【佐渡金山】自民党議員(佐藤正久氏、小野寺五典氏)が岸田文雄首相に忖度?【プライムニュース】
佐渡金山の世界遺産登録推薦に関連し、2日、3日と、BSフジの『プライムニュース』に自民党の佐藤正久参議院議員と小野寺五典衆議院議員が出演されました。
そこで、ブログ主、いえ、所謂「徴用工問題」に関心を持っている者には解しがたい発言をされていました。
佐藤議員は、「forced laborは『強制労働』だからダメだが、forced to workは『厳しい環境で働かされた』だから良い」という趣旨の発言で、小野寺議員も同様の事を言い、「(炭鉱の朝鮮人労働者が)過酷な状況にあったのは事実」と言っていました。
これ、理由は分かるのです。
2015年の明治の産業遺産でしでかしたヘマ、つまり、韓国との妥協で「forced to work」という言葉を入れてしまった事を正当化しないとならないからです。

自縄自縛に陥っています。
外務省のサイトに、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」のユネスコ世界遺産一覧表への記載決定(第39回世界遺産委員会における7月5日日本代表団発言について)というタイトルで、当時の佐藤地(くに)ユネスコ大使のスピーチ全文〔英文と日本語訳〕がありますが、それを引用します。
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議長、日本政府を代表しこの発言を行う機会を与えていただき感謝申し上げる。
日本政府としては,本件遺産の「顕著な普遍的価値」が正当に評価され,全ての委員国の賛同を得て,コンセンサスで世界遺産登録されたことを光栄に思う。
日本政府は,技術的・専門的見地から導き出されたイコモス勧告を尊重する。特に,「説明戦略」の策定に際しては,「各サイトの歴史全体について理解できる戦略とすること」との勧告に対し,真摯に対応する。
より具体的には,日本は,1940年代にいくつかのサイトにおいて,その意思に反して連れて来られ,厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと,また,第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存である。
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日本語でさえ、「その意思に反して連れて来られ」は『強制連行』、「(厳しい環境の下で)働かされた」は『強制労働』をイメージしますが、英文だと尚更で、原文は以下のようになっています。
Japan is prepared to take measures that allow an understanding that there were a large number of Koreans and others who were brought against their will and forced to work under harsh conditions in the 1940s at some of the sites, and that, during World War II, the Government of Japan also implemented its policy of requisition.
この表現は、今や、韓国に妥協して入れたのは衆知の事実ですが、ご丁寧にこの外務省のサイトには「NOTE(注解)」として、以下のような説明があります。
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【注1】
「意思に反して連れて来られ(brought against their will)」と「働かされた(forced to work)」との点は,朝鮮半島出身者については当時,朝鮮半島に適用された国民徴用令に基づき徴用が行われ,その政策の性質上,対象者の意思に反し徴用されたこともあったという意味で用いている。
【注2】
「厳しい環境の下で (under harsh conditions)」との表現は,主意書答弁書(参考)にある「戦争という異常な状況下」,「耐え難い苦しみと悲しみを与えた」との当時の労働者側の状況を表現している。
【参考】
近藤昭一衆議院議員提出の質問主意書に対する答弁書(平成14年12月20日閣議決定)(抜粋)
「いわゆる朝鮮人徴用者等の問題を含め,当時多数の方々が不幸な状況に陥ったことは否定できないと考えており,戦争という異常な状況下とはいえ,多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは極めて遺憾なことであったと考える。」
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こんなの誰が読むかって。スピーチが全てです。
『河野談話』と同じなのです。
韓国に妥協するために、スマラン事件というごく例外的な事件を理由に、官警による強制動員があったとわざわざ入れ、あたかも、それが一般的かのように読めるようにして、韓国に言質を取られてしまいました。
今回登録しようとしている佐渡金山では、1,500人程の朝鮮半島出身労働者の内、約1,000人は募集、残りは官斡旋か徴用だと分かっています。
給与は高額でしたが、南朝鮮から来た労働者は農民が多く、坑夫のような仕事になじめずに逃げた者も大勢いました。〔北は工業化が進んでいたので雇用があり、出稼ぎ労働者はほとんどが南から〕
しかし、内地(日本)で働く事は大金を稼ぐチャンスで、何とか日本に来ようとして、ブローカーに騙された者もいたくらいで、傾向としては、「意思に反して」どころか、来たくて来たくてしかたがなかったのです。
今回も、2015年と整合性を持たせるために、「forced to work」を使うのではないかと心配しています。
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追記した部分は次回のエントリーに移動しました。
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