【佐渡金山】世界文化遺産登録の決定プロセスについて(高市早苗議員の質疑から)
昨日、政府が佐渡金山を世界遺産に推薦するという発表がありましたが、それには自民党内部の保守勢力の反発が大きかったと思います。また一方、24日の衆院予算委での高市早苗議員と林芳正外務大臣との質疑応答には、外務省が「仕事をやりたくない」と思っていた事が示唆されています。
そもそも、昨年12月28日に文化庁の文化審議会が、佐渡金山を世界文化遺産の候補として政府に答申した際に「推薦の決定ではなく、今後政府内で総合的な検討を行う」と、異例の言及をした事から、事前に文化審議会に政府(外務省?)からの横やりがあったものと思われます。〔文化審議会の公式サイト:令和3年度における世界文化遺産の推薦候補に係る文化審議会答申について〕
衆院予算委で林外相が「『世界の記憶』において、関係国で意見の相違がある時は関係国間の対話で解決」云々と言い、高市議員から、「それは世界文化遺産とは別の話」だと反論されています。林外相の発言は、かつて、中国が「南京大虐殺」の一方的な史料を世界の記憶に登録したことから、日本が努力してそのようにルールを変えた事を言っているのですが、高市議員が仰るように、それは『世界の記憶』に関する話です。
【追記】世界の記憶はかつて日本で「世界記憶遺産」と呼んでいた時期があったので未だに誤解されている方もいるようですが、ユネスコの一事業であり、ユネスコ世界遺産センターの「世界文化遺産」や「世界自然遺産」とは別物です。審査員は単に公文書管理の専門家であり、申請された史料は歴史的真正性があるという前提なので、内容について調査もしません。だからこそ、異議申し立てができるようにルールが変わったのです。詳しくは以前のエントリー『【ユネスコ記憶遺産】 慰安婦問題の資料登録は見送りか?/その不透明な選考過程とは?』をお読み下さい。
このやり取りから、なんとか外務省は推薦を見送りたいという意思が伝わってきます。
ところで、高市議員の質疑から、世界文化遺産の決定プロセスが少し分かったので、そのことをメモしておきたいと思います。
まず、登録までの流れは下記の通りです。28日放送の『言論テレビ』から、スケジュールの目安を追記しました。
①世界遺産条約を締結・批准した国が推薦書を提出〔文化遺産・自然遺産〕2022年2月1日迄
②ユネスコ世界遺産センターが調査を依頼〔世界文化遺産の場合はICOMOSが現地調査等〕2022年夏~冬
③ICOMOSより勧告 2023年5月頃
④世界遺産委員会で審議・決定 2023年6月~7月頃
高市早苗議員は④について言及されました。以下がその部分の動画です。
【佐渡金山 世界遺産推薦】
— ピーチ太郎2nd (@PeachTjapan2) January 24, 2022
高市早苗「来年度以降は更に困難。世界遺産委では委員国のみ意思表示の権利がある。現在韓国は委員国ではないが、来年秋~27年秋迄の委員国に【韓国が立候補する可能性が高い。】その次は中国が立候補する可能性が高く、中韓に歴史戦に持ち込まれる事が容易に想像できる」 pic.twitter.com/xsPWBatWYa
※衆議院TVで全編観ることができます。→ 1月24日の衆議院予算委員会/高市早苗議員の世界文化遺産に関する質疑は冒頭
ツイートに要約されていますが、もう少し詳しく書くと、
世界遺産委員会は21カ国で構成され、これは6つの区分〔西ヨーロッパ、東ヨーロッパ、アフリカ、アジア・太平洋、etc.〕それぞれに枠があります。任期終了の時期は国により異なり、日本は昨年11月に委員国となったので2025年秋までは委員会のメンバーですが、韓国は委員国ではありません。世界遺産の決定は、委員国の2/3、即ち14カ国の賛成があれば承認されます。
今年2月1日までに推薦書を提出すれば、世界遺産委員会の審議・決定は2023年6月ですが、秋になると9カ国が任期終了となるので、韓国が入ってくる可能性が高い。〔任期は自主的に4年とする運用で、任期終了後は次の立候補まで6年間空ける(ギャップイヤー)/1月28日放送『言論テレビ』より〕
という事のようです。
要するに、委員国で無くても韓国は様々なロビー活動をしてくるでしょうが、今回を逃すと、次の委員会では韓国が正々堂々と(?)邪魔できる様になる、という訳です。
しかしまあ、個人の日常生活では、「あの人がグループに入ってきたら嫌だねえ」なんて会話はあるかと思いますが、国ですよ? 国。他国の国会でこんな会話をされる韓国って一体...w
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