日本統治時代のハングルタイプライターとハングル抹殺
金柄憲(キム・ビョンホン)所長は、古い新聞のアーカイブスから面白い広告や記事を見つけては取りあげてくれます。
今回はハングルのタイプライター。(1934年5月12日付け『東亜日報』)
大きな文字の右側は、타자기(tajagi)と書かれており、漢字で書くと「打字機」です。
打字機の完成祝賀会の記事に発起人の名前が書かれていますが、そうそうたるメンバー。
この広告は、同じ物が『300枚のユニークな広告が語る、こんなに明るかった朝鮮支配』(但馬オサム著)に掲載されているのですが、同書の同じページに、下のような広告も掲載されていました。〔画像は、ブログ主がNAVERの新聞アーカイブスから探してキャプチャしたものです。〕
こちらは目薬の広告です。
朝鮮半島では1920年代~30年代に「新女性」と呼ばれる女性達が、因習の壁を越えて社会に進出しました。尤も、この「新女性」という言葉は称賛や羨望だけでなく、ややネガティブな意味にも使われたようです。「今時の女性は...」というのと同じですね.
広告のイラストに使われるくらいですから、この頃には花形の職業としてタイピストもいたのでしょう。
話をタイプライターに戻すと、上述のハングルタイプライターは、宋基柱(송기주)という人物が米国留学中に作ったそうです。そう言えば、広告の会社名は「宋一商会」となっていますね。なお、このサイト〔韓国語〕によると、宋基柱は朝鮮戦争で拉致され、それ以来消息不明だそうです。
なお、このタイプライターは縦書きです。ハングルは左右上下に部品を組み合わせるので、このようにしたのでしょう。最初の広告画像を見ると分かりますが、紙を横向きにセットすると、縦にした時に縦書き文字になる仕組みです。
ところで、こういう話題になると、必ず「朝鮮語抹殺」という話題が出てきます。
金柄憲所長のFacebookにもそういうコメントがありました。
するとすかさず、金柄憲所長は「朝鮮語抹殺政策を施行したというが、朝鮮総督府の機関紙である毎日新報はハングルで書いている。」と、1944. 2. 3. 毎日新報 3面の記事をupされました。〔リンク先Facebookエントリーに画像あり。〕
戦争が激化すると、学校での朝鮮語の授業が無くなったり、役所の公文書が日本語のみになったのですが、それを大衆に強いたわけではありません。
- 関連ブログエントリー:【韓国】朝鮮語の抹殺/映画『マルモイ ことばあつめ』(말모이)の嘘
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