているに過ぎない。
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これらを読むと、侵攻以前から名目としていたドンバス地方〔ルガンスク、ドネツク〕のロシア人保護ではなく、ウクライナ全域の併合が目的であった事がが分かります。そして、ウクライナは本来ロシアのものであると認識です。
1-6の「500年続いたグローバルな覇権」というのは何を意味するのでしょうか?〔500年前に何があったのでしょうか?〕
グローバルな覇権の終焉や多極世界の実現を宣言している事は、しばしばプーチン大統領が「反グローバル主義者」、「ナショナリスト」と言われる所以だと思います。しかし、彼の「ナショナル」とは大ロシア主義の復活のようです。
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