【韓国】朝鮮語の抹殺/映画『マルモイ ことばあつめ』(말모이)の嘘
本題に入る前に、1921年3月12日付けの『東亜日報』の記事「朝鮮語奨励手當(当)」と言う記事をご紹介します。金柄憲(キム・ビョンホン)所長が見つけてFacebookに貼ったものです。
漢字が多いので大凡の意味は分かるかと思いますが、3月1日付けで、学校教員や巡査だけでなく、官吏に対しても朝鮮語の能力に応じた手当を支給するという内容で、具体的な支給金額も書かれています。〔関連記事後述〕
日本人は、これを見ても、「まあ、そういうこともあっただろうな」と、なんとも思わないのですが、この記事を見た韓国人の方は一様に驚いていて、「朝鮮語抹殺とはいったい...!?」のような反応でした。
その中に、「マルモイ映画は嘘だね~」というコメントがあり、『マルモイ ことばあつめ』(原題:말모이/マルモイ)という捏造映画について以前調べた事を思い出しました。
「マルモイ」とは、世の中の「我々の『マル(言葉)』を『モウダ(集める)』」という意味で、「朝鮮語学会事件」(1942年)という弾圧事件をテーマに、朝鮮語の抹殺に抵抗して朝鮮語の保存に努力した学者達を描いた映画です。
例によって大嘘なんですけどね。
1920年、朝鮮総督府によって朝鮮語の辞書が編纂されました。日本人が朝鮮語を学ぶためのもので、漢字からも引けるようになっているので、朝日/日朝辞典と言っても良いでしょう。〔国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧することができます〕
これをベースに、後に朝鮮人のための辞書が編纂されることになるのですが、上の画像を見ると、日本語の説明をハングルに翻訳すれば、ほぼ朝鮮語の「国語辞典」として使えそうです。最初に朝鮮人による朝鮮人のための辞書が作られたのは1938年、文世栄(ムン・セヨン)の 『朝鮮語辞典(조선어. 사전)』でした。
朝鮮語辞典と「朝鮮語学会事件」については、六衛府さんの一連のツイートに詳しいのですが、治安維持法で逮捕されたのは、朝鮮語研究学者の内、一部の大倧教〔=だいそうきょう/檀君を朝鮮民族の始祖として崇拝する朝鮮の民族宗教〕系の人々です。つまり、朝鮮語を守ろうとして抵抗したからでは無く、民族独立派の不穏分子として摘発されたのでした。
治安維持法の是非や刑の軽重を論じるのなら理解はできますが、この取り締まりを「民族文化の抹殺」と呼ぶのは誤りです。
文世栄の辞書はその後も改訂版が出版されており、朝鮮総督府は朝鮮語の辞書編纂に協力しています。
素晴らしい動画を作って下さっていた韓国人YouTuberの百年歴史さんが、コミュニティに書いてくれていますが、「朝鮮語学会事件」の判決文も公開されており、ブログ主は読めませんが、百年歴史さんによると、判決文の中で朝鮮語学会の辞書編纂作業には「田中徳太郎、西村眞太郎」という日本人が「朝鮮語辞典」の完成を熱望し、何かと助けたいと、犬馬の苦労をした。」ということが書いてあるそうです。上記の2人の日本人は朝鮮語研究者であると同時に総督府の通訳官、検査官の職責にある総督府の官吏でした。
韓国人は、1920年の日本人による辞書のことは知らないようですが、朝鮮人による初の朝鮮語辞書が1938年に作られたことは知っているようです。但し、功労者である文世栄(문세영)は、例えばWikipediaにも無いのです。
百年歴史さんは、文世栄は過小評価されていると書かれていましたが、ブログ主には、彼のことは隠されているのでないかと思います。彼の生涯が詳しく知られてしまうと、“朝鮮人学者が日本人の弾圧にも負けず辞書を作り続けた” という虚構 が崩れてしまうからです。
日本語のWikipedia「朝鮮語学会事件」を読むと分かりますが、完全に韓国史観で書かれています。おそらく、多くの日本人はこの事件のことを知らず、関心も無いので誰も編集しないのでしょう。いかにも酷い弾圧のような書きぶりですが、顛末を見ると、無罪判決を受ける者もいたし、ほとんどが数年で刑期を終えています。
このように、韓国人の捏造・歪曲による誤解は無尽蔵に出てきます。
こうした細かいことは結局、韓国人自らが日本人に対するレイシストであるという事を自覚し、改めないと、修正できないのではないかと思っています。
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https://www.wowkorea.jp/news/japankorea/2012/1015/10104019.html
植民地支配下で日本人警察らに「朝鮮語奨励政策」
2012/10/15 17:16配信
【ソウル聯合ニュース】朝鮮半島の植民地支配において重要な役割を果たした警察や教員らが、公式に朝鮮語能力を求められていたという研究結果が発表された。
これは「朝鮮人の理解または個人の必要によって個人的に朝鮮語を習得した」とされていた今までの研究に相反するもので、日本帝国主義が朝鮮語の習得を通じ朝鮮人の日常生活に対する支配を強化しようとする狙いがあったと解釈できる。
国語学者のオ・セネ博士(江南大学講師)は先日、ソウル市立大学ソウル学研究所主催で開かれた定例発表会でこれら内容を盛り込んだ報告書を発表した。
オ博士は15日に取材に応じ、朝鮮総督府が1920年代に日本人警察と公務員、教員らに対して政策として朝鮮語能力を要求したと説明した。朝鮮に赴任した日本人官僚を対象に朝鮮語奨励試験が行われ朝鮮語能力による実質的手当が支給された。
総督府は1918年に被支配者の朝鮮人と意思疎通を図るため「朝鮮語試験規則訓令」を公表し、1920年代には朝鮮語能力に応じて昇進、手当を設ける制度へと拡大した。(以下略。この後、「しかし、その後は朝鮮語を抹殺する」と反日をねじ込んだ記事になっています。)
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