【韓国】李在明(イ・ジェミョン)氏の「『桂タフト協定』のせいで日韓併合になった」の歴史観はどこから来たのか
先日(11月12日)、韓国の与党側大統領候補である李在明(イ・ジェミョン)氏が、訪韓したアメリカの上院議員に向かって、「日韓併合になったのは『桂タフト協定』〔※〕のせいだから、アメリカにも責任の一端がある」という趣旨の発言をして、物議を醸しました。〔記事後述〕
※広辞苑:1905年(明治38)日露講和直前に桂太郎首相とアメリカ特使W.H.タフトとの間に交わされた秘密覚書。日米はアメリカのフィリピン統治と日本の韓国に対する優越支配とを相互に承認。
外交欠礼でもあるし、日本と韓国が併合に至る一連の流れの出来事の一つでもあるとは言え、桂タフト協定にそれ程決定的な意味はないので、何を言っているのだ?と思ったのですが、この発想には韓国の『国史』というアナザー・ワールド(異次元の世界)があると言う事が分かりました。
なお、韓国では「桂タフト協定」のことを「桂タフト密約」と呼んでおり、日韓の歴史に日本人以上に詳しい「キムチわさび」さんが「密約は誤解だ」という趣旨の解説をしていましたが、ブログ主は、「密約」とか「協約」は言葉遊びだと思っていました。趣旨は上に赤字で強調したとおり、「互いの権益に【干渉しない】という約束」だからです。
ここからが韓国のアナザー・ワールドの説明ですが、これはシンシアリーさんのブログ『韓国紙「桂タフト協定に、大韓帝国とフィリピンをトレードするなどの内容は無い。反米の道具にされているだけだ」』で解説されていました。
この元記事は韓国の保守系ネットメディア『ペン&マイク』に寄稿したキム・ヨンサム記者の記事で、この方は、『反日種族主義』で「鉄杭神話」項を担当した方です。
ブログの記事タイトルでも分かると思いますが、「桂タフト協定とは、日米で『朝鮮とフィリピンをトレードする』密約」という通説が韓国にはあるのだそうです。以下、ブログより引用します。
桂タフト密約は、「韓国はとてもうまくやっていたのに、外勢の陰謀により、どうしようもなく植民地にされてしまった」と韓国人たちの心理を歪める装置として、悪用されるようになった。国内の左翼たちは、桂タフト密約を、チャンスがあるたびに反米の武器として使った。
つまり、日本人にはお馴染みの、「日本のせいだ~!」というアクロバティックな論理を、アメリカに対してもやってたのです。
しかし、この論理が成立するためには、「(桂タフト協定以前に)アメリカが朝鮮半島に対して優先的権益があった」という前提が必要です。
あらためて時系列を整理すると、
1904年8月19日~ 旅順攻囲戦(これ以降日露戦争中の出来事)
1904年8月22日 第一次日韓協約(乙巳条約)・・・日本、朝鮮の外交・財政権を剥奪
1905年5月27日-28日 日本海海戦(日露戦争)
1905年7月29日 桂タフト協定
議題の一つ、「日本は、アメリカの植民地となっていたフィリピンに対して野心のないことを表明する」からも分かるように、日本海海戦で東アジアでの日本の覇権が決定的になった事で、東南アジア(フィリピン)に権益を持つアメリカとしては日本に対して警戒感を持ち、日本の野心が東南アジアに向かわないようにしたかった、と見るべき。
1905年9月5日 日露戦争終結(ポーツマス条約)←ルーズベルトの斡旋
1905年11月17日 第二次日韓協約・・・日本、朝鮮を保護国に
と、桂タフト協定は日露戦争のさなかの出来事です。
韓国の「国史」教科書に、桂タフト協定以前の朝鮮にアメリカなんて出る幕が、少なくとも表面的にはあるとは思えません。
この頃の朝鮮半島を巡る主なプレイヤーは、日清戦争(1895年:下関条約)以前には清(中国)もいましたが、その後の『三国干渉』も、三国とはロシア・フランス・ドイツです。
韓国の歴史教科書には、一体どんな「ストーリー」が書かれているのでしょう?w
◇ ◇ ◇ ◇
https://www.yomiuri.co.jp/world/20211112-OYT1T50219/
日韓併合は「米国が承認したから」…韓国大統領候補の李在明氏が米議員に
2021/11/12 18:51
聯合ニュースによると、韓国の左派系与党「共に民主党」の大統領選候補、 李在明 ・前 京畿道 知事(56)は12日、ソウルを訪問した米国のジョン・オソフ上院議員と会談した際、日韓併合の原因について「米国が承認したからだ」と主張した。
李氏は冒頭発言で、日本が米国のフィリピン統治を承認し、米国が朝鮮半島における日本の優越的支配を認めた1905年の「桂・タフト協定」が、5年後の日韓併合を招いたとの見方を伝えた。また、「最終的に日本ではなく朝鮮半島が分断され、(朝鮮)戦争の原因になった」とも述べた。
李氏の発言は、朝鮮半島の植民地化や分断の歴史には、米国にも責任の一端があるとの考えを示したものだ。オソフ氏は、朝鮮戦争で米韓が共に戦った歴史などに触れ、米韓同盟の重要性を訴えたという。李氏に対し、野党側などから「外交的な礼を欠いている」との批判が出た。
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