【韓国】5.18光州事件に関する尹錫悦氏の「失言」と「謝罪」
韓国社会を見ていると、「悪か善か」の二分論(二元論)で判断するという単純な思考方法に驚かされます。例えば、挺対協(現・正義連)の悪が暴かれても、「日本は悪」という社会通念はほぼ揺るぎなく、せいぜい、「尹美香(ユン・ミヒャン)等は日本軍よりも悪い」という評価になります。つまり、「是々非々」で論じる事はできない社会です。
そして、当時の価値観とか社会情勢とかは無視して、現代の価値観や感情で「善悪」の評価を下し、その社会通念に合致しない意見は「悪」として批判される社会です。
これが、野党の大統領候補者・尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検事総長の、全斗煥(ゼン・トカン/※1)元大統領に関する発言で起きています。
龍谷大学の李相哲教授が解説されていますが、簡単に説明すると、釜山での遊説で、①5.18光州事件(1980年5月/※2)をを武力で鎮圧した「悪」の全斗煥元大統領を「良い政治もした」と評価した尹錫悦氏への批判が高まり、②その批判に謝罪するインスタグラムの画像が「尹氏の飼い犬とリンゴ」だったために、「犬」(韓国社会では侮蔑の象徴)に、リンゴ(韓国語では「謝罪」と同音異義語)を与える画像で国民を犬に喩えて侮蔑しているというのだという批判が起きている、ということのようです。③更に、その写真を撮影したのは自分(尹氏)ではないと釈明したところ、犬の目の拡大写真に尹氏らしい男性が写り込んでいる事から「嘘をついている」と、国民の怒りが沸点に達しているようです。
※1 チョン‐ドゥファン【全斗煥】
韓国の軍人・政治家。1979年朴正〓大統領暗殺事件後、クーデターにより実権を掌握、81年大統領に就任。88年退任後、内乱罪により無期懲役判決を受けるが、のち赦免。(1931~)※2 こうしゅう‐じけん【光州事件】 クワウシウ‥
1980年5月、光州市で、軍部による戒厳令拡大に反対する学生・市民を戒厳軍が鎮圧、武力衝突に発展して、多数の死者が出た事件広辞苑より
尹氏は野党の大統領候補者ということで与党支持者(左派)から攻撃されているのはもちろんですが、保守の中でも朴槿恵弾劾の首謀者と見るかなりの保守にとっては不倶戴天の敵であり、格好の攻撃材料を与えてしまった事になります。全斗煥元大統領を擁護した発言では、野党(国民の力)からも批判が噴出しています。
李相哲先生によると、中国でさえ、例えば鄧小平に関して、天安門事件で市民を弾圧したことでは「悪」であっても、改革開放で中国経済を向上させたことを評価しても批判はされないそうで、全斗煥時代も韓国経済はめざましい発展を遂げたのは事実なのに、一旦「悪」のレッテルを貼られたら、部分的な評価すら許されない韓国社会はおかしいと疑問と呈されており、ブログ主も共感します。
上に①~③と番号を振りましたが、ブログ主はこれらは別々の事象のはずだと言いたいからです。
しかし、この件に関する記事の読者のコメントを見ると、これらを別々に論議できていないのです。
例えば、かなり保守系のメディア(朴槿恵弾劾を不当だと批判している人達が集まるメディア)では、朴槿恵弾劾の首謀者の1人である尹錫悦批判ありきになっており、事実を分析すべきと言う理性的なコメントには非共感ボタンが多く押されています。〔つまり、理性的な人は少数派。こういう人達がいる以上、「韓国人は~」と一般化したくはないのですが、傾向はそういう事でしょう。〕
光州事件は軍事政権に対する民主化運動という定義にはなっていますが、謎の部分も多く、この時に犠牲になったとされる人達やその遺族が「功労者」として、様々な特権を得ている事から疑問を呈する韓国人も少なからずいるのですが、この定義に疑問を呈することを処罰する法律もできており、議論ができない状態になっています。
功労者の認定も光州市が行う事になっており、その認定そのものが「利権」となっています。
日本には直接関係ない事件ですが、この「事実はどうでもいい」という韓国社会のありかたが「慰安婦問題」や「徴用工問題」とも繋がっているとブログ主は感じます。
話は脱線しますが、21日に打ち上げられた、韓国初の国産ロケット(ヌリ号)は、韓国の公式発表では「3段目までのエンジン切り離しは成功して、十分な高度には達したが、3段目に搭載したダミー衛星(1.5トン)の衛星軌道投入には失敗」とされており、「半分成功」あるいは「非正常飛行」とされ、「失敗」という言葉は禁句になっています。
しかし、LIVEで打ち上げの様子を見、日本のH2ロケットの打ち上げ動画などと比較したブログ主からすると、既に1段目の切り離しから正常な動作をしていないようにも見えます。〔地上からのカメラがまだ捕捉できている状態なのに、嫌な炎が見えた後はスタジオに切り替えてしまった。〕素人なので、これに関する評価は断言しませんが、失敗部分の原因究明もまだなのに、とにかく「我々は宇宙大国の仲間入りをした」と国民が喜んでいるのを見ると、異常な世界だと感じます。
ここで言いたいのは、国家や当局(や、それに追随するメディア)による言論統制だけでなく、国民の大多数が事実に対する探究心が少ない事に違和感を覚えるのです。
※記事等の追記は後ほど行う予定ですが、一旦、公開します。
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>かんぱちさん
仰る事、全て同意できます。
李承晩TVの先生方は基本的には「(理想化した)李承晩の価値観」から離れられない。従って抗日活動家は批判できない。
批判するのは共産主義に走った活動家のみです。
だから、熱心な視聴者もそのレベルに留まります。
最近もコメント欄に「日本から多大な被害を受けたが、我々はその被害以上に被害者コスプレをしている」と一見自己批判的なコメントがあったので、「具体的に被害とは何でしょうか?」と質問したのですが、その答えは返ってきません。つまり、あの動画の視聴者では「日本統治は悪」という絶対的な評価は変えられない。
別の方から、「被害を受けたのは両班くらいでしょう」という返信がありましたが。
両班達が朝鮮の庶民(←庶民などと言う階級はありませんでしたが)に何をしてくれたというのでしょうか?
自分達では改革はできないので、不本意でも日本の手を借りようと考えた現実主義者(ex. 李完用)は未だに逆賊扱いです。
尤も、韓国人には、守るべき「伝統」や「価値観」を朝鮮時代に求められないのはある種の悲劇だと思います。
だからこそ、建国の精神である「自由民主主義」を守らなければならないのに、実際にそれを理想とした李承晩は「民族主義」で国民をまとめ上げようとした。ここから朝鮮への回帰が始まったと思っています。李承晩の信奉者は認めたくないでしょうが。
投稿: ブログ管理者 | 2021/10/24 18:55
>部分的な評価すら許されない韓国社会
>「是々非々」 で論じる事はできない社会です。
>「事実はどうでもいい」 という韓国社会のありかた
結局、これが一番の問題なんですよね。「反日種族主義」 の著者、李栄薫教授が開設したYouTubeのチャンネル名は 「李承晩TV」。韓国の右派は李承晩を絶対に批判しないし、李承晩が行なった自国民虐殺には触れようとしない。一見すると、韓国の右派と左派は正反対の主張をしているように見えるけど、思考回路や行動様式は全く同じなんです。
ちなみに私は、韓国には 「右派」 はいるけど 「保守派」 はいないと思っています。そもそも朝鮮半島には守るべき 「伝統」 や 「価値観」 がないですからね。韓国の右派にあるのは 「反共」 だけ。
だから北朝鮮の脅威が弱まれば右派への支持は減るし、社会に不満を持つ人が増えれば左派への支持が増えるんだと思います。もともと 「恨の民族」 と自称するくらいだから、どんなに善政を行おうが、体制に恨みを持つ人間が一定数はいるでしょうし。
投稿: かんぱち | 2021/10/24 18:16