『韓国「反日主義」の起源』雑記4-『檀君神話』
前回の続きとして、『韓国・パクリ文化の起源』について書こうと思っていましたが、前回ご紹介した動画にあったあるシーンから、韓国人が言う『半万年の歴史』について書く事にします。
動画の7:30頃には面白いシーンが出てきます。本を読んでいる女性が映り、次のようなナレーション(英語)が入ります。「あの淑女が読んでいる本をちょっと覗いてみましょうか。」 そして、漢文で書かれた本がクローズアップされて、「あぁ、たった4千年に過ぎない朝鮮の歴史ですね。」と続きます。
読んでいる本が何かは分かりませんが、「4千年の歴史」というのは『檀君神話』によるものだと思います。韓国や北朝鮮には、檀君が即位したとされる紀元前2333年を元年とする「檀君紀元」があり、今から4350年程前になりますが、それを切り上げて約5000年とし、「半万年」と言うのです。宗主国も「白髪三千丈」の世界ですからね。
ひたすら中華だけを文明として崇拝し、自らを小中華と称した彼らは、元々は箕子朝鮮を国の始まりとしていました。前195年頃の成立とされています。
箕子とは、殷の貴族。名は胥余(しょよ)。伝説では、紂王(ちゅうおう)の暴虐を諫めたが用いられず、殷が滅ぶと朝鮮に入り、朝鮮王として人民教化に尽くしたとされる伝説の王です。
つまり、国として中華の直系である事が重要でした。
檀君に関する記述は13世紀の『三国遺事』にしか遡れません。しかも、自前の伝承では無く、「魏書云」(魏書に曰く)と、中国史書を引用する形で始まります。しかし、その史書が何だかは分かりません。
檀君神話も文字にして500字程度の短いもので、日本の記紀に比肩するものではありません。
その概略は、「天界の支配者・桓因が降臨して、人間に化身した熊と交わって檀君王倹をもうけた」という内容で、「檀君が初めて『朝鮮』と称し、その国は1500年続いた」とし、最後に「周の虎王が、箕子を朝鮮の支配者として使わすと、檀君は隠遁して1908歳まで生きた」で終わります。
国生みの神話も無ければ、箕子との繋がりもありません。
この檀君信仰が始まったのも、中国から独立した大韓帝国の時代だそうです。
同時代の朝鮮史家・今西龍(1875年8月15日 - 1932年5月20日)が、「明治27年、朝鮮は日本の援助の下に清国から独立し、(中略)朝鮮人間には支那人たる箕子を開国始祖としての尊崇は急激に衰へ、之に反して檀君を朝鮮国民の祖として崇拝するの風、俄(にわか)に熾(さか)んとなれり。日本人が天照皇太神を仰ぎ奉るものに比擬して、朝鮮人は檀君を仰がんとせり」と『朝鮮古史』に「檀君考」として書いています。〔『韓国「反日主義」の起源』(松本厚治 著)p.343〕
日本には神話の神々を祀る神社は古くからあちこちにありますが、韓国にはありません。
全羅道の人、羅喆(らてつ)が檀君教を興したのも1904年です。〔同書、同頁〕
前回書いたように、牽強付会(こじつけ)により、日本を象(かたど)って、嘗てあった(かもしれない)文化を再構築する作業は、日本と関わるようになってから急激に進みます。
そこまでならまだ良いのですが、ご存知の通り、「古代韓国の文化は本家では失われたが、日本に伝わって発展した」というロジックを使って、日本の文化や伝統の「起源」を主張するからタチが悪いのです。
次回は、「パクリ文化」の一つ、『茶道』について書きます。
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>かんぱちさん
>朝鮮の歴史が断絶していて、記録すら残っていない理由・・・1つの仮説があります。10世紀に起きた 「白頭山の巨大噴火によって、それまで存在した文化、あるいは民族が滅んでしまった」 というものです。
長浜朗先生が本に書かれている説ですね。歴史年表に空白があるという。
白頭山は北(中国との国境)にあるので、朝鮮半島の人が全滅しなくとも、共通の文化を伝承する集団としての「民族」は滅んでしまったのかも知れませんね。
投稿: ブログ管理者 | 2021/12/23 04:47
朝鮮の歴史が断絶していて、記録すら残っていない理由・・・1つの仮説があります。10世紀に起きた 「白頭山の巨大噴火によって、それまで存在した文化、あるいは民族が滅んでしまった」 というものです。
荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、少なくとも10世紀に白頭山が巨大噴火を起こしたことは事実です。
企画展 「中国・朝鮮国境の大活火山 白頭山の謎」 開催の様子 | 東北大学総合学術博物館
h ttp://www.museum.tohoku.ac.jp/exhibition_info/kikaku/paekdusan.html
>現在の中国東北部に渤海という国がありました。この渤海が10世紀に滅亡したのは白頭山の噴火の影響ではないか?という仮説があり、この謎をきっかけに東北大学のチームを中心として白頭山の調査が始まりました。
東北大学総合学術博物館のすべてⅧ 「中国・朝鮮国境の大活火山 白頭山の謎」
h ttp://www.museum.tohoku.ac.jp/past_kikaku/paekdusan/index.html
投稿: かんぱち | 2021/12/22 22:55